- 作成日 : 2025年3月24日
保護者承諾書とは?何歳まで?テンプレートやNGな書き方を解説
保護者承諾書は、未成年者が契約を締結する等の行為をする際に、親の承諾を取得するための書類です。特に近年では民法が改正され、コンプライアンスを重視する機運も高まっているため、保護者の同意は非常に重要となってきています。
本記事では、作成時の書き方やNG例、何歳まで必要かといったポイントを、具体例を交えてご説明します。
目次
保護者承諾書とは?
保護者承諾書は、企業や学校などが未成年者(18歳未満の者)と契約や手続きを行う際、保護者の同意を得るために作成する文書です。例えば、アルバイト契約や旅行への参加、手術の同意、イベントや番組などへの出演依頼など、さまざまな場面で利用されます。
民法第5条には「未成年者の法律行為は、原則として法定代理人の同意が必要」と定められています。承諾書は、両者が合意した証拠として法的効力を持ち、記載内容に応じて効力が消滅するタイミングや範囲も明確に示されます。なお、法定代理人とは親権者や後見人などを指します。
参考:民法|e-GOV法令検索
そもそも保護者とは?
保護者とは、親権者(父母)など、未成年者の生活や契約行為を監護・保護する法律上の立場を指しますが、必ずしも親に限りません。例えば、父母が不在の場合、祖父母や里親、後見人が保護者となるケースもあります。
保護者承諾書と保護者同意書との違い
「保護者承諾書」と「保護者同意書」は、いずれも未成年者に対する契約や行為の承諾を得る点が共通しており、文書名が異なるだけで法的効力に大きな差はありません。
一般的には、承諾書の方が「相手方の行為を認める」というニュアンスが含まれ、同意書は「条件や内容に納得して同意する」という意味合いが強くなります。ただし、どちらを使う場合でも、文面の内容が法律の趣旨を満たしていれば問題はないでしょう。
保護者承諾書は何歳から何歳まで
未成年者は民法第4条で18歳未満の者を指す旨が定められています。前述の通り、第5条で未成年者の行為には保護者の承諾が必要です。
参考:民法|e-GOV法令検索
なお、2022年の民法改正で成人年齢が20歳から18歳に引き下げられた影響で、18~19歳が契約を行う際には特別な対応が求められる場合もあります。例えば、アルバイトや大きな買い物など特定の行為に関しては、依然として20歳以下の人には親の承諾を求める企業や団体も存在します。
また、医療行為(手術など)や学校関連(高校、大学)の手続きや行事では、保護者の関与が必要とされる場合もあるため、個別の規定を確認しましょう。
保護者の承諾が必要なケース
保護者承諾書が必要となるケースとして、アルバイトの雇用契約、修学旅行や海外研修などの旅行への参加、映画やテレビCMなどへの出演、企業のインターンシップ、スポーツやイベントの参加、医療行為(手術)などが挙げられます。
中には口頭のみで済ませる場合もありますが、トラブル防止の観点から書面化(同意書)が推奨されます。一方、日常生活での軽微な買い物など法律的に同意が不要とされるケースもあります。
保護者承諾書のひな形・テンプレート
保護者の承諾書をスムーズに作成するためには、ひな形(テンプレート)を利用するのが効果的です。契約書を1から作る必要がなくなり、契約手続きをスムーズに進められるでしょう。
ひな形は、そのまま使うのではなく、内容を確認して案件ごとにカスタマイズしましょう。内容を簡単に変更できる、ワード形式のひな形を選ぶのがおすすめです。
マネーフォワード クラウドでは、保護者承諾書のひな形・テンプレートを無料でダウンロードいただけます。適宜加筆修正して活用してください。
保護者承諾書に記載すべき内容
ここからはひな形をもとに、保護者承諾書の書き方や記載すべき内容について見ていきましょう。
書類のタイトルと宛先
「〇〇についての保護者承諾書」と明記することで、書類の内容がひと目でわかるようにしましょう。また、宛先として学校や団体名、代表者や担当者氏名を記載します。これにより、誰に向けた同意書なのかが明確になります。
同意の主旨と対象者情報
対象となる未成年者の氏名、保護者氏名を明確にしましょう。また、保護者住所、保護者緊急連絡先の項目を設け、緊急時に連絡が取れる電話番号などを記載してもらうことで、緊急事態が発生した際に迅速な対応が可能となります。
承諾内容
保護者が承諾する内容について記載します。例えば、学校行事への参加に関する承諾書であれば、当該未成年者が指示に従う義務と、指示違反によって損害が生じた場合の学校の責任免除、写真や動画の使用承諾、肖像権等の権利行使の放棄、個人情報の利用に関する承諾、同意違反時の措置についてなどの内容を盛り込みます。
保護者承諾書を作成する際のNGな書き方
承諾書に「損害賠償責任を全て未成年者本人に負わせる」など過度に不利な条件が含まれる場合は、法的に無効と判断される可能性があります。また、「取り消し不可」と一方的に記載しても、民法の規定に反するため、後から取り消されるリスクがあります。特に、企業が作成する場合、未成年者や保護者に一方的に不利な文言は避け、必要最低限の合理的条件だけを明記するよう留意しましょう。
保護者承諾書を交わす流れ
まず、企業や学校側が承諾書の書面を作成し、保護者に口頭で説明します。次に、保護者が内容を確認し、必要事項(氏名や連絡先など)を記入して署名・押印(もしくは電子署名)します。契約相手方が保護者承諾書を受け取り、控えを保管することで一連の手続きは完了します。内容に不備があった場合や疑問点がある場合は、書面再作成や追記を行い、再提出を求めるケースもあります。
保護者承諾書を交わさないリスク
保護者承諾書を取り交わさないまま契約すると、未成年者の行為が後から取り消されるリスクが高まります。特に高額な費用が発生する企画や、法的トラブルが想定される場合では、企業や学校側がクレームを受けたり、損害賠償を請求されたりする可能性があります。書面化しておくことで、保護者と企業や学校の認識ズレを防ぎ、責任の所在を明確にする効果があるのです。
保護者承諾書の保管年数や保管方法
承諾書は、その内容に応じて保管期間を決めるのが望ましいです。例えば、法人税法では契約や取引に関わる書類は7年間保管しておくことが定められています。労働関連書類の場合は5年間の保管が労働基準法で定められています。また、そのほか、企業や学校などの内部規定により、より長期の保存が求められる場合もあります。
紙書類ならキャビネットや鍵付きラックで、電子データなら改ざん防止機能のあるシステムで管理し、外部への漏えいや消失を防止しましょう。
保護者承諾書の電子化、電子契約は可能?
近年は電子署名サービスの普及により、保護者承諾書も電子契約が可能です。電子署名法に基づき、本人確認と改ざん防止措置が実装されていれば、紙と同等の法的効力を持ちます。
参考:電子署名及び認証業務に関する法律|e-GOV法令検索
参考:電子署名とは?仕組みや具体的なやり方までわかりやすく解説|Money Forwardクラウド契約
特に電子契約システムを用いれば、タイムスタンプが付与でき、改ざんを防げ、締結までスムーズに進められます。ただし、学校や医療機関では、まだ紙書類を中心に運用しているケースもあること、また、電子契約に抵抗感を示す保護者がいることも想定されるため、電子化の可否や運用方法を事前に確認しましょう。
関係者がトラブルに巻き込まれないためにも保護者承諾書は重要
保護者承諾書は、未成年者の安全確保と権利保護のための重要な書類です。各項目を明確に記載することで、保護者と学校双方の立場や責任がはっきりとし、万が一のトラブル発生時にもスムーズに対応できる基盤を整えることができます。
内容は関係者全員に理解しやすい表現にすることが望ましいです。専門家や複数人でのレビューも交えて、文面を作成しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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