- 作成日 : 2023年9月21日
法制執務とは?国や地方公共団体における実務を紹介
法制執務とは、法令の立案・審査に関する事務のことです。国や地方公共団体では法制執務のプロセスに従い、毎年多数の法令が制定・改正されています。本記事では、法制執務の手続きや実務、参考となる本書籍などを紹介します。
法制執務とは
法制執務とは、法令の立案・審査に関する事務のことです。
法令の内容は、社会情勢等の要請に応じてアップデートする必要があります。新しい技術への対応や、変化する社会常識に応じたルール変更などが常に求められています。
法制執務は、こうした要請に応じて法改正や新法制定を行うためのプロセスです。適切な内容の法令を成立・施行へと導くため、慎重なプロセスが整備されています。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
電子契約にも使える!契約書ひな形まとめ45選
業務委託契約書や工事請負契約書…など各種契約書や、誓約書、念書・覚書、承諾書・通知書…など、使用頻度の高い45個のテンプレートをまとめた、無料で使えるひな形パックです。
実際の契約に合わせてカスタマイズしていただきながら、ご利用くださいませ。
【弁護士監修】チェックリスト付き 改正下請法 1から簡単解説ガイド
下請法の改正内容を基礎からわかりやすく解説した「改正下請法 1から簡単解説ガイド」をご用意しました。
本資料では、2025年改正の背景や主要ポイントを、弁護士監修のもと図解や具体例を交えて解説しています。さらに、委託事業者・受託事業者それぞれのチェックリストを収録しており、実務対応の抜け漏れを防ぐことができます。
2026年1月の施行に向けて、社内説明や取引先対応の準備に役立つ情報がギュッと詰まった1冊です。
【弁護士監修】法務担当者向け!よく使う法令11選
法務担当者がよく参照する法令・法律をまとめた資料を無料で提供しています。
法令・法律の概要だけではなく、実務の中で参照するケースや違反・ペナルティ、過去事例を調べる方法が一目でわかるようになっています。
自社の利益を守るための16項目 契約書レビューのチェックポイント
契約書レビューでチェックするべきポイントをまとめた資料を無料で提供しています。
契約書のレビューを行う企業法務担当者や中小企業経営者の方にもご活用いただけます。
国における法制執務
国における法制執務で最も重要なのは、法律に関する立案・審査の業務です。その他、政令・府省令の法制執務も実務上の重要性が高いといえます。
法律の立案・審査
法律の立案・審査は、以下のプロセスに従って行われます。
- 原案作成
内閣または国会議員が原案を作成します。内閣提出法案を起案するのは、所管省庁です。所管省庁は、関係省庁との意見調整や審議会への諮問、公聴会での意見聴取などを行った上で法文を起案します。一方、国会議員提出法案は有志の国会議員が作成します。
- 内閣法制局による審査
内閣提出法案については、内閣法制局が審査を行います。内閣法制局による審査は、立法内容の法的妥当性・立案意図の適切な反映・条文の表現および配列の適切性・誤字のチェックなどの観点から行われます。 - 閣議決定
内閣法制局の審査を通過した法案は、閣議に付されます。閣議は慣例的に全会一致が原則とされています。閣議決定された法案は、内閣総理大臣が国会に提出します。 - 国会における審議
国会に提出された法案について、衆参両院で審議が行われます。国会での法案審議は、まず委員会において行われた後、本会議に移行して採決されます。 - 法律の成立
衆参両院で可決された法案、および参議院で否決された後衆議院で再可決(3分の2以上)された法案は、法律として成立します。成立した法律に主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署します。 - 法律の公布
成立した法律は、内閣を経由して天皇に奏上され、天皇が公布します。 - 法律の施行
公布後、一定期間を経て法律が施行されます。
政令・府省令の制定
政令は内閣が制定する命令、府省令は各府省の大臣が制定する命令です。政令・府省令のいずれも、法律の施行に関する細目的事項を定めます。
政令・府省令の制定は、以下の流れで行われます。
| 政令の制定 |
|---|
|
| 府省令の制定 |
|---|
|
地方公共団体における法制執務
地方公共団体には、地方自治の原則に基づき条例の制定権が認められています。
条例の制定は、以下の流れで行われます。
- 原案作成
条例の原案は、首長または議会が作成します。首長提出条例案については、地方自治体の担当課が原案を作成します。 - 事前審査
原案の妥当性について、文書法務課や例規審査会などによる審査が行われます。 - 首長の決裁
首長提出条例案については、事前審査を通過した後、首長による決裁が行われます。 - 議会における審議
提出された条例案について、議会が審議を行います。まず委員会で審議を行い、その後本会議において議決が行われます。 - 条例の成立
議会で可決された条例案は、条例として成立します。 - 公布
首長が成立した条例を公布します。 - 施行
公布後、一定期間を経て条例が施行されます。
法制執務を理解するための参考書籍
法制執務の理解に役立つ参考書籍を紹介します。
- 『法制執務の基礎知識』(大島稔彦、第一法規)
→法制執務全般に関する基本事項の解説書です。 - 『法制執務詳解』(石毛正純、ぎょうせい)
→法制執務全般に関する詳細な解説書です。 - 『条例・規則作成の手引』(地方自治法規実務研究会編集、第一法規)
→地方公共団体における法制執務の解説書です。
法制執務は国家・地方自治体の重要な機能
法制執務は、国家・地方自治体の立法を支える重要な機能です。
法制執務は、行政機関における詳細な原案の検討・作成と、立法府による多段階の審議によって支えられています。法制執務における慎重な検討・審議の過程は、安易な法令を通過させないためのスクリーニングであると同時に、時流に合わせた適切な内容の法令を成立させることに寄与しています。
国や地方自治体のルールや仕組みを把握するためには、法制執務の理解が必要不可欠です。特に法務担当者は、法制執務の基本的な事項を理解しておきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
契約の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
期限の利益とは?喪失通知書が届いた際の対応も紹介
契約締結にあたり「期限の利益」が与えられることで、債務者は余裕を持って債務の履行に取り組むことができます。しかし民法の規定により、あるいは当事者間の取り決めにより、期限の利益が喪失することもあります。 そもそも期限の利益とは何か、どのような…
詳しくみるグレーゾーン解消制度とは?メリット・デメリットや申請方法、事例など解説
新しい事業の適法性に不安はありませんか?「グレーゾーン解消制度」は、事業開始前にそのビジネスが規制の対象となるかを、国の担当大臣を通じて確認できる制度です。 本記事では、グレーゾーン解消制度について徹底解説。基本的な仕組みから、活用する上で…
詳しくみる特許の出願公開制度とは?公開タイミングや特許出願時の注意点などを解説
特許の出願公開制度とは、出願から1年半が経ったタイミングで公開特許公報上に出願内容が公開される制度です。特許を出願する際は公開内容を確認して、同じ内容がすでに出願されていないかをチェックしましょう。今回は、制度の目的や公開のタイミング、公開…
詳しくみる知的財産法とは?知的財産権の種類もわかりやすく解説!
知的財産法とは、無体物を創出した者に認められる、物の所有権に類似した独占権です。特許権・実用新案権・商標権・意匠権・著作権等があります。自社の知的財産権を効果的に活用できるように、また他社の知的財産権を侵害しないように、知的財産法に関する理…
詳しくみる商事法定利率とは?改正による廃止など
法定利率は、長い間2種類存在していました。商法による商事法定利率と、民法による民事法定利率です。現在は商法が改正され、法定利率の扱いも大きく変化して商事法定利率は廃止されました。ここでは商事法定利率とはどのようなものか、さまざまな角度から解…
詳しくみる民法709条とは? 不法行為による損害賠償の要件や判例をわかりやすく解説
民法第709条は、不法行為にもとづく損害賠償請求権について規定している条文です。社会生活を送る上では誰しも他者に対して損害を出してしまう可能性があります。その場合に被害者が加害者に対して損害賠償をすることを認める基礎になるのが、民法第709…
詳しくみる


