- 更新日 : 2024年8月29日
システム保守契約書とは?ひな形をもとに書き方や注意点を解説
システム保守契約とは、購入した機械の修理対応やサーバーの維持やメンテナンス、修理といった、保守義務に関する契約のことです。この記事では、システム保守契約の対象や記載すべき事項について解説します。システム保守契約書の雛形も掲載しているので、修理コストを抑えたい方や、新しいシステムを導入したい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
システム保守契約書とは?
システム保守契約書とは、機械やサーバー、導入したシステムなどに不具合が生じた場合に、速やかに修理・メンテナンスの義務を負うといったシステム保守契約について記載した契約書のことです。
「ソフトウェア保守契約書」「業務委託契約書」「保守ライセンス契約書」といった名称で締結されることもあります。
システム保守契約が交わされていれば、ハードウェアに障害が発生した場合や、ソフトウェアにバグが発生した場合に、すぐに修理・メンテナンスが行われます。
また、障害やバグを発生させないためのアナウンスや保守点検、定期メンテナンスや最新バージョンへの更新といったサービスも保守業務に含まれます。
システム保守契約を結ぶ当事者は、機器やシステムを納入したベンダーと購入・利用するユーザーです。ベンダー自身が修理担当者を持っている場合もあれば、ベンダーがメーカーに保守業務を再委託する場合もあります。
故障や不具合は顧客の満足度に影響するため、ベンダーには速やかな対応が求められます。一方、ユーザーは自社内に修理・メンテナンスができる人を配置する必要がないため、ランニングコストの削減につながります。
この記事をお読みの方におすすめのガイド5選
最後に、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
電子契約にも使える!契約書ひな形まとめ30選
業務委託契約書など各種契約書や、誓約書、念書・覚書、承諾書・通知書…など使用頻度の高い30個のテンプレートをまとめた、無料で使えるひな形パックです。
導入で失敗したくない人必見!電子契約はじめ方ガイド
電子契約のキホンからサービス導入の流れまで、図解やシミュレーションを使いながらわかりやすく解説しています。
社内向けに導入効果を説明する方法や、取引先向けの案内文など、実務で参考になる情報もギュッと詰まった1冊です。
紙も!電子も!契約書の一元管理マニュアル
本ガイドでは、契約書を一元管理する方法を、①紙の契約書のみ、②電子契約のみ、③紙・電子の両方の3つのパターンに分けて解説しています。
これから契約書管理の体制を構築する方だけでなく、既存の管理体制の整備を考えている方にもおすすめの資料です。
自社の利益を守るための16項目!契約書レビューのチェックポイント
法務担当者や経営者が契約書レビューでチェックするべきポイントをまとめた資料を無料で提供しています。
弁護士監修で安心してご利用いただけます。
法務担当者向け!Chat GPTの活用アイデア・プロンプトまとめ
法務担当者がchat GPTで使えるプロンプトのアイデアをまとめた資料を無料で提供しています。
chat GPT以外の生成AIでも活用できるので、普段利用する生成AIに入力してご活用ください。
システム保守契約を締結するケース
システム保守契約は機械やソフトウェアなどを購入した際にベンダーと契約します。
機械やソフトウェアは故障したり不具合が発生したりしないよう、点検やメンテナンスをする必要があります。また、万が一故障や不具合が発生してしまった場合は修理も必要です。ベンダーにこうした保守業務を委託する場合、システム保守契約を締結する必要があります。
通常、システム保守契約は機械やソフトウェアを購入する際に締結する売買契約やライセンス契約などとは別に締結します。また、保守業務を自前で行う場合、故障や不具合が発生した場合のみ都度ベンダーに対応してもらう場合であればシステム保守契約は締結不要です。
システム保守契約書の雛形
保守業務の範囲や保守点検の内容、無料サービスの内容などを記載した、一般的なシステム保守契約書の雛形をご紹介します。このテンプレートを参考にしながら、自社のサービスに合わせてアレンジしてください。
システム保守契約の対象になるもの
システム保守契約が交わされる対象には、オフィスで使用するパソコンやサーバー、プリンター複合機などのハードウェア、業務プログラム、運用システム、Webサイトなどのソフトウェアがあります。また、エレベーターやエスカレーター、空調設備、製造機器といった大きな機械の保守点検も保守契約の対象です。
保守業務の内容には、以下のようなものがあります。
■パソコン
- メーカーやベンダーへの問い合わせ代行
- パソコン本体や周辺機器の増設、交換、各種設定
- セキュリティ対策やウイルス・スパイウェアの除去
- データ移行やバックアップ、新しいソフトウェアのインストール
■プリンター複合機
- 定期メンテナンス作業
- トナーの無償交換
- サービスマンの派遣
- 故障時の修理
■ソフトウェア
- データバックアップ
- 定期メンテナンス
- バージョンアップ
- データ修復
- リモートサポート(遠隔操作)
- 情報提供
■エレベーター
- 点検や整備
- 注油や給油
- 性能検査と定期点検(立ち合い)
- 消耗品提供
- 部品交換、修理、故障対応
なお、ソフトウェアの保守業務をベンダーに委託する場合は「ソフトウェア保守契約書」「保守ライセンス契約書」を締結することもあります。
また、保守業務を外部に委託する行為は業務委託にあたるため、「業務委託契約書」を締結するケースもあります。
いずれも名称が異なるのみで、システム保守契約と内容は変わりません。
システム保守契約書に記載すべき事項
ここでは、一般的なシステム保守契約書に記載すべき事項を、いくつか紹介します。
保守対象の範囲と内容
メンテナンスや修理対応の範囲を明確に記載します。保守点検が行われる範囲や業務内容が曖昧だと認識の齟齬が生じ、トラブルになるリスクが生じます。
保守業務の対応時間・対応方法
保守業務の対応時間を明確にしたうえで、対応が電話なのかリモートなのか、また派遣の必要がある場合の費用なども記載しておきましょう。
料金と支払い
金銭トラブルを避けるため、契約期間と料金、別途料金の徴収が必要な内容、支払方法などを明確に記載します。
秘密保持条項
システムの保守業務では、本来は社外の人間が見ることのない情報を目にすることがあります。このような情報を守るために、保守契約書や業務委託契約書には、秘密保持の条項を記載しておきましょう。
損害賠償に関する条項
保守業務がうまくいかずに損害が発生した場合、どこまで賠償責任を負うかを明確にしておく必要があります。
契約の解除・中途解約
料金が支払われない、業務遂行不可になるなど、契約が解除される条件について記載します。
システム保守契約を締結する際の注意点
システム保守契約を締結する際にはいくつか注意点があります。特に以下の点は意識して契約書を作成しましょう。
対応時間・方法を明確にする
機械やシステムのトラブルはいつ発生するかわかりません。故障や不具合が発生した場合、ユーザーとしては一刻も早く解消してほしいと考えるはずです。一方、ベンダーとしては営業時間外や休日の問い合わせや呼び出しを受けてもすぐに対応できない場合があります。対応時間が決まっていないと「なぜすぐに修理してくれないのか」「営業時間外ですから」と揉めることにもなりかねません。
「平日の●時~●時とする」というようにベンダーが修理やメンテナンスに対応する時間と、営業時間外の対応について明記しておきましょう。
また、トラブルが発生した際にエンジニアが駆けつけて作業まで含めて対応するのか、電話やリモート、メールなどでサポートを行ってユーザー側で作業を行うのかというように、対応の方法についても明らかにしておきましょう。
保守業務の範囲・料金について明確にしておく
保守業務をどの程度、あるいはどこまで行うのかも明確にしておく必要があります。日常的な点検やメンテナンスも含むのか、故障や不具合が発生したときの対応のみを行うのかによって、大きく異なります。保守業務とは何を指すのかを具体的にしておきましょう。
また、料金についても揉める要因となります。システム保守契約の場合、月額で保守料金を定めるケースが多いですが、それ以外にも費用が発生する場合に関しては明記しましょう。時間外対応やエンジニアの派遣、故障や不具合の対応といったケースで、それぞれ費用を明確にしておくと安心です。
保守契約書はよく吟味して
保守契約は、ハードウェアやソフトウェアの販売・リースなどをスムーズに行い、ベンダーとユーザーの双方が利益を確保するために交わす契約です。故障や不具合は、いつ発生するかわかりません。
保守契約書には、業務内容や保守の範囲、対応時間、料金などを明確に記載することです。顧客との間で認識の齟齬があった場合は、保守契約書に記載された内容が重要な意味を持ちます。そのため雛形をそのまま使わず、自社が対応できる内容を吟味し、保守契約書を作成しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
契約の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
賃貸借契約書は郵送可能?確認すべき重要事項と送り方を解説
賃貸借契約書は、一般的に物件を大家さんから借りる際に締結する契約書ですが、郵送しても問題ないのか気になっている人もいることでしょう。本記事では、賃貸借契約書を郵送できるのか、郵送する際の確認事項などについて解説します。 あわせて、賃貸借契約…
詳しくみる原状回復費用の請求書とは?ひな形をもとに書き方や注意点を解説
原状回復費用の請求書とは、賃貸借契約の終了時に、賃貸人が賃借物件を原状回復させるために工事などして要した費用を賃借人に請求するための書類です。企業がオフィスを借りる場合や工事による損傷などにより、請求されます。 本記事では、原状回復費用の請…
詳しくみるChatGPTで契約書レビューは可能?注意すべきリスクやプロンプト例20選を紹介
ChatGPTを活用した契約書レビューに関心が高まっています。AIによる契約書チェックは、使い方次第で業務を大幅に効率化できる一方、情報漏洩や専門性の欠如といったリスクも伴います。 本記事では、ChatGPTで契約書レビューがどこまで可能な…
詳しくみるMOU(基本合意書)とは? 意味や最終契約書との違い、法的効力などを解説
MOU(基本合意書)は、M&Aなどにおいて当事者企業間で交わされる覚書のことです。交渉の段階で買い手側と売り手側が合意した内容について記載します。M&Aなどの企業間取引では動く金額も大きく、細かい条件も多くなるため、最終的な…
詳しくみる契約書作成はどの部署が行う?契約法務の業務やリーガルチェックの流れを解説
企業における契約書作成は、法務部門が中心となって行うことが一般的です。法務部門は契約書の法的妥当性を確認し、企業の利益を守るために必要な契約法務手続きを担います。 本記事では、契約法務の内容やリーガルチェックの流れを詳しく解説するとともに、…
詳しくみる産業廃棄物委託契約書の保管期間は?保管義務や正しい管理方法について解説
排出事業者にとって、産業廃棄物の処理を委託する際の契約書は、適正処理を担保し、企業のコンプライアンスを守る上で極めて重要な書類です。しかし、その保管期間や正しい管理方法について、正確に把握できているでしょうか? 「契約書はいつまで保管すれば…
詳しくみる



