• 作成日 : 2025年11月11日

契約書レビューの費用相場は?料金を抑える方法や依頼の流れも紹介

契約書レビューとは、契約書に潜む法的なリスクや自社に不利な条項がないかを確認する重要な作業です。このレビューにかかる費用について、具体的な相場が分からずお悩みではありませんか?安心して取引を進めるために不可欠な契約書の確認ですが、その料金は依頼先や契約書の難易度によって大きく変動します。

本記事では、契約書レビューの費用相場を依頼先ごとに解説し、弁護士に依頼する場合の料金体系や、費用を安く抑えるための具体的な方法、依頼の流れまでを網羅的にご紹介します。

契約書レビューの費用相場は?依頼先別の料金体系

一言で「契約書レビュー」と言っても、その内容は、ビジネス上の妥当性まで見る広義の「レビュー」から、弁護士などが法支援観点に特化して行う専門的な「リーガルチェック」まで様々です。当然、誰にどこまでの範囲を依頼するかによって費用は大きく異なります。

主な依頼先である「弁護士」「行政書士」「AIサービス」それぞれの費用相場と特徴を見ていきましょう。

依頼先費用相場(一般的な契約書の場合)特徴
弁護士5万円~20万円程度(※取引金額や契約書の分量、交渉の有無などで変動)法律の専門家として最も信頼性が高い。紛争解決まで見据えた高度なリーガルチェックが可能。
行政書士1万円台~8万円超まで事務所により幅広い実例あり弁護士より安価な傾向。ただし、紛争性のある案件における相手方との代理交渉や、そのための法律相談は弁護士法で禁止されている。行政書士は紛争予防のための契約書など権利義務に関する書類の作成と、その作成のための相談業務を行う。
AIレビューサービス月額1万円~10万円台のSaaSが主流迅速かつ低コストで一次チェックが可能。ただし、最終的な判断は人間が行う必要があり、個別具体的な事情の反映は難しい。
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弁護士による契約書レビューの具体的な料金体系

弁護士にリーガルチェックを依頼する場合、主に3つの料金体系があります。

1. タイムチャージ制

弁護士が作業に要した時間に応じて費用が計算される方式です。1時間あたりの単価(アワリーレート)は、弁護士の経験年数や専門分野によっても異なりますが、一つの目安として2万円~5万円程度とされています。修正の難易度が高く、調査に時間がかかる複雑な契約書の場合、費用が高額になる可能性があります。具体的な料金は必ず個別の見積もりで確認しましょう。

2. 手数料制(スポット契約)

契約書1通あたりで料金が固定されている方式です。一般的な契約書であれば5万円~20万円程度が目安となります。事前に費用が確定するため、予算管理がしやすいのがメリットです。

3. 顧問契約

月額の顧問料を支払うことで、契約書のレビューや法務相談にいつでも対応してもらえる方式です。中小企業の場合、顧問料は月額3万円~10万円程度がひとつの目安です。ただし、顧問契約に含まれるレビューの本数や作業時間の上限(例:「月2通まで」「月5時間まで」など)は事務所ごとに大きく異なるため、契約内容の事前確認が不可欠です。継続的にレビュー依頼が発生する企業にとっては、最もコストパフォーマンスが高くなる可能性があります。

契約書の種類によって費用は変わる?

契約書の専門性や複雑さ、そしてレビューに伴う責任の重さによって、弁護士に依頼する際の費用は大きく変動します。ここでは一般的な契約書と専門的な契約書に分け、それぞれの特徴と費用感をより詳しく見ていきましょう。

一般的な契約書(定型的なもの)

多くの取引で共通して使われる定型的な契約書のレビュー費用は、5万円~10万円程度がひとつの目安です。これは、ページ数が少なく内容が比較的シンプルなものを想定しており、英文契約書や、特殊な条項を含む非定型な契約書、交渉が伴う案件の場合は、10万円を超えることが一般的です。

対象となる契約書の例
  • 秘密保持契約書(NDA):取引の初期段階で交わされることが多く、内容も比較的シンプルです。
  • 一般的な業務委託契約書:日常的な業務委託で使われる汎用的な内容のものです。
  • 金銭消費貸借契約書:個人間や小規模な貸し借りで使われるシンプルな契約書です。

定型的な契約書は、多くの弁護士が取り扱い経験豊富で、参照すべき法律や判例もある程度確立されています。そのため、チェックすべき論点が定まっており、レビューにかかる時間が比較的短くて済みます。また、取引金額もそれほど大きくないケースが多いため、費用も抑えられる傾向にあります。

専門的な契約書(非定型的なもの)

専門的な契約書のレビュー費用は10万円を超えることが多く、内容によっては数十万円以上となります。 これらは、高度な専門知識や業界慣行への深い理解が求められる、個別性の高い契約書を指します。

対象となる契約書の例
  • M&A関連契約書:企業の買収や合併に関する契約で、株式譲渡契約書や事業譲渡契約書などが含まれます。デューデリジェンス(企業調査)の結果を反映させる必要があり、極めて複雑です。
  • ITシステム開発契約書:要件定義、開発、テスト、保守運用など、各工程で権利義務関係を詳細に定める必要があります。技術的な理解も求められます。
  • 不動産売買契約書:特に事業用の大規模な不動産や複雑な権利関係を持つ物件の場合、宅建業法だけでなく民法や税法など、多岐にわたる法律知識が必要です。
  • ライセンス契約書:知的財産権(特許、著作権、商標など)の利用許諾に関する契約で、権利の範囲やロイヤリティの計算方法など、専門的な条項が多く含まれます。

これらの契約書は、一件ごとに内容を精査するオーダーメイドの性質を持つため、レビューには多くの時間と高度な専門性が要求されます。加えて、取引金額が大きくレビューミスによる損害も巨額になりうるため、弁護士が負う責任の重さに比例して費用も高額になる傾向があります。

特にM&A案件では、契約書作成や法務デューデリジェンス(企業調査)といった業務範囲に応じて、費用が数百万円に達することも珍しくありません。

契約書レビューの費用を抑える5つの方法

専門家である弁護士に依頼する費用は、決して安くはありません。しかし、依頼者側の少しの工夫で弁護士の作業効率を高め、結果として費用を大きく抑えることが可能です。ここでは、5つの具体的な方法をご紹介します。

1. レビューの目的を明確にし、論点を絞り込む

弁護士費用は作業時間に比例することが多いため、依頼内容を具体化することがコスト削減の第一歩です。依頼の意図が曖-昧だと、弁護士は全ての条項を同じ比重で確認する必要があり、時間がかかり費用も増大します。

具体的なアクション例
  • 質問リストの作成:「全体的に見てください」という抽象的な依頼ではなく「第〇条の損害賠償の上限額は、当社のリスクとして許容範囲か意見が欲しい」「この取引で特に懸念しているのは、納品後の検収期間の短さです」といった具体的な質問リストを作成しましょう。
  • リスクの優先順位付け:「この条件は絶対に譲れない」「この部分は可能であれば交渉したい」など、自社内でのリスクの優先順位を伝えることで、弁護士は強弱をつけてレビューにあたることができ、効率が格段に上がります。

2. ひな形や関連資料を事前に整理して提出する

弁護士が契約書だけを渡されても、その取引の全体像や背景にあるビジネス上の力関係は分かりません。これらを理解するためのヒアリングや調査も費用に含まれてしまいます。関連資料を事前に整理して提出することで、弁護士の理解を助け、スムーズに本題のレビューに入ってもらうことができます。

準備すべき資料の例
  • 取引の経緯がわかる資料:相手方とやり取りしたメールやチャットの履歴、提案資料、議事録など。
  • 自社の標準的な契約書ひな形:今回の契約書と、自社の標準的なひな形との差分を明確にするために役立ちます。
  • 過去の類似取引の契約書:過去に同様の取引があれば、その際の契約書も参考資料として非常に有益です。

3. 複数の弁護士事務所から見積もりを取る(相見積もり)

同じ契約書のレビューであっても、見積もり金額は弁護士事務所の方針や得意分野によって異なります。特に初めて依頼する際は、複数の事務所に問い合わせて、料金とサービス内容を比較検討(相見積もり)するのが賢明です。

比較検討する際のポイント
  • 料金体系の確認:見積もりがタイムチャージ制なのか、手数料制なのかを明確に確認しましょう。
  • 業務範囲の確認:どこまでの作業が見積もりに含まれているか(例:修正案の作成、相手方との交渉同席など)を確認します。
  • 専門性と実績:自社の業界やレビュー対象の契約書分野における実績が豊富かどうかも、費用以上に重要な判断基準です。

4. 長期的な関係性を見据え顧問契約を検討する

もし、契約書レビューの依頼が一度きりでなく、今後も継続的に発生することが見込まれるのであれば、顧問契約を検討する価値は十分にあります。スポットで都度依頼する場合、弁護士はその都度自身の会社の事業内容や取引の背景を理解するところから始めなければなりません。

顧問契約のメリット
  • 単価の割引:顧問契約を締結している顧客に対して、スポット依頼の料金を割り引く制度を設けている事務所も多くあります。割引率や対象業務は契約条件によって異なるため、事前に確認しましょう。
  • 迅速な対応:会社の状況を常に把握しているため、背景説明の手間が省け、迅速かつ的確なレビューが期待できます。
  • 日常的な法務相談:契約書レビューだけでなく、日常業務で発生する些細な法的疑問も気軽に相談でき、トラブルを未然に防ぐ「予防法務」の体制を構築できます。

5. AI契約書レビューサービスを活用する

AI契約書レビューサービスの活用は、法務コストを最適化するための強力な選択肢です。月額固定料金のサービスを導入し、定型的な契約書の一次レビューをAIに任せることで、弁護士には高度な法的判断が求められる案件に集中してもらう、といった戦略的な役割分担が可能になります。このように自社の運用体制を整え、AIを適切に活用することで、コスト削減と法務業務の質の向上を両立させることが期待できます。

効果的な役割分担の例として、以下のような切り分けが考えられます。

  • AIの担当範囲
    • 大量に発生する定型的なNDA(秘密保持契約書)
    • 取引金額が少なく、リスクの低い業務委託契約書
  • 弁護士に依頼する範囲
    • M&A契約書など、事業の根幹に関わる専門的・非定型的な契約書
    • AIの一次レビューで、重大なリスクや自社に不利な条項が検知された契約書

AIサービスを活用する上で最も重要な注意点は、AIは契約書に書かれていない取引の経緯や相手方との力関係といった「ビジネス上の背景」までは読み取れないということです。AIはあくまで一般的なリスクを指摘するツールであるため、その指摘を元に、リスクを許容するかどうかの最終的なビジネス判断は、必ず担当者が責任を持って行う必要があります。

専門家に契約書レビューを依頼する一般的な流れ

契約書レビューを外部の専門家に依頼する際の流れは、依頼先によって若干異なります。ここでは、最も手続きが丁寧で代表的なモデルケースとして「弁護士」に依頼する場合の流れを解説します。行政書士に依頼する場合も、多くはこの流れに準じます。

ステップ1. 専門家の選定と問い合わせ

まずは、自社のニーズに合った専門家(弁護士など)を探すところから始まります。専門家にもそれぞれ得意な分野があるため、誰に依頼するかは非常に重要です。

  • 探し方:知人からの紹介のほか、企業のウェブサイトで実績を確認するのが一般的です。特に、自社の業界(IT、製造、不動産など)に関する実績や、レビューを依頼したい契約書の種類(M&A、ライセンス契約など)に関する解説記事などを掲載している専門家は、その分野に精通している可能性が高いと言えます。
  • 問い合わせ:候補が見つかったら、ウェブサイトの問い合わせフォームや電話で連絡を取ります。その際、「どのような契約書を、どのような目的でレビューしてほしいのか」を簡潔に伝えると、その後のやり取りがスムーズに進みます。

ステップ2. 見積もりと契約の締結

次に、具体的な費用や納期を確認し、正式に業務を依頼するための契約を結びます。

  • 見積もりの依頼:問い合わせた専門家から連絡があったら、レビュー対象の契約書案(ドラフト)を送付し、正式な見積もりを依頼します。この際「修正案の提案まで含めてほしい」「相手方との交渉に同席してほしい」など、どこまでの業務を依頼したいかを明確に伝えることが、正確な見積もりを得るためのポイントです。
  • 委任契約の締結:提示された費用や納期、業務範囲に納得できれば、専門家との間で委任契約を締結します。契約内容をよく確認し、不明点があればこの段階で解消しておきましょう。

ステップ3. 関連資料の提出とヒアリング

契約締結後、専門家がレビュー作業に入る前に、より詳細な情報を提供します。このステップが、レビューの質を大きく左右します。

  • 資料の提出:契約書案だけでなく、取引の背景や目的、交渉の経緯、自社が絶対に譲れない条件、懸念しているリスクなどをまとめたメモや関連資料(過去の契約書、相手方とのメールなど)を提出します。
  • ヒアリングへの対応:専門家から、提供した情報についてさらに詳しい質問(ヒアリング)があります。ビジネス上の判断に関わる部分も含め、できるだけオープンに情報共有することで、専門家は契約書に潜む真のリスクを的確に把握することができます。

ステップ4. レビュー結果の受領と質疑応答

専門家によるレビューが完了すると、成果物が納品されます。内容を確認し、最終的な意思決定を行います。

  • レビュー結果の確認:通常、Wordの変更履歴機能などを使って、修正すべき箇所、追加すべき条項、リスクのある条項などがコメント付きで納品されます。専門家の意図や指摘内容を一つひとつ丁寧に確認しましょう。
  • 質疑応答:レビュー結果を読んでも不明な点や、さらに検討したい点があれば、遠慮なく専門家に質問します。電話やWeb会議で打ち合わせの時間を設けてもらうことも可能です。すべての疑問を解消し、内容に納得した上で、相手方との交渉に臨むことが重要です。

契約書レビューを依頼する際の注意点

費用をかけて契約書レビューを依頼しても、その依頼の仕方によっては期待した成果が得られないこともあります。レビューの効果を最大化し、よくある失敗を避けるために、以下の3つのポイントを押さえておきましょう。

1. 費用だけで選ばない

費用が安いという理由だけで依頼先を決めると、自社の業界に詳しくない専門家だった場合、的確なレビューが受けられない可能性があります。特にITやM&Aなど専門分野の契約書は、その分野での実績が豊富な弁護士に依頼することが重要です。

2. 丸投げにしない

弁護士は法律の専門家ですが、自社のビジネスの専門家ではありません。取引の背景や目的、絶対に譲れない条件などを正確に共有しなければ、最適なレビューは受けられません。依頼したら終わりではなく、積極的に情報提供を行いましょう。

3. 納期に余裕を持つ

質の高いレビューには、一定の時間が必要です。相手方との交渉期限ギリギリで依頼すると、十分な検討ができなかったり、特急料金が発生したりする可能性があります。できるだけスケジュールに余裕を持って依頼しましょう。

契約書レビューの費用対効果を正しく理解しよう

本記事では、契約書レビューの費用相場や料金体系、費用を抑える方法について解説しました。契約書レビューにかかる費用は、未来のリスクを回避するための「投資」です。目先のコストだけでなく、専門家による適切なリーガルチェックがもたらす長期的な安心感や事業の安定性を考慮し、自社に合った依頼先とプランを検討することが成功の鍵となります。


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