- 更新日 : 2024年1月5日
【2023年公布】不正競争防止法改正とは?改正のポイントや必要な対応を解説
不正競争防止法は不正・不当な営業方法などを規制する法律で、2023年に改正法が公布されています。不正競争防止法改正のポイントとしては「デジタル活用に伴う多様な知的財産の保護強化」「グローバル化に伴う制度の整備」が挙げられます。
本記事で、この改正法の具体的内容や施行日などを詳しく説明します。
目次
2023年に公布された改正不正競争防止法とは?
2023年に公布された改正不正競争防止法は、近年のデジタル化・グローバル化の環境変化に対応した法改正です。改正法が公布されるに至った具体的な背景、スケジュールについて簡単に整理しておきます。
なお、不正競争防止法の概要についてもこちらから確認ができます。
改正の背景
昨今はIT技術が進展し、さまざまなデジタルツールが当たり前のように使われるようになっています。特に中小企業、スタートアップの企業における活動内容は多様化しており、従来の法規制では対処し切れない違法行為も発生しています。
例えば、従来の法規制ではリアル空間(現実の場)において他社の商品を模倣する行為は規制することができますが、デジタル空間における真正品を模倣する行為は規制対象に入っていません。
知的財産も多様化していることから、その変化に適応するべく制度が再整備されています。
また、グローバル化の進展も踏まえ、国際的な不正行為事案への対処もできるように制度が見直されています。これまでの法制度だと外国で起こった事案について適切に処分する手続きが整っていなかったためです。
公布日・施行日
今回の改正法は、2023年6月7日の可決に基づくものであり、2023年6月14日に公布されました。不正競争防止法“等”とあるように、同じタイミングで改正されたのは不正競争防止法だけではありません。特許法や実用新案法、商標法など、見直すべき制度に関わるいくつかの法律が改正されています。
施行日については「公布日から起算して1年を超えない範囲内であって、政令で定める日」です。2024年中には改正法の内容が適用され始めます。
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不正競争防止法改正のポイント
今回の一連の法改正は、次の3つが柱であると説明されています。
- デジタル化に伴う事業活動の多様化を踏まえたブランド・デザイン等の保護強化
- コロナ禍・デジタル化に対応した知的財産手続等の整備
- 国際的な事業展開に関する制度整備
このうち不正競争防止法の改正に強く関わる分野は上の①と③です。以下で、それぞれ詳しく改正のポイントを解説していきます。
デジタル活用に伴う多様な知的財産の保護強化
デジタル活用に伴い多様化するブランド、デザイン、データ、知的財産の保護を強化するため、不正競争防止法では次の改正がなされています。
| 改正点 | ポイント |
|---|---|
| デジタル空間での模倣防止 | 同法では他人の商品形態を模倣した商品の提供行為は規制されている。この範囲を有体物に限らず、デジタル空間上の商品に広げる。 次の2点が新たに規制対象として定められる。
|
| 限定提供データの対象を拡充 | ビッグデータの安全な利活用・共有ができるよう、不正取得に対して差止めができるなどの限定提供データ制度が従来設けられている。この制度で保護されるデータの範囲が今回広がった。 制度創設時に想定されていなかったデータの利活用に対応。 |
| 営業秘密等の損害額の拡充 | 営業秘密等への侵害があったとき、一定の計算式に基づいて損害額が算定される。このとき被害者の生産能力を超えた分については損害として認められていなかったが、この超過分についても損害として認められることになった。 中小企業のように生産能力が高くなくても、現行の損害額に加え、ライセンス料相当額として請求ができるようになる。 |
グローバル化に伴う制度の整備
外国で起こった事件については、日本の法律を適用させられる範囲、日本の民事訴訟で対応できる範囲に限りがあります。しかし、今回の法改正で、海外で公務員に賄賂を与える行為、海外での営業秘密侵害についても日本のルールに則って処罰できるように規制が強化されます。
改正ポイントは、以下のようにまとめられます。
| 改正点 | ポイント |
|---|---|
| 海外での贈賄行為の規制強化 | 日本企業に所属する外国人従業員について、国籍問わず、海外でした贈賄行為を処罰できるようになる。 また、違反があったときの法定刑が引き上げられる。 個人へのペナルティ:罰金の上限が500万円から3,000万円へ。懲役の上限が5年から10年へ。 法人へのペナルティ:罰金の上限が3億円から10億円へ。 |
| 海外での営業秘密侵害を一部日本の民事訴訟で対応可能とする | 日本国内で適切な管理体制を整えて管理する営業秘密について、海外での侵害行為も日本の民事訴訟で対応できるようになる。 ※刑事手続きについても現行法でも対応可能。 例)日本企業に勤めていた従業員が営業秘密を不正取得し、退職後、外国で不正開示。外国企業が不正に取得・使用。このとき不正競争防止法に基づいて日本で民事訴訟を提起できる。海外企業に対しても日本語で提訴可能。 |
不正競争防止法改正の施行に向けて事業者はどう対応すべき?
営業秘密等に関して被害を受けた企業でも、改正法施行後、賠償請求による救済の実効性が従来に比べて高くなります。リアル空間以外の模倣行為に対しても差止請求ができるようになりますし、生産能力の高くない企業でも請求できる賠償金が現行法より高くなります。
ただし、心配が不要になるほど制度が整うわけではなく、法制度による保護を受けるには各制度に規定された前提条件を満たしていなければなりません。例えば、営業秘密としての保護を受けるには非公知性などの要件を満たす必要があります。
また、海外での営業秘密侵害事件について日本の民事訴訟で勝訴できても、その後確実に執行ができるとは限りません。どうやって被害額を取り戻すのか、執行の手段についてもよく考えて訴訟を提起することが大事です。
ビッグデータの取り扱いなど各社必要な対応は異なりますので、今後の具体的な措置については顧問弁護士とも相談しながら決めるようにしましょう。
不正競争防止法改正は継続的にチェックしていこう
不正競争防止法改正は社会情勢の変化に合わせて何度も行われます。2024年にはデジタル空間における知的財産の保護強化、海外での営業秘密侵害行為に対する手続整備などのルールが適用され始めますが、これで完結するわけではありません。今回の改正法に対応することはもちろん重要ですが、今後も改正されていくことを想定し、最新の法制度に追随していけるようにアンテナを張っておきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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