- 作成日 : 2024年12月3日
Wordで電子署名する方法は?手書きやMacでのやり方、法的効力を解説
Wordで電子署名をする方法には、デジタルIDを利用した方法や手書きの署名を挿入する方法があります。WindowsとMacのそれぞれで異なる手順が必要な場合もあり、法的効力についても理解しておくことが重要です。
本記事では、Wordでの電子署名の方法を解説し、WindowsとMacそれぞれに対応したやり方も紹介します。
目次
Wordで電子署名する方法
Wordで電子署名を追加する方法には、いくつかの選択肢があります。Microsoft Wordの標準機能である「署名」を使う方法、外部ツールとの連携を可能にするアドインを利用する方法、そしてPDF形式に変換してからPDF編集ソフトを使用する方法です。
また、電子署名を行うためには「デジタルID(証明書)」が必要となる場合があります。デジタルIDは信頼できる第三者機関から発行されるもので、文書の改ざん防止や署名者の認証に役立ちます。以下では、デジタルIDの取得方法や電子署名の手順を解説します。
デジタルIDの取得方法について
デジタルIDは、電子署名において重要な役割を果たします。デジタルIDは、認証局(CA:Certification Authority)と呼ばれる信頼できる第三者機関から発行されるもので、署名者の身元確認や文書の改ざん防止に使用されます。一般的な取得の流れは、以下のとおりです。
- 認証局(CA)の選定:予算などを考慮し、利用する認証局を選択する
- デジタル証明書の申請:認証局のウェブサイトからデジタル証明書を申請する
- 本人確認と発行:申請後、本人確認手続きが行われ、問題がなければデジタルIDが発行される
デジタルIDは、以下で紹介する各種署名方法に応用できます。
Wordを使って署名を追加する方法
Microsoft Wordには「署名」機能があり、簡単に電子署名を追加できます。この機能は特にビジネス文書や契約書でよく利用される機能です。詳細な手順については、後述の「Wordに手書きの署名を追加する方法」や「電子署名を表示する署名方法」で詳しく解説します。
アドインを使って署名を追加する方法
Wordには外部ツールとの連携機能があり、「DocuSign」などのアドインを使って電子署名を追加できます。この方法では高度なセキュリティ機能や複数人による承認も可能です。
- 「挿入」タブから「アドイン」を選択し、「Office ストア」を開く
- 「DocuSign」などの電子契約アドインを検索してインストールする
- インストール後、「DocuSign」を起動し、指示に従って文書に電子署名を追加する
PDF編集ソフトで署名を追加する方法
Word文書をPDF形式に変換してから、PDF編集ソフトで電子署名を追加可能です。「Adobe Acrobat」などのPDF編集ソフトでは、以下の手順で行います。
- Word文書をPDF形式で保存(「ファイル」→「名前を付けて保存」→「PDF形式」)
- PDF編集ソフト(例:Adobe Acrobat)で文書を開き、「ツール」→「証明書」を選択
- 「デジタル署名」ツールで文書内に署名フィールドを作成し、デジタルIDでサインする
Wordを使用した電子署名のやり方
Microsoft Wordを使用して、電子署名を追加する手順について解説します。Wordには複数の方法で署名を追加できる機能が備わっています。
- Wordに手書きの署名を追加する方法
- 電子署名を表示する署名方法
- 電子署名を非表示とする署名方法
それぞれの方法について、詳しく説明します。
Wordに手書きの署名を追加する方法
Wordでは、手書き風の署名を挿入可能です。この方法は、正式なデジタルIDを使わない簡易的な署名として利用されます。自分のサインをスキャンしたうえで画像ファイルとして保存し、それを文書に挿入することで手書き風の署名を作成できます。
【手順】
- サイン画像の準備:手書きしたサインなどをスキャンして画像ファイル(JPEGやPNG形式)として保存する
- Word文書への挿入:Word文書内で「挿入」タブを開き、「画像」から保存したサイン画像ファイルを選択して挿入する
- 配置とサイズ調整:挿入したサイン画像を適切な位置に配置し、必要に応じてサイズを調整する
この方法は、正式な契約書類ではなく、簡易的な確認書や内部文書などで利用されることが多いです。法的効力はデジタルIDによる署名ほど強くありませんが、相手方との合意があれば有効となる場合があります。
電子署名を表示する署名方法
Wordでは、電子署名を文書内に表示できます。これは特にビジネス契約や公式文書で重要な役割を果たします。電子署名は通常、デジタルIDによって認証されており、そのまま表示することで文書の信頼性が高まります。
【手順】
- 「挿入」タブから署名を追加:「挿入」タブから「テキスト」グループ内の「署名」を選択し、名前や役職など必要な情報を入力する
- デジタルIDでサイン:署名行が挿入されたら、その場所をクリックしてデジタルID(証明書)でサインする
- 文書の保存:署名の完了後、文書全体を保存。Word上部には「この文書には有効な電子署名があります」というメッセージが表示される
この方法は特に法的効力が求められる契約書や公式文書で使用されます。電子署名は改ざん防止機能も備えており、受信者側でもその有効性を確認できます。
電子署名を非表示とする署名方法
電子署名自体は保持しつつも、それを文書内で目視できない形で管理することも可能です。この場合でもデジタルIDによる認証は有効であり、Wordの内部では改ざん防止機能が働いています。
【手順】
- デジタルIDによるサイン:通常通りデジタルID(証明書)でサインする
- 非表示設定:サイン後、「ファイル」→「情報」→「保護されたビュー」の設定から、電子署名の表示・非表示設定を行う
- 確認と保存:文書全体を保存、非表示設定後も、文書には改ざん防止機能が働き安全性は保たれる
多くの場合、電子署名は可視化された状態で使用されることが推奨されます。特に外部との契約時には、非表示設定はあまり使用しないほうがよいでしょう。
電子署名したWordの送付や確認方法
電子署名が完了したWord文書は、そのままメールやクラウドサービス(Google Driveなど)経由で送信できます。ただし、受信者側でも同じソフトウェア環境が整っていないと正しく表示されないことがあるため注意が必要です。
送信者側は送信前に必ず文書が正しく保存されているか、電子署名が確実にされているかを確認し、メール添付またはクラウドリンクとして送ります。受信者側は受け取った文書内で電子署名が有効かどうかを、Word上部の警告メッセージや「情報」タブから確認可能です。
Wordの電子署名を変更・削除することはできる?
一度付与された電子署名は、基本的に変更できません。ただし、新しいバージョンとして再度作成・保存し直すことで事実上変更可能です。
削除については、Wordの「署名」から「署名の削除」を選択することで対応できます。ただし、電子署名の削除によって文書自体の信頼性が損なわれる可能性があるため注意してください。
MacでWordファイルに電子署名を追加する方法
MacでもMicrosoft Wordで電子署名が可能ですが、その手順はWindows版とは若干異なります。Mac版Wordには一部機能制限がありますが、「PDF化してからサインする」という代替手段も有効です。
- 直接サイン: Mac版でもWindows同様、「挿入」→「画像」でサイン画像ファイルを挿入可能
- PDF化してサイン: 文書をPDF形式で保存後、プレビューアプリなどで手書きサインを書き込むことも可能
Wordの電子署名の法的効力は?
電子署名は、紙の契約書における印鑑やサインと同等の法的効力を持つことが法律で定められています。日本では「電子署名及び認証業務に関する法律(電子署名法)」がこの効力を規定しており、電子署名が適切に行われた場合、その文書は改ざんされていないことや本人が作成したものであることが証明されます。
電子署名法第2条に基づき、以下の要件を満たす場合に電子署名の法的効力が認められます。
- 本人性の確認:電子署名がその文書を作成した本人によって行われたことを証明できる
- 非改ざん性:電子署名が付与された後、文書が改ざんされていないことを保証できる
通常本人性確認はデジタルIDなどによる本人確認、非改ざん性はタイムスタンプで行われます。この2つの要件を満たすことで、Wordに付与された電子署名も紙の契約書と同等の効力を持ちます。特にビジネス契約や公的な文書では、この法的効力が重要な役割を果たすのです。
Wordに電子署名する場合の注意点
Wordで電子署名を使用する際には、いくつかの注意点があります。電子署名が無効にならないようにするために、注意点を理解しておきましょう。
互換性と環境依存
Wordで作成された文書に電子署名を追加しても、相手側が異なるバージョンのソフトウェアや異なるプラットフォームを使用している場合、正しく表示されない可能性があります。互換性をあらかじめ確認しておきましょう。
また、Wordで作成された文書は編集可能な形式であるため、PDFなどの固定形式に変換してから送信するほうが安全です。
電子証明書の有効性
Wordで法的効力のある電子署名を行うには、信頼できる第三者機関から発行されたデジタル証明書(デジタルID)が必要です。デジタルIDには有効期限があり、その期限切れや失効には十分注意しなければなりません。
デジタルIDが期限切れになった場合、その文書の署名は無効となり、法的効力も失われる可能性があります。
セキュリティ対策
電子署名のセキュリティ対策では、秘密鍵の管理が非常に重要です。秘密鍵は、署名者本人だけが持つデジタルキーであり、これを使って文書に署名します。もし秘密鍵が第三者に渡ると、その人物がなりすまして署名できるため、重大なリスクが生じます。
秘密鍵は厳重に保管し、外部への漏洩を防ぐために、暗号化されたストレージやパスワード保護されたデバイスに保存しましょう。また、ハッキング対策として多要素認証やセキュリティ更新を行うことも重要です。
電子署名におけるWordの改ざんを防ぐには
Wordで使用される電子署名には、高度な改ざん防止機能が組み込まれています。文書作成後に内容が変更された場合、その変更履歴や不正な操作が検出できる仕組みになっています。
デジタル証明書と公開鍵暗号方式
Wordで使用される電子署名は、「公開鍵暗号方式」を用いています。この方式は、文書作成者のみが持つ秘密鍵で文書内容を暗号化し、その内容を受信者側が公開鍵によって復号します。この仕組みによって、不正な改ざんや第三者による変更があった場合、それを検出できるようになっているのです。
タイムスタンプによる証拠保全
さらに、タイムスタンプを併用することでその文書がいつ作成され、いつ署名されたかという時刻情報も記録され非改ざん性の証明になります。署名後に改ざんされた場合、そのタイムスタンプのハッシュ値が異なるため、不正行為の防止が可能です。
タイムスタンプは特定認証業務機関によって発行されるもので、信頼性は非常に高いです。
文書管理システムとの連携
Word単体での利用だけではなく、専用の文書管理システムやクラウドサービスと連携させることで、更なるセキュリティ強化も図れます。こうしたシステムではアクセス権限の制御や操作ログの記録なども可能であり、不正アクセスや改ざんリスクを最小限に抑えられるでしょう。
Wordで電子署名を利用する際には法的要件やセキュリティ対策について十分理解し、適切に管理・運用することが重要です。
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Wordで電子署名を活用しよう
文書制作ソフトとして身近な存在であるWordでも、電子署名は可能です。電子署名には、Wordの標準機能やアドイン、PDF編集ソフトを使った方法があり、デジタルIDを取得して行う方法であれば法的効力も有します。
さらにマネーフォワード クラウド契約などのサービスを利用すれば、契約業務全体をワンストップで管理でき、電子署名の運用もスムーズに行えます。契約業務の効率化と、コスト削減が期待できるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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