- 更新日 : 2024年8月30日
標準倉庫寄託約款とは?ひな形をもとに役割や書き方を解説
標準倉庫寄託約款とは、倉庫業法で規定されている標準的な倉庫寄託約款のことです。倉庫業を営む場合は、倉庫寄託約款を定めて国土交通大臣に届け出なくてはいけません。記載すべき内容や種類、書き方についてまとめました。また、無料でダウンロードできるテンプレートも紹介します。ぜひ参考にしてください。
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目次
標準倉庫寄託約款とは?
標準倉庫寄託約款とは、倉庫業法に基づき国土交通大臣が定める標準的な倉庫寄託約款のことです。倉庫業を営む場合(営業倉庫)は、倉庫寄託約款を作成し、営業開始前までに国土交通大臣に届け出なくてはいけません。なお、倉庫業を営む以外のケースでは倉庫寄託約款の作成は不要です。
標準と同じ内容の約款を作成すると、届出をおこなったものとみなされます。そのため、標準倉庫寄託約款と同じ内容にする業者が多いです。
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標準倉庫寄託約款の主な種類
標準倉庫寄託約款には、5つの種類があります。種類と特徴については以下をご覧ください。
| 標準倉庫寄託約款の種類 | 倉庫証券 | 倉庫の種類 |
|---|---|---|
| 標準倉庫寄託約款(甲) | 発行する | 冷蔵倉庫・トランクルーム以外 |
| 標準倉庫寄託約款(乙) | 発行しない | 冷蔵倉庫・トランクルーム以外 |
| 標準冷蔵倉庫寄託約款(甲) | 発行する | 冷蔵倉庫 |
| 標準冷蔵倉庫寄託約款(乙) | 発行しない | 冷蔵倉庫 |
| トランクルーム標準約款 | ー | トランクルーム |
なお、倉庫証券とは受寄物を倉庫に保管していることを証明し、証券に記載してある受寄物を引き渡すことを約した証書のことで、倉荷証券(くらにしょうけん)とも呼ぶことがあります。倉庫証券を発券できるのは、国土交通大臣による許可を受けた倉庫業者のみです。
ただし、商品先物取引の受け渡しや証拠金として利用できる倉庫証券は、あらかじめ証券取引所が指定した倉庫業者のみ発券できます。指定されていない倉庫業者は、倉庫証券の発券はできても、商品先物取引の受け渡しや証拠金としては活用できません。
標準倉庫寄託約款のひな型・テンプレート(ワード)
標準倉庫寄託約款の内容は決まっているため、テンプレートを使うと記載漏れがなくなり、正確かつ有効な約款を作成できます。
倉荷証券を発行する場合(冷蔵倉庫ではない)は、以下の標準倉庫寄託約款(甲)のテンプレートをお使いください。無料でダウンロードしていただけます。
また、倉荷証券を発行しない場合(冷蔵倉庫ではない)は、以下の標準倉庫寄託約款(乙)をお使いください。同じく無料でダウンロードしていただけます。
標準倉庫寄託約款に記載すべき事項
標準倉庫寄託約款には、以下の内容を記載します。
- 業務内容
- 寄託引き受け
- 入庫・保管・出庫
- 受寄物の損害保険
- 責任・免責
- 損害賠償
- 料金
- 倉荷証券
- その他
各内容に含まれる事柄や記載時の注意点を紹介します。
業務内容
営業日時や休業日について記載します。また、寄託引き受け側が実施する業務内容も明記します。
寄託引き受け
寄託引き受けの内容・予約に関しては、約款内に記載されていることを明記します。また、引き受けの制限事項(約款によらない申込、危険物や変質しやすい貨物、荷造りが十分ではない貨物など)についても記載します。
入庫・保管・出庫
入庫・出庫を寄託引き受け側が実施することを明記します。また、保管方法(保管場所の変更、ほかの貨物と同じ場所での保管など)や再寄託の方法も記載します。
なお、再寄託とは、寄託者の承諾を得ないでほかの倉庫業者に貨物を預けることです。標準倉庫寄託約款では、やむを得ない事由があるときは再寄託が可能と定めます。
受寄物の損害保険
倉庫内外で火災が生じたときに備え、寄託者が反対しない限り、火災保険をつけることを明記します。なお、火災保険金は受寄物の寄託価額と同額に設定します。
責任・免責
寄託者から受寄物を引き受けたときから引き渡すときまで、寄託引き受け側に責任が生じることを明記します。また、引き渡した後のトラブルや、地震・暴動などによるトラブルは免責されることも記載します。
損害賠償
寄託引き受け側の故意または過失によって損害が生じたときは、賠償することを記載します。また、賠償を受ける場合は、寄託引き受け側の過失を証明する必要があることも明記します。
料金
料金の支払い日や手数料を負担する側、延滞金について記載します。また、保管期間中の料金変更は、変更された日の属する期から適用されることも明記します。
倉荷証券
寄託者の請求に基づき倉荷証券を発行することを記載します。ただし、乙では倉荷証券に関する項目は不要です。
その他
特約条項があるときは記載します。たとえば、収容貨物の公売(法定費用に充当するときなど)についても明記します。
テンプレートで抜け漏れのない約款を作成しよう
トラブルを回避するためにも、約款でさまざまなケースを網羅しておくことが大切です。
標準倉庫寄託約款のテンプレートを活用すると、抜け漏れのない約款を簡単に作成できます。ただし、特記事項があるときは、自社の状況に合わせて特約条項として定めておきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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