- 更新日 : 2024年8月30日
請負代金請求書とは?ひな形をもとに書き方や注意点を解説
請負代金請求書とは、請負契約に基づき、請負人が注文者に対して仕事の完成に対する報酬の支払いを求める請求書です。ビルなどの工事やシステムの開発など請負契約を結ぶ際に、作成します。本記事では、企業の法務担当者に向けて、請負代金請求書の概要や締結するケース、記載項目、作成する際の注意点を解説します。
目次
請負代金請求とは
請負代金請求とは、請負人が注文者に対して、請負契約に基づく報酬の支払いを求める行為です。請負契約とは、当事者の一方が仕事を完成することを約束し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約束する契約を指します。
請負代金請求書は、請負人が注文者に対して代金の支払いを求めるために作成する書類です。
請負代金の支払いは、原則として仕事の目的物の引き渡しと同時に行われます。ただし、建設工事の場合は、着手金や出来高払いなどの形で、工事完成前に代金の一部が支払われることも少なくありません。さらに、完成した建物が請負契約の内容に適合していない場合には、注文者側の請求により、契約不適合責任に基づく代金の減額が認められる場合もあります。
また、請負代金請求書は、通常の請求書とは異なり、工事の内容や進捗状況に応じた詳細な内訳が記載されるのが特徴です。建設業法第19条第1項に基づき、請負契約書に記載された工事内容や請負代金の額、支払時期などの情報を反映させることが必要です。
さらに、公共工事など大規模な工事の場合は、前払金や部分払い、設計変更に伴う増額などを反映した複雑な内容になる場合もあります。支払い条件は、工事請負契約書に定められた内容に基づいて請求書に反映されます。
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請負代金請求書を作成するケース
請負代金請求書は、以下のような場合に作成されます。
- ビルなどを新築・増改築・修繕する
- システム開発を行う
建設業においては、ビルやマンションの建築や増改築、修繕工事の際に請負代金請求書が作成されます。この場合、工事を発注するディベロッパーや不動産所有者と、工事を受注する建設会社との間で取り交わされます。
建設プロジェクトでは、当初の設計図や仕様書から変更が生じることは少なくありません。そのため、追加工事や変更工事による代金の増減を適切に反映させましょう。また、前払金や部分払いを受けている場合は、二重払いを避けるためにこれらの金額を差し引いた額を請求してください。
一方、IT業界では企業の業務システムやアプリケーション、Webサイトの開発を外部のIT企業に委託する際に請負契約が用いられます。システム開発の完了時に、受託者であるIT企業が委託者である発注企業に対して請負代金を請求します。
請負代金請求書のひな形
請負代金請求書を作成する際、自治体や団体が指定するフォーマットを使用することが推奨されます。法令に基づく必要事項や自治体独自の項目が予め含まれているためです。それにより、記載漏れを防ぎ、請求手続きをスムーズに進められます。
一方、企業間取引などでは、汎用性の高いテンプレートを活用する点も効果的です。例えば、マネーフォワードでは、幅広い場面で使える請負代金請求書のテンプレートを無料で提供しています。
具体的な項目を確認したい方は、以下のサイトからマネーフォワードの請負代金請求書のテンプレートをダウンロードできます。
請負代金請求書に記載すべき内容
本項では、一般的な請求書とインボイス制度に対応した請求書の両方に必要な項目を紹介し、その後インボイス特有の要件について説明します。請負代金請求書に記載すべき内容は、以下のとおりです。
- 件名
- 請求日
- 期間
- 請負代金の額
- 消費税額
各項目の具体的な記載例も交えながら、詳細を解説します。
件名
件名は、請負った業務内容を簡潔に表現する重要な項目です。例えば〇〇ビル新築工事代金」や「システム開発費用」のように、一目で内容が理解できる表現を使用します。具体的な工事名や業務名を記載すると、請求内容を明確にできます。
請求日
請求日は、通常、請求書を作成した日付を記入します。例えば「2024年7月22日」のように記載してください。ただし、取引先との事前の取り決めにより、月末日付など別の日付を使用する場合もあります。請求日は支払期限の起点となるため、正確な記載が求められます。
期間
期間の記載は、業務の開始から完了までの具体的な日程を示すものです。例えば、以下のような記載方法があります。
- 着手:「2024年7月1日」
- 完成:「2024年9月30日」
- 引き渡し:「2024年10月5日」
これらの日付を明確に記載することで、請求対象となる業務の範囲が明確になり、支払いの根拠となります。
請負代金の額
請負代金の額は、業務の対価として請求する金額を明記しましょう。
例えば「工事代金:5,000,000円(税抜)」のように記載します。内訳がある場合は「基本設計費:2,000,000円、実施設計費:3,000,000円」のように詳細を記します。また、前払金などがある場合は、受領済みの前払金を差し引いた金額を請求額としてください。
消費税額
請求金額に含まれる消費税額を記載します。税率ごとに区分して記載する必要があります。2023年10月以降は、インボイス制度に対応するため、適格請求書発行事業者の登録番号(T1234567890123など)や適用税率、税率ごとの消費税額の記載が必要です。
請負代金請求書を作成する際の注意点
請負代金請求書を作成する際は、設計変更や仕様変更による代金の増減を適切に反映し、前払金や部分払金を控除した正確な請求金額を算出することが重要です。これにより、発注者と受注者の間で代金をめぐるトラブルを未然に防げるでしょう。
例を挙げると、建設工事では、工事の進捗に伴って設計変更や仕様変更が生じた場合、当初の請負代金額から増減が発生します。増額となる場合は、変更工事の内容と金額を明示した上で、請求金額に加算します。減額となる場合は、請求金額から減額分を差し引く点が必要です。
また、前払金や部分払金を受領している場合は、請求金額から控除しなければなりません。受領した金額を請求してしまうと、二重払いとなるため注意してください。
したがって、請負代金請求書には、下記のような内容を明示し、最終的な請求金額を算出することが求められます。
- 当初の請負代金額
- 変更工事による増減額
- 前払金・部分払金の控除額
請求内容を確認する際は、変更工事の内容と増減金額について、事前の合意内容と照らし合わせて、適切に処理されているかをチェックしましょう。
請負代金請求書の内容を理解して、請求業務をスムーズに進めよう
請負代金請求書とは、請負契約に基づいて完成した仕事に対する報酬を請求するために、請負人が注文主に対して発行する請求書です。ビルやマンションの工事、システム開発などの場合に締結されます。
請負代金請求書を作成する際は、件名や請負代金の額、期間などをミスなく記載しましょう。
請負代金請求書の概要や書き方を理解して、請求業務をスムーズに進めてください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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