- 作成日 : 2025年5月1日
同意書とは? 無料テンプレート・雛形をもとに書き方や例文、注意点などを解説
同意書とは、特定の行為や条件に当事者が同意した事実を明文化するための書類です。
契約書との違いや法的効力、2部作成の必要性、英語での表記方法など、作成にあたって疑問を抱く方も少なくありません。本記事では、個人・法人を問わず使える同意書の無料テンプレートや雛形をもとに、具体的な書き方や例文、使用場面、注意点まで丁寧に解説します。
同意書とは
同意書とは、特定の行為や条件について、関係者同士が内容を確認し、合意したことを文書で記録する書類です。主にビジネスや医療、教育などさまざまな場面で用いられ、当事者間の認識のズレを防ぎ、トラブルを未然に回避する目的があります。
契約書ほど厳密な取り決めではない場合でも、文書として残すことで証拠性が高まり、一定の法的効力をもつケースもあります。英語表記では「Consent Form」や「Agreement Letter」などとされ、グローバルな場面でも活用されています。
同意書を作成する目的
同意書を作成する主な目的は、当事者間で取り決めた内容を明確にし、誤解やトラブルを防ぐことです。口頭のやりとりだけでは、後になって「言った・言わない」といった争いが発生する可能性があるからです。
しかし、事前に同意内容を文書化しておけば、双方が確認・保管でき、将来的な証拠としても機能します。特に、個人情報の取り扱いや医療行為への同意など、リスクが伴う場面では欠かせない書類といえるでしょう。
同意書の法的効力
同意書には、法的効力が認められる場合があります。
もっとも、同意書自体が契約書のように厳密な契約関係を構成するわけではありません。ただし、署名や押印があり、当事者が内容を理解・了承していると認められれば、一定の証拠力をもつことになります。例えば、同意書をもとに損害賠償請求や契約内容の履行を主張する際に、相手方の同意を証明する書類として活用できる可能性があります。
同意書の英語表記
英語での同意書は、「Consent Form」や「Letter of Consent」と呼ばれます。
内容によっては「Agreement Letter」や「Authorization Form」などと表現されることもあります。国際的な契約や手続きにおいては、これらの英語表記を用いた書類の提出を求められることがあるため、内容を英語で準備するケースも少なくありません。
ただし、英語の文言にも法的な意味をもたせる必要があるため、翻訳時には注意が必要です。
同意書と間違えやすい書類
同意書は、似たような用途で使用される書類と混同されがちです。ここでは、混同しやすい「承諾書」「誓約書」「契約書」との違いを明確に解説します。
同意書と承諾書の違い
同意書と承諾書の大きな違いは、誰が作成するかと、その意思表示の内容にあります。
同意書は、ある行為に対して「同意します」と明示する書類で、署名・押印によって合意を示します。
一方、承諾書は、相手の申し出に対して「承諾する」と回答する書類で、やや一方向的な意思表示という特徴があります。例えば、雇用契約の採用決定通知に対して、承諾書を提出するような場面が典型です。
より詳細な違いについて、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
同意書と誓約書の違い
誓約書は、自ら一定の行動を取ることを約束し、誓う書類で、同意書とは目的が異なります。
同意書は、他者の行為や条件に対して「同意する」という受動的な意思表示を行う書類です。一方、誓約書は、「○○しない」「○○を守る」といった約束を自発的に宣言する文書で、内容も一方的な意思表明に近いものです。例えば、機密保持誓約書などは、従業員が自ら情報を漏らさないと誓う性質をもっており、同意書とは用途がまったく異なります。
同意書と契約書の違い
契約書は、当事者間の権利・義務を取り決める法的文書で、同意書よりも強い拘束力をもつとされています。そもそも同意書は、ある行為や条件に同意する意思を文書で残すもので、必ずしも契約の成立を意味するものではありません。
一方、契約書は、対等な立場の当事者同士が取り決めた条件に法的効力を持たせるもので、損害賠償や履行義務なども明確に記載されます。したがって、契約書はビジネスにおいてより重要性が高く、条項や内容も厳密に取り決める点に大きな違いがあります。
同意書を使用する場面
同意書は、個人の意思を明確にし、トラブルを未然に防ぐためにさまざまな場面で活用されます。以下では、代表的な利用シーンについていくつかご紹介します。
個人情報を取り扱う場合
個人情報を取得・利用する際には、本人からの同意を文書で得ることが求められます。
特に、顧客情報や従業員情報を取り扱う企業では、個人情報保護法に基づき、収集目的や利用範囲を明示した上で、同意書を提出してもらうことが一般的です。これにより、情報提供者との信頼関係が構築され、不正利用のリスクも軽減されるでしょう。
手術や治療の説明を行う場合
医療機関では、患者に対して行う手術や治療の内容に同意を得るため、説明同意書を用います。これは「インフォームド・コンセント」の一環であり、医師が内容やリスクを十分に説明した上で、患者が理解・納得して治療に同意したことを証明する役割を果たします。医療過誤など、何か問題が生じた際には重要な書類として扱われます。
保護者の同意が必要な場合
未成年者が関わる手続きでは、基本的に保護者の同意書が必要になります。
例えば、修学旅行などの学校行事への参加、アルバイトの開始、契約の締結など、親権者の同意が法律上求められるケースは多くあります。同意書により、保護者が内容を理解・承認していることが確認でき、第三者に対する証明にもなるでしょう。
給与明細を電子化する場合
給与明細を紙から電子化する際も、従業員の同意書が必要とされます。
労働基準法により、明細の電子交付は本人の同意が前提となっており、一方的に移行することはできません。同意書には、閲覧方法や保存期間などを明記し、従業員が内容に納得していることを明らかにする必要があります。
社内規定や就業条件の変更時
就業規則や労働条件を変更する際、労働者の同意を得るために同意書を交わすことがあります。例えば、テレワーク制度の導入、就業時間の変更、評価制度の改定など、従業員の働き方に直接関わる変更については、個別の同意を得ることが望まれます。
録音・撮影・掲載に関する同意
昨今においては、写真・動画の撮影やインタビュー内容をWebサイトやSNSに掲載する際にも、同意書が使われます。特に、未成年や一般の参加者が映り込むイベントでは、プライバシー保護の観点から書面での同意を求めることが一般的です。
同意書の書き方・例文
同意書は使用目的によって内容や記載項目が異なります。ここでは無料テンプレートをもとに、主な同意書の書き方や例文についてご紹介します。
個人情報の取り扱いに関する同意書の無料テンプレート
個人情報を取得・利用する際は、あらかじめ本人の同意を得ることが求められます。以下のテンプレートでは、個人情報の収集目的や第三者への提供有無、開示請求の手続きなどを明文化し、企業と情報提供者の双方が安心して情報を扱えるように設計されています。個人情報保護法を意識した記載内容になっており、法令遵守と信頼性の確保の両立に役立つでしょう。
利用目的を明確に伝える
同意書では、個人情報を何に使うのかを具体的に示すことが重要です。例えば、「サービスの提供」「商品の発送」「お問い合わせ対応」「マーケティング」など、利用目的を細かく記載することで、情報提供者に安心感を与えることができます。あいまいな表現は避け、実際の業務内容に即した表現にすることがポイントです。
第三者提供・開示請求の取り扱いも記載する
個人情報を第三者に提供する条件や、開示・訂正・削除を求められた場合の対応方法も明記しておくと、利用者に対する透明性が高まります。あわせて、相談窓口の担当者名や連絡先、住所、電話番号などを記載しておくと、トラブル時にも迅速な対応が可能になるでしょう。利用者との信頼関係構築のためにも、こうした配慮は欠かせません。
説明同意書の無料テンプレート
説明同意書は、医療行為に対する理解と同意を文書で明確にするために用いられます。特に手術の実施に際しては、事前に患者へ治療の必要性やリスク、代替手段などを説明し、その内容を患者自身が理解・納得した上で、書面により同意を得ることが求められます。
以下のテンプレートでは、説明内容・同意内容・免責事項が明確に整理されており、インフォームド・コンセントの証拠として有効な構成となっています。
説明項目は具体的かつ網羅的に記載する
患者の理解を得るためには、病名、治療の必要性、手術の方法、期待される効果、考えられる副作用など、医療行為に関連する情報を詳細かつ具体的に記載する必要があります。また、手術を受けなかった場合のリスクや費用についても記載することで、他の選択肢との比較が可能になります。これにより、患者が主体的に判断できる環境が整うのです。
同意・免責の内容は明確にし、誤解を防ぐ
医師やスタッフの指示に従う意思、手術を提供できない条件、個人情報の利用目的、違反時の対応など、同意事項として押さえるべき要素が明記されています。さらに、免責事項では、事故や盗難が起きた際の責任の所在や返金不可の旨を明示することで、不要なトラブルを防止します。こうした条項を設けることで、医療機関側もリスクヘッジが可能になるでしょう。
保護者同意書の無料テンプレート
保護者同意書は、未成年者が学校行事や部活動、課外活動などに参加する際に、保護者がその内容に同意することを明文化するための書類です。特に学校が主催する活動では、事故やトラブル時の責任範囲を明確にするために、あらかじめ同意書の提出を求められます。
以下のテンプレートでは、参加者情報の記載欄とともに、責任範囲・肖像権・個人情報の取り扱いなどに関する同意事項が含まれています。
活動内容に関する同意と参加者情報の記載
保護者が活動への参加を認める際には、誰がどの活動に参加するのかを明確にする必要があります。この同意書では、「参加する者の氏名」「保護者氏名」「連絡先」などの基本情報を記載する欄が設けられており、緊急時の対応や本人確認にも活用されます。また、活動名はテンプレート中の空欄部分に具体的な行事名などを記入することで、個別対応が可能です。
肖像権や個人情報、責任範囲に関する同意
活動中に撮影された写真・動画の利用に関する同意、肖像権や著作権等の不行使に関する同意項目が設けられており、学校側が広報や報告の目的で記録を活用する際のトラブル防止に役立ちます。また、活動中に指示に従わなかったことで損害が生じた場合、学校が責任を負わない旨も明記されており、責任の所在が明確化されています。
こうした内容について事前に同意を得ることで、円滑な活動運営が可能となるでしょう。
給与明細の電子化に関する同意書の無料テンプレート
給与明細を電子化する場合、労働者本人の明確な同意が必要です。企業が電子化の方法や保存期間、同意撤回の手続きなどを従業員に説明し、納得の上で承諾を得るための書類です。
以下のテンプレートでは、専用サイトでの明細配信や保存方法、紙での交付への切り替え条件など、当事者双方の認識のズレを防ぐための内容が盛り込まれています。
電子交付の方法と閲覧環境の説明
電子交付の手段としては、給与明細が専用サイトにアップロードされ、従業員はログインして閲覧・ダウンロード・印刷できるなどの仕組みが必要です。これらを明記することで、「どこで」「どのように」確認できるのかが明確になり、従業員の不安や混乱を避けられます。閲覧手段に制限がある場合などは、事前に補足説明を行うべきでしょう。
保存期間や同意撤回の手続きを明確に
給与明細は3年間、専用サイト上に保存される旨が記載されており、従業員は必要に応じて自身で保存措置を取ることが求められます。また、同意を撤回する場合の方法や、紙媒体への切り替え時期(翌月から適用)も明示されています。このように、保存期間と撤回手続きをあらかじめ説明しておくことで、後々のトラブルを防ぎやすくなるのです。
同意書に関してよくある質問
同意書を作成・提出する際には、形式や送付方法などについて多くの疑問が寄せられます。ここでは、よくある質問に対してわかりやすくお答えします。
同意書は2部作成が必要?
基本的に同意書は2部作成し、双方が1部ずつ保管するのが望ましいとされています。特にビジネスや契約に関わる内容の場合、後々の証拠として必要になることもあります。署名・押印された原本を相互にもつことで、トラブルを未然に防げるのです。
ただし、法律上の義務ではないため、内容や相手との関係性に応じて判断するようにしましょう。
同意書は書留で送付すべき?
重要な同意書を郵送する場合は、書留での送付が推奨されます。書留は発送記録と配達証明が残るため、「相手に届いていない」といったトラブルを防げます。特に個人情報を含む場合や、相手方とのやりとりに証拠性をもたせたいときは、簡易書留や特定記録郵便などの利用も有効です。送付先の信頼度や文書の重要性に応じて判断しましょう。
同意書を送付するときは送付状(添え状)が必要?
ビジネスマナーとして、同意書を送付する際には送付状(添え状)を添えるのが一般的です。
送付状には、誰宛てに・何の目的で・どの書類を送付しているのかを簡潔に記載します。これにより、受け取る側も内容を正確に把握でき、事務的な確認ミスを防ぐことができます。書式に決まりはありませんが、丁寧な文面を心がけましょう。
同意書に印鑑は必須?
同意書に印鑑は必要ではありませんが、トラブル防止のためにも押印を推奨します。
法的には、署名だけでも同意の意思が認められることがありますが、印鑑があることで本人の意思確認の証拠としての信頼性が高まります。企業間や行政関連のやりとりでは、印鑑があることで正式な書類として扱われやすくなるため、可能な限り押印することをおすすめします。
同意書を電子化するメリット
同意書を紙で取り交わす方法は一般的ですが、電子化することで業務効率やコスト面で多くのメリットがあります。ここでは、電子化によって得られる主な利点を解説します。
同意書を送付するまでの業務を効率化できる
紙の同意書では、印刷・封入・宛名書き・郵送といった手間がかかりますが、電子化することで作業を大幅に削減できます。メールやクラウドサービスを通じてスピーディーに送信できるため、業務全体の流れがスムーズになり、人的リソースの節約にもつながるでしょう。
紙の同意書を保管する必要がなくなる
電子化された同意書は、データとしてクラウドや社内システムで安全に管理できます。
これにより、紙で保管していた際の保管場所の確保や整理・検索の手間が不要になります。必要なときにすぐにアクセスできる点も大きなメリットです。
印刷や郵送などのコストを削減できる
同意書を紙で運用する場合、用紙代・印刷費・郵送費・封筒代などのコストが発生します。
電子化することでこうしたコストを抑えられるだけでなく、対応のたびに発生する小さなコストの積み重ねを軽減できます。長期的に見て、コスト面で大きな効果が期待できるでしょう。
同意書は目的に応じた内容と形式で作成しよう
同意書は、個人情報の取得や医療行為、未成年の活動参加など、幅広い場面で重要な役割を果たす書類です。契約書や承諾書と混同されやすい書類ですが、それぞれの違いを理解し、正しい形式で作成することで、トラブル防止につながるでしょう。
また、同意書を作成する際は無料テンプレートの活用がおすすめです。電子化によって業務負担やコストの削減も良い選択肢です。目的に合った記載内容と管理方法を心がけましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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