• 更新日 : 2026年3月31日

保守契約とは?業務委託との違いや契約書の必要項目、料金相場を解説

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Point保守契約の定義と必須項目

保守契約は製品やシステムの稼働維持を目的とした準委任契約であり、開発費の年10-15%が相場です。

  • 障害時の優先対応と予防保全がメリット
  • SLA(品質基準)と対応時間の明確化が鍵
  • 機能追加は別途見積りとする除外規定も

契約がない状態でのスポット対応は即応義務がなく、高額請求のリスクがあります。契約書には「平日9-18時対応」「バグ修正は含むが機能追加は別料金」といった具体的な業務範囲の線引きがトラブル防止に不可欠です。

「システム開発をお願いしたが、完成後の保守契約は必要なの?」
「保守契約を結ばないと、どんなリスクがある?」

システムやWebサイト、業務用機器などの導入時に話題に上がるのが「保守契約」です。

万が一のトラブル時に迅速な対応を受けるための保険のような契約ですが、その中身(業務範囲や料金)をあいまいにしたまま契約し、後々「これは対応外だと言われた」とトラブルになるケースが後を絶ちません。

この記事では、保守契約の基本的な意味や業務委託との違い、契約書に盛り込むべき必要項目、そして適正な料金相場についてわかりやすく解説します。すぐに使える契約書の雛形(テンプレート)も紹介しますので、ぜひ活用してください。

保守契約(メンテナンス契約)とは?

保守契約とは、システムや機器が正常に稼働し続けるように、点検・修理・障害対応などのメンテナンス業務を継続的に行う契約のことです。

突発的なトラブル対応だけでなく、予防的な点検やアップデートも含まれます。

保守契約の目的と重要性

システムや機器は「納品されたら終わり」ではありません。稼働後には必ずバグや故障、経年劣化などのリスクが付きまといます。

保守契約を結んでおくことで、以下のメリットが得られます。

  • 障害発生時の迅速な復旧:優先的に対応してもらえる。
  • 予防保全:定期点検やアップデートにより、トラブルを未然に防ぐ。
  • コストの平準化:都度修理を依頼するよりも、月額固定費として予算化しやすい。

業務委託契約との違い

「保守契約」という独立した契約類型は民法にはなく、実務上は「業務委託契約」の一種として扱われます。 業務委託契約はさらに「請負(完成責任あり)」と「準委任(行為の遂行責任あり)」に分かれますが、保守契約の多くは「準委任契約」の性質を持ちます。

  • 一般的な業務委託(請負):成果物(システム等)を完成させて納品する。
  • 保守契約(準委任):システムの維持管理や障害対応といった「業務」を継続的に行う。
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保守契約の種類と対象範囲

保守契約には、大きく「ハードウェア保守」と「ソフトウェア保守」があります。

それぞれ「どこまで対応するか(オンサイトかリモートか)」によって契約内容が異なります。

1. ハードウェア保守

サーバー、PC、プリンター、エレベーターなどの物理的な機器が対象です。

  • オンサイト保守:技術者が現場に駆けつけて修理する。
  • センドバック保守:故障した機器をメーカーに送り、修理・交換してもらう。
  • 定期点検:年1回などのスケジュールで点検を行う。

2. ソフトウェア・システム保守

業務システム、Webサイト、アプリなどが対象です。

  • 障害対応:バグやエラーが発生した際の調査・復旧。
  • QA対応(問い合わせ):操作方法などの質問への回答。
  • アップデート対応:OSやミドルウェアのバージョンアップ対応。
  • データバックアップ:定期的なデータの保存と復元テスト。

保守契約を結ばないリスクとは?

保守契約を結ばない場合、トラブル発生時に優先的に対応を受けられなかったり、個別見積もりによるスポット対応となったりする可能性があります。また、復旧までの時間が長引くおそれもあります。

「スポット対応」の落とし穴

「壊れた時だけ頼めばいい」と考えがちですが、契約がない状態ではベンダー側の対応内容や対応時期があらかじめ定まっていないことがあります。「今月は忙しいのですぐには対応できない」と案内されたり、調査費用や対応費用が個別見積もりになったりすることがあります。ビジネスの根幹に関わるシステムであれば、保守契約の要否をあらかじめ検討しておくことが重要です。

保守契約書の必要項目と雛形(テンプレート)

契約書には「業務範囲」「SLA(サービスレベル)」「対応時間」「料金」「秘密保持」などを明確に記載します。特に「何が保守に含まれないか」を定義することが重要です。

契約書に盛り込むべき6つの条項

  1. 保守業務の範囲:〇〇システムのバグ修正は含むが、機能追加は別料金とする、など明確化します。
  2. 対応時間(受付時間):平日9:00〜18:00か、24時間365日か。
  3. SLA(サービスレベル合意):「障害発生から〇時間以内に一次回答する」「月間稼働率99.9%を目標値または基準値として定める」などの品質基準。
  4. 保守料金(委託料):月額固定か、チケット制(回数制限)か。
  5. 再委託の可否:ベンダーが下請け業者を使っても良いか。
  6. 秘密保持・個人情報保護:保守作業で顧客情報や業務データにアクセスする可能性がある場合に重要。

システム保守契約書の雛形(テンプレート)

一般的なソフトウェア保守契約書の条文例です。

第1条(保守業務の内容)甲(委託者)は乙(受託者)に対し、対象システムの以下の業務を委託する。

  1. 対象システムの障害発生時の原因調査および復旧作業
  2. 対象システムに関する操作方法等の問い合わせ対応(月〇時間以内)
  3. データの定期バックアップ

第2条(保守対応時間)

乙の保守対応時間は、土日祝日および乙の定める休日を除く、平日10時から18時までとする。

第3条(適用除外)

以下の事項は本契約の保守業務には含まれず、別途協議の上、有償にて対応する。

  1. 対象システムの機能追加、仕様変更
  2. 甲の誤操作または第三者の不正アクセスに起因する障害対応

保守契約の費用相場

システム保守の年間費用は、開発費用の一定割合を目安に見積もられることがあり、15%前後が一つの目安として紹介されることがあります。例えば、500万円で開発したシステムなら、年間50〜75万円(月額4〜6万円)程度が目安です。

料金変動の要因

以下の要素によって金額は上下します。

  • 対応時間:24時間365日対応なら高くなる。
  • 対応速度:駆けつけ対応(オンサイト)なら高くなる。
  • サーバー費用:保守費にサーバー代(AWS等)を含む場合はその分加算される。

保守契約などの業務委託契約における確認実態

保守契約は実務上、業務委託契約の一種として扱われます。契約書を取り交わす際、担当者はどの項目を重点的に確認しているのでしょうか。株式会社マネーフォワードが独自の調査を実施し、実態を明らかにしました。

業務内容が優先され、再委託などの確認は後回しに

業務委託契約の締結に関与する方を対象に、契約内容で特に注意して確認している項目を尋ねました。その結果、最も注意して確認しているのは「業務の内容・範囲」で、32.6%でした。次いで「契約の解除・解約に関する条件」が28.8%、「委託料(報酬)の金額・支払時期」が28.3%と続いています。

一方で、保守契約においても重要な「再委託の可否」に注意している割合は15.5%にとどまりました。このデータから、多くの担当者が実務に直結する条件を優先している傾向が読み取れます。

保守契約では、障害対応など「業務の範囲」を明確にすることが重要ですが、ベンダーが下請け業者を利用できるかといった再委託の条件もトラブル防止の鍵となります。契約締結時には、目先の条件だけでなく、再委託や秘密保持などの項目も念入りにチェックすることが大切です。

出典:マネーフォワード クラウド、契約内容確認時の重点項目【業務委託契約書に関する調査データ】(回答者:881名(有効回答:業務委託契約に関与する605名)、集計期間:2026年1月実施)

保守契約は「安心」と「責任」の明確化

保守契約は、システムや機器を長く安全に使い続けるための命綱です。

  • 定義:継続的なメンテナンスを行う準委任契約。
  • メリット:障害時の対応条件をあらかじめ定めやすい、コストの平準化。
  • 注意点:業務範囲(やらないこと)とSLA(対応速度)を契約書で明確にする。

「とりあえず契約しておけば安心」ではなく、自社のビジネスに本当に必要なサポート内容は何かを見極め、適切な内容で契約を結ぶことが重要です。

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