- 作成日 : 2025年3月3日
取材同意書とは?効力や書き方・例文(無料テンプレート)
取材同意書は取材をする人と取材される人とが締結する同意書です。近年ネットやSNSが普及しさまざまな情報が発信できるようになった一方で、トラブルが発生するリスクもあるため、取材前には同意を形成しておくことが非常に重要となってきています。
この記事ではひな形をもとに取材同意書の書き方について紹介します。
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目次
取材同意書とは?
取材同意書とは取材を実施する側(記者、インタビュアー、カメラマン、ディレクターなどのメディア関係者や運営者)が取材対象者から同意を得るための書類です。
取材内容の利用や個人情報の取り扱い方法、免責事項など、取材を行ううえでの取り決めが記載されています。
取材同意書はなぜ必要か
取材を実施する場合、取材対象者の発言や意見、その他の情報がメディア上に公開されることとなります。
しかし、一度取材許諾を得たにも関わらず、掲載前に同意が撤回されたり、掲載内容に対してクレームが寄せられたり、さらには肖像権や著作権を理由に金品を要求されるなどのトラブルが生じる可能性もあります。
また、近年ではネットやSNS上で誹謗中傷が行われたり、個人情報が漏洩したりする事例も見受けられ、そのため不安を感じる取材対象者も少なくありません。
将来的なトラブルを防止し、信頼を確保するためにも、事前に書面での同意を形成することが重要です。
取材同意書を締結するケース
取材同意書の締結が求められるケースとしては、取材対象者へのインタビューや写真・動画の撮影が挙げられます。
取材同意書に対象者が署名および押印することで、インタビュー内容や撮影された写真・動画を、テレビ番組、雑誌、Webメディアなどに掲載することに同意したとみなされます。
なお、口約束でも同意は成立しますが、証拠としての信頼性を考慮すると、書面による同意を形成する方が安心です。
取材同意書のひな形・例文
特にメディアを新たに立ち上げた方や初めて取材を担当される方は、どのように取材同意書を作成すればよいか戸惑うことがあるでしょう。そこで当サイトでは、取材同意書のひな形を提供しております。ぜひこちらを参考にして作成してみましょう。
取材同意書に記載すべき内容や書き方
ここからは先ほどご紹介したひな形をもとに、取材同意書の書き方や含めるべき内容について見ていきましょう。
取材内容の利用について
取材した内容を、取材者がどのようなメディアでどのように活用するかを明記します。
掲載するメディアについては、「SNS」や「Webサイト」など具体的に記載するようにしましょう。また、そのまま掲載するのか、改変や翻案が行われる可能性があるのかも明示することが望ましいです。
さらに、取材対象者が肖像権、パブリシティー権、著作権、著作者人格権などを行使しないことや、取材した内容の修正・加筆が行われる旨も記載しておくとよいでしょう。
個人情報の取り扱いについて
取材で取得した個人情報の取り扱い方法を明記します。
例えば、「私が提供する個人情報は、貴社のプライバシーポリシーに定める利用目的に従って利用されることに同意します」といった文言を盛り込むとともに、プライバシーポリシーを併せて提示すれば、同意書がよりスマートになり、取材対象者の不安軽減につながる可能性が高まります。
免責事項
取材後に掲載された内容に対してクレームが生じる場合もあります。過大な要求や事態が大きな問題に発展することもあるため、免責事項を設けることが重要です。
例えば、取材した内容が使用されなかった場合に異議を申し立てないこと、掲載方法に関してクレームや損害賠償請求を行わないこと、さらには取材対象者に損害が発生した場合でも取材者が責任を負わない旨を記載するようにしましょう。
同意する年月日
取材対象者が同意した年月日を記入し、署名・押印を行います。
同意者の住所・氏名
取材対象者の住所および氏名を記入する欄と押印欄を設けます。ここに署名・押印された時点で、取材同意書に記載された内容に同意したとみなされます。
取材同意書を作成する際の注意点
ここからは取材同意書を作成する際に留意すべき点について見ていきましょう。
掲載するメディアを明らかにする
取材同意書作成時には、掲載先となるメディアを明確にすることが望ましいでしょう。例えば、雑誌での掲載は問題ないが、ネット上での掲載を希望しない方もいるかもしれません。
そのため、具体的なメディア名を記載するのが理想的ですが、不確定な場合は「Webサイト」や「SNS」など、プラットフォーム名のみでも記載するようにしましょう。また、後から他のメディアでの掲載を検討する場合は、再度連絡を取り、改めて同意を得るのが無難です。
個人情報の取り扱いに注意する
取材を受けるということは、将来的に自らの発言や姿、行動、その他の情報が多くの人々に公開される可能性があるため、個人情報の漏洩に対する不安が生じることも少なくありません。
同意書に加えプライバシーポリシーを提示し、重要事項については口頭で説明することが望ましいです。これにより不安が軽減され、取材への協力を得やすくなります。また、取得した個人情報は厳重に管理する必要があることは言うまでもありません。
過去のトラブルやクレームをもとに免責事項の内容を検討する
今回のひな形では、「撮影した写真が使用されなかった場合に異議を申し立てないこと」「掲載内容の使用方法に関してクレームや損害賠償請求を行わないこと」「取材者が被った損害に対して責任を負わないこと」といった免責事項が記載されています。
さらに、過去のトラブルやクレーム事例を参考にして、免責事項に盛り込むべき具体的な内容について検討することが重要です。
取材同意書の保管年数や保管方法
取材同意書の保管期間は、法律で明確に決められているわけではありません。昔掲載したものであっても残っていれば取材対象者から問い合わせがあるかもしれません。
当該コンテンツを削除するまで、あるいはメディアを閉鎖するまで保管しておくというのが一番確実といえます。
また、労働基準法第109条の労働関係に関する重要な書類のルールにならって3年間程度は保管した方がいいという考え方もあります。
保管方法については原本をファイルに綴じておけば問題ありません。また、スキャンしてパソコンのハードディスクやクラウドなどに保管するという方法もあります。
取材同意書の電子化は可能?
取材同意書は書面での締結に加え、電子的な方法でも締結可能です。例えばWordやExcelファイルをメールで送り、日付と住所、氏名を入力して返信してもらうという方法があります。
最も簡単なのは電子契約システムを活用するという方法です。これであればWeb上で完結し、最短1分以内で書類に同意できるので非常に便利です。例えば取材先で取材対象者のスマートフォンに同意書を送って同意してもらう、あるいはタブレット端末で署名をしてもらうといったことも可能となります。
書面の同意書のように印刷をしたり、ファイルに綴じたり、後から該当する同意書を探したりといった手間もかかりません。電子データなので持ち運びも楽で保管のスペースも不要です。
気持ちよく取材に協力してもらいトラブルを防ぐなら、取材同意書が肝
取材対象者に快く協力していただき、トラブルを未然に防ぐためには、取材同意書が非常に重要です。良質なコンテンツ作成には取材対象者の協力が不可欠であり、まずは信頼を獲得することが大切。同意書をしっかりと作成し、取材内容、写真、映像の使用目的や個人情報の取り扱いについて誠実に説明することで、協力を得られる可能性が高まります。
さらに、書面によって同意を形成しておけば、後々クレームやトラブルが発生した場合にもスムーズに解決できるでしょう。手間に感じるかもしれませんが、取材を実施する際には可能な限り取材同意書を用意するようにしましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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