- 作成日 : 2025年1月31日
古物商の使用承諾書とは?ひな形や例文、書き方を解説
古物商の「使用承諾書」とは、営業所の使用権限を証明するために作成する書類のことです。この記事では、使用承諾書が具体的にどのような文書なのか、どのような場面で作成されるのか、そして具体例とともに作成方法についても詳しく解説していきます。
これから事業を始めようとしている方などはぜひチェックしてください。
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目次
古物商の使用承諾書とは?
古物商の使用承諾書は、「古物営業を行う事業者が、営業所として使用する物件の所有者や管理者から、その使用が認められていることについて証明をするための文書」です。
古物商許可申請時に、営業所の使用権限をチェックする目的で提出を求められることがあるため、古物商を始める方にとってはとても重要な書類といえるでしょう。
ただし、使用承諾書は法定の添付書類ではありませんので、必ずしも申請で要求されるとは限りません。提出先となる都道府県や警察署によって要件が異なる場合があるため、事前に確認をしておきましょう。
古物商は誰から承諾を得る必要があるか
営業所として使おうとしている物件に対し権限を有する者から承諾を得なくてはなりません。
建物の所有権を持つ方、オーナーや管理者にあたる不動産会社などに連絡し、営業のために使用したい旨を伝える必要があります。
また、直接交渉を始める前に、一度管理規約等にて営業活動が禁止されていないかどうかも確認しておくべきです。
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古物商の使用承諾書が必要なケース
以下のケースに該当するとき、古物商の許可申請時に使用承諾書が必要となることが多いです。
- 「居住用」の賃貸物件を営業所として使用するケース
賃貸借契約書の使用目的欄に「居住用」や「住居専用」などと記載されている場合など(もっとも一般的な事例) - 申請者が物件の所有者や賃借人でもないケース
家族・友人が所有あるいは借りている建物を使用する場合など(所有者や賃借人からの使用承諾が必要。) - 契約書で営業使用が不可とされているケース
明確に「営業利用禁止」「事務所利用不可」などと記載されている場合
なお、初めから事業用として賃貸借契約を締結しているケースや、自己所有の物件を使用するケースなどであれば使用承諾書は通常必要ありません。
古物商の使用承諾書のひな形
承諾をもらう際は、こちらのひな形をご使用ください。使用承諾書として最低限必要な情報を盛り込んでいますので、効率的に手続きが進められるようになるでしょう。
古物商の使用承諾書の書き方や例文
古物商許可の申請で使う使用承諾書に決まった様式はありません。必要な情報が盛り込まれており、「当該物件の権限を持つ方から確かに承諾が得られている」という事実がわかれば問題ありません。
そこでまずは表題を「使用承諾書」などとわかりやすくシンプルな形で設定し、次のように前文にて承諾があったという事実を簡潔に記載しましょう。
“私は、私が所有する下記の場所を、下記の使用者が古物営業の業務を行う営業所として使用することを承諾します。”
さらに加えるべき詳細な情報を以下で解説していきます。
物件名や所在地
「物件の特定」が欠かせません。どの物件を対象に承諾をしてもらったのか、①所在地と②物件名を明確に記しましょう。
このとき、賃貸借契約書や登記簿上の表記と一致させることが重要です。また、マンションやアパートであれば部屋番号まで明記しておきましょう。
使用目的
続いて「どのような目的で使うことについて承諾を得たのか」という点を明確にしていきます。
“古物営業の業務を行う営業所”
などとシンプルに記載する例もありますし、下のようにもう少し具体的に記載する方法もあります。
“古物営業法第2条第2項第1号に規定する古物営業の業務を行う営業所”
必要に応じて、取り扱う古物の種類(衣類、貴金属、など)を具体的に記載しても良いでしょう。
使用者
「誰が使用するのか」という情報ももちろん必要です。個人の場合には住民票、法人の場合は登記簿の表記に合わせると良いです。
使用者の氏名・名称や住所が不明瞭だと、許可申請書類との整合性が取れず、申請が却下される可能性があります。
使用期間
「古物営業での使用を認める期間」も明記しましょう。期間を定めない場合もありますが、“期間の定めなし”と、その点も含め明確にしておくと後々のトラブルを防げます。また、承諾を行う立場としては期間を定めておいた方が安全です。
記載するときは、“2025年4月1日から2028年3月31日まで”などと具体的な日付を記しましょう。
承諾する年月日
使用承諾書を作成した日付も“2025年3月10日”などと明記します。日付が古すぎる、未来の日付になっている、などの問題があると追加の確認作業や再提出を求められる可能性もありますのでご注意ください。
承諾者の住所・氏名
「承諾をした人物の特定」も欠かせません。物件の所有者や管理権限を持つ方がわかるように、住所と氏名を記載します。法人の場合には、会社の住所と会社名および代表者名も記入しましょう。
また、氏名の記載欄には実印による押印をしてもらうか、自筆による署名をしてもらうとより良いです。
古物商の使用承諾書を作成する際の注意点
使用承諾書を作成するとき特に注意したい点がいくつかあります。
承諾期間を抽象的な表現で設定しない
1つは、承諾期間を抽象的な表現で設定しないことです。「賃貸借契約書に準ずる」などと定め具体的な期間がはっきりしないと、想定外の時期に管理会社や大家などから使用の取り消しを求められるおそれがあります。
使用目的を具体的に伝える
また、使用目的については具体的に伝えておくことも大切です。古物営業とだけ伝えるのではなく、何を取り扱い、どのような方法で販売を行うのか、など具体的な内容を伝えておかないと後になって「そのような営業を認めてはいない」といわれてしまう危険性があります。
承諾者の権限の確認
さらに、承諾者の権限の確認も重要です。「実際には権限のない人物であった」「ほかにも承諾を得ておくべき人物がいた」などの事情があると承諾が無効となってしまいます。
たとえばマンションの場合だと管理組合からの承諾が必要となる可能性もあります。
その他の必要書類も忘れずに
なお、古物商許可申請においては使用承諾書のほかに準備しないといけない書類がいくつもあります。「古物商許可申請書」や「住民票の写し」、「略歴書」など、そのほかにも状況に応じて求められるものがあるため、使用承諾書の作成だけでなくその他の必要書類も忘れずに揃えていきましょう。
古物商の使用承諾書の保管年数や保管方法
法令上、使用承諾書に対する明確な保管義務は定められていません。ただし、実務上は使用承諾書を古物商許可証の有効期間中、あるいは営業所使用期間中は保管しておくことが望ましいといえます。
また、古物営業において発生する古物台帳や取引伝票は、古物営業法にて3年間の保存義務が定められていますので、この期間に準じて3年間保存するという運用方法も考えられます。
保管方法についても決まりはないため、紛失しないよう大切に保管しておくとともに、立入検査などがあった際にすぐに提示できるよう置いておくと良いでしょう。
古物商の使用承諾書の電子化は可能?
古物商許可申請は電子申請に対応していないため、申請時に添付する使用承諾書についても書面(紙)で作成しないといけません。
ただ、古物商許可の手続きは自治体などによって具体的な運用方法が異なりますし、昨今の電子化の流れを受けて手続き方法が変わる可能性もあります。そのため常に最新情報を確認することに留意してください。
賃貸物件の場合は賃貸人に古物商の使用承諾を得よう
使用承諾書は古物商を始める際に準備する重要な書類で、営業所の使用権限を客観的に示すため不可欠な存在です。賃貸物件を利用して事業を始めるときは、賃貸人からの承諾を得ていることをこの文書により証明できるようにしておきましょう。
作成方法に決まりはありませんが、この記事で紹介した書き方や具体例を参考に作業を進めると効果的ですし効率的です。関連書類も整えておくなど、トラブルを避けるための準備を怠らないようにしましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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