- 更新日 : 2025年3月5日
印影とは?印鑑・印章の違いとの違いやデータを無料作成する方法を解説
「印影」や「印鑑」など、ハンコに関しては似た用語がいくつかあるため混乱することがあります。そこで言葉を整理して正しく使い分けられるようにするとともに、「印影」の意味や書面に押印することの重要さ、その正しい方法などについても紹介します。
印影とは
印影とは、ハンコを押した後に書面に残った朱肉やインクの跡のことです。印影の読み方は「いんえい」で、ハンコ本体やハンコに彫られた刻印のことではありません。
そもそも、「ハンコ」という言葉はどこから来ているのでしょうか。「判を押す行為」を「判行」と呼び、これが「判子(ハンコ)」に変化したとする説や、木版画に使われる「版行・板行(はんこう)」という版木の音が変化してハンコになったとする説、版木を使った書物等の印刷・発行を意味する「版行・板行(はんこう)」が変化したとする説などがあります。
印影・印鑑・印章の違い
「印鑑」と「印章」も厳密には意味が異なります。
印鑑は、ハンコそのものではなく、役所や銀行などで登録した実印・銀行印の印影のことです。印影のうち、所定の手続きを経たものが印鑑といえるでしょう。
一方、印章はハンコそのものを指します。印影と同じ意味で使われることもありますが、本来は印を押すために彫り物を施したもの自体を指します。
印影の正しい位置
実印を用いて印鑑証明書も付する場合は、印影が氏名などの文字と被らないように注意しましょう。印影を判別できなければ、印鑑証明書との照合が難しくなります。
印鑑証明書を付さない書類であれば、他の文字と被ってもかまいません。むしろ、被せることで印影の複製リスクなどを防ぎやすくなります。ただし、印影は判別できるように残しましょう。
契約書などの文書で押印を求められた場合は、きれいな印影を残す必要があります。専用のマットを使用するときれいな印影をつけやすくなります。マットを用意できない場合は、紙やティッシュで代用しましょう。
押印に際して、マナーが求められることもあります。「お辞儀ハンコ」について説明した記事もありますので、こちらも参考にしてください。
印影を照合する方法
押印は、文書が真正に成立したものと推定するために行うものです。そのためには、本人の意思に基づいた押印である必要がありますが、成立の真正に争いがある文書であっても、印影と作成名義人の印章を照合することで「作成名義人の意思に基づいて押印された」という推定が得られます。
印鑑照合をするために最も有効な手段は、印鑑証明書の利用です。実印であれば印鑑登録を行っているので、印鑑証明書を使うことで容易に照合が可能になります。
ただし、印鑑証明書は基本的に登録を行った者だけが取得できるものなので、契約の相手方とトラブルが生じた後に印鑑証明書の交付を求めても、入手できない可能性があります。そのため重要な契約を交わす際は、事前に相手方から印鑑証明書を取得しておきましょう。逆に、自社が印鑑証明書の提出を求められることもあります。
印鑑登録の方法に関しては、こちらの記事を参考にしてください。
なお、印鑑登録をしていない認印の場合は、照合は困難になります。
印影をデータ化した電子印影とは
電子印影とは、その名の通り印影をデータ化したものです。印影を模して作成された画像のデータや、印鑑で押印した印影をパソコンやスマホなどの端末に取り込んで電子データ化したものを指します。
電子印影を電子データとして保存しておけば、使い回すことが可能です。印影印刷を行えば、書類の「印刷」と「押印」という工程を同時に行うことができるので、業務効率化につながります。
電子印影と印影印刷の違い
印影印刷とは、書類に印影を付したものを印刷することです。
電子印影は従来の印鑑のような存在であり、印影印刷は押印という行為まで含まれた言葉だとイメージするとわかりやすいでしょう。
ちなみに、印影印刷であっても法的な効力は従来の押印とは変わりません。
電子印影を無料で作成する方法
電子印影は、ご自身で画像作成ソフトやアプリを使って印影を模した画像ファイルを作成するほか、インターネットでダウンロードすることも可能です。
白い紙に印鑑で押印し、それをスキャナでスキャンするかスマホやデジカメで写真撮影してパソコンに取り込み、背景のみを削除して画像データとして保存するという方法もあります。前述のとおり、一度電子印影を作成して保存しておけば使い回すことができるため効率的です。
印影印刷を行う場合は、電子印影をコピーし、印刷する書類のファイル(WordやExcelなど)の任意の場所(押印欄や氏名の横など)に貼り付けます。その後、プリンターで通常通りに印刷すれば完了です。
印影とはハンコを押した時の跡のこと
印影とは、押印した時に書面に残る跡のことです。印鑑登録を行った印鑑の印影は、印鑑と呼ばれることもあります。いずれも契約時などに書面に付することが重要で、これにより本人が作成したことが推定されるため、トラブルが生じた場合に解決しやすくなります。重要書類には押印を忘れないようにしましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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