- 更新日 : 2024年8月30日
電子委任状とは?認められる形式や作成方法をテンプレつきで紹介
電子委任状とは、 法人の代表者が使用人などに代理権を与えた旨を提示するために作成・発行する電磁的記録です。電子委任状には法令で定められた形式や、記載が必須の項目などがあり、正式な手順に従う必要があります。
本記事では、電子委任状の概要や作成方法などをテンプレート付きで解説します。
■「電子委任状(法人用)」のテンプレート/ひな形はこちら
■「電子委任状(個人向け)」のテンプレート/ひな形はこちら
目次
電子委任状とは
電子委任状とは、 法人の代表者が使用人や税理士などに代理権を与えたことを示すための電磁的な記録のことです。
商取引における相手企業との契約や、行政機関などへの申告・申請のたびに企業の代表者が委任状の作成・署名などの手続きを行うのは現実的ではありません。電子的な技術・制度が整備されてきた昨今、電子委任状を使うことで代表者から委任を受けた役員または職員の電子署名を付与して契約や申告・申請を行うことが広まりつつあります。
電子委任状を利用するケース
電子委任状を利用するケースとして、具体的には、次のような例が挙げられます。
企業間の契約手続き
企業間ではさまざまな商取引が行われ、契約が締結されますが、近年は契約手続き自体が電子化されています。そこで、企業の代表者が使用人である自社の担当者に対して、契約の締結権限を委任する際に電子委任状を使用します。これにより、代表者が直接契約手続きを行う必要がなくなり、契約業務全体の効率化を図れます。
行政機関への申請手続き
昨今の急速なデジタル化は、企業活動だけでなく行政手続きにおいても推進されています。企業として行う申請・申告などの諸手続きもオンラインで行えるようになりました。行政手続きを行う際に電子委任状を使用することで社員や税理士などが代理人になることができ、代表者自らが行政手続きに時間を割く必要がなくなります。
電子委任状として認められる形式
電子委任状として3つの方式が認められています。2つは委任者の委託を受けて電子委任状取扱事業者が電子委任状の記録作業を実施する形式、1つは委任者自らが電子委任状を作成する形式です。
電子証明書方式
電子証明書方式は、電子委任状取扱事業者(電子委任状取扱業務の認定を受けた者)が 委任者からの委託を受けて、電子証明書に記録する方式です。
電子委任状取扱事業者は、代理権など電子委任状に必要な項目を電子証明書に記録し、受任者に対して発行します。
取扱事業者記録ファイル方式
取扱事業者記録ファイル方式は、電子委任状取扱事業者が委任者からの委託を受けて、電子証明書とは別の電磁的記録に電子委任状として必要な項目を記録する方式です。
取扱事業者記録ファイル方式では、電子委任状取扱事業者は、電磁的記録を電子委任状として発行・保管し、契約の相手方などの求めに応じて提示します。
委任者記録ファイル方式
委任者記録ファイル方式は、委任者自らが電子委任状を作成・発行する形式です。電子委任状取扱事業者の利用は必須ではありません。
電子委任状取扱事業者を利用する場合は、委任者が作成した電子委任状を送付し、登録・保管してもらいます。契約相手方などから閲覧の求めがあった場合に、電子委任状取扱事業者が電子委任状を提示します。
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電子委任状のテンプレート/ひな形
以下のページより、電子委任状のひな形(委任者自らが作成する方式)をダウンロードできます。本ひな形は弁護士の監修済みです。電子委任状を作成する際にご活用ください。
電子証明書方式および取扱事業者記録ファイル方式を利用する際は、電子委任状取扱事業者に相談の上、電子委任状の作成を行ってください。
電子委任状に記載すべき項目
次に、電子委任状に記載が必須となる項目について解説します。
以下の記載項目は、委任者自らが電子委任状を作成する「委任者記録ファイル方式」のものです。
委任者の情報
委任者(本人)については、以下の内容を記載します。法人の場合と個人事業主の場合で異なります。
(法人の場合)
- 法人である旨
- 国税庁が指定する法人番号
- 法人の商業登記における法人名称
- 法人の商業登記における本店所在地
- 法人の代表者名
(個人事業主の場合)
- 個人事業主である旨
- 屋号(任意)
- 本人の氏名
- 本人の住所
- 本人の生年月日(任意)
受任者の情報
受任者(代理人)については、以下の内容を記載します。こちらは法人と個人事業主の区別はありません。
- 受任者の識別名(氏名等)
- 受任者の役職・肩書
- 受任者の所在地(本社所在地と異なる場合に記載)
- 受任者の識別子
受任者の所在地は、法人が登記する本店所在地と異なる所在地に勤務している場合に記載が必要です。
代理権の情報
委任者が受任者に委任する権限の内容については、以下の内容を記載します。法人と個人事業主の区別はありません。
- 代理権の内容
- 代理権の制限(任意)
- 委任期間
代理権の制限は、行為先の特定など補足が必要な場合に記載する任意の項目です。
電子委任状の提出方法
電子委任状を利用する際には、前述した電子委任状の方式によって手順が異なります。それぞれの方式の利用方法は以下のとおりです。
電子証明書方式の手順
電子証明書方式の利用手順は以下のとおりです。
- 委任者から受任者へ代理権の授与をする
- 委任者から電子委任状取扱事業者に電子委任状の発行申請を行う
- 電子委任状取扱事業者が電子委任状を電子証明書に記録し、受任者に発行する
- 受任者は電子署名付きの契約書を契約相手などに送付
取扱事業者記録ファイル方式の手順
取扱事業者記録ファイル方式の利用手順は以下のとおりです。
- 委任者から受任者へ代理権の授与をする
- 委任者から電子委任状取扱事業者に電子委任状の発行申請を行う
- 電子委任状取扱事業者が電子委任状を発行・保管
- 電子委任状取扱事業者が契約相手からの求めに応じて電子委任状を提示
委任者記録ファイル方式の手順
委任者記録ファイル方式で、 電子委任状取扱事業者を利用しない場合の手順は以下のとおりです。
- 委任者から受任者へ代理権の授与をする
- 作成した電子委任状を受任者へ送付
- 電子委任状を契約相手などに提示
なお、委任者記録ファイル方式で電子委任状取扱事業者を利用する場合は、取扱事業者記録ファイル方式に準じた流れとなります。ただし、委任者記録ファイル方式は、電子委任状の発行主体が委任者になる点が異なります。
電子委任状は電子委任状取扱事業者に依頼しよう
電子委任状は、企業の代表者などが社員・税理士などに代理権を与えたことを証する書類です。電子契約やオンライン手続きが広まってきた昨今、企業活動の効率化やコスト削減などに向けた流れもあり、商取引において一般的になりつつあります。
電子委任状には、電子委任状取扱事業者を利用する方式と、委任者自らが作成・発行する方式があります。
電子委任状の利用で最も重要なことは、第三者による不正な発行や改変を防ぐことです。契約相手の信頼を得るためにも、電子委任状の発行は電子委任状取扱事業者に依頼することをおすすめします。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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