- 更新日 : 2025年4月8日
誠実協議条項とは?定める目的記載例、レビュー時の注意点を解説
誠実協議条項とは、契約に定めがない事項やトラブルなどの発生時、当事者間で誠実に協議することを定める条項です。法的効力はありませんが、日本では慣習的に多くの契約書に記載されています。
この記事では、誠実協議条項の意味や定める目的、メリット・デメリット、記載例や注意点などについて解説します。契約書作成時に参考にしてください。
目次
誠実協議条項とは?法的な意味や効力
誠実協議条項とは、契約に定めがない事項や契約の解釈に関する疑義、トラブルなどが発生した際、誠実に協議するべき旨を定めた条項です。
例えば、予期せぬトラブルが発生し、その対応について契約書に記載されていない場合は、当事者間で誠実に協議をして解決を図る必要があります。
契約書の最後に記載され、日本では多くの契約書に含まれる条項です。以下では、法的効力の有無と定める目的について解説します。
誠実協議条項の法的な効力
誠実協議条項には法的効力がありません。なぜなら、当事者間の誠実な協議は当たり前に必要なことであるためです。
民法で定められる信義誠実の原則により、私的取引関係では相互に相手方を信頼し、誠実に行動することが定められています。そのため、誠実協議条項の有無にかかわらず、契約当事者は誠実に協議しなければなりません。
なお、協議では解決が見込まれない場合は、調停や訴訟といった法的手段をとることも認められます。
また、協議の申込方法や回答の期日、調停の費用をどちらが負担するかなど、具体的な事項を決定して法的効力を持たせることも可能です。
誠実協議条項を定める目的
誠実協議条項には法的効力がありませんが、日本では幅広い契約において定められています。
誠実協議条項を定める目的は、主に以下の2つです。
- 日本の契約における慣習となっているため
- 契約当事者の信頼関係や協力関係を確認するため
日本では、当事者間の信頼関係を前提に、トラブルが発生した際は信頼関係に従って解決することが慣習となっています。近年では、トラブル発生時の対応について具体的に規定するケースも見られます。しかし、これまでの慣習から依然として多くの契約書に誠実協議条項が定められているのが現状です。
また、誠実協議条項には契約当事者の信頼関係や協力関係を確認する意味があるとも考えられます。契約でさまざまな事項を細かく規定することは、当事者間の対立関係、つまり性悪説をベースにしていると解釈できます。
一方、誠実協議条項は当事者間の信頼関係や協力関係を前提とするものです。誠実協議条項を定めることで、当事者間の信頼関係や協力関係を確認でき、対立構造を和らげられると考えられるでしょう。
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誠実協議条項の記載例
誠実協議条項の記載例は以下のとおりです。
誠実協議の内容を曖昧に定める場合
誠実協議の内容を具体的に定める場合
第◯条(協議)
本契約に定めない事項、もしくは本契約の条項の解釈について疑義が生じた場合、または本契約について紛争が生じた場合、甲および乙は、本契約の趣旨に従い誠意をもって協議し、解決するものとする。
協議の申込方法は書面による。
2 甲および乙は、書面を受け取った場合、〇日以内に回答しなければならない。
3 前項の回答がない場合、協議の申込者は、調停を申立てることができる。この場合、調停の費用は相手方が負担する。
誠実協議条項を定めるメリット
誠実協議条項を定めるメリットは以下のとおりです。
- 安心感を持って取引を進められる
- 相手方から誠実な印象を持たれる可能性がある
前述のとおり、誠実協議条項は当事者間の信頼関係をベースとする条項です。誠実協議条項は権利義務を定めるものではありませんが、お互いの信頼関係を確認できるため、安心感を持って取引を進められるでしょう。
また、法的効力がない誠実協議条項をわざわざ定めることで、相手方から誠実な印象を持たれる可能性もあります。
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誠実協議条項を定めるデメリット
誠実協議条項は慣習のように定めるものであるため、条項を定めたからといって基本的にどちらかが不利になることはありません。
強いて言うならば、「誠実協議条項に法的拘束力がないことを知らないのでは」「民法における信義誠実の原則を知らないのでは」と、相手方から誤解される可能性があります。
しかし、誠実協議条項には大きなメリット・デメリットがあるわけではありません。誠実協議条項を含めるか否かの議論に時間を費やすより、ほかの条項の作成やレビューに注力するほうがよいでしょう。
誠実協議条項を契約書に入れる場合の注意点
誠実協議条項を契約書に入れる場合の注意点は以下のとおりです。
- 契約書の最後に記載する
- 誠実協議条項の内容を具体的に定める
- ほかの条項の作成やレビューに注力する
- 海外企業との取引時には記載の有無を慎重に検討する
それぞれの注意点について解説します。
契約書の最後に記載する
誠実協議条項は、基本的には契約書の最後に記載しましょう。
どの位置に記載されているからといって、法的効力の有無が変わるわけではありません。しかし、最後に記載することで読みやすくなります。
契約書は「用語の定義や契約の目的→取引の主な内容→条件→トラブル発生時のルール」という流れで作成することで、論理的でわかりやすい契約書に仕上がるでしょう。
誠実協議条項の内容を具体的に定める
前述のとおり、誠実協議条項の内容を具体的に定めて法的効力を持たせることも可能です。
協議で解決しない場合、あるいは相手方が協議に応じない場合は、調停や訴訟といった法的手段をとることもあるでしょう。どのようなケースにおいて調停や訴訟を行うのか、その際の費用はどちらが負担するのかなど、万が一に備えて具体的に定めておくことが大切です。
特に、費用負担についてはトラブルになりやすいため、契約書に定めておきましょう。
ほかの条項の作成やレビューに注力する
誠実協議条項を含める場合でも、誠実協議条項ではなくほかの条項の作成やレビューに注力しましょう。誠実協議条項には法的効力がなく、重要性が低いためです。
具体的には、以下のような条項を重点的に作成・レビューすることが大切です。
| 契約解除条項 | 当事者のいずれかが一方的に契約を解除できる場合や解除の手続きを定めた条項 |
|---|---|
| 中途解約条項 | 契約期間の途中に、当事者のいずれかが一方的に契約を終了させられる旨を定める条項 |
| 損害賠償条項 | 当事者に何らかの契約違反があった際の損害賠償についてルールを定める条項 |
| 準拠法条項 | どの国の法律に準拠し、解釈されるかを定める条項 |
| 合意管轄条項 | 契約に関する紛争をどの裁判所で取り扱うかを定める条項 |
| 反社会的勢力排除条項 | 契約締結後に相手方が反社会的勢力であることが判明した場合、無催告解除ができるよう定めておく条項 |
海外企業との取引時には記載の有無を慎重に検討する
海外企業との取引時には、そもそも誠実協議条項を記載するか否かを慎重に検討しましょう。
誠実協議条項は、日本では慣習のようになっているものの、海外では一般的ではありません。トラブル発生時の対応については、網羅的かつ具体的に記載します。
海外企業と取引する際は、相手方と話し合ったうえで誠実協議条項を記載するかを決めましょう。
誠実協議条項自体に法的効力はなく重要性は乏しい
誠実協議条項とは、契約に定めがない事項やトラブルなどが発生した際、当事者間で誠実に協議し円満に解決する旨を定めた条項です。法的効力はありません。しかし、日本では慣習的に幅広い契約書に定められています。また、協議や調停などについて具体的な事項を定め、その部分に法的効力を持たせることも可能です。
ただし、誠実協議条項自体は重要な条項ではありません。誠実協議条項の作成やレビューに労力をかけるのではなく、ほかの条項に注力しましょう。
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