- 作成日 : 2025年5月7日
鍼灸(はり・きゅう)同意書の書き方とは?例文やテンプレートを解説
鍼灸(はり・きゅう)施術同意書とは鍼灸施術者と治療対象となる患者の主治医が施術内容やリスクなどについて理解・合意したことを証明する書面です。双方の合意により、治療開始前からリスク管理が徹底され、後日の紛争防止や保険請求時の立証が容易になります。この記事では鍼灸施術同意書の書き方について、ひな形も交えてご紹介します。
目次
鍼灸施術同意書の法的効力とは?
鍼灸施術同意書は、患者の主治医が、患者に対して鍼灸の施術を行うことに同意をしたことを示す書類です。書面化により、事前説明の事実が明確になり、後日のトラブル防止に寄与します。
慢性疼痛(五十肩、腰痛症など)の緩和・治療のために、保険適用で鍼灸の施術を受ける場合は、主治医の同意書が必須となります。
同意書の時効や消滅
同意書そのものには法律で時効は定められていません。ただし、同意書が契約的な性質(例えば、施術に関する契約書の一部として)を持つ場合、請求の性質や内容によっては、5年ないし10年の法定時効が適用されることもあります。
保険医から同意書の交付を受け、慢性疼痛の緩和・治療のために鍼灸の施術を受けている利用者は6ヶ月ごと、マッサージの施術を受けている利用者は3ヶ月ごとに医師からの同意書が必要です。
同意書と承諾書、誓約書との違い
同意書とは、鍼灸施術者と患者の主治医が、治療内容やリスクなどの説明を受けたうえで、互いにその内容に同意した事実を記録する書面です。対して、承諾書は患者または医師が自発的に一定の治療行為を希望する意思表示であり、説明の有無に関わらない場合があります。誓約書は、一方が金銭の支払いや規則の遵守など特定の行為を約束するもので、法的拘束力がより強固になります。各書面は目的や利用場面に応じて使い分ける必要があります。
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鍼灸で同意書が必要なケースとは?
医師の同意が必須となる慢性疼痛の緩和・治療のための施術を行う場合は医師の同意書が必要です。また、以下のようなケースでは利用者と書面で同意を形成しておくことがベターです。
- 抗凝固薬服用者、高齢者、妊婦などリスクが高い利用者への施術を行う場合
- 自律神経失調や美容鍼などエビデンスが限定的なメニューを提供する場合
- 在宅訪問鍼灸で家族・介護事業者との多職種連携が必要な場合
- 小児鍼やスポーツ選手への機能回復施術など保護者・代理人の承諾が求められる場合
鍼灸の施術同意書を締結する流れ
鍼灸施術同意書を締結して施術者が施術を行うまでには大きく以下のような流れを経ることになります。
- 問診・事前説明:鍼灸施術者が患者に対し、症状の詳細、施術目的、禁忌事項、副作用(出血・神経障害など)について説明するとともに主治医も、患者の全体的な治療方針に基づいて説明を行います。
- 質疑応答:患者および医師からの疑問に対し、双方が十分に回答し、合意内容が正確に伝わっていることを確認します。
- 同意書記入:患者の氏名、住所、生年月日のほか、双方の同意内容、施術詳細、特記事項、同意日など必要事項を記入。
- 署名・押印:患者または代理人、鍼灸施術者、そして主治医が各自署名・押印し、全員の合意が文書に残される。
- 控え交付・保管:各署名済みの控えは患者に渡し、原本は医療記録とともに厳重に管理されます。
鍼灸施術同意書のひな形・テンプレート
鍼灸施術同意書をスムーズに作成するためには、ひな形(テンプレート)を利用するのが効果的です。契約書を1から作る必要がなくなり、契約手続きをスムーズに進められるでしょう。
ひな形は、そのまま使うのではなく、内容を確認して案件ごとにカスタマイズしましょう。内容を簡単に変更できる、ワード形式のひな形を選ぶのがおすすめです。
マネーフォワード クラウドでは、同意書のひな形・テンプレートを無料でダウンロードできます。適宜加筆修正して活用してください。
鍼灸の施術同意書に記載すべき内容
鍼灸の施術同意書は、以下のような項目を網羅し、内容に誤解が生じない表現を心がけましょう。
同意する人の氏名・住所・生年月日
患者の氏名と住所、生年月日を記載する欄を設けます。未成年の場合の親権者からも同意を得ましょう。
同意の内容
誰が、どのような疾病を治療・緩和するために、どのような施術を受けることを同意するのかを明らかにしましょう。
施術の内容
施術の対象となる病名、発病日、当院診察日、特記事項について、具体的に記載します。
鍼灸院の住所、医院・クリニック名
同意する日付、施術に同意する医師の氏名、医療機関名、住所。
鍼灸の施術同意書に関する注意点
同意書は必ず記入済みの状態で交付し、事前に印刷された施術概要を添付しましょう。十分に施術に関する説明がなされなかった場合、あるいは施術概要が不十分である場合、説明義務違反となる可能性があります。
患者や医師が署名を拒否した場合、その理由や口頭での合意経緯についてはカルテに詳細に記録し、第三者の立会いや証人の署名を取得するとより安全です。患者が外国人である場合、多言語対応の同意書を用意し、通訳者の氏名も記録しておくと、双方の誤解防止につながります。
同意書は課税文書には該当しないため、収入印紙は原則不要ですが、署名方法は本人確認のため署名と押印に加え、身分証の提示が望ましいです。医師と施術者の双方が最新のガイドライン(例:厚労省通知、日本鍼灸師会の指針など)を定期的に確認し、書式の見直しを実施しましょう。
鍼灸の施術同意書の保管年数や保管方法
鍼灸の施術同意書は施術が完結した日から5年間保存する必要があります。双方の署名がある同意書については、紙原本は耐火キャビネットに、スキャンデータはタイムスタンプなどの改ざん防止を施したうえ、セキュリティ対策が万全なハードディスクなどの記憶媒体もしくはクラウドシステムで管理し、アクセス権限を厳格に制限しましょう。
鍼灸の施術同意書の電子化はできる?
電子署名法に基づいたクラウドシステムを利用すれば、同意書もペーパーレス化が可能です。タイムスタンプ機能による改ざん防止やスマートフォンでの電子署名により、在宅や訪問施術時にも迅速な同意取得が実現します。
ただし、保険請求や行政への提出が求められる場合、原本の提出が必要となる可能性があるため、利用前に被保険者・関係機関へ確認することが望まれます。
鍼灸の施術同意書が必要なケースをしっかりと把握しておこう
この記事では鍼灸の施術同意書の法的効力から必要なケース、書き方、保管方法まで解説しました。
特に鍼灸師が患者に対して治療目的で施術を行う場合、患者の主治医からの同意が必要不可欠です。施術者は厚労省や日本鍼灸師会ガイドラインなどを定期的に確認し、同意書の内容を必要に応じてアップデートしましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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