- 更新日 : 2024年11月12日
下請専属契約書とは?業務委託契約書との違いや作成方法をひな形を基に解説
工事を受発注する際には請負契約ではなく下請専属契約という契約を締結することがあります。この記事では下請専属契約の概要や契約書を作成するポイントについて、ひな形も交えてご紹介します。
目次
下請専属契約書とは?
下請専属契約とは発注者から直接仕事を受けた元請人が、別の下請人に業務の一部もしくは全部を発注する際に締結する契約です。
契約が締結されるシーン
下請専属契約を締結する典型的な例として、建築工事が挙げられます。
一つの建物を建てるまでには地盤工事、基礎工事、足場の設置、大工工事、外装工事、内装工事、電気工事、水道工事、住宅設備の設置など、さまざまな工程が必要です。ハウスメーカーや工務店は一部の工事を外注するケースもあり、その際に外注業者と下請専属契約を締結します。
業務委託契約書との違い
前述の通り下請専属契約は発注者から直接発注を受けた元請人が、別の下請人と締結する契約です。業務請負契約は発注者と元請人が締結します。
たとえば発注者Aが建築工事をハウスメーカーBに依頼し、基礎工事をBの下請け業者であるCが請け負うと仮定しましょう。まずはAがBに建築工事を発注し請負契約を締結します。その後、BはCに基礎工事のみを発注して下請専属契約を締結します。CはAから見れば下請けという立場になり、両者が直接契約を締結することはありません。
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次章ではこちらのテンプレートをもとに下請専属契約書に記載すべき項目をご紹介します。
下請専属契約書に記載すべき内容
下請専属契約の概要についてはご理解いただけたかと思います。後々トラブルを防ぐために、下請専属契約書を作成する際には最低限以下のような項目を盛り込みましょう。
契約者の名称
まずは誰と誰が契約を締結するのかを明らかにします。元請人を「甲」、請負人を「乙」というように置き換えましょう。
業務の概要
発注者や内容(工事の種類や現場の場所、面積など)、報酬の対象といった業務の概要を具体的に記します。後述しますが、後々のトラブルを防ぐためには依頼する業務の内容や取り決めについて細かくすり合わせをしておきましょう。
代金について
代金の金額や支払い方法、振込手数料について記載します。また、途中で代金の金額が変動する可能性が予見される場合は、その対応方法についても取り決めておきましょう。
業務上の取り決め
業務遂行にあたり仕様や納期、材料・資機材の調達、人材の採用、経費負担などの取り決めを記載します。
再委託
下請人が業務を第三者に再委託できるか否か、できる場合は再委託する際に守るべきルールを定めます。
損害の負担・賠償
契約解除やミスなど、相手方の行為によって損害が発生した場合の負担者や、損害賠償を請求できる条件などを定めておきましょう。
違約金
契約を締結したら元請人側には代金の支払い、下請人には仕事の完成という債務が発生します。相手方が債務を履行しなかった場合の違約金の支払いの有無や金額について定めます。
契約の中止・解除
途中で契約を中止もしくは解除できる場合の条件について定めます。中止ができる条件としては発注者が発注を中止した場合、下請人が何らかの理由で業務を遂行しなかった場合、あるいは期日までに引き渡しが間に合わないと見込まれる場合などを設定します。契約解除ができる条件としては相手方の契約違反行為や経営状態の悪化、破産などを条件とすることが多いです。
反社会的勢力の排除
双方が暴力団や総会屋など反社会的勢力などの関係者でないことを確約する条項です。また、相手方が反社会的勢力の関係者であることが発覚した際の対応方法についても定めます。
契約不適合責任
業務の受託者は委託者に対して契約不適合責任を負い、仮に引き渡したものが契約と異なる内容のものであった場合や瑕疵が発覚した場合、委託者は受託者に対して契約解除や減額、追完、損害賠償の支払いを請求することができます。受託者が契約不適合責任を負う旨と責任が発生する期間を記載します。
協議
契約書に記載された内容以外で新たな取り決めをする際には双方が協議する旨を記載します。
合意管轄
万が一、契約書の取り決めや協議によって解決できないような紛争が発生した際に訴えを起こす裁判所を指定します。
下請専属契約書の作成ポイント
最後に、下請専属契約書を作成する際に気をつけておくべきポイントについて説明します。
事前に依頼内容を詳細まで詰めておく
契約書を作成して締結する前には必ず依頼内容を双方ですり合わせておきましょう。たとえば建築業であれば発注者名、工事の種類、現場の場所、面積、仕様、工期、工賃の金額などです。
依頼内容が曖昧になっていると、完成品が仕様通りになっていない、代金の金額が当初取り決めたものと異なっているなどのトラブルが発生するおそれがあります。
双方が極端に不利な立場にならないよう考慮する
契約全般にいえることですが、どちらか一方が極端に不利になるような事態は避けましょう。特にどうしても下請側が不利になりがちです。
下請法の対象となる取引では、不当な代金の減額や受領拒否、返品、経済上の利益の提供要請、物品の強制購入やサービスの利用強制などの行為が禁止されています。下請専属契約書を作成する際には、下請法の内容についてもチェックしておきましょう。
収入印紙を貼付する
下請専属契約書は印紙税法上の「請負に関する契約書」に該当し、印紙税の納付義務があります。記載されている代金に応じた印紙額分の収入印紙を購入し、契約書に貼付しなければなりません。印紙税額は国税庁のホームページに記載されています。
なお、電子契約の場合は印紙税の納付義務はありません。
双方納得のうえで下請専属契約書にもとづき契約を締結しましょう
元請会社が受注した業務の一部もしくは全部をさらにその下請に発注する場合は下請専属契約書によって契約を締結します。
後々のトラブルを防ぐためにも、依頼内容が明確になっているか、双方にとって極端に不利な条件になっていないか、下請法に抵触していないかを確認したうえで締結しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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