- 更新日 : 2024年8月30日
キャラクターライセンス契約とは?使用料の相場や事例、主な条項を解説
キャラクターライセンス契約とは、権利者が他人に対してキャラクターの使用を許諾する契約です。使用許諾の条件を、キャラクターライセンス契約においてきちんと定めておきましょう。本記事ではキャラクターライセンス契約について、概要・ライセンス料の決め方・テンプレート・主な条項・作成時の注意点などを解説します。
目次
キャラクターライセンス契約とは?
キャラクターライセンス契約とは、キャラクターの権利を有する者が、他人に対してその使用を許諾する契約です。キャラクターには顧客を惹き付ける力があるため、商品化や広告宣伝等に関するニーズが根強く存在します。
許諾する側はライセンス料を受け取り、許諾を受ける側はキャラクターを自社のビジネスに利用できるのが、キャラクターライセンス契約のメリットです。
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キャラクターライセンス契約の当事者・締結するケース
キャラクターライセンス契約の当事者は、許諾をする「ライセンサー」と許諾を受ける「ライセンシー」です。特にライセンシー側においては、さまざまな目的でキャラクターライセンス契約の締結を提案することがあります。
キャラクターライセンス契約の当事者
キャラクターライセンス契約の当事者は、ライセンサーとライセンシーです。
ライセンサー:許諾をする側です。キャラクターに関する権利(著作権など)を有しています。ライセンシー:許諾を受ける側です。実際に事業においてキャラクターを使用できる代わりに、ライセンサーに対してライセンス料を支払います。
キャラクターライセンス契約を締結するケースの例
キャラクターライセンス契約を締結する目的はさまざまですが、一例として以下のようなケースが挙げられます。
- キャラクターのイラストを印刷した商品を販売する
- キャラクターの名前を冠した商品を販売する
- キャラクターを商品パンフレットに掲載する
- 商品のおまけとしてキャラクターの景品を配布する
など
キャラクターライセンス契約のライセンス料の相場(決め方)
キャラクターライセンス契約におけるライセンス料は、当事者間の交渉によって決まるので、明確な相場はありません。キャラクターの知名度や顧客誘引力が高ければ、その分ライセンス料も高額となる傾向にあります。
ライセンス料の決め方としては、主に以下の2パターンが挙げられます。
- 定額実施料:契約期間に応じて、固定額のライセンス料を支払う方式です。
- 経常実施料:販売価格・製品数量・純利益など、実績に応じた額のライセンス料を支払う方式です。
キャラクターライセンス契約のひな形・テンプレート
キャラクターライセンス契約のひな形(テンプレート)を以下のページからダウンロードできますので、実際にドラフトを作成する際の参考としてください。
キャラクターライセンス契約の主な条項
キャラクターライセンス契約には、主に以下の条項を定めます。
- キャラクターの表示
- 使用許諾の旨・許諾条件
- 許諾料の支払
- 使用方法の事前承認
- 著作権者の表示
- 知的財産権の帰属
- 第三者による権利侵害等への対応
- その他
キャラクターの表示
使用を許諾するキャラクターの名称やデザインなどを明記します。デザインについては、別紙に画像を掲載するなどして明示しましょう。
使用許諾の旨・許諾条件
ライセンサーがライセンシーにキャラクターの使用を許諾する旨を明記したうえで、主に以下の許諾条件を定めましょう。
グッズ販売や商品パンフレットへの掲載など、キャラクターの使用目的を明記します。(b)許諾の種類
「独占的通常使用権」「非独占的通常使用権」「専用使用権」のいずれかを記載します。独占的通常使用権:ライセンシー以外の者に対してキャラクターの使用を許諾しないことを確約するが、ライセンサーは使用できる。非独占的通常使用権:ライセンシー以外の者に対しても、キャラクターの使用を許諾できる。
専用使用権:ライセンシー以外の者に対してキャラクターの使用を許諾しないことを確約し、かつライセンサーも使用できなくなる。
(c)許諾する行為
許諾する具体的な使用行為の内容を明記します。
(例)複製、翻案、頒布、公衆送信など
(d)許諾する地域
キャラクターの使用を許諾する地域を明記します。
(例)日本国内、○○県内など
(e)許諾期間
キャラクターの使用を許諾する期間を明記します。
(例)○年○月○日から○年○月○日まで、○年○月○日から1年間など
(f)許諾料(ライセンス料)
許諾料の金額や計算方法を明記します。
また、ライセンシーが許諾条件に従う限り、ライセンサーは著作者人格権を行使しない旨についても定めましょう(ただし後述の通り、氏名表示権については例外とする場合が多いです)。
許諾料の支払
許諾条件の規定において定めた許諾料につき、以下の事項を明記します。
- 支払時期
- 支払方法
- 振込手数料の負担者など
使用方法の事前承認
ライセンシーにおけるキャラクターの使用方法について、ライセンサーが事前にチェックして承認を与える方式を採る場合は、その手続きを明記します。具体的には、以下の事項を定めましょう。
- ライセンサーに対して報告し、承認を受けるべき事項
- 事前承認の方式(書面など)
- 事前承認を受ける義務に違反した場合の差止請求、損害賠償責任を負わない旨など
著作権者の表示
著作者には、著作物の原作品や二次的著作物の公衆への提供・提示に際して、著作者名を表示する権利を有しています。著作者人格権の一種で、「氏名表示権」と呼ばれるものです(著作権法19条)。
ライセンシーが許諾条件に従う限り、ライセンサーは著作者人格権を行使しないのが原則ですが、氏名表示権については例外とされることが多いです。キャラクターの使用に当たって、ライセンサーが著作者名を表示させたい場合には、その旨をキャラクターライセンス契約において定めましょう。
知的財産権の帰属
キャラクターに関する著作権その他の知的財産権は、すべてライセンサーに帰属する旨を明記します。
ライセンシーに対しては、あくまでもキャラクターの使用を許諾するに過ぎず、キャラクターに関する権利を譲渡するわけではありません。疑義が生じないように、その旨をキャラクターライセンス契約において明記しておきましょう。
第三者による権利侵害等への対応
キャラクターの使用に関しては、第三者がグッズを勝手に転売したり、勝手に商品パンフレットへキャラクターを掲載したりするなどの権利侵害を受けることもあります。また反対に、第三者が自らの知的財産権が侵害されていることを主張して、クレームを入れてくる事態も想定されます。
こうした事態が発生した場合に、ライセンシーがどのように対応すべきかを明記しましょう。具体的には、以下のような事項を定めます。
- ライセンサーに対して通知(報告)すべき旨
- ライセンサーとライセンシーのどちらが主導的に対応するかなど
その他
上記のほか、以下の事項などを定めましょう。
- 善管注意義務
- 再許諾の禁止
- 権利義務の譲渡禁止
- 秘密保持
- 契約の解除等
- 損害賠償
- 有効期間
- 残存条項
- 反社会的勢力の排除
- 準拠法
- 合意管轄
- 協議など
キャラクターライセンス契約を締結する際の注意点
キャラクターライセンス契約を締結する際には、特に以下の各点に注意しましょう。
- 許諾条件等を明確化する
- ライセンス料の金額や計算方法を明確化する
許諾条件等を明確化する
ライセンシーがライセンサーの想定しない方法でキャラクターを使用した場合、当事者間でトラブルになる可能性が高いです。
認識の齟齬によるトラブルを避けるためには、キャラクターライセンス契約において許諾条件を明確化することが大切です。許諾する具体的な行為や地域などを、疑義がないように定めましょう。
またライセンサーとしては、ライセンシーによるキャラクターの使用方法をチェックできるようにすべきです。契約上は事前承認制を原則としつつ、大きな問題が見られなければ簡単なチェックで済ませるように移行する形が望ましいでしょう。
ライセンス料の金額や計算方法を明確化する
ライセンス料の金額や計算方法に関する規定は、ライセンス契約においてもっとも重要な部分です。
月額固定報酬とする場合などは分かりやすいですが、複雑な計算式などを定める場合には、契約書の中で矛盾が生じていないかを慎重にチェックしましょう。
また、実績ベースのライセンス料(経常実施料)を採用する場合は、ライセンシーにおける売り上げなどをライセンサーがモニタリングする仕組みが必要となります。ライセンシーによる報告や、ライセンサーによる検査等に関する規定を、キャラクターライセンス契約において定めましょう。
許諾条件等を明確化して、キャラクターの使用に関するトラブルを防ぎましょう
キャラクターライセンス契約の大きな目的は、ライセンサーとライセンシーの間で、キャラクターの使用に関するトラブルの発生を防ぐことです。そのためには、使用許諾の条件などを明確化して、当事者間でその認識を共有する必要があります。
キャラクターライセンス契約の条項はオーダーメイド性が高いので、本記事で紹介したひな形を参考にしつつ、取引の実態に合った内容の条項に調整しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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