- 作成日 : 2022年5月20日
契約書を翻訳する上でのポイントや注意点を解説
「自社が海外企業との取引を始めるかもしれない」という時に気になるのが、契約書です。海外企業との契約に使う契約書が、日本語で書かれることは少ないでしょう。また、海外と日本の契約書の違いも気になります。言語以外にどのような違いがあるのでしょうか。ここでは、海外取引における契約書と国内契約書との違いや作成方法、翻訳方法などについて解説します。
目次
日本と外国で契約書は違う?
日本と海外では、契約書の書き方が異なります。
日本では「契約書に書かれていない事項は信義誠実の原則に従い、甲乙協議のもと定める」といった文言が記載されることがありますが、アメリカなどの契約書にこのような文言はありません。とことん協議し、契約書に落とし込むため、海外の契約書は日本のものと比べて項目が多く、内容も細かいです。
日本では、自社に有利な条項を分かりやすく記載しないケースが多いのですが、アメリカなどでは自社にとって都合のいい条項を前面に押し出すのが一般的です。
この記事をお読みの方におすすめのガイド5選
最後に、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
電子契約にも使える!契約書ひな形まとめ30選
業務委託契約書など各種契約書や、誓約書、念書・覚書、承諾書・通知書…など使用頻度の高い30個のテンプレートをまとめた、無料で使えるひな形パックです。
導入で失敗したくない人必見!電子契約はじめ方ガイド
電子契約のキホンからサービス導入の流れまで、図解やシミュレーションを使いながらわかりやすく解説しています。
社内向けに導入効果を説明する方法や、取引先向けの案内文など、実務で参考になる情報もギュッと詰まった1冊です。
紙も!電子も!契約書の一元管理マニュアル
本ガイドでは、契約書を一元管理する方法を、①紙の契約書のみ、②電子契約のみ、③紙・電子の両方の3つのパターンに分けて解説しています。
これから契約書管理の体制を構築する方だけでなく、既存の管理体制の整備を考えている方にもおすすめの資料です。
自社の利益を守るための16項目!契約書レビューのチェックポイント
法務担当者や経営者が契約書レビューでチェックするべきポイントをまとめた資料を無料で提供しています。
弁護士監修で安心してご利用いただけます。
法務担当者向け!Chat GPTの活用アイデア・プロンプトまとめ
法務担当者がchat GPTで使えるプロンプトのアイデアをまとめた資料を無料で提供しています。
chat GPT以外の生成AIでも活用できるので、普段利用する生成AIに入力してご活用ください。
契約書を翻訳する上での注意点は?
日本企業である自社が海外の企業と契約を締結する場合、日本企業同士の契約書と同様に協議を行ってから作成することもありますが、たたき台を自社で作成する場合や、相手方から契約書が送られてくる場合もあるでしょう。
このような場合は契約書を翻訳することもありますが、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。
機械翻訳は基本的に行わない
Google翻訳などの便利な機械翻訳サービスがありますが、これらを使用するのは避けましょう。一見きちんと翻訳されているように見えますが、よく見ると不自然な翻訳になっている部分もあります。仮に不自然であっても、原文で書かれている意味が100%相手に伝われば、または自身が100%理解できれば問題ありません。
しかし、重要な条項において機械翻訳が「少し違ったニュアンス」で翻訳していたらどうでしょうか。自社に不都合な条項が残ったまま契約することになり、後々大きなトラブルや損害に発展するおそれがあります。また、そもそも契約書には専門用語も多く使われているので、機械翻訳では対応困難と考えられます。
直訳は基本的に行わない
直訳は英単語を一つずつ和訳して日本語の文章にする作業ですが、これも行わないほうがよいでしょう。直訳では単語を積み重ねていくため、どうしても不自然な文章になりますし、直訳では専門用語に対応できません。また、単語の組み合わせによってニュアンスが変わる言葉に対しては無力でしょう。
専門家に依頼する
契約書の翻訳は専門家に依頼しましょう。専門家であれば正しく翻訳してくれることが期待できるからです。とはいえ、英訳のプロであれば誰に依頼してもよいわけではありません。これについては、後ほど詳しく説明します。
契約書翻訳を外注する上でのポイントは?
契約書の翻訳を依頼する際は、いくつかポイントがあります。これらのポイントに注意すれば、海外企業との契約書のやり取りも怖くなくなるかもしれません。
契約書専門の翻訳専門家に依頼する
翻訳ができるからといって、誰に依頼してもよいわけではありません。日本の契約書に書かれる言葉が独特であるのと同様に、海外の契約書にも契約書特有の文言があるからです。そのため、海外取引に詳しい契約書専門の翻訳家に依頼することをおすすめします。
相手国の商習慣に明るい専門家に依頼する
一口に海外企業との契約といっても、相手企業の国によって言葉のニュアンスや商習慣は大きく異なります。そのため、相手の国の商習慣に明るい専門家に依頼するのがベストといえるでしょう。
自社が作成するのであれば、契約する内容・業種に明るい専門家に依頼する
日本国内で日本語の契約書の作成を弁護士に依頼する場合でも、業界や業種に明るい弁護士のほうがトラブルを避けやすいでしょう。契約書を翻訳する場合も、契約内容や相手企業の業種に明るい契約書専門の翻訳家であれば、さらに安心です。例えば、医療や工業、IT、著作権などは、特に用語や言い回しが独特だからです。こうした場合は、海外取引に強い弁護士にも相談することが、最も安心かつ近道だと考えられます。
海外取引での契約書は専門家に依頼して翻訳する!
海外は商習慣や文化が異なるため、契約書に書かれる内容も異なります。そのため、自社で作成する場合も、相手から契約書を受け取った場合も、機械翻訳や直訳では細かいニュアンスが伝わらないおそれがあります。
そもそも機械翻訳や直訳では専門用語に対応できず、契約後のトラブルを招くことにつながるでしょう。それを避けるためには、契約書の翻訳や作成は専門家に依頼するのが無難です。その際は相手国の商習慣や文化、相手企業の業種に明るい翻訳家や弁護士に依頼・相談すれば、さらに安心して任せられます。
よくある質問
日本と外国で契約書の書き方は違う?
言語や文化、商習慣の違いがあるので、クロスボーダーの契約においては、認識の不一致がないよう契約書には多くの条項が細かく記載されるケースが多いです。詳しくはこちらをご覧ください。
契約書を翻訳する上での注意点は?
Google翻訳といった機械翻訳や単語を一つずつ調べる直訳では、細かいニュアンスがなかなか伝わりません。解釈の違いからトラブルにならないよう、相手国の商習慣や文化、業種などに明るい翻訳家に翻訳や作成を依頼し、海外取引に強い弁護士にも相談することをおすすめします。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
契約の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
商標登録とは?メリットや出願のやり方、区分、費用、有効期間などを解説
商標登録は、自社の商標(マークやロゴなど)について独占権を得る手続です。特許庁に申請をして商標登録を行うことにより、他社からの模倣や不正使用を防ぎ、企業のブランド力を強化できます。 今回は、商標登録の概要や区分を説明した上で、登録をするメリ…
詳しくみる生成AI時代の法務対応ガイド:知財・個人情報・契約・ガバナンス対応について解説
AIの急速な発展に伴い、企業法務の現場ではこれまでにない新たな対応が求められています。生成AIの活用が広がる中で、著作権・商標・特許などの知的財産、個人情報保護法への適合、AI利用契約における責任の所在、さらには社内ガバナンス体制の構築とい…
詳しくみる独占禁止法の談合リスクとは?公取委の動向や法務の対策ポイントを解説
独占禁止法が禁止する「談合」は、企業にとって重大な法的リスクであり、発覚すれば課徴金や刑事罰、入札停止措置など多方面にわたる深刻な影響を及ぼします。特に近年、公正取引委員会は摘発を強化しており、企業規模や業種を問わず厳正な対応がとられていま…
詳しくみるこれからの企業に求められる法務人材とは?採用の現状やキャリアパスを解説
企業を取り巻く法的環境が複雑化する中で、法務人材の役割はこれまで以上に広がりを見せています。契約審査や紛争対応に加え、コンプライアンスやM&A、さらにはテクノロジーへの対応まで求められる業務領域は多岐にわたります。法務部門の体制強化…
詳しくみる企業法務における顧問弁護士の活用法は?役割・契約形態・選び方を解説
企業活動には常に法的な判断が求められる場面が存在します。契約書の作成や確認、労務問題への対応、知的財産の管理、そしてトラブル発生時の対応まで、法務の役割は多岐にわたります。そうした場面で企業を継続的に支えるのが「顧問弁護士」です。企業法務に…
詳しくみるサブスク管理システムとは?導入するメリットや機能、選び方などを解説
「サブスク管理システム」とは、サブスクリプションサービスの契約情報を一元管理し、更新日や支払い状況を把握できるツールのことです。契約の見落としや意図しない自動更新を防ぎ、適切な予算管理を実現するために役立ちますので、個人から法人まで事業でサ…
詳しくみる


