- 更新日 : 2024年8月29日
転籍契約書とは?ひな形をもとに書き方や注意点を解説
転籍契約書とは、労働者が転籍する際に、転籍元・転籍先・労働者の三者間で締結する契約書です。退職や雇入れの具体的な条件は、労働者が転籍元・転籍先との間で締結する契約書で定めるので、転籍契約書は簡素な内容で締結するのが一般的です。本記事では、転籍契約書の書き方やレビュー時のポイント、定めるべき事項の具体例などを解説します。
目次
転籍契約書とは
転籍契約書とは、労働者が転籍する際に締結する契約書です。
転籍とは、転籍元および転籍先との事前調整を経た後、労働者が現在雇用されている会社との間の雇用契約を終了し、別の会社との間で新たに雇用契約を締結することをいいます。人事異動の一環として、労働者の転籍が行われることがあります。
転籍契約書には、転籍に関する包括的な合意の内容を定めます。
転籍については、以下の記事を併せてご参照ください。
この記事をお読みの方におすすめのガイド5選
最後に、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
電子契約にも使える!契約書ひな形まとめ30選
業務委託契約書など各種契約書や、誓約書、念書・覚書、承諾書・通知書…など使用頻度の高い30個のテンプレートをまとめた、無料で使えるひな形パックです。
導入で失敗したくない人必見!電子契約はじめ方ガイド
電子契約のキホンからサービス導入の流れまで、図解やシミュレーションを使いながらわかりやすく解説しています。
社内向けに導入効果を説明する方法や、取引先向けの案内文など、実務で参考になる情報もギュッと詰まった1冊です。
紙も!電子も!契約書の一元管理マニュアル
本ガイドでは、契約書を一元管理する方法を、①紙の契約書のみ、②電子契約のみ、③紙・電子の両方の3つのパターンに分けて解説しています。
これから契約書管理の体制を構築する方だけでなく、既存の管理体制の整備を考えている方にもおすすめの資料です。
自社の利益を守るための16項目!契約書レビューのチェックポイント
法務担当者や経営者が契約書レビューでチェックするべきポイントをまとめた資料を無料で提供しています。
弁護士監修で安心してご利用いただけます。
法務担当者向け!Chat GPTの活用アイデア・プロンプトまとめ
法務担当者がchat GPTで使えるプロンプトのアイデアをまとめた資料を無料で提供しています。
chat GPT以外の生成AIでも活用できるので、普段利用する生成AIに入力してご活用ください。
転籍契約書を作成するケース
転籍契約書は、会社が別の会社へ労働者を転籍させる際、または別の会社から転籍する労働者を自社で雇用する際に締結します。
転籍元と転籍先の間で事前調整を行った後、労働者から転籍についての同意を得たうえで、転籍元・転籍先・労働者の三者間で転籍契約書を締結します。
転籍契約書のひな形
転籍契約書のひな形は、以下のページからダウンロードできます。実際に転籍契約書を作成・締結する際の参考としてください。
転籍契約書に記載すべき内容
転籍に伴う退職および雇入れに関する詳細な条件は、労働者が転籍元および転籍先との間でそれぞれ締結する契約書で定めるのが一般的です。
この場合、転籍契約書に定めるべき事項は、比較的簡素なものとなります。具体的には、以下の事項などを定めます。
①退職・雇入れ
②転籍後の指揮命令・勤務条件
③転籍に関する事務手続き等
退職・雇入れ
労働者が転籍元の会社を退職し、転籍先の会社が新たに労働者を雇用する旨を定めます。転籍元からの退職については、労働者が同意している旨を明記しましょう。
(例)甲は、令和○年○月○日付で本人の同意の下に丙を退職させ、乙は令和○年○月○日付で同人を社員として採用する。
転籍後の指揮命令・勤務条件
転籍後の指揮命令は転籍先の会社が行い、転籍後の勤務条件は転籍先の会社における就業規則などが適用される旨を定めます。
(例)転籍後の丙に対する指揮・命令権は、全て乙に帰属する。
2 丙の乙における勤務条件は、乙の就業規則そのほか諸規程を適用する。
転籍に関する事務手続きなど
転籍に関する事務手続きについては、転籍契約書において詳しく定めるケースもありますが、以下の例のように別途協議としておくケースもあります。
(例)本契約に関する事務手続きについては、甲乙間で別途協議する。
2 本契約に定めなき事項または本契約の解釈に疑義が生じた事項については、甲乙間において真摯に協議するものとする。
転籍契約書を作成・レビューする際のポイント
転籍契約書の内容は、(具体的な転籍の条件を別の契約書で定めるため)比較的簡素なものとなることが多いです。
そのため、契約書の文言に関する注意事項はそれほど多くありません。転籍元を退職する旨、転籍先において新たに雇用される旨、および転籍について労働者が同意している旨などを定めれば、おおむね足ります。
しかし、転籍に伴う労働条件の変化に関して、労働者との間でトラブルになるケースがよくあります。転籍元・転籍先の各企業において、労働者とのトラブルを予防するための対応に努めなければなりません。
転籍元の企業は、労働条件やキャリアへの影響を適切に説明し、転籍について労働者の納得と同意を得る必要があります。転籍先の企業は、転籍後の労働条件を適切に設定し、その内容を偽りなく労働者に明示することが大切です。
転籍元の企業と転籍先の企業の間のコミュニケーションも欠かせません。各企業の認識に齟齬があると、労働者に対する説明が食い違ってトラブルになる恐れがあります。転籍後の労働条件などについて、転籍元・転籍先の間で認識を共有しておきましょう。
転籍契約書を締結する際には、労働者とのトラブル防止を念頭に置きましょう
転籍契約書は、転籍について転籍元・転籍先・労働者の三者間で認識を共有し、労使間のトラブルを予防することを目的としています。
転籍に関する条件の詳細などは、転籍契約書とは別に、転籍元・転籍先がそれぞれ労働者との間で締結する書面にて定めるケースが多いようです。これらの書面は、転籍契約書と一体的に管理する必要があります。
転籍契約書や関連する書面を作成する際には、労働者との紛争を予防できるように、労働条件などを明確に記載することが大切です。必要に応じて顧問弁護士などのリーガルチェックを受け、適切な内容の書面を作成・締結しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
契約の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
借地権付建物売買契約書とは?ひな形をもとに記載項目や注意点を解説
借地権付建物売買契約書は、借地権のある土地上の建物を売買する際に使われる書面です。借地権とは、建物を持つために他人の土地を借りる権利になります。 本記事では、借地権付建物売買契約書の概要を押さえ、その後ひな形を使って記載事項と作成ポイントを…
詳しくみる株式移転計画書とは?ひな形をもとに書き方や注意点を解説
株式移転計画書は、企業が行う株式移転の際に必要となる重要な文書です。新設される親会社に関する基本事項や株式の配分、資本構成などを詳細に記載する必要があります。株式移転は、企業間で完全親子会社関係を構築するM&A手法の一つです。本記事では、計…
詳しくみる販売委託契約書とは? ひな形付きで目的や作成のポイントを解説!
販売委託契約は第三者に商品の「販売」という「業務」を委託する、「業務委託契約」の一種です。 販売委託契約書を作成する際は、業務委託契約を交わす際の注意点だけでなく、販売という業務の特殊性も考慮する必要があります。 販売委託契約書とは 販売委…
詳しくみる共同経営契約書とは?雛形をもとに記載事項など解説!
複数人が一つの事業を共同で経営する場合、共同経営契約を締結して役割や利益の分配などの条件を明確化するのが一般的です。 今回はこれから誰かと共同で起業をされる方のために、共同経営契約書の書き方や注意点についてご紹介します。テンプレートも用意し…
詳しくみるテープなしで契約書を製本するには?準備と手順を解説
契約書は、企業活動や個人の権利義務関係を定める上で極めて重要な書類です。そのため、内容の正確性はもちろん、不正な変更が加えられていないこと、正当な権限者によって作成されたことを担保する必要があります。契約書の「製本」は、これらの要素を物理的…
詳しくみる総数引受契約書とは?雛形を基に記載事項や注意点を解説
「事業経営で工場建設や海外進出を考えているが、資金調達で悩んでいる」という経営者は少なくないでしょう。 金融機関からの借入とは異なり、負債を伴わない株式会社の新株発行は魅力ある選択肢です。 今回は、その中でもメリットが大きい総数引受契約につ…
詳しくみる



