- 更新日 : 2022年3月30日
印相体とは?印鑑の書体の種類について解説
印相体は、実印として用いられることが多い印鑑用の書体の一つです。印鑑は企業において重要な役割を担うため、書体選びに悩む方は少なくありません。各書体の特徴について理解を深めておくと、用途に適した書体を選びやすくなります。今回は印相体をはじめ、篆書体・太枠篆書体・古印体・隷書体の特徴と用途を紹介します。
印相体(吉相体)とは?
印相体(いんそうたい)は、実印や銀行印として用いられることが多い印鑑用の書体の一つです。文字と文字、文字と外枠部分がつながっているデザインが特徴です。印相体は後ほど紹介する篆書体をベースに作られた比較的新しい書体で、「吉相体(きっそうたい)」や「八方篆書(はっぽうてんしょ)」と呼ばれることもあります。
印相体のメリット
印鑑に印相体を用いるメリットは「耐久性の高さ」と「可読性の低さ」です。印相体を用いて作られた印鑑は、文字と印鑑の枠が接する面積が多いため、欠けにくくなります。耐久性が高いため、何度も作り直す手間やコストを削減できるでしょう。
印相体は、現代の日本で使用される書体とは大きく異なります。そのため、偽造されにくく、実印や銀行印など企業にとって大切な印鑑の書体として多く用いられています。
印相体のデメリット
印相体は可読性が低いというメリットがありますが、作り手の個性が出やすく、稀に実印として登録できないことがあるというデメリットもあります。偽造されにくいといっても、文字を認識できなければ印鑑としての役割を果たせないため、書体を選ぶ際は注意が必要です。
可読性が低い書体には印相体の他に篆書体があり、こちらも実印として人気が高い書体です。篆書体の特徴については後ほど解説するので、ぜひ比較してください。
印相体はどういった場面で使用する?
印相体は、会社実印(代表印)や会社銀行印の書体として人気があります。会社実印は企業にとって重要な場面で使用するもので、会社設立時に法務局で登録する印鑑です。企業にとって最も重要な印鑑であるため、書体は慎重に選ぶことをおすすめします。
会社実印は、以下のような場面で使用します。
- 取引先との契約締結時
- 行政へ書類を提出する時
- 法人が不動産を売却する時
- 他企業を買収する時 など
会社銀行印は、金融機関と取引する際に使用する印鑑です。口座開設時や、小切手・手形の発行時などに使用します。
一方で会社認印や会社角印(社印・会社印)など、日常的に使用する印鑑には読みやすさが求められるため、印相体は不向きです。
この記事をお読みの方におすすめのガイド5選
最後に、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
電子契約にも使える!契約書ひな形まとめ30選
業務委託契約書など各種契約書や、誓約書、念書・覚書、承諾書・通知書…など使用頻度の高い30個のテンプレートをまとめた、無料で使えるひな形パックです。
導入で失敗したくない人必見!電子契約はじめ方ガイド
電子契約のキホンからサービス導入の流れまで、図解やシミュレーションを使いながらわかりやすく解説しています。
社内向けに導入効果を説明する方法や、取引先向けの案内文など、実務で参考になる情報もギュッと詰まった1冊です。
紙も!電子も!契約書の一元管理マニュアル
本ガイドでは、契約書を一元管理する方法を、①紙の契約書のみ、②電子契約のみ、③紙・電子の両方の3つのパターンに分けて解説しています。
これから契約書管理の体制を構築する方だけでなく、既存の管理体制の整備を考えている方にもおすすめの資料です。
自社の利益を守るための16項目!契約書レビューのチェックポイント
法務担当者や経営者が契約書レビューでチェックするべきポイントをまとめた資料を無料で提供しています。
弁護士監修で安心してご利用いただけます。
法務担当者向け!Chat GPTの活用アイデア・プロンプトまとめ
法務担当者がchat GPTで使えるプロンプトのアイデアをまとめた資料を無料で提供しています。
chat GPT以外の生成AIでも活用できるので、普段利用する生成AIに入力してご活用ください。
印相体以外の書体の種類
印鑑に用いられる書体は、印相体の他にも複数あります。ここでは、以下の4書体の特徴と使用する場面を紹介するので、書体選びの参考にしてください。
- 篆書体(てんしょたい)
- 太枠篆書体(ふとわくてんしょたい)
- 古印体(こいんたい)
- 隷書体(れいしょたい)
篆書体
篆書体(てんしょたい)は、印相体のベースとなった書体です。印相体同様、現代文字とは形状が異なるため可読性が低く、偽造しにくい書体といえます。
篆書体は中国から伝わった歴史ある書体で、パスポートの「日本国旅券」や郵便切手の「日本郵便」など、身近なものにも使われています。
【篆書体の用途】
篆書体は、会社設立時や契約締結時に用いる法人実印、金融機関との取引に用いる法人銀行印など、重要な場面で使用する印鑑の書体として用いられるケースが多いです。
しかし、可読性が低いため、荷物の受け取り時などに用いる会社認印、見積書や請求書などに用いる社印といった印鑑には不向きです。
太枠篆書体
太枠篆書体は篆書体がベースの書体ですが、一般的な篆書体よりも外枠が太く、文字が細いのが特徴です。柔らかい印象があるため、女性の実印や銀行印の書体として人気があります。また、外枠が太いため、耐久性が高いことがメリットです。篆書体と同じく可読性が低いため、実印や銀行印向きといえます。
はんこ店の中には、個人向け印鑑にしか太枠篆書体を使えないところがあります。はんこ店によって選べる書体が異なるので、事前に確認しておきましょう。また、太枠篆書体は可読性が低いため、認印や社印には不向きです。
古印体
古印体(こいんたい)は、全体的に丸みを帯びたデザインを特徴とする書体です。複製防止を目的に作られた書体なので、文字のかすれや墨だまりなど、複製しにくい要素を持っています。
【古印体の用途】
古印体は、会社認印や社印など日常的に利用する印鑑の書体として人気があります。郵便物の受け取り時や請求書・見積書の発行時などに使用する、読みやすさが求められる印鑑に適しています。
古印体は複製しにくいため、実印に用いることもできます。ただし可読性の低さでは、印相体や篆書体のほうがより適しています。
隷書体
隷書体(れいしょたい)は篆書体を改良して作られたもので、現代文字に比較的近い書体です。しかし紀元前から続く長い歴史を持ち、日本銀行のお札の「日本銀行券」「壱万円」にも使われています。
【隷書体の用途】
隷書体は可読性が非常に高いため、認印や社印など日常的に使用する印鑑の書体として人気です。
ただし、はんこ店によっては法人向けの印鑑に隷書体を使えないところもあります。はんこ店によって取り扱っている書体は異なるため、事前に各店の書体を確認しておくとよいでしょう。隷書体は可読性が高いため、実印には不向きです。
実印・認印・社員を作るなら、適切な書体を選ぼう!
今回紹介したとおり、印相体には「可読性が低く複製されにくい」「耐久性がある」といったメリットがあります。実印や銀行印のように、企業にとって重要な場面で使用する印鑑の書体として人気です。ただし、読みにくすぎると実印登録ができない場合があるので注意しましょう。印相体は可読性が低いため、会社認印や社印といった日常的に使用する印鑑には不向きです。
最終的には好みで選ぶことになりますが、各書体の特徴を把握し、印鑑を使う場面を踏まえて適切な書体を選びましょう。
よくある質問
印相体(吉相体)とは何ですか?
印鑑に用いられる書体で、文字と文字、文字と外枠部分がつながっているデザインが特徴。耐久性が高く可読性が低いため偽造されにくいため、実印や銀行印の書体として人気があります。詳しくはこちらをご覧ください。
印相体はどのような場面で使用しますか?
印相体は、実印や銀行印に使われることが多い書体です。実印として用いる場合は会社設立時や取引先との契約締結時など、銀行印として用いる場合は口座開設時や小切手・手形発行時などに使います。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
契約の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
取締役会議事録の押印は電子署名でも対応可能!電子化の方法や注意点を解説
テレワークが進む現在、取締役会議事録への押印は煩雑な作業になりつつあります。 取締役会議事録を電子ファイルで作成し、電子署名が行えたら業務効率は向上するでしょう。ここでは取締役会議事録の基本を確認した上で、取締役会議事録を電子ファイルで作成…
詳しくみる実印とは?銀行印・認印との違いや印鑑証明、作成する時のポイントを解説
実印は、企業や個人のさまざまな取引に使用される印鑑です。公的な書類や契約書に実印を用いることで、その信頼性が確保され、正式な意思表示であることを証明できます。 この記事では、実印の定義、銀行印や認印との違い、印鑑証明の方法、作成する時のポイ…
詳しくみる電子印鑑を無料で作成する方法とは?PDFへの捺印についても解説
ペーパーレス化を目指すなら、まずは電子印鑑を導入してみてはいかがでしょうか?書類をパソコンで作成して電子印鑑を押せば、わざわざプリントアウトして押印する必要はありません。また、印刷する書類であっても電子印鑑を押印しておけば、はんこを押す手間…
詳しくみる角印とは? 社印や丸印との違いや電子印鑑についても解説!
一口に「印鑑」といっても、さまざまな種類があります。特にビジネスにおいては、1社がいくつかの印鑑を使い分けるケースも少なくありません。会社で使う印鑑は、大きく分けて「丸印」と「角印」があります。取引先から「角印を押してください」と言われたり…
詳しくみる代表者印(丸印)とは?会社実印や角印との違い、作成時のポイントなどをわかりやすく解説
電子署名があればハンコ不要で契約完了という電子契約。 普及が進んでいるとはいえ、日本はまだまだハンコ社会としての実態を残しています。法人設立の際に登録を行うことが一般的な代表者印をはじめ、シーン別に2〜3種類の印鑑を使い分けている会社が多い…
詳しくみる契約書に印鑑は必要?種類や位置、押印のタイミングなどを解説
契約書における印鑑は、自分自身の意思で契約を交わしたことを示すために用いるものです。後のトラブルを防ぐため、特にビジネスの場で作成される書面にはよく使われていますが、具体的にはどのようなシーンで必要となるのでしょうか。 この記事では契約時の…
詳しくみる


