• 更新日 : 2024年8月30日

残業代支払請求書とは?ひな形をもとに書き方や提出方法を解説

残業代支払請求書とは、残業代が未払いのときに事業者に提出する書類です。決まったフォームはありませんが、残業代を請求するという意思を事業者に伝えるために必要です。書き方や記載すべき内容、注意するポイントについてまとめました。また、残業代支払請求書を提出すべきケースを、具体例を挙げて解説します。

残業代支払請求書とは

残業代支払請求書とは、未払いの残業代がある場合に事業者に提出する書類です。特定のフォームはないため、基本的には必要事項を記入して自作します。

残業代支払請求書は、残業代を請求する意思を事業者に伝えるために必要な書類です。残業代の請求には時効があり、3年間未請求のまま放置すると請求権がなくなることもあります。労働の対価を正当に受け取るためにも、時効が成立する前に未払いの残業代を請求しましょう。

労働基準法では、以下のように定められています。

第百十五条の規定の適用については、当分の間、同条中「賃金の請求権はこれを行使することができる時から五年間」とあるのは、「退職手当の請求権はこれを行使することができる時から五年間、この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)の請求権はこれを行使することができる時から三年間」とする。

引用:e-Gov 法令検索 労働基準法 第143条3項

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残業代支払請求書を作成・提出するケース

残業代支払請求書は、主に次のケースで作成・提出します。

  • 給料に残業代が含まれていないとき
  • 過去の残業代がまだ支払われていないとき
  • 残業代請求の時効が成立しそうなとき

本来なら通常の給料と共にその間の残業代が支払われるべきです。たとえば、月末締め翌月20日に給料が支払われる事業所なら、5月30日に発生した残業代は、5月分の給与として6月20日に支払われることになります。

しかし、給与明細書に残業代について記載されておらず、なおかつ残業代が支払われていない場合は、残業代の支払いを勤務先に請求する必要があるでしょう。

また、過去の残業代が清算されていない場合も、残業代支払請求書を作成・提出します。請求せずに放置し、本来受け取るべき日(残業代が発生した日の給与支給日)から3年が経過すると請求権を失うことになるかもしれません。

「後で支払う」と事業者側から口約束されている場合でも、放置すると時効が成立する可能性があります。残業代支払請求書を内容証明郵便で送付すると「残業代を請求した」という客観的な証拠となるため、時効成立を6ヶ月遅らせることが可能です。

残業代支払請求書のひな形・テンプレート

残業代支払請求書には決まったフォームはありませんが、労働者側の主張を正確に事業者側に伝えるためにも、要点を押さえた文書として作成する必要があります。抜け漏れのない残業代支払請求書を完成させるためにも、ぜひひな形を使って作成するようにしましょう。

残業代支払請求書のひな形は、以下から無料ダウンロードできます。ぜひご利用ください。

残業代支払請求書に記載すべき内容

残業代支払請求書は、次の項目別に記載すると、主張するべき内容を網羅できます。

  • 表題
  • 事業者との関係
  • 残業代の未払いが発生した期間、未払いの金額
  • 残業代の支払方法
  • 残業代の未払いが続くときの処置
  • 請求日、請求先、請求者の情報

それぞれの項目で記載する内容を紹介します。

表題

何を目的とした書類か一目で把握できるように表題をつけます。中央上部に「残業代支払請求書」と記載しましょう。

事業者との関係

請求者と事業者の関係についても記載しましょう。現在も勤務している場合なら雇用開始日、かつて勤務していた場合なら、「〇年〇月〇日まで貴社に従業員として勤務しておりました」と記載すると請求者を特定しやすくなります。

残業代の未払いが発生した期間、未払いの金額

請求者と事業者の間で認識の相違を回避するためにも、残業代の未払いが発生した期間と金額について記載します。「〇年〇月〇日から〇年〇月〇日にかけて合計〇時間の時間外労働」が発生し、「貴社就業規定に基づき計算したところ、残業代として合計〇円が未払い」と明記してください。

残業代の支払方法

すでに退職している場合なら、振込みによって残業代を受け取ることが一般的です。振込先の口座情報(金融機関名・支店名・口座種別・口座番号・名義人名)と、支払期限も記載してください。

残業代の未払いが続くときの処置

支払期限までに未払いの残業代が支払われなかった場合を想定し、どのような処置をとるのか明記しておきましょう。「万一期間内にお支払いがない場合、労働審判等の法的手段をとらせていただきます」のように記載することが一般的です。

請求日、請求先、請求元の情報

残業代支払請求書は、時効成立を回避することも目的のため、請求日について明記してください。また、請求先(事業者)と請求元(労働者)の住所や名称についても記載します。本人が請求していることを示すためにも、請求元の氏名の横には押印しておきましょう。

残業代支払請求書を提出する際の注意点

残業代支払請求書を提出する際には、次の点に注意してください。

  • 内容証明郵便で送付する
  • 未払いを証明できる書類があるときは添付する
  • 他に残業代が支払われていない労働者がいるか確認する

残業代支払請求書を提出するときは、日本郵便の内容証明郵便を利用しましょう。内容証明郵便とは、いつ・誰から誰に・どのような内容の文書を差し出したか日本郵便が証明する制度です。通常の郵便料金に加え、一般書留の加算料金と内容証明の加算料金が必要ですが、時効成立を遅らせるためにもぜひ利用してください。

内容証明郵便では資料を添付できないため、残業代の未払いを証明できる書類があるときは、コピーしたものを別送で添付するようにしましょう。たとえば、給与明細やタイムカード、勤怠管理システムの記録などが証拠として活用できるかもしれません。

もし、残業代が支払われていない労働者が他にもいるときは、集団として請求するほうが良いこともあります。また、未払いの残業代を請求しても支払われないときは、労働組合や労働基準監督署にも相談してみましょう。

参考:日本郵便株式会社 内容証明

弁護士に相談すべきケース

未払いの残業代は、残業代支払請求書を提出することで請求します。しかし、残業代支払請求書に記載した支払期限になっても残業代が支払われないときは、弁護士に相談するのも一つの方法です。

労働問題に詳しい弁護士なら、残業代未払いについてもスムーズに対応してもらえます。無料相談を実施している法律事務所もあるため、一度、相談してみましょう。

なお、無料で相談できる時間は30分程度のことが一般的です。時間を超過しないように、要点を紙などにまとめてから法律事務所に行くようにしてください。

また、未払いの証拠がある場合は持って行くようにしましょう。タイムカードや勤怠管理システムのデータをコピーしたもの、就業規則や時間外労働に対する賃金について記載された文書があると説明しやすくなります。

行政の窓口にも相談してみよう

未払いの残業代があるときは、雇用者側に残業代支払請求書を作成・提出し、支払いを促してください。未払い分の時間外労働時間と金額、請求日について明記し、内容証明郵便で送付することで、残業代請求の時効成立を回避できることがあります。

残業代支払請求書を提出したにもかかわらず、残業代が支払われないときは、行政の窓口にも相談してみましょう。厚生労働省の労働条件相談「ほっとライン」では、年末年始を除く毎日電話相談を受け付けています。土日祝日も9:00~21:00まで対応しているため、平日忙しい方も利用できるでしょう。

また、事業所を管轄する都道府県労働局に相談するのも一つの方法です。ぜひ相談してみましょう。

未払いの残業代を請求せずに放置すると、時効が成立し、正当な報酬であっても受け取れない可能性があります。労働の対価を正しく受け取るためにも、早めに行動するようにしてください。

参考:厚生労働省 労働条件相談「ほっとライン」
参考:厚生労働省 都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧
参考:厚生労働省 労働基準行政の相談窓口


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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