• 更新日 : 2025年5月7日

利率変更契約とは?ひな形をもとに契約書の書き方や注意点を解説

「利率変更契約書」は、既存の契約で定めていた利率を変更するときの契約を文書化したものです。どのような場面で作成し、どのように作成するのかについて、具体例を含めた書き方やポイントを取り上げながらここで詳しく解説をしていきます。利率の変更を求められたとき、変更を求めるときは当記事の内容を参考にしていただければと思います。

利率変更契約とは

利率変更契約とは、すでに締結済みの金銭消費貸借契約などに基づく利率を変更する目的で締結する契約のことです。この契約を締結する際は「利率変更契約書」のほか、「金利変更契約書」や「利率変更に関する特約書(または覚書)」などの名称で書面が交わされることもあります。

利率変更契約について貸主と借主が合意すれば、新たな利率の適用は完了です。

なお、変更前の契約(原契約)の内容は基本的に維持されるため、言及されていない利率以外の部分はそのまま変わりません。

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利率変更契約を締結するケース

利率変更契約が締結される背景としては、経済状況の変化や法律の改正、あるいは債務者の返済能力の変化などさまざまな要因が考えられます。

利率変更契約を締結するケース説明
金融市場の変化への対応市場金利が大きく変動した場合、既存の貸付契約の利率が現在の経済実態に合わなくなることがある。特に長期の契約では、契約当初の金利水準と現在の市場金利との乖離が大きくなりやすいため、実勢に合わせた調整が行われることがある。
返済の負担軽減を求めるとき債務者の経営状況の悪化などにより当初の条件での返済が困難になったとき、債務者からの利率引き下げの求めを受け入れ、返済を継続させるケースもある。

返済能力が著しく低下しているときは、債務整理の一環として行われることもある。

法定利率の改正への対応法制度の変更に伴って、既存契約の利率の見直しが必要になるケースもある。

民法改正によって、2020年4月からは法定利率に変動制が採用されたため、約定利率のない契約の場合は定期的な見直しが発生する可能性がある。

固定金利と変動金利の切り替え市場環境の変化に応じて、固定金利から変動金利へ、あるいはその逆の切り替えを行うケースがある。

例えば、低金利環境が長期化する見通しの場合、変動金利から固定金利へ切り替えることで将来の金利上昇リスクを回避しやすくなる。

このように、利率変更契約は金融機関や事業者間での柔軟な対応を可能とし、経済環境や個別の事情に応じた調整手段として機能します。

利率変更契約書のひな形

利率変更契約書の作成を効率的に進めるとともに、必要な条項の漏れを防ぐには、書き方の具体例が記載された適切なひな形を参考にすることが有効です。

以下のリンクから、実務で活用できる利率変更契約書のひな形をダウンロードできます。個別の取引状況に応じて適宜カスタマイズしながらご活用ください。

利率変更契約書に記載すべき内容

利率変更契約書を作成するときは、利率を変更する対象となる「原契約の特定」が必要です。

そこで当事者に関しては、貸主及び借主、必要に応じて連帯保証人の氏名または名称、住所を明記して、齟齬が発生しないようにしましょう。原契約の内容については、当該契約の締結日や契約番号などの項目を明示して、どの契約を指しているのかをはっきりさせます。

例文1)

第○条 甲及び乙は、甲乙間で締結された〇〇年〇月〇日付け金銭消費貸借契約(契約番号:○○)を、以下のとおり変更する。
(1) 第〇条の利息の利率「〇%」を、「〇%」に変更する。
(2) 第〇条の遅延損害金の利率については、原契約どおり変更はないものとする。

肝心の「利率の変更内容」も示しましょう。原契約における条文番号やそこで定められた利率も明記しておくと、お互いの認識のずれを防ぐことができます。

また、利率以外の部分はそのまま有効であることを確認するために、次のような条文も置いておくとよいでしょう。

例文2)

第○条 本契約に定めのない事項については、原契約のとおりとする。

利率変更契約書を作成する際の注意点

利率変更契約の有効性を確保し、将来的なトラブルを防ぐためには、いくつかの点に注意する必要があります。

  • 原契約との整合性
    原契約を正確に特定できているか、原契約で定められた変更手続きに従っているか、返済方法や担保など利率以外の条件への影響がないか、などに留意しながら進める。
  • 法的有効性の確認
    利息制限法や民法など関連する法令に抵触していないかを確認する。
  • 印紙税の確認
    利率変更契約書にも印紙税が課税されるケースがある。その場合、契約書に残金を記載していても、それは原契約で確定していた金額であるため、ここでは「契約金額の記載のないもの」という扱いとなり、200円の印紙税となる。
  • 適用開始日を明確にする
    変更後の利率がいつから適用されるのかを、返済の負担や返済スケジュールへの影響も考慮しながら、双方で話し合って定める。

以上のポイントを踏まえて契約書を作成することが、後々の紛争防止にもつながるでしょう。

利率変更契約で健全な金融取引を維持しよう

利率変更契約は、金銭消費貸借などの条件を調整する重要な役割を担う契約です。金銭消費貸借をはじめとする金融取引は、経済状況の変化や当事者の事情により見直しが必要になることがありますし、トラブルの原因となることもあります。

そこで大きな問題が起こる前に利率変更に関する交渉を始め、契約書も原契約との整合性や各種法令への準拠を意識しつつ適切なものとなるよう作成し、契約当事者間の良好な関係性の維持に努めましょう。


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