- 更新日 : 2024年8月27日
著作権侵害に基づく警告書とは?ひな形をもとに書き方や注意点を解説
著作権侵害に基づく警告書とは、自社の著作権を侵害する者に対して、侵害行為の停止を求める警告書です。侵害行為の内容や侵害に当たる理由を正確に示し、速やかな停止を求める旨を明記しましょう。本記事では、著作権侵害に基づく警告書の書き方やレビューのポイントを、文言の具体例を示しながら解説します。
目次
著作権侵害に基づく警告書とは
著作権侵害に基づく警告書とは、著作権に対する侵害行為の停止を求める警告書です。
音楽・動画・文章・美術などの著作物には、その作者に「著作権」が認められます。著作権者は原則として、著作物を独占的に利用できます。
著作権者の許諾を得ずに、著作物の複製・公衆送信・翻案(パロディ化)などを行うことは、私的利用など一部の例外を除いて「著作権侵害」に当たります。
著作権者は、侵害者に対して侵害行為の差止めなどを請求できます。著作権侵害に基づく警告書は、著作権者が侵害者に対して差止請求などを行う際に送付する書面です。
著作権に関する詳細については、以下の記事を併せてご参照ください。
著作権侵害に基づく警告書を作成するケース
著作権侵害に基づく警告書を作成・送付するのは、自社の著作権が侵害されていることを発見した場合です。具体的には、以下のようなケースにおいて著作権侵害に基づく警告書を作成・送付します。
- 自社が制作した動画コンテンツが、別のサイト上に無断でアップロードされていた。
- 自社が制作したキャラクターと酷似したキャラクターを主人公とする作品が、他社によって無断で公表されていた。
など
著作権侵害に基づく警告書のひな形
著作権侵害に基づく警告書のテンプレートは、以下のページからダウンロードできます。実際に著作権侵害に基づく警告書を作成する際の参考としてください。
※ひな形の文例と本記事で紹介する文例は、異なる場合があります。
著作権侵害に基づく警告書に記載すべき内容
著作権侵害に基づく警告書には、以下の事項などを記載しましょう。
①著作物の表示・侵害行為の内容
(例)私は、写真家を生業としており、活動報告及び広報の一環として、私のホームページに私自身が撮影した作品を掲載しています。
しかしながら、このたび貴殿が開設しているブログ「○○」において、上記ホームページ掲載の私の作品が○点、無断で使用されていることが判明しました。しかも、貴殿はこれらの作品につき、自分で撮影したと述べています。これらの行為は、私の著作権及び著作者人格権を侵害するものです。
②求める対応(差止めなど)の内容
(例)したがって、私は貴殿に対し、直ちに貴殿のブログにおける私の作品の使用を取りやめること、当該作品が私の著作物である旨を同ブログ上にて公表すること、及び私に対する謝罪を請求いたします。
③差止めなどが行われない場合の対応
(例)なお、本書面到達後○日以内に、貴殿が誠意ある対応を行わない場合は、私は貴殿に対し、侵害行為の差止め及び損害賠償を請求する訴訟を提起する所存であることをあらかじめ警告いたします。
著作権侵害に基づく警告書を作成・送付する際の注意点
著作権侵害に基づく警告書を作成・送付する際には、侵害の内容および理由を正確に明示する必要があります。前掲の記載事項を参考にして、書くべき事項を漏れなく記載しましょう。
また、著作権侵害に基づく警告書の送付に当たっては、相手方へ確実に届いたことを確認できる方法を用いましょう。
そのためには、追跡機能がある郵便を利用するとよいでしょう。追跡機能がある郵便の一例は、各種書留(一般書留・簡易書留など)、特定記録郵便、レターパックなどです。
参考:郵便追跡サービス|郵便局
また、費用は少し高いですが、配達証明付き内容証明郵便を利用することも選択肢の一つです。相手方に警告書が到達すれば、郵便局から配達証明が届きます。配達証明は、相手方に著作権侵害に基づく警告書が届いたことの証拠として用いることができます。
なお、電子メールや問い合わせフォームなどを利用して警告を行うことも考えられますが、相手方が確認したかどうかをチェックできないのが難点です。基本的には、郵便で警告書を送付することをおすすめします。
著作権侵害に基づく警告書を受け取った場合の対処法
著作権侵害に基づく警告書が他社から送られてきたら、相手方の警告が正当なものであるかどうかを直ちに検討しましょう。
相手方の著作物を無断でコピーして販売・配信したり、別のコンテンツに登場させたりする行為は、著作権侵害に当たります。自社がこのような行為をしていることが判明したら、直ちに商品の回収や配信停止などの措置を行いましょう。
また、既存の著作物を参考にして別の著作物を生み出す行為も、著作権侵害(翻案権侵害)に当たる可能性があります。
翻案権侵害の成否は、自社の著作物を客観的な視点で見た際に、相手方の著作物の本質的特徴を直接感得できるかどうか(=直接感得性)の観点から判断されます。直接感得性については専門的な検討を要しますので、顧問弁護士などのアドバイスを求めましょう。
相手方の警告に正当な理由がないと思われる場合は、法的な根拠に基づいて反論し、差止めの義務はないことを毅然と主張しましょう。反論に当たっては、やはり顧問弁護士などのサポートを受けることをおすすめします。
著作権侵害に基づく警告書により、侵害行為に毅然と対処しましょう
著作権侵害を放置していると、自社の作品やキャラクターのイメージを損なわれてしまうなど、重大な弊害が生じるおそれがあります。
もし自社の著作物が他社に無断で使用されていることを発見したら、速やかに著作権侵害に基づく警告書を送付しましょう。侵害行為は断固として許さないというメッセージを毅然と伝えることが、著作権侵害によるトラブルを適切な形で解決するための第一歩となります。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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