- 作成日 : 2025年5月7日
押印申請とは?押印申請書の書き方・テンプレートや電子化するメリットを解説
押印申請は、稟議や決裁、休暇申請などのとき責任者や担当者の承認などを得るために行う業務フローの1つです。法律上の定めはないため、押印申請のルールは企業が独自に定めます。
本記事では、押印申請について解説します。押印申請書の書き方やテンプレート、電子化するメリットや方法も紹介しますので、業務手順を見直すときの参考にしてみましょう。
目次
押印申請とは
最初に、押印申請(読み方は「おういんしんせい」)の意味や目的、必要性などについて解説します。また、申請内容によって使用する印鑑が異なるため確認しておきましょう。
承認印を押してもらうための申請手続きのこと
押印申請とは、責任者や担当者などの承認印をもらうための申請手続きのことです。承認印を必要とする書類や内容によって、次の通り申請する相手は異なります。
- 稟議書:稟議に参加する関係者や担当者 など
- 決裁書:決裁権限を持った役員や管理者 など
- 休暇や経費などの申請書:直属上司や担当部署の担当者 など
押印申請の目的・必要性
押印申請は、承認印をもらうことによって押印した人が確認または承認したことを証明するために行います。たとえば、決裁書の場合、決裁権限を持った人が承認したことが明確となり、責任の所在や会社の正式な決定事項であることが明らかになります。
書類の種類や重要性によって押印の必要性や誰が押印して承認・確認するのかを判断し、押印申請の社内ルールや手順を定めましょう。
押印申請に使用する印鑑
押印申請にどの印鑑を使用するかは、企業が書類の種類や重要性によって決めます。印鑑には実印や認印、シヤチハタなどがありますが、認印を使用するケースが多いでしょう。紛失や盗難を防ぐために実印は自宅で保管するのが一般的であり、シヤチハタは押印した人を特定するのに適していないからです。
ただし、休暇申請書や経費申請書など重要度の低い書類に押印する場合、シヤチハタの使用を認める企業もあるでしょう。
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押印申請書の書き方
押印申請書は、社内のルールに従って記載しなければなりません。承認を求める内容によってテンプレートが準備されていれば、テンプレートに沿って記載します。社内規定やルール、これまでの申請書をよく確認して、正確に記載することが大切です。明確なルールがない場合は、上司や関係者に相談しましょう。
押印申請書を記載するときは、承認者がすぐに判断できるように申請内容を明確にするとともに申請理由を具体的に記載しましょう。また、申請者や承認者を明記するとともに、提出先や使用する印鑑の種類など承認フローがわかるように記載します。
押印申請書のテンプレート
押印申請書に記載する主な内容は次の通りです。テンプレートを添付しますので、参考にして自社に適した書式を作成しましょう。
- 申請日
- 申請者の所属
- 申請者の氏名
- 申請する書類
- 申請理由
- 添付資料
- 備考欄
- 承認者と承認印の押印欄
押印申請書の保管期間
押印申請書の保管期間は、書類の重要性や必要性に応じて企業でルール化します。経営に関わる重要事項の決裁などは、永久保存や10年以上の長期保存することもあるでしょう。
また、法律上の定めなどに応じて一定期間の保管が必要なケースもあります。たとえば、領収書を添付した経費申請書などの帳簿書類は7年間、休暇申請書など労働基準法に関係する申請書は5年(本則は5年保存、当面は3年保存)などが該当します。
保管期間については、法務部門や関連部門と連携して共通ルールを策定するとともに全社への周知が必要です。
押印申請をメールで依頼する場合の文例
押印申請は承認者へ直接依頼するケースだけでなく、メールで依頼することもあるでしょう。稟議書をメールで依頼するときの文例を紹介します。押印請求書の記載内容と重複するところもありますが、相手に概要が伝わる内容を記載しましょう。
(件名)〇〇に関する稟議書の承認と押印のお願い
(メール文)
〇〇様
いつもお世話になっております。〇〇課の〇〇です。
検討中の〇〇に関して、〇月〇日の合意内容をまとめた稟議書(添付ファイル)を送付いたします。つきましては、内容をご確認の上、問題なければ承認と押印をお願いいたします。
■ 押印書類:〇〇に関する稟議書
■ 提出期限:〇月〇日(〇曜日)
■ 添付ファイル:(稟議書のファイルなど)
ご不明な点がございましたら、ご遠慮なく照会ください。
よろしくお願いいたします。
〇〇課〇〇 〇〇
押印申請を電子化するメリット
業務の効率化を図るために、押印申請の電子化を検討する企業が増えています。電子化する主なメリットは次の通りです。
- 紙を印刷するコストを削減できる
- 承認完了までの時間が削減できる
- 承認フローを自動化できる
- コンプライアンスを強化できる
- リモートワークに対応できる
各メリットについて解説します。
紙を印刷するコストを削減できる
メリットの1つ目は、電子化によって紙で印刷するコストを削減できることです。紙の押印申請書の場合、添付書類や承認者が多かったりすると、用紙代や印刷に要する時間も無視できません。また、紙の帳票を長期間保管する費用も必要です。
承認完了までの時間が削減できる
電子化によって承認完了までの時間を短縮できます。押印申請書を書面で取り付ける場合、承認者が在席しているタイミングで依頼し、承認者が内容確認して押印するまで待たなければなりません。特に、承認者の数が多いケースや承認者が不在がちのケースでは時間と手間がかかります。
電子化によって申請者は準備ができれば相手の状況に関係なく申請でき、あとは回答を待つだけです。ただし、回答が遅い場合は適宜フォローが必要です。
承認フローを自動化できる
押印申請を電子化すると、申請→承認・押印→手続き完了→申請書の保管という申請・承認の業務フローが自動化されます。一元管理できるため、進捗状況のチェックや手続き漏れの防止も容易になるでしょう。
コンプライアンスを強化できる
押印申請の電子化によって、コンプライアンスの強化も期待できます。申請書類の紛失を防ぎ、書類改ざんのリスクも下げられるためです。また、ワークフローシステムのセキュリティ対策をきちんと行えば、社内での情報漏洩リスクも低減できるでしょう。
リモートワークに対応できる
リモートワークを利用している場合、電子化によって自宅や社外で押印申請(または承認・押印)ができるようになります。押印申請のための出社の手間が省けるとともに、申請までの時間短縮が図れるでしょう。出張時などでも活用でき、不在による業務の停滞を避けられます。
押印申請を電子化する方法
押印申請を電子化する主な方法は次の2つです。
- 電子契約システムを導入する
- ワークフローシステムを導入する
各方法について解説します。
電子契約システムを導入する
電子契約システムとは、書面で契約書を交わす代わりにオンライン上で契約手続きなどを行うシステムのことです。押印申請手続きにおいては、オンラインで申請された書類に対して電子印鑑を押印することによって、書面に実際の印鑑を押印したものとみなします。
時間や場所に関係なく申請や承認ができるメリットがありますが、双方が同じシステムを導入していないと利用できないため、社外との契約などでは使用しないのが一般的です。
ワークフローシステムを導入する
ワークフローシステムとは、社内の業務フロー(申請や承認、データの保管など)を電子化しオンライン上で自動化するシステムです。作業内容が少なくなる上に自動化されることから、業務完了までのスピードがアップし、人的ミスの防止も期待できます。
自社専用のシステムを構築するには費用も時間もかかりますが、ビジネスソフト会社などに依頼して初期費用を抑えるという方法もあります。システム導入時は、システムの使用頻度や必要な機能、費用対効果などを慎重に検討しましょう。
押印申請の電子化で業務の効率化を図ろう
押印申請とは、責任者や担当者などの承認印をもらうための申請手続きのことです。押印書類の種類や内容、重要度などによって、申請書の記載項目や承認者、保存期限、承認フローなどの社内ルールを企業が決定します。
押印申請を効率化したいときは、電子化を検討してみましょう。ワークフローシステムの導入により、コスト削減や業務時間の短縮、リモートワークへの対応などの効果が期待できます。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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