• 更新日 : 2023年9月15日

準拠法とは?契約における意味や国際取引における注意点を解説

準拠法とは、法律関係に適用される法のことです。契約書の内容に疑義が生じた場合や、契約に関して具体的な紛争が生じた場合には、準拠法に従って契約が解釈・適用されます。特に国際取引の契約書では、準拠法を明記することが大切です。本記事では準拠法の例文(日本語・英語)やルール、決め方などをわかりやすく解説します。

準拠法とは

準拠法とは、法律関係に適用される法のことです。

法の内容は地域によって異なります。法律関係(契約など)の当事者の国籍が異なる場合は、どちらの国の法が適用されるかによって、紛争の結論が変わることがあります。

そのため、国際取引の契約書には準拠法を明記するのが一般的です。準拠法をあらかじめ決めておくことにより、契約の解釈が不明確になるリスクを回避できます。

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契約における準拠法規定

国際取引の契約では、末尾の雑則規定などにおいて準拠法を定めることが多いです。また、準拠法と併せて「合意管轄」も定めておきましょう。

準拠法を定める文言例

日本法に準拠する場合
(和文)
第〇条 準拠法
本契約は日本法に準拠し、これに従って解釈される。

(英文)
Article〇: Governing Law
This Agreement shall be governed by and interpreted in accordance with the laws of Japan.

 

ニューヨーク州法に準拠する場合
(和文)
第〇条 準拠法
本契約はニューヨーク州法に準拠し、これに従って解釈される。

(英文)
Article〇: Governing Law
This Agreement shall be governed by and interpreted in accordance with the laws of the State of New York.

合意管轄も併せて定めるべき

国際取引に関する契約書では、準拠法と併せて合意管轄条項も定めておきましょう。合意管轄条項とは、紛争が発生した際に提訴する裁判所や仲裁機関をあらかじめ決めておく条項のことです。

国際取引の場合、合意管轄条項を定めなければ、提訴する側がどちらかによって裁判所が変わってしまいます。また、自国で裁判を行う当事者が有利になりやすい、当事者の国の裁判所が信頼できないケースもあるといった問題が存在します。

そのため、準拠法と併せて合意管轄を定め、信頼できる裁判所や仲裁機関をあらかじめ指定しておくとよいでしょう。第三国の裁判所や仲裁機関などを合意管轄に指定するケースが多いです。

通則法に基づく準拠法の原則

準拠法に関する原則的なルールは、「法の適用に関する通則法(通称:通則法)」によって定められています。

通則法によれば、契約の成立・効力に関する準拠法は、以下の手順で決まります。下記①のとおり、契約で準拠法を定めた場合は、その準拠法に従って契約が解釈されます。

①当事者が契約時に準拠法を選択した場合(通則法7条)

→選択した地の法

※契約締結後に準拠法を選択・変更した場合も同様(通則法9条)

②当事者が契約時に準拠法を選択しなかった場合(通則法8条)

→契約時において、契約に最も密接な関係がある地の法

※特徴的な給付を当事者の一方のみが行う場合は、その給付を行う当事者の常居所地法を契約に最も密接な関係がある地の法と推定する

※不動産を目的物とする契約については、その不動産の所在地法を契約に最も密接な関係がある地の法と推定する

ただし、消費者契約と労働契約については、消費者および労働者の保護の観点から特例が設けられています(通則法11条、12条)。

国際取引における準拠法はどう定める?

国際取引に関する契約の準拠法は、契約交渉によって決まります。

いずれの当事者にとっても、基本的には自国の法を準拠法とするのが望ましいです。しかし、取引の内容や相手方との交渉力格差などにより、自国の法を準拠法とすることが難しい場合もあります。また、当事者間の公平を確保するため、第三国の法を準拠法とすることも考えられます。

自国以外の法を準拠法とせざるを得ない場合は、その法について事前に調査を行うべきです。日本法弁護士を通じて、現地の弁護士にアドバイスを求めるとよいでしょう。

また、合意管轄との関係にも注意してください。日本の裁判所では外国法に基づく裁判も行えますが、合意管轄先によっては外国法による裁判を認めていないところもあります。準拠法と合意管轄の地域を別にする場合は、合意管轄先における取り扱いを確認しましょう。

国際取引の契約では準拠法を要チェック

国際取引の契約を締結する際には、準拠法規定を必ず確認しましょう。自国の法(日本法)を準拠法とすることが難しい場合は、契約上の準拠法の内容を事前にリサーチすることをおすすめします。日本法弁護士の協力を得て、提携先の現地弁護士を紹介してもらい、アドバイスを求めるとよいでしょう。


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