- 作成日 : 2024年5月30日
印相体とは?実印や印鑑別の書体や選び方、吉相体との違いを解説
印相体は、印鑑の書体の一種で独特の字形が特徴です。 主に会社の印や銀行印、重要な書類に押印するなどの印鑑に使われます。
この記事では、印相体の特徴や印鑑への使われ方、他の書体との比較、印鑑別のおすすめ書体について詳しく解説します。
目次
印相体(いんそうたい)とは
印相体は印鑑の書体の一種で、個人や法人の実印として多く利用されています。印相体は「いんそうたい」と読みます。この書体は、中国の古代において公文書などの重要な文書に押印する際に使われていました。「印章(いんしょう)」から派生したと言われています。
- 印相体の特徴は以下の通りです。
- 字画が太く、力強い印象を抱く
- 字形が方形で、安定感がある
- 曲線的な要素が少ない、直線的である
- 一般的な書体と比べて読みにくい場合がある
印相体の利用シーン
会社の印や銀行印などの重要な印鑑に用いられることが多いです。 また、認印や銀行印としても使用されることもあります。その理由は、印相体が持つ独特の字形が意図しない複製や不正利用の防止につながるからです。
ただし、印相体は一般的な書体と比べて読みにくいという特徴があるため、個人の印鑑としてはあまり使われていません。
吉相体との違い
印相体とよく似た書体に「吉相体(きっそうたい)」があります。吉相体も印鑑に使われる書体の一つですが、印相体と比べると装飾的な要素が少なく、よりシンプルで読みやすい形状が特徴です。個人の印鑑としては吉相体を選ぶ人も多いようです。
印相体は、その一方で、より格式高く見えるデザインが施されているため、公的な書類に使用する際に好まれます。
印相体は実印に利用しても良い?
結論から言うと、印相体は実印に利用しても問題はありません。印相体はその美しさと個性が特徴で、実印としてよく使用されています。しかし、その利用にはいくつかの留意点があります。
- 会社名が長い場合は、略称などを利用し、文字数を少なくすることをおすすめします。実印の文字数は6文字以内が適当とされています。
- 印鑑のサイズは大きめを選びます。印相体は、細かい文字だと潰れやすくなります。 特に、会社名に使われる漢字は複雑な字形のものが多いため、印相体の印は、かなり大きめのサイズ(直径18mm以上)を選ぶことが重要です。
- 社名が読みにくい場合は他の書体も検討します。会社名に特殊な文字や難読な漢字が使われていると、印相体では印影の文字が読みづらくなる場合があります。その場合は、吉相体や篆書体など、他の書体の利用も検討してみてください。
- 印相体の実印には、チタンや牛角、黒水牛など、高級素材の印鑑がおすすめです。
印相体以外に印鑑で使われる書体
印鑑に使用される書体は、印相体だけではありません。それぞれの書体には特徴があり、用途に応じて使われています。ここでは、印相体以外の代表的な書体を5つ紹介します。
篆書体(てんしょたい)
篆書体は、古代中国の書体を起源とする古典的な書体です。印相体と同様に、印鑑の書体としてよく使われています。主な特徴は、以下の通りです。
- 字形が円みをおびている
- 線が太く、力強い印象がある
- 古風で格調高い雰囲気を持つ
太枠篆書体(ふとわくてんしょたい)
太枠篆書体(ふとわくてんしょたい)は、篆書体をベースにした書体で、印鑑の枠を太く作成し、文字自体は細く仕上げることで、太枠と細文字のバランスが良く取れた書体です。この書体の特徴は、印鑑の枠が太く、強度が高いことです。そのため、印鑑が頻繁に使用される場合や、長期間にわたって使用する場合に適しています。
文字自体は篆書体をベースに細く仕上げられているため、篆書体と比べるとライトな印象と言えます。
隷書体(れいしょたい)
隷書体(れいしょたい)は漢字の書体で、その特徴は左右の払いで波打つような運筆(波磔)を持ち、一字一字が横長であることです。隷書体は可読性が高い書体で、認め印など日常的な用途に最適です。また、日本銀行券にも使用されており、認知度が高い書体と言えるでしょう。隷書体は、その可読性の高さから、認め印といった読みやすさが求められる場面でよく利用されます。
古印体(こいんたい)
古印体(こいんたい)は、隷書体をベースに作られた日本独自の書体です。印鑑にも用いられる書体の一種で、その特徴は欠けや途切れ、膨らみのある墨塗りで生み出された独特の重みが特徴です。古印体は読みやすくて複製しにくいので、実印や銀行印に使用されることが多い書体です。しかし、印材や彫り方によっては隙間に埃が詰まりやすいというデメリットもあります。
行書体(ぎょうしょたい)
行書体(ぎょうしょたい)は、漢字の書体の一つで、続け書きが含まれていることが特徴です。その曲線的な見た目と速筆向きでありながら読みやすい特性から、古代中国では公務文書や祭礼用の文書に用いられました。楷書から大きく形が変わっているわけではないので、楷書を知っていたらある程度読める書体でもあります。
行書体は、その読みやすさと美しさから、認印や署名などによく使用されます。しかし、行書体は楷書体や篆書体と比べて複雑なため、印鑑に使用する際は専門の彫刻師に依頼することをおすすめします。
印鑑に印相体を使用するメリット・デメリット
印相体は、その特徴的な書体から印鑑に使用する際には様々なメリットとデメリットがあります。以下にそれぞれ詳しく説明します。
印鑑に印相体を使用するメリット
印相体を印鑑に使用する際のメリットとして、まず偽造防止が挙げられます。
印相体の複雑さと読みにくさから、偽造を防ぐ効果があります。特に、実印や銀行印など、重要な印鑑に使用する場合には、この特性が大きなメリットとなります。
また、印相体は、文字の部分だけでなく囲いの枠も欠けにくい特徴があります。そのため、頻繁に使用する印鑑に適しています。
印鑑に印相体を使用するデメリット
一方、印相体を印鑑に使用する際のデメリットとしては、その複雑さから一見して何の文字か判断するのが難しい場合があります。
また、印相体は、その複雑さから彫刻するのが難しく、専門的な技術を必要とします。そのため、印相体の印鑑を作る際には、専門の印鑑彫刻師に依頼することが必要です。
印鑑別のおすすめ書体は?
会社実印
会社実印は、その会社を代表する印鑑であり、法的な効力を持つ重要な文書に押されます。そのため、信頼性と堅実さを表現するために、篆書体や印相体がよく使用されます。篆書体は、その古風で格式のある字形から、会社の信頼性と堅実さを表現するのに適しています。一方、印相体は、その複雑さと読みにくさから、偽造を防ぐ効果があります。
銀行印
銀行印は、銀行の取引で使用される印鑑で、偽造防止が重要な要素となります。そのため、複雑で読みにくい印相体がおすすめです。また、篆書体や隷書体も、その堅実さと信頼性から選ばれることが多いです。これらの書体は、銀行印に求められる偽造防止と信頼性を表現するのに適しています。
角印
角印は、個人の名前が刻まれ、日常的に使用される印鑑です。そのため、読みやすさが重要となります。楷書体や行書体がおすすめです。楷書体は、その明瞭な字形から、読みやすさを表現するのに適しています。一方、行書体は、その流れるような字形から、個性を表現するのに適しています。これらの書体は、角印に求められる読みやすさと個性を表現するのに適しています。
認印
認印は、日常的な手続きで使用される印鑑で、読みやすさと個性が求められます。そのため、楷書体や行書体、または古印体がおすすめです。楷書体は、その明瞭な字形から、読みやすさを表現するのに適しています。行書体は、その流れるような字形から、個性を表現するのに適しています。古印体は、その独特の重みから、個性を表現するのに適しています。これらの書体は、認印に求められる読みやすさと個性を表現するのに適しています。
割印
割印は、契約書などの重要な文書に押される印鑑で、その印鑑が割れることで契約の成立を示します。そのため、堅実さと信頼性が求められます。篆書体や印相体がおすすめです。篆書体は、その古風で格式のある字形から、堅実さと信頼性を表現するのに適しています。一方、印相体は、その複雑さと読みにくさから、偽造を防ぐ効果があります。これらの書体は、割印に求められる堅実さと信頼性を表現するのに適しています。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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