- 作成日 : 2023年3月31日
根保証契約とは?民法改正の影響などもわかりやすく解説
物件や金銭を借り入れる場合に、そのリスクヘッジとして用いられるのが保証契約(民法446条1項参照)です。保証にはいくつかの種類がありますが、そのうちの1つに根保証があります。
この記事では、根保証契約の基本事項や民法改正による変更点についてわかりやすく解説します。
根保証契約とは
根保証(ねほしょう)契約とは、継続的な取引関係から生じる不特定の債権を担保するための保証契約のことをいいます。通常の保証契約が契約時に特定の債務のみを対象とするのに対し、根保証契約は継続的な取引関係から生じる不特定の債務を対象とする点に特徴があります。
そもそも保証契約とは
保証契約とは、主たる債務の履行担保のために債権者と保証人との間で交わされる契約のことです。債権者と保証契約を締結した保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負います(民法446条1項)。
保証契約についてのより詳しい説明は、以下のページを参照してください。
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根保証について
根保証とは、継続的な取引関係から生じる不特定の債務の履行を担保するための保証のことです。通常の保証と異なり、保証対象となる債務が継続的な取引関係から生じる不特定の債務であることが特徴です。
例えば、銀行から事業資金を借り入れる際に、将来の借り入れ分の返済を保証する場合が挙げられます。銀行からの事業融資を受ける場合、債務者は借り入れのたびに保証人を探さずに済み、債権者(=銀行)は将来の融資分についても保証が受けられるというメリットがあります。根保証の例としては、信用保証や身元保証、賃借人の債務保証などが挙げられます。
逆に、保証人にとっては大きな負担が生じやすいことから、近時の民法改正によって、個人根保証について特別の規制が設けられました(民法465条の2)。そのため、改正点も把握しておく必要があります。
個人根保証契約に対する規制
保証人が法人でない根保証契約のことを個人根保証契約といいます(民法465条の2第1項)。
根保証契約は将来的な不特定債務の履行を目的としており、保証人の負担も大きなものとなります。そのため、個人に過大な負担が及ばないように、個人根保証契約には極度額に関する規制や元本確定事由の設定など一定の規制が設けられています。極度額は量的制限、元本確定事由は時間的制限という、2つの側面からの規制となっています。
極度額
個人根保証契約は、極度額を定めなければその効力を生じません(民法465条の2第2項)。極度額とは、保証人が負う保証債務の上限額のことで、保証人が想定外に多額の債務履行を求められる事態を防ぐ機能があります。
従来、主たる債務が借金の返済である場合(金銭消費貸借契約)にのみ、極度額の定めが必要とされていました。しかし、物件の貸し借りの場合(賃貸借契約)の保証でも、未払い賃料や原状回復費用が多額になり、保証人の負担も大きくなる可能性があります。そのため2020年民法改正で、債務の内容を限定することなく、当事者の合意のもと、書面(または電磁的記録)で極度額を定めることが必須とされました。
元本確定事由
量的制限である極度額に対し、時間的制限として元本確定事由があります。根保証契約締結時に予想できなかった事情が出てきた場合や、主債務者の信用が破綻していた場合、新たに発生した債務まで個人に保証させるのは過大な負担となります。
そのため、保証人がどのような場合に元本が確定し、保証債務から解放されるかを明らかにする必要があります。ここでいう保証債務から解放される事由を「元本確定事由」といいます。
従来、判例法理や一部の法改正で元本確定事由を定め、一部の保証契約について元本確定後の債務保証の責任は負わないような救済が図られてきました。2020年民法改正では、これがさらに個人根保証契約一般に広げられました。具体的には、以下の場合です(民法465条の4第1項)。
- 債権者が、保証人の財産について、金銭の支払を目的とする債権についての強制執行又は担保権の実行を債権者が申し立てたとき
- 保証人が破産手続開始の決定を受けたとき
- 主たる債務者又は保証人が死亡したとき
規制の対象となる根保証契約
根保証契約について一定の規制が設けられているのは、保証の限度や期間が定められず、特に個人保証人にとって予期せぬ過酷な負担を強いられるおそれがあるためでした。そのため、極度額や元本確定事由に関する規制の対象は、根保証契約のうち「保証人が法人でないもの」、つまり個人が保証人となる根保証契約(=個人根保証契約)ということになります。
従来、このような規制は個人根保証契約の一部を対象としていましたが、2020年民法改正によって同契約全体が対象となりました。
もっとも、個人保証人が金銭の貸渡し等の債務を負担する「個人貸金等根保証契約」については、特別の規制が設けられていることに注意が必要です。
例えば、元本確定期日を定める場合は5年以内とされており(民法465条の3第1項)、元本確定事由についても特別の事由(民法465条の4第2項)が定められています。
根保証契約では個人保証人の規制に注意
根保証とは、継続的な債権関係から生じる不特定の債務の履行を担保するための保証のことです。通常の保証債務と異なり、保証対象となる債務が不特定であり、継続的な取引関係を対象としていることに特徴があります。
このような特徴ゆえに個人保証人には特に大きな負担となる可能性があるため、個人根保証契約について極度額や元本確定事由に関する規制があることに注意が必要です。
よくある質問
根保証契約とは何ですか?
根保証契約とは、継続的な取引関係から生じる不特定の債権を担保するための保証契約のことで、将来生じる不特定の債務まで対象とする点に特徴があります。詳しくはこちらをご覧ください。
規制の対象になる根保証契約はどのようなものですか?
規制の対象となる根保証契約は「保証人が法人でないもの」、つまり個人が保証人となる根保証契約(=個人根保証契約)です。ただし、個人貸金等根保証契約については特別の規制が設けられていることに注意が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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