- 更新日 : 2025年4月8日
契約における目的条項とは?記載の必要性や書き方を具体例つきで解説
契約における目的条項とは、契約の目的などを記載する条項です。目的の認識を統一するために必要な条項であり、特に秘密保持契約では重要です。契約に直接影響を与える条項ではありませんが、適切に記載しましょう。今回は、目的条項の書き方を、ケース別の具体例とともに紹介します。チェックポイントも解説しているため、ぜひ参考にしてください。
目次
契約における目的条項とは何を指す?
契約における目的条項とは、契約の目的や取引の概要などを記載する条項です。前文や第1条に「本契約は〜〜を目的とする」という形で記載されるのが一般的です。
権利義務を明らかにする条項ではないため、必要ないのではと考える方もいるでしょう。しかし、取引や契約の目的について共通認識を持つために必要な条項です。契約についての考え方が現れる箇所でもあるため、必ず契約書に記載しましょう。
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目的条項を契約で記載する必要はある?
目的条項は、取引の当事者間で取引の目的や概要を共有するために記載する必要があります。また、契約全体を解釈する際の基準になる、という役割も果たすのがポイントです。契約書の内容が不明確な場合は、目的条項の内容を参考に、内容が解釈されます。
しかし、目的条項が契約内容に直接影響を与えることはほとんどありません。形式的に置かれているケースが多く見られます。
ただし、秘密保持契約では目的条項が重要な意味を持つため注意が必要です。秘密保持契約では、契約の目的を明らかにしたうえで、秘密情報を目的以外で使用することを制限しなければならないためです。
目的条項の具体的な記載例
目的条項には、以下のような内容を記載しましょう。
- 契約を締結する目的や動機
- 契約や取引の概要
- 商品やサービス、情報などが提供される場合は、提供を受けた側がそれを利用する方法
以下では、契約書の種類別に、具体的な記載例を紹介します。
業務委託契約における目的条項の記載例
業務委託契約の目的条項では、発注内容や請負人の業務範囲などを定めましょう。
記載例は以下のとおりです。
(目的)
第1条
甲は、ソフトウェア開発事業を行うにあたって、乙に対して以下の各号記載の業務を委託し、乙はこれを受託する。
- 〜〜〜
- 〜〜〜
目的条項は、契約の内容や取引の目的に応じて柔軟に変更しやすい条項です。記載例を参考に、当事者間で協議しながら内容を定めましょう。
秘密保持契約における目的条項の記載例
秘密保持契約では、目的条項の内容が重要です。情報の目的外利用を防げるよう、取引や契約の目的を明確に定めましょう。
記載例は以下のとおりです。
本契約は、甲と乙が〇〇に関する取引を総合に検討するにあたって、甲乙間で相互に開示される秘密情報の第三者に対する流出や漏洩等を防ぐため、甲乙がそれぞれ負うべき秘密保持義務や秘密情報の管理方法およびその他の事項を定めることを目的とする。
目的条項を設定・確認する際の注意点
契約書の目的条項を設定・確認する際は、特に以下の点に注意しましょう。
- 契約内容に対応する記載内容になっているか
- 契約を締結した動機や取引の経緯などが必要な範囲内で明記されているか
- 信義誠実・基本原則に関する条項を記載する必要はない
目的条項は契約の概要を示す箇所でもあるため、契約の内容に対応する記載になっているかをチェックする必要があります。商品やサービスの提供が伴う場合は、提供される内容が明確になるよう、商品やサービスの特徴が明記されているかを確認しましょう。取引において特有の事情があれば、その旨も記載されていることが望ましいです。
契約の動機や取引の経緯についても明記しましょう。特に、取引の動機は契約不適合責任を判定する際にチェックされる箇所です。忘れずに記載されているか、内容は適切であるかを確認してください。
一方、信義誠実・基本原則に関する条項を記載する必要はありません。これらは民法に規定された基本原則であるため、わざわざ目的条項に記載する必要はないと考えられます。
契約における目的条項には契約の目的や概要を明記しよう
契約における目的条項は、取引の目的について当事者間で共通認識を持つために必要です。また、契約内容を解釈する際の基準にもなります。特に秘密保持契約では、情報の目的外利用を禁止するために重要な条項です。記載例を参考に、契約の目的や概要が簡潔にまとまった条項を記載しましょう。
レビュー時は、契約内容に応じた記載内容になっているか、必要な情報が含まれているかなどをチェックしてください。
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