• 更新日 : 2026年3月27日

時効の援用を内容証明で送るには?書き方、郵送方法をひな形つきで解説

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Point時効の援用通知書はどう書けば有効でしょうか?

時効の援用通知書は「債権の特定」と「援用の明示」が核心です。

  • 債権内容を具体記載
  • 時効完成を明示
  • 作成日を明確化

口頭でも有効ですが、証拠保全のため書面化が重要です。民法166条に基づく時効完成を明確に主張することが必要です。

時効の援用は、消滅時効が成立した債務を免れるために行う手続きのことです。

ここでは、事業者の方に向けて消滅時効や時効の援用について解説し、実務上重要となる内容証明郵便を使った手続きなどについても紹介します。適切な通知書の書き方についても取り上げていますので、ぜひご一読ください。

目次

時効の援用とは?

時効の援用とは、一定期間の経過により権利が消滅したことを当事者が主張する行為をいいます。消滅時効は、期間が経過しただけで自動的に効力が生じるわけではありません。法律上の要件を満たしたうえで、当事者が「援用」することで初めて効果が確定します。

時効の援用は、時効完成を理由に権利の消滅を主張する意思表示

民法166条では、債権は「権利を行使できると知った時から5年間」または「権利を行使できる時から10年間」行使されないと消滅すると定められています。金銭の支払請求など一般的な債権は、いずれか早い方の期間で時効が完成します。ただし、期間が満了しても自動的に権利が消えるのではなく、債務者が「時効を援用する」と意思表示する必要があります。

参考:民法第166条|e-GOV

援用しなければ時効は確定せず、支払義務が残る場合がある

時効の援用は、口頭や書面、訴訟上の主張などによって行われます。援用がなければ、債権者の請求に応じて支払いをしてしまうこともあり、その場合は原則として返還を求められません。したがって、時効が完成しているかどうかを確認し、必要に応じて明確に援用することが重要です。時効制度は当事者の利益保護を目的とするものであり、その行使は当事者の意思に委ねられています。

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時効の援用を通知するケースは?

どのようなケースで事業者が時効の援用を行うのか、以下に具体的な状況をいくつか挙げて説明します。これらのケースでは、事業者は請求書や契約書の内容を確認し、最終的な支払期日から一定期間(通常5年)が経過しているかどうかを確認することが重要です。

商品納入後の未払金請求

例)ある卸売業者が小売業者に対して商品を納入した際、30日以内の支払いが合意されていた。しかし、小売業者はさまざまな理由により支払いを行わず、そのまま数年が経過。その後、卸売業者は小売業者に対して請求を行ったが、小売業者は時効の援用を主張して支払いを拒んだ。

サービス提供後の契約金未払い

例)あるコンサル会社が、クライアントに対してサービスを提供した後に請求書を送付したものの、クライアントは支払いを行わなかった。そのまま年月が経過して時効が完成。コンサル会社に対し時効の援用の通知を行うことで、権利を消滅させられる。

業務委託契約に基づく報酬の未払い

例)フリーランスとして働くデザイナーが、クライアントから依頼されたデザイン制作を完了させてから請求書を発行した。しかし、クライアントは支払いを怠り、そのまま年月が経過して時効が完成。その後、フリーランス側が請求を再度行ったが、クライアントは時効の援用を通知することで請求権の消滅を主張できる。

時効の援用通知書のひな形・例文

時効の援用をするには、相手方にその意思を伝えなくてはなりません。そのときの通知書として使えるひな形をこちらに用意しましたので、作成時の参考にしてください。

時効の援用通知書に記載すべき内容や書き方は?

時効の援用をするための通知書の書き方に決まりはありません。もともと援用は口頭でもよく、それを形に残すための通知書ですので、要点さえ押さえておけば自由な形式で作成できます。

作成時のポイントは、以下で紹介する「債権の特定」と「時効援用の意思表示」です。これらに加えて、作成日も記載しておきましょう。

債権の特定

時効の援用通知書では、どの債権に対して時効の援用を行うかを明確にしなければなりません。具体的には以下の情報を記載します。

  • 債権者の情報・・・債権者が法人の場合は名称・代表者名・住所を、個人の場合は氏名と住所を記載する
  • 債務者の情報・・・自分自身(債務者)の氏名・生年月日・住所を記載する
  • 契約内容・・・契約日・契約金額・最終支払日などを具体的に記載、契約番号などもあれば記載する
  • 証拠資料・・・契約書や請求書など、関連する証拠資料についても言及するとよい

特に、同じ債権者と複数の契約を交わしているケースでは、どの契約について時効を主張しているのかを明確にすることが重要です。

時効援用の意思表示

通知書には「時効の援用を行う」という明確な意思表示も必要です。具体的には、次のような文言を書き加えておくとよいでしょう。

・・・令和●年〇月〇日の経過により、民法166条規定の消滅時効が既に成立しております。したがいまして、当方は上記消滅時効を援用し、貴社の前記債権の支払い請求を拒絶させていただきます。

法律の条項を引用して法的根拠を強調することも効果的です。

時効の援用通知書を作成する際の注意点は?

時効の援用通知書は、消滅時効の完成を理由に支払義務を否定する重要な書面です。形式的に作成するだけでなく、法的要件や今後の影響を十分に理解したうえで慎重に対応する必要があります。ここでは、作成時に押さえるべきポイントを整理します。

時効が完成しているかを事前に正確に確認する

前述のとおり、民法166条により、債権は原則として「知った時から5年」または「行使可能時から10年」で消滅します。ただし、途中で一部弁済や支払約束をした場合は時効が更新される可能性があります。請求履歴や支払履歴、債務承認の有無を確認し、時効が確実に完成しているかを検証することが不可欠です。

援用の意思を明確かつ具体的に記載する

通知書には、「消滅時効が完成しているため、これを援用する」旨を明確に記載します。対象となる債権の内容、契約日、請求金額なども具体的に示し、どの債務について援用するのかを特定します。曖昧な表現では援用の効力が争われるおそれがあります。

援用後の法的・信用上の影響を理解したうえで対応する

時効を援用すると法的な支払義務は消滅しますが、相手方との関係悪化や信用情報への影響が生じる場合があります。特に金融機関との取引では、将来の契約に影響する可能性もあります。法的効果だけでなく、実務的・社会的影響も踏まえて判断することが大切です。

時効の援用通知書は内容証明郵便を利用すべき?

時効の援用は、相手方に対する明確な意思表示によって効力が生じます。そのため、通知方法は重要なポイントとなります。法律上は特定の送付方法が義務づけられているわけではありませんが、証拠性の観点からは慎重な対応が求められます。

法律上は内容証明郵便でなくても援用は有効である

時効の援用は、相手方に到達すれば効力を生じるため、普通郵便やメールでも法的には成立します。民法上、援用の方法について特別な形式は定められていません。ただし、相手方が「受け取っていない」「そのような通知は知らない」と主張した場合、到達の事実を証明できなければ争いになる可能性があります。

実務上は証拠保全のため内容証明郵便が推奨される

内容証明郵便を利用すれば、「いつ」「誰が」「どのような内容で」通知したかを公的に証明できます。さらに配達証明を付けることで、相手方が受領した事実も客観的に残せます。将来訴訟に発展する可能性がある場合や、高額な債務が対象となる場合には、内容証明郵便で送付することで紛争リスクを大きく減らすことができます。

時効の援用通知書の保管期間・保管方法は?

時効の援用通知書について、法律で定められた保存義務はありません。しかし、援用の事実は将来の紛争や訴訟で重要な証拠となるため、長期間の保管が推奨されます。

【保管期間】法定義務はないが、時効期間経過後も長期保管が望ましい

時効の援用通知書は、債務が消滅したことを証明する重要な資料です。万一、債権者が再度請求してきた場合や、裁判に発展した場合に備え、少なくとも関連する債権の時効期間を十分に経過した後も保管しておくことが望ましいといえます。実務上は、トラブルの可能性が完全に解消されるまで、半永久的に保管するケースもあります。通知書本体だけでなく、内容証明郵便の控えや配達証明、援用後のやり取りも一体で保存しておくことが重要です。

【保管方法】債権ごとに整理し、証拠性を維持できる形で厳重管理する

保管方法に法的な定めはありませんが、重要書類として厳重に管理する必要があります。紙の場合は、債権ごとにファイリングし、施錠可能な棚やキャビネットで保管します。電子データで保存する場合は、改ざん防止措置やバックアップを講じ、真正性を確保します。通知日・債権者名・対象債権を明確に整理しておくことが、後日の証明力を高めるポイントです。

時効の援用通知書など証拠書類の管理における課題

時効の援用を証明する通知書や関連する契約書類は、万が一相手方と争いになった際に備えて適切に保管しておく必要があります。しかし、実務の現場ではこうした書類の管理に課題を抱えるケースも少なくありません。

株式会社マネーフォワードでは、契約書の管理や保存に関する業務経験者を対象に、契約書に関する調査を実施しました。契約書の管理や保存を行う中での課題や負担を尋ねたところ、最も多いのは過去の契約書を探し出すのに時間がかかることで、34.4%でした。次いでスキャンや台帳入力などの事務作業の工数が多いことが28.6%、電子帳簿保存法などの法令対応が不十分、または不安があることが24.5%と続いています。

いざという時にすぐ証拠を提示できる保管体制を

時効の援用を行った後でも、相手方から反論されたり訴訟に発展したりした場合には、過去の通知書の控えや契約書などを速やかに確認して証拠として提示する必要があります。調査データからも書類の検索に時間がかかることが大きな負担となっていることが読み取れるため、必要な時にすぐ証拠書類を探し出せるよう、紙の原本だけでなく電子データとしても管理するなど、整理された保管体制を日頃から整えておくことが大切です。

出典: マネーフォワード クラウド、調査③ 契約書の管理・保存における課題・負担(Q4)【契約書の種類・書き方に関する調査データ】(回答者:契約書の管理業務経験者416名、集計期間:2026年2月実施)

時効の援用通知書の電子化は可能?

時効の援用は、法律上その方法が限定されていないため、理論上は電子的な方法で行うことも可能です。ただし、実務上は証拠性や相手方の受領確認の観点から慎重な対応が求められます。ここでは、電子化の可否と注意点を整理します。

電子メール等による援用も法的には可能

時効の援用は相手方に到達することで効力を生じる意思表示です。そのため、通知書を電子的に作成し、メールなどで送付する方法も法的には有効と考えられます。電子署名やタイムスタンプを付与すれば、差出人の本人性や送付日時の客観的証明力を高めることも可能です。

証拠性と到達確認の確実性が課題

もっとも、電子的な援用はまだ一般的とはいえず、相手方が「受信していない」と主張するリスクがあります。また、相手の環境によってはメールの受領確認が困難な場合もあります。確実に時効を援用したい場合には、紙で作成し、到達証明が可能な方法で送付することがより安全といえます。

時効の援用通知書を送った後の流れは?

時効の援用通知書を送付すると、直ちに請求が止まるとは限りません。相手方の対応によっては、交渉や裁判に発展する可能性もあります。

債権者が時効を認めれば請求は終了する

通知書を受け取った債権者が、時効の完成を認めた場合は、それ以上の請求は行われません。債務は法的に消滅し、支払義務はなくなります。この場合、特段の追加手続きは不要ですが、将来のトラブルに備えてやり取りの記録は保管しておくべきです。

債権者が反論・請求継続する場合は法的判断となる

債権者が「時効は完成していない」と主張し、請求を継続する場合があります。この場合は、時効期間の計算や債務承認の有無が争点となります。内容証明郵便の控えや契約書、支払履歴などの証拠を整理し、必要に応じて専門家へ相談することが重要です。

訴訟や支払督促に発展した場合は裁判上で援用する

債権者が訴訟や支払督促を申し立てた場合でも、裁判手続の中で改めて時効を援用することができます。裁判所に対して時効完成を主張しなければ、自動的に考慮されるわけではありません。適切な対応を行えば、請求が棄却される可能性があります。

時効援用の重要性を理解・実践しよう

時効の援用は債務者にとって重要な法的手続きです。ここで紹介した通知書の書き方を踏まえて、適切に主張できるように備えましょう。

また、内容証明郵便で通知書を送付し、相手方に意思表示する方法について理解しておくことも重要です。どうやって通知するのか、何に注意しないといけないのかなどについては、当記事を参考にするほか、専門家に相談しながら慎重に対応していくことをおすすめします。

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