- 更新日 : 2022年3月30日
クレジットカードは署名なしで使える?署名なしのリスクなど解説
クレジットカードの裏面には署名欄がありますが、署名をしなくても支払いはできるのでしょうか?署名なしのクレジットカードを使うと、不正利用などのリスクはあるのでしょうか?漢字とローマ字、どちらで記載すればよいのでしょうか?今回は、クレジットカードの署名にまつわるさまざまな疑問にお答えします。
目次
原則としてクレジットカードは署名なしで使用できない
結論から言うと、クレジットカードは署名なしでは使うことができないと考えられます。クレジットカード会社が所属する業界団体で、消費者保護を目的とした自主規制を定めている社団法人日本クレジット協会は「裏面に署名欄がある場合、サインをしていないクレジットカードは利用できません」としており、クレジットカードに署名を記載することを呼びかけています。各クレジットカード会社においても、規約で署名をすることが定められているはずです。
クレジットカードへの署名は利用者がカードの所有者本人であることを示し、伝票へのサインは伝票の内容(金額や支払い方法)を認めることを示すものです。したがって、クレジットカードに署名が記載されていることで、はじめてクレジットカードでの売買契約が成立します。
署名のないクレジットカードの注意点とリスク
とはいえ、署名のないクレジットカードであっても、システム上決済すること自体は可能です。お店側が手続きを行えば、商品やサービスを購入できます。実際に署名なしのクレジットカードを使われている方もいらっしゃるかもしれません。
署名なしで使えるにも関わらず、なぜ署名をしなければならないのでしょうか?ここからは、クレジットカードに署名をしないことによって生じるリスクについて見ていきましょう。
不正利用の恐れがある
署名なしのクレジットカードが不正に利用された場合、カード所有者に支払い義務が生じるリスクがあります。
不正利用によって発生した損害はクレジットカード会社が補償するケースもありますが、署名をしないことで利用規約に違反している、あるいは過失によって不正利用を招いたとみなされ、補償されない場合もあります。
クレジットカードに署名をしていないと不正に利用され、被害に遭っても泣き寝入りすることになるリスクが高いのです。
自筆の署名は非常に高い証拠力を有します。クレジットカードに所有者本人が署名すれば、不正に利用されたとしても伝票の控えのサインと照合することで、本人が使用していないことを証明することができます。不正利用の被害に遭わないためにも、クレジットカードには必ず署名をしましょう。
店側は署名のないクレジットカードの使用を拒否できる
前述のとおり、クレジットカードに署名がないと、クレジットカード会社の規約違反となります。そのため、店側は署名のないクレジットカードの利用を断ることも可能です。
クレジットカードで支払いを受け付ける際、伝票のサインとクレジットカードの署名が一致していることを確認する必要があります。クレジットカードに署名がないと、その確認ができません。
お店やスタッフによって対応はまちまちですが、カードの裏面を確認して署名がない場合は、その場で署名の記入が求められ、それに応じない限りカードでの支払いを認めてくれないこともあります。
店頭で署名を行うと手間がかかる、うまく書けないなどの問題が生じます。その意味でも、あらかじめカードに署名をしておくことをおすすめします。
クレジットカードの署名は漢字?ローマ字?
クレジットカードの署名に用いる言語については特に決まりがないため、漢字でもローマ字でも問題ありません。ただし、カードの表面にはローマ字で氏名が記載されているため、署名もローマ字にするとなりすましが容易にできてしまいます。不正利用を防ぐためには、画数が多く、真似しにくい漢字のほうがよいとされています。特に、海外へ頻繁に行かれる方は、現地で不正利用の被害に遭わないためにも漢字で記載するのがおすすめです。
クレジットカードの署名の目的は本人確認です。本人が書いたことを証明できるのであれば、本名をフルネームで書く必要はありません。クレジットカード会社によっては苗字のみや(下の)名前のみ、イニシャル、ニックネームなどでも構わないとしています。
クレジットカードで支払う時の署名は、クレジットカード記載のものと同じ?
クレジットカードで支払う際は、お店側が「カードの所有者が本当にそのお客様であるか」ということを確認しなければなりません。前述のとおり、お店のスタッフは支払い時にクレジットカードの署名と伝票の署名を見比べて、そのカードを使おうとしている人物が所有者本人かどうかを確認します。よって、例えばクレジットカードにはローマ字、伝票には漢字で署名をした場合、本人確認が困難になります。
これについても、お店やスタッフによって対応はまちまちです。カードの署名と伝票のサインの表記が違っていても受け付けてくれることはありますが、店頭で伝票にサインする際には、極力クレジットカードの署名に合わせて記載しましょう。
クレジットカードには必ず署名しておこう!
クレジットカードの裏面に署名をしておかないと不正利用の被害に遭う、補償が受けられない、支払いを断られるなど、さまざまな問題が発生することがあります。クレジットカードをお持ちの方は裏面を見て、「署名が記載されているかどうか?」「どのように記載されているか?」をチェックしてください。
また、クレジットカードを新規で作られる方、更新などで新しいカードに切り替わる方は、カードが届いたらすぐに署名しましょう。
よくある質問
署名なしのクレジットカードは使用できますか?
原則として、署名が記されていないクレジットカードは利用できません。そのまま使うと、クレジットカード会社の規約違反に該当する可能性が極めて高いです。詳しくはこちらをご覧ください。
クレジットカードに署名していない場合のリスクは?
不正利用の被害に遭う、補償が受けられない、カードの利用を拒否されるなど、さまざまな問題が生じるリスクがあります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
契約の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
新リース会計基準の遡及適用について解説
2027年4月から強制適用される新リース会計基準では、改正以前の取引に対する遡及適用が義務付けられます。その場合、過去の取引に対し新基準を適用することで財務諸表の比較可能性が向上する一方、情報の再収集や修正のため、多大な労力が必要です。 過…
詳しくみる2020年施行の実用新案法改正とは?概要や事業者への影響を解説
2020年4月から施行された改正実用新案法により、実用新案権侵害の損害賠償に関するルールが見直されました。同時期に施行された特許法の改正と同じ内容です。本記事では2020年4月施行・実用新案法改正による変更ポイントなどを解説します。 実用新…
詳しくみるデューデリジェンスとは?具体的なチェック項目と実施方法を解説
デューデリジェンスとは、企業の経営状況や財務状況などを調査することで、日本語に訳すと「適正評価手続き」です。調査項目は多岐にわたり、「ビジネス」「財務」「法務」「人事」「IT」などが主要項目として挙げられます。デューデリジェンスの意味や種類…
詳しくみる瑕疵とは? 意味や読み方、瑕疵担保責任と契約不適合責任などをわかりやすく解説
瑕疵とは、物や権利における欠陥や不備を意味する言葉です。売買取引や不動産契約などで頻繁に用いられる用語であり、企業の法務担当者にとっては、理解が欠かせません。 本記事では、瑕疵の概要や種類を説明した上で、民法改正に伴う瑕疵担保責任の変更と瑕…
詳しくみる2022年施行のプロバイダ責任制限法改正とは?改正内容と求められる対応を紹介
2022年にプロバイダ責任制限法が改正され、「プロバイダ」に該当する事業者は新しいルールを正確に把握して対応する必要がありました。今回は2022年に行われた改正のポイントや事業者に求められる対応について、改めて詳しく解説していきます。 20…
詳しくみる派遣契約とは?業務委託との違いや3年ルールについて解説
派遣契約とは、派遣会社に雇用される労働者を別企業で労働させる形式の契約です。通常の雇用契約とは異なる法律によって契約をする必要があります。 今回は、派遣契約の基本的な説明をした上で、業務委託や準委任契約との違い、中途解除の条件や契約を続ける…
詳しくみる