- 更新日 : 2026年3月27日
ASPサービス契約書とは?ひな形をもとに書き方や注意点を解説
ASPサービス契約書とは、ソフトウェアを利用する際に、利用希望者とサービス提供者が締結する契約書です。契約書には、サービスの内容や禁止行為、利用料などの項目を記載します。
本記事では、企業の法務担当者に向けて、ASPサービス契約書の概要や具体例、書き方のポイント、盛り込むべき項目を解説します。
ASPサービス契約とは
そもそもASP(Application Service Provider)とは、インターネットを介して遠隔地からソフトウェアを提供するサービスです。
ASPサービス契約とは、ソフトウェアの利用者とサービス提供者の間で結ばれる契約です。契約書には、提供されるサービスの詳細や利用者が守るべきルールなどが定められています。契約書の内容に従って必要な料金を支払うことで、サービスを利用する権利を得られる点が特徴です。
また、ASPサービス契約とソフトウェアライセンス契約(ソフトウェアの著作権者がソフトウェアの使用を許諾する契約)は、同様の法的性質をもちます。
2つの契約の違いは、ASPサービス契約はインターネットを通じて遠隔から提供されるソフトウェアサービスに関する契約なのに対し、ソフトウェアライセンス契約は使用権の購入に関する契約という点です。
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ASPサービス契約を結ぶケース
ASPサービスは、利用者に対して同じ条件で提供されることが多い傾向です。サービス提供者は「ASPサービスライセンス規約」や「ASPサービス利用約款」で、事前に利用条件を定め、同意した利用者に対してサービスが提供されます。
規約や約款を使用する理由は、個別に契約を結ぶよりも時間や手間がかからず、多くの人へサービスを効率的に提供できるためです。しかし、企業間取引の場合には、ASPサービス契約を結ぶ場合があります。
例えば、SaaS型のマイナンバー管理ソフトウェアやインターネット上の情報監視システムなど、特定のサービス利用に関して、企業同士で契約を交わすことがあります。
このケースでは、個々の条件に応じた契約内容が定められるため、一般的な利用者に向けた規約とは異なる契約が交わされることが多いです。
ASPサービス契約書のひな形
ASPサービス契約書を作成する際には、契約条項の抜け漏れを防ぐために、テンプレートやひな形の利用を推奨します。下記のサイトでは、弁護士が監修したASPサービス契約書のテンプレートを無料でダウンロード可能です。
テンプレートには、サービスの内容や提供方法、禁止行為、契約の有効期間、利用料など、契約に必要な項目が網羅されています。ASPサービス契約書をミスなく作成したい方は、ぜひ利用してみてください。
ASPサービス契約書に記載すべき内容
ASPサービス契約書には、サービスの内容や機能を具体的に記載する必要があります。また、ASPサービスの不正利用を防ぐために、禁止行為を定めておく点も必要です。さらに、ソフトウェアサービスのメンテナンス期間や範囲を具体的にするために、サービスの保守内容を記載することも求められます。
本項では、ASPサービス契約書に記載すべき項目について解説します。
ASPサービスの内容・機能
ASPサービス契約書には「利用者がどのような操作ができるのか」「どの程度の機能が提供されるのか」を明確に定める必要があります。なぜなら、提供される機能の範囲や内容が不明確だと、サービス提供者と利用者の間で後々トラブルの原因になるためです。
サービス内容における認識の違いを起こさないためにも、契約書には詳細に記入しましょう。
禁止行為
利用者による禁止行為の明記もASPサービス契約書の作成に必要です。なぜなら、利用者がASPサービスを不適切に使用した場合、サービス提供者がほかの利用者へサービスを提供することが困難になる場合があるためです。
また、利用者がサービス提供者の知的財産権を侵害したり、犯罪行為をしたりする恐れも考えられます。リスクを未然に防ぐために、契約書には禁止行為を明記する必要があります。
提供を中断する場合
ASPサービスの提供時に、不可抗力や緊急を要する保守作業が発生した際には、サービスの中断が起こる場合があります。このような状況に備えて、契約書には、サービスが中断する可能性がある旨を事前に明記しておきましょう。
サービス中断があった際に、損害賠償責任を負わない点も契約書内で明記します。
権利の帰属
ASPサービスには、提供者側に権利がある旨を記載します。ASPサービスはソフトウェアの提供であるため、権利が存在し、ASPサービス提供者に帰属する場合が一般的です。契約書には、権利の帰属状況を明確に記述しておきましょう。
また、利用者がASPサービスを利用するにあたって、必要な範囲を超えた使用の禁止も契約書に明記します。これにより、権利の不正な侵害を防ぎつつ、正当な範囲内でのサービスの利用を推進できます。
登録データ
登録・送受信したデータの管理は、利用者自身が責任をもつ旨を契約書に明記しましょう。これにより、データ管理の責任は利用者にあると明確になり、提供者は責任を負わないことが定められます。
特に、利用者の責に帰すべき事由により登録データが消失した場合にサービス提供者は責任を負わない点も明記しておきましょう。
サービスの保守
ASPサービス契約において、提供されるサービスの保守も契約書に記載しましょう。例えば、サービスの保守について、仕様書で定められた期間内であれば、無償で対応するなどの条件を明確にすることが求められます。
「保守作業にともなう公共施設予約システムの改修作業は、利用者が指定する場所で実施する」といった具体的な作業内容も契約書に盛り込みましょう。
利用料
サービスの利用料に関する項目を記載することも必要です。一般的には、契約期間に基づく月額契約の形態を採用するケースが大半です。
さらに、サービスの提供者は、毎月のサービス提供終了後、利用者に対して書面による月額利用料の請求をします。請求書を受け取ったあと、利用者がいつまでに支払いを行う必要があるのかを契約書に明記しておきましょう。
ASPサービスの販売方法に応じた契約
ASPサービス契約には、さまざまな方法があります。
基本的には、サービス提供者から直接利用者への販売が多い傾向です。しかし、以下のように、販売代理店を通じて利用者に届けたり、販売店が最終的な利用者にサービスを提供したりする場合もあります。
- ASPサービスの販売代理店契約(取次・仲介)
- ASPサービスの販売店契約(再販)
ASPサービスの販売代理店契約(取次・仲介)は、ASPサービス提供者が指名した販売代理店が、提供者と顧客の間でサービス契約の仲介を行う取引です。この場合、販売代理店は当事者とならず、提供者と顧客の間で契約が締結されます。
一方で、販売店契約(再販売契約)は、ASPサービス提供者からサービスの販売を受けた販売店が、自社の製品として顧客に再販売する取引です。この場合、販売店はサービス提供者とも、最終的な利用者とも契約を締結します。
異なる販売方法に応じて、契約書の作成や盛り込む内容について理解しておきましょう。
以下の記事で、販売店契約や営業代理店契約の契約書の作成方法、チェックポイントまで説明しているため、参考にしてみてください。
ASPサービス契約書を理解して、ミスのない法務手続きにつなげよう
ASPサービス契約書とは、インターネットを通じて提供されるソフトウェアの利用時に、利用希望者とサービス提供者が締結する契約書です。サービスの機能や禁止行為、権利の帰属などの内容を契約書に記載します。
ASPサービス契約は、販売代理店契約や販売店契約などの販売方法に応じて契約内容が異なるため、違いを理解して手続きを進めてください。
ASPサービス契約書の内容を把握して、法務手続きをミスなく進めましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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