- 更新日 : 2026年1月27日
免責的債務引受契約書とは?ひな形をもとに書き方や注意点を解説
免責的債務引受契約書とは、「新債務者を定めるとともに旧債務者の責任を免除するときの契約」において交わされるものです。要は債務者を変更するときの契約書で、事業譲渡を行う際などに作成業務が発生します。
当記事ではこの契約書の書き方やレビューのポイントを解説していますので、免責的債務引受を行う企業の方は参考にしてください。
<関連記事>
▶契約書の書き方をテンプレート・例を用いて解説!
<サービス資料>
▶マネーフォワード クラウド契約の詳細はこちら
▶マネーフォワード クラウドAI契約書レビューの詳細はこちら
免責的債務引受契約とは
免責的債務引受契約とは、ある債務者を免責するとともに、当該人物の負っていた債務を別の新債務者に引き受けさせる契約のことです。民法でも次のように効力を定めています。
免責的債務引受の引受人は債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担し、債務者は自己の債務を免れる。
債務の内容や債権者はそのままに、債務者を変更するときにこの契約が交わされます。元の債務者からすれば、責任を免れることができますのでリスクはありません。しかし引受を行う新債務者はそれまでなかった責任を肩代わりすることになりますので当然リスクがあります。
また、債権者にとってもリスクはあります。債務が履行されるなら免責的債務引受をしようが結果に変わりはありませんが、新しい債務者に資力がなければ債権回収ができなくなってしまうリスクが高くなってしまうのです。
そこで免責的債務引受は債務者の一存でできるものではなく、引受人と債権者による合意が欠かせません。
【無料】お役立ち資料
▶16項目 契約書レビューのチェックポイント(合計12ページ)
▶電子契約にも使える!契約書ひな形まとめ45選(合計10ページ)
▶契約書の作り方 書き方の教科書(合計21ページ)
▶電子契約サービス比較マニュアル(合計12ページ)
免責的債務引受契約を結ぶケース
免責的債務引受契約を結ぶのは「債務者を変更したいケース」です。事業者の場合だと、「事業譲渡によって債務を他社に引き継がせたいケース」が挙げられます。
事業譲渡とはM&Aの1種で、企業の事業のみの売却を意味しています。事業を譲渡する企業、譲受する企業の契約で事業譲渡は実現できるのですが、このとき勝手に債務が譲渡されるわけではありません。
債権者の同意を得て、免責的債務引受契約によって譲渡する必要があります。
個人においては、相続財産に債務が含まれている場面で免責的債務引受が行われることがあります。債務は法定相続分に従い各相続人に帰属するのが原則であり、特定の人物が債務を引き受けたことを債権者に対抗するには免責的債務引受の契約が必要です。
法人に相続が起こることはなく、破産をしても代表者が債務を肩代わりする必要はありません。しかし事業者が個人事業主だと事業用財産とともに債務も相続人に承継されてしまいますので、免責的債務引受契約が必要になることもあります。
免責的債務引受契約書のひな形
免責的債務引受契約書のひな形はこちらのページからダウンロードできます。契約書を作成するときの参考にしていただければと思います。
免責的債務引受契約書に記載すべき内容
免責的債務引受契約書を作成するときは、少なくとも次の内容については触れておくべきです。
- 債務の特定
- 債務の引受と免責
- 債務の履行方法
- 連帯保証
最低限定めるべきルールについて、以下で解説をしていきます。
債務の特定
免責的債務引受を行うには、引受の対象となる債務の特定が欠かせません。次のように、免責的債務引受についての債権者の承諾と債務の特定を契約書内でしておきましょう。
第1条 丙は、乙が甲に対して負う下記債務につき、乙のために免責的に債務を引き受け、履行することを約し、甲はこれを承諾した。
甲乙間の令和〇年〇月〇日付金銭消費貸借契約に基づく金●万円(弁済期:令和〇年〇月〇日)
なお、免責的債務引受契約書には少なくとも3者登場しますので、当事者の記載を誤らないように注意してください。当記事における条文例では、債権者を「甲」、原債務者(元の債務者)を「乙」、引受人を「丙」としています。
債務の引受と免責
この契約書で求める効力を明記します。似た契約に「併存的債務引受契約」というものもありますが、こちらでは引受人が登場するものの債務者の免責が行われません。表題に「免責的債務引受契約」と記載するだけでなく、免責される旨の明記は忘れずにしておきましょう。
第3条 甲は、第1条の乙の甲に対する債務につき、乙に対し、その全てを免責する。
この例における第2条では引受人が債務の履行義務を負う旨、第3条においては債務者の責任がなくなる旨を定めています。
債務の履行方法
通常、免責的債務引受では債務の内容を変更することなく引受人へと引き継がれますが、変更がない場合でもその旨を強調しておいた方が無難です。
以下のように弁済方法や弁済期などが既定通り引き継がれることを契約書に記しておきましょう。
連帯保証
もし原契約に保証人がいるときは、その保証をどうするのかについても検討する必要があります。免責的債務引受にあたり債権者の承諾が必要とされているのと同じように、保証を引き継ぐにも保証人の承諾が必要です。
そして承諾が得られたときは、契約書にも次のように保証に関する規定を置いておきましょう。
免責的債務引受契約書の作成ポイント
免責的債務引受契約書を作成するときは、「原債務の記載」と「連帯保証人による事前の承諾」に注意してください。
混乱するおそれがなければ上の例文のように簡単な記載でも問題ありませんが、契約関係が複雑なときは次のように詳細に債務の情報を示すようにしましょう。
利息 年〇〇%
弁済期 令和〇年〇月〇日
遅延損害金 年〇〇%
また、債務者の変更に伴うリスクは債権者同様連帯保証人にも及ぶことから、民法でも承諾を要することが規定されています。保証人や担保の設定がされているときは、契約書の作成に取り掛かる前に承諾を得ておきましょう。そのうえで「保証する」旨の記載をしないと効力は生じません。
債務者変更に伴うリスクには注意しよう
免責的債務引受契約を交わすとき、債務者目線だと利益が大きいですが、その他の関係者がリスクを負うこともあります。そこで債権者側あるいは連帯保証人側に立つときは、引受人の経済力などをよく審査した方がよいです。
一方で引受人となる場合は、契約が締結される前に債務の内容をしっかりと把握しておくことが大事です。事業譲渡などで債務を引き受けた結果、思わぬトラブルに巻き込まれるおそれもありますので、専門家も活用して契約や債務者に対する調査を進めておきましょう。
契約関連のおすすめコンテンツ
契約・電子契約関連記事
▶契約とは?民法における成立要件や契約書の種類などを簡単にわかりやすく解説
▶電子契約のメリット・デメリットは?導入が進まない理由や関連する法律もわかりやすく解説
▶電子契約システムとは?導入メリットや注意点を種類別に解説
▶電子契約とは?仕組みやメリット、法的有効性について解説
▶電子契約の導入の流れは?サービスの導入から契約締結までの進め方を解説
契約書関連記事
▶契約書とは?注意すべきポイントを簡単に解説
▶契約書の書き方をテンプレート・例を用いて解説!
▶雇用契約書とは?法的な必要性や項目、作り方をひな形付きで紹介
▶業務委託契約書とは?書き方や個人事業主の注意点を解説
▶印紙が必要な契約書の種類と金額まとめ
おすすめお役立ち資料
▶電子契約にも使える!契約書ひな形まとめ45選(合計10ページ)
▶16項目 契約書レビューのチェックポイント(合計12ページ)
▶契約書の作り方 書き方の教科書(合計21ページ)
▶マネーフォワード クラウド契約サービス資料
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
契約の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
契約書 金銭貸借の関連記事
新着記事
-
# 企業法務
IPO準備・M&A検討で見直したい「契約の整理状態」。企業の信頼を支える3つの条件
IPO準備やM&Aの検討が進むと、財務情報だけでなく、主要な契約の内容や管理状況についても説明を求められる場面があります。しかし、紙の契約書、複数の電子契約サービス、部門ご…
詳しくみる -
# 企業法務
「あの契約書どこ?」からの脱却。ファイル名ルールに依存しない、これからの契約書管理術
「ファイル名のルールを決めたのに、人によってバラバラで守られない」 「過去の契約書を探すのに、毎回時間がかかる」 このような悩みを抱えてはいないでしょうか。 契約書の管理において最…
詳しくみる -
# 企業法務
契約管理ツールの費用対効果はどう示す?経営層に伝わる4つの評価軸と試算方法
「契約管理ツールの必要性は感じているものの、経営層へ費用対効果をうまく説明できない」 「今のExcelや共有フォルダによる管理で何が問題なのかと問われ、明確に答えられない」 バック…
詳しくみる -
# 企業法務
不透明な時代の経営判断を支える「契約情報の資産化」という考え方
「契約条件をすぐ確認したい」 「更新や解約の可否を判断したい」 「トラブル発生時に契約内容を精査したい」 こうした局面で、契約書を探す作業そのものに時間を取られてはいないでしょうか…
詳しくみる -
# 電子契約
契約書は「増え続ける資産」。5年後、10年後のコストを左右するプラットフォーム選び
「初期費用も月額基本料も安いから、まずはこのツールで始めよう」 そう決めて導入した契約管理システムが、数年後に想定外のコスト増につながる可能性があるとしたらどうでしょうか。事業が成…
詳しくみる -
# 電子契約
取引先が「紙」でも慌てない。電子と紙の混在を解決する、契約管理の『ハイブリッド運用』
電子化が進まない原因は「締結方法」と「管理方法」の混同にある 電子契約を導入しても紙の契約書が残るのは、取引先の対応が遅れているからだけではありません。多くの場合、契約の「締結方法…
詳しくみる
