- 更新日 : 2025年5月13日
印影とは?印鑑・印章の違いとの違いやデータを無料作成する方法を解説
「印影」や「印鑑」など、ハンコに関しては似た用語がいくつかあるため混乱することがあります。そこで言葉を整理して正しく使い分けられるようにするとともに、「印影」の意味や書面に押印することの重要さ、その正しい方法などについても紹介します。
目次
印影とは
印影とは、ハンコを押した後に書面に残った朱肉やインクの跡のことです。印影の読み方は「いんえい」で、ハンコ本体やハンコに彫られた刻印のことではありません。
そもそも、「ハンコ」という言葉はどこから来ているのでしょうか。「判を押す行為」を「判行」と呼び、これが「判子(ハンコ)」に変化したとする説や、木版画に使われる「版行・板行(はんこう)」という版木の音が変化してハンコになったとする説、版木を使った書物等の印刷・発行を意味する「版行・板行(はんこう)」が変化したとする説などがあります。
印影・印鑑・印章の違い
「印鑑」と「印章」も厳密には意味が異なります。
印鑑は、ハンコそのものではなく、役所や銀行などで登録した実印・銀行印の印影のことです。印影のうち、所定の手続きを経たものが印鑑といえるでしょう。
一方、印章はハンコそのものを指します。印影と同じ意味で使われることもありますが、本来は印を押すために彫り物を施したもの自体を指します。
印影・押印の違い
印影がハンコを押した際に付着する朱肉やインク跡であるのに対し、押印は書面にハンコを押す行為そのものをいいます。
なお、押印のほかに捺印(なついん)という言葉がありますが、これらはどちらもハンコを押す行為という点では共通です。
一方で、捺印は手書きで自筆した名前の横にハンコを押すことを指すのに対し、押印はゴム印や名前が印刷されたものなどの横にハンコを押すことを意味するという違いがあります。
これらは記名押印、署名捺印という言い方で使い分けられることがあり、手書きのサインとともにハンコを押すことが捺印、それ以外のものにハンコを押すのが押印と考えるとわかりやすいでしょう。
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印影を残すメリット
ビジネスのシーンでは契約書や請求書などに押印を行う場面が多くあります。文書に印影を残すメリットは次の通りです。
文書の信頼性が高くなる
押印により印影が残された文書は、印影がない場合と比べて文書自体の信頼性が高くなります。印影がない契約書や請求書は誰でも簡単に印刷できると判断されることもあり、文書の信頼性に欠けます。
最近は脱ハンコの流れもあり、押印をする機会は以前と比べ少なくなりつつありますが、押印するべきか迷うような場面では、印影を残しておけば間違いないでしょう。
責任の所在が明らかになる
社内の文書などに押印をすれば、責任の所在が明らかになります。回覧文書や決裁文書に印影を残すことで、誰がその文書を作成したのか、どのような決裁ルートで誰が承認したのかがわかります。
後から何かトラブルが生じた際に、その文書に誰が関与したのかがすぐにわかれば、トラブルの早期解決にもつながり、取引先や関係先に対しての迅速な対応が可能です。
文書作成者の意思表示になる
契約書などの文書に印影を残すことは、文書作成者の意思表示になります。後から契約内容についてトラブルになっても、文書に印影が残されていれば、当事者が内容に合意をしたことを示す重要な証拠になります。
押印がないからという理由のみで契約が無効になることはありませんが、当事者の意思表示やトラブル防止の面からも重要な契約書の場合は印影を残しておくほうが望ましいでしょう。
取引先に対する信頼につながる
ビジネスの場において押印は、相手先との信頼につながります。特に新規で取引をする相手先の場合は、押印による印影がないことで信頼できない相手だと思われてしまうかもしれません。
また、業界によっては押印をすることが一般的に慣習化されていることもあります。このような場面では相手方との信頼関係を築くためにも、押印をしておくほうが無難でしょう。
文書の改ざんなどの不正防止になる
押印には、文書の改ざんなどの不正を防止できるというメリットもあります。
適切な方法で行われた押印は一定の法的効力を有するとされています。民事訴訟法第228条では「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印がある時は、真正に成立したものと推定する。」と規定されています。
また、押印された文書を偽造すると罪に問われることもあります。
これらの点を考慮すると、押印がされていない文書と比べると印影が残されている文書は不正防止の面で大きなメリットがあるといえるでしょう。
印影の正しい位置
実印を用いて印鑑証明書も付する場合は、印影が氏名などの文字と被らないように注意しましょう。印影を判別できなければ、印鑑証明書との照合が難しくなります。
印鑑証明書を付さない書類であれば、他の文字と被ってもかまいません。むしろ、被せることで印影の複製リスクなどを防ぎやすくなります。ただし、印影は判別できるように残しましょう。
契約書などの文書で押印を求められた場合は、きれいな印影を残す必要があります。専用のマットを使用するときれいな印影をつけやすくなります。マットを用意できない場合は、紙やティッシュで代用しましょう。
押印に際して、マナーが求められることもあります。「お辞儀ハンコ」について説明した記事もありますので、こちらも参考にしてください。
印影を照合する方法
押印は、文書が真正に成立したものと推定するために行うものです。そのためには、本人の意思に基づいた押印である必要がありますが、成立の真正に争いがある文書であっても、印影と作成名義人の印章を照合することで「作成名義人の意思に基づいて押印された」という推定が得られます。
印鑑照合をするために最も有効な手段は、印鑑証明書の利用です。実印であれば印鑑登録を行っているので、印鑑証明書を使うことで容易に照合が可能になります。
ただし、印鑑証明書は基本的に登録を行った者だけが取得できるものなので、契約の相手方とトラブルが生じた後に印鑑証明書の交付を求めても、入手できない可能性があります。そのため重要な契約を交わす際は、事前に相手方から印鑑証明書を取得しておきましょう。逆に、自社が印鑑証明書の提出を求められることもあります。
印鑑登録の方法に関しては、こちらの記事を参考にしてください。
なお、印鑑登録をしていない認印の場合は、照合は困難になります。
印影がきれいな印章の選び方
押印の際に印影がきれいに残る印章を選ぶには、いくつかポイントがあり、具体的には次の通りです。
彫刻方式の選び方
印章の彫刻方式には大きく次の3つがあります。
- 完全手彫り
- 手仕上げ
- 機械彫り
このうち完全手彫りと手仕上げは職人が一つひとつ彫刻するもので、きれいな印影に仕上がります。また、手作業で仕上げるため、同じ印影のものが存在せず偽造されるリスクも少なくなります。
書体の選び方
印章の書体で代表的なものには、印相体(いんそうたい)や篆書体(てんしょたい)、古印体(こいんたい)などがあります。
最も一般的に広く使われているのは印相体で、認印や実印など幅広く使われています。
篆書体はやや複雑な書体で重量感があり、実印などに向いており、古印体は読みやすさが特徴で、個人の認印などに使われます。
ハンコの素材の選び方
印影をきれいに映すには、チタン素材がおすすめです。チタンは粒子が非常に細かいため朱肉のノリが良くきれいな印影が得られます。
また、チタンは割れたり欠けたりすることが少なく、耐久性の面でも人気があります。
その他では柘(つげ)や水牛などが印章の素材として人気があります。
直径・サイズの選び方
印章のサイズは使用用途により異なりますが、実印は15~18mm、認印は12~13.5mm、銀行印であれば13.5~15mmなどが一般的です。
あくまで目安ですが、女性の場合は男性よりやや小さめのサイズが人気です。実印など重要な場面で使用する印章は、認印などと比べてやや大きめのサイズを選ぶことが多いです。
印影プレビューの活用方法
実際の印影がどのように残るかは、印鑑専門店などの印影プレビュー機能を利用することで事前に確認できます。
印影プレビューは実際に印鑑専門店に足を運ばなくても、印鑑の通販サイト等で無料で利用できます。実際に購入する際は事前に印影プレビューを利用して仕上がりを確認しておくと良いでしょう。
印影をデータ化した電子印影とは
電子印影とは、その名の通り印影をデータ化したものです。印影を模して作成された画像のデータや、印鑑で押印した印影をパソコンやスマホなどの端末に取り込んで電子データ化したものを指します。
電子印影を電子データとして保存しておけば、使い回すことが可能です。印影印刷を行えば、書類の「印刷」と「押印」という工程を同時に行うことができるので、業務効率化につながります。
電子印影と印影印刷の違い
印影印刷とは、書類に印影を付したものを印刷することです。
電子印影は従来の印鑑のような存在であり、印影印刷は押印という行為まで含まれた言葉だとイメージするとわかりやすいでしょう。
ちなみに、印影印刷であっても法的な効力は従来の押印とは変わりません。
電子印影を無料で作成する方法
電子印影は、ご自身で画像作成ソフトやアプリを使って印影を模した画像ファイルを作成するほか、インターネットでダウンロードすることも可能です。
白い紙に印鑑で押印し、それをスキャナでスキャンするかスマホやデジカメで写真撮影してパソコンに取り込み、背景のみを削除して画像データとして保存するという方法もあります。前述の通り、一度電子印影を作成して保存しておけば使い回すことができるため効率的です。
印影印刷を行う場合は、電子印影をコピーし、印刷する書類のファイル(WordやExcelなど)の任意の場所(押印欄や氏名の横など)に貼り付けます。その後、プリンターで通常通りに印刷すれば完了です。
印影とはハンコを押した時の跡のこと
印影とは、押印した時に書面に残る跡のことです。印鑑登録を行った印鑑の印影は、印鑑と呼ばれることもあります。いずれも契約時などに書面に付することが重要で、これにより本人が作成したことが推定されるため、トラブルが生じた場合に解決しやすくなります。重要書類には押印を忘れないようにしましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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