- 作成日 : 2025年7月9日
不動産の登記年月日の調べ方は?登記簿謄本の取得方法を解説
この記事では、不動産の登記年月日を調べたいと考えている方に向けて、その具体的な調査方法を分かりやすく解説します。不動産取引や相続など、さまざまな場面で重要となる登記年月日。
しかし、登記簿謄本には複数の日付が記載されており、どれが該当するのか、どのように調べれば良いのか、迷う方も少なくありません。この記事を読めば、ご自身でスムーズに登記年月日を調べ、不動産の正確な情報を把握できるようになります。
また、登記年月日等を確認するための登記簿謄本の取得方法について、窓口・郵送・オンラインの3つの方法ごとに、詳しく解説していきます。
目次
登記年月日とは?
「登記年月日」という言葉は非常に便利ですが、実は登記簿謄本(登記事項証明書)には複数の日付が記載されているため、文脈や目的によって指し示す具体的な日付が異なる点に注意が必要です。どの情報を知りたいのかによって、確認すべき「日付」の種類が変わってきます。
例えば、
- 建物の建築時期(築年数)を知りたい場合:一般的には、表題部の「原因及びその日付」に記載されている「新築年月日」を指します。建築時期が不明な場合や、登記申請時に正確な日付が特定できない場合は、新築年月日が「不詳」と記載されていることがあります。
- 権利を取得した日や権利の優先順位を知りたい場合:権利部(甲区または乙区)の「受付年月日」が最も重要になります。この日付によって、登記の「順位番号」が決定され、他の権利との優劣が決まります。
- 権利変動の具体的な契約日や相続発生日を知りたい場合:権利部(甲区または乙区)の「権利者その他の事項」に記載されている日付を確認します。
- 登記手続きが法務局で完了した日を知りたい場合:表題部の「登記の日付」が該当します。
このように、「登記年月日」という言葉が指す内容は一つではありません。そのため、不動産の登記情報を調べる際には、まず「何のためにその日付情報が必要なのか」という目的を明確にすることが非常に大切です。
目的がはっきりしていれば、登記簿謄本のどの部分に記載されている、どの種類の日付を見ればよいのかが自ずと明らかになり、誤った情報を参照するリスクを避けることができます。例えば、単に「登記された日」を知りたいという曖昧な目的ではなく、「この建物の正確な築年数を知りたい」「この抵当権がいつ設定されたのかを知りたい」といった具体的な目的を持つことで、的確な情報収集が可能になります。
不動産の登記年月日を調べる方法
不動産の登記年月日を確認するためには、その不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)を取得する必要があります。ここでは、登記事項証明書を取得するための主な方法について、それぞれ必要なもの、手順、手数料を詳しく解説します。
方法1:法務局の窓口で取得する
最も基本的な方法が、法務局の窓口で直接請求することです。全国どの法務局の窓口でも、他の法務局が管轄する不動産の登記事項証明書も取得することが可能です。
- 必要なもの
- 交付申請書:法務局の窓口に備え付けられています。事前に法務局のウェブサイトからダウンロードして記入していくことも可能です。
- 正確な「地番」(土地の場合)または「家屋番号」(建物の場合):これが最も重要な情報です。日常的に使用している住所(住居表示)とは異なる場合が多いため、事前に正確に調べておく必要があります。地番や家屋番号が不明な場合の調べ方については後述します。
- 手数料:1通につき600円です。この手数料は収入印紙で納付します。収入印紙は、法務局内に印紙売り場が設置されている場合がほとんどですので、そこで購入できます。
- その他:請求者の認印や身分証明書は原則として不要です。
- 申請手順
- 最寄りの法務局へ行き、窓口で交付申請書を入手するか、持参した申請書に必要事項(地番・家屋番号、請求する証明書の種類、請求者の氏名・住所など)を記入します。
- 手数料額の収入印紙を購入し、申請書に貼り付けます。
- 記入済みの申請書を窓口に提出します。
- 窓口の混雑状況にもよりますが、通常、10分から15分程度で登記事項証明書が交付されます。
方法2:郵送で取得する
法務局へ直接行く時間がない場合、郵送で登記事項証明書を請求することも可能です。この場合は、請求したい不動産を管轄する法務局宛に郵送します。
- 必要なものと申請手順
- 交付申請書の準備:法務局のウェブサイトから不動産用の「登記事項証明書交付申請書」をダウンロードし、印刷して必要事項を記入します。
- 手数料の準備:1通につき600円の収入印紙を用意し、申請書に貼り付けます。収入印紙は郵便局などで購入できます。
- 返信用封筒の準備:証明書を送り返してもらうための封筒を用意し、請求者の住所・氏名を宛先として記入し、必要な金額の切手を貼付します。返信用の切手代は、証明書の枚数や重さによって異なりますので、事前に確認が必要です(通常1通であれば定形郵便物の料金で足ります)。
- 郵送:上記1~3で準備した申請書(収入印紙貼付済み)と返信用封筒を一つの封筒に入れ、管轄の法務局宛に郵送します。
方法3:オンラインサービスで取得・確認する
近年では、インターネットを利用して登記情報を取得・確認できるサービスも充実しています。主に「登記情報提供サービス」と「登記ねっと(登記・供託オンライン申請システム)」の二つがあります。
- 登記情報提供サービス
- 概要:インターネットを通じて登記情報をPDF形式で閲覧したり、ダウンロードしたりできる有料のサービスです。
- 利用登録:利用には、「一時利用」「個人利用」「法人利用」といった区分での登録が必要になる場合があります。一時利用は都度クレジットカード決済、個人利用はクレジットカード、法人利用は口座振替での支払いが基本です。登録費用として、個人利用で300円、法人利用で740円などがかかります。
- 手数料:全部事項情報であれば1件331円(令和4年10月時点。内訳は登記手数料320円+協会手数料11円)など、法務局の窓口で取得するよりも安価です。
- 法的証明力:このサービスで取得できるPDF情報には、登記官の認証文や公印が付加されていません。そのため、法的な証明書としては使用できず、あくまで登記内容の確認用としての利用に限られます。公的機関への提出などには使えません。
- 利用時間:平日は午前8時30分から午後11時まで、土日祝日も午前8時30分から午後6時まで利用可能です。ただし、地図・図面に関する情報は平日の午後9時までなど、取得する情報の内容によって利用可能時間が異なる場合があるので注意が必要です。
- 登記ねっと(登記・供託オンライン申請システム)の「かんたん証明書請求」
- 概要:インターネットを利用して、法的な証明力を持つ登記事項証明書を請求できるシステムです。
- 利用登録:初めて利用する際には、申請者情報の登録が必要です。一度登録すれば、次回からはログインして利用できます。
- 手数料:法務局の窓口で受け取る場合は1通490円、郵送で受け取る場合は1通520円と、窓口で直接請求するよりも安価に設定されています。手数料の支払いは、インターネットバンキングやPay-easy(ペイジー)に対応したATMを利用した電子納付となります。
- 受取方法:請求時に、証明書の受け取り方法を「指定した法務局の窓口での交付」または「郵送による交付」から選択できます。郵送の場合、普通郵便であれば郵送料は無料です。
- 利用時間:原則として平日の午前8時30分から午後9時まで利用可能です。ただし、午後5時15分以降の請求は、翌業務日の午前8時30分以降の受付として処理されます。
地番・家屋番号がわからない場合
登記事項証明書を取得する上で最初の関門となるのが、対象不動産の「地番(土地の場合)」や「家屋番号(建物の場合)」を正確に把握することです。これらは郵便物などに使われる住居表示とは異なるため、注意が必要です。もし地番や家屋番号が不明な場合は、以下の方法で調べることができます。
- 権利証や登記識別情報通知を確認する:不動産を取得した際に法務局から交付された権利証(登記済証)や登記識別情報通知には、対象不動産の地番や家屋番号が正確に記載されています。まずはこちらを確認するのが最も確実です。
- 固定資産税の納税通知書を確認する:毎年、市区町村から不動産の所有者宛に送られてくる固定資産税・都市計画税の納税通知書には、「課税明細書」が添付されています。この課税明細書に、所有している土地の地番や建物の家屋番号が記載されています。
- ブルーマップ(住居表示地番対照住宅地図)を利用する:ブルーマップは、一般的な住宅地図に法務局の公図の情報を重ね合わせた特殊な地図で、住居表示と地番の両方が記載されています。これにより、住居表示から対応する地番を調べることができます。ブルーマップは、法務局や一部の大きな市区町村役場、国立国会図書館などで閲覧できるほか、ゼンリンなどの地図会社から購入することも可能です。
- 法務局に電話または窓口で照会する:対象不動産の所在地(住居表示)を管轄の法務局に伝えれば、地番や家屋番号を教えてもらえる場合があります。ただし、法務局によっては電話での照会に応じていないケースや、本人確認を求められる場合もあるため、事前に確認するとよいでしょう。
- 登記情報提供サービスの「地番検索サービス」を利用する:前述の「登記情報提供サービス」には、住居表示から地番を検索できる「地番検索サービス」という機能が含まれています。ただし、この地番検索サービスのみを単独で無料で利用することはできず、登記情報提供サービスの有料利用の一環として提供される機能です。
これらの方法を状況に応じて使い分けることで、必要な地番や家屋番号を特定することができます。権利証や納税通知書が手元にあればそれが最も手軽ですが、ない場合でも他の手段で調べることが可能です。
登記年月日は登記簿謄本で確認しよう
不動産の登記年月日をはじめとする登記情報は、その不動産の正確な状況と権利関係を公に示すものであり、不動産取引、相続、融資、さらには税務や各種行政手続きに至るまで、非常に多くの場面で重要な役割を果たします。
この記事では、登記簿謄本(登記事項証明書)に記載されるさまざまな「日付」の種類と具体的な調べ方について解説してきました。登記事項証明書の取得方法は、法務局の窓口、郵送、そしてオンラインサービスと多岐にわたり、それぞれ手数料や取得までにかかる時間が異なります。ご自身の目的(内容確認のみか、法的証明力が必要かなど)や状況(時間的余裕、費用など)に合わせて、最適な方法を選択することが肝要です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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