- 作成日 : 2025年3月24日
土地使用承諾書とは?ひな形や例文、書き方、使用料の相場を解説
土地使用承諾書は、他人が所有する土地を利用するときに作成する承諾書です。車庫証明の取得や、建築確認、電柱設置などさまざまなシーンで締結します。本記事では土地使用承諾書の書き方やレビューのポイント、注意点、承諾料の相場などをご紹介します。
目次
土地使用承諾書とは?
土地使用承諾書は、土地を所有する人(許可する側)と、その土地を使用したい人(許可される側)が交わす書面です。主に土地を無償または承諾料(使用料)を支払って利用する際に作成され、契約期間、使用料や使用目的などの条件を明確にしてトラブルを防ぐ役割があります。
土地使用承諾書はあくまで「使用を承諾している」ことを示すもので、土地賃貸借契約ほどの強い効力は発生しません。しかし、建築確認や車庫証明など公的な手続きにも必要となる重要な書類です。無断利用や口頭だけの約束は、後々のトラブルや法的な問題に発展する恐れもあるため、必ず書面化を検討しましょう。
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土地使用承諾書を結ぶケース
土地使用承諾書は、建築確認の際に隣地から一定のスペースを借り受ける場合、車庫証明の取得時に親族や第三者の土地を一時的に借りる場合、電柱や看板を設置する際に電力会社や広告業者が土地所有者の了承を得る場合、一時的な資材置き場として他人の土地を利用する場合などに締結します。
また、使用するのが公共用地で自治体が許可済みなど、締結しなくても支障のないケースもありますが、不動産トラブルや無断利用と疑われるのを避ける意味でも、できる限り書面化しておくのがおすすめです。
土地使用承諾書のひな形・テンプレート
土地使用承諾書をスムーズに作成するためには、ひな形(テンプレート)を利用するのが効果的です。契約書を1から作る必要がなくなり、契約手続きをスムーズに進められるでしょう。
ひな形は、そのまま使うのではなく、内容を確認して案件ごとにカスタマイズしましょう。内容を簡単に変更できる、ワード形式のひな形を選ぶのがおすすめです。
マネーフォワード クラウドでは、土地使用承諾書のひな形・テンプレートを無料でダウンロードいただけます。適宜加筆修正して活用してください。
土地使用承諾書に記載すべき内容
土地使用承諾書には以下の項目を記載する必要があります。ひな形(テンプレート)をもとに、必要に応じて特記事項や期間、承諾料の有無などを加筆修正しましょう。
土地を使用する人の氏名
土地を使用する人(以下「使用者」)の氏名・住所をしっかりと記載します。会社名義の場合は法人名と代表者名、所在地を明確にしましょう。
土地の使用目的
車庫証明や建築確認、電柱設置など、使用目的が何であるかを具体的に明記します。目的と異なる行為をしないよう、目的は詳細に書きましょう。
土地の使用承諾期間
いつからいつまで土地を使えるのか、具体的な開始日と終了日を記載します。必要に応じて更新条件や解約条件を盛り込むと、後々のトラブル軽減につながります。
特記事項
無償で貸し出すのか有償なのか、無断での増築・撤去ができるかどうかなど、追加で守るべきルールを特記事項として明示します。電柱や看板の設置の場合は、撤去時の原状回復に関するルールなども書き込みましょう。
使用料
承諾料を支払う場合は、支払い額や方法、支払い期限を具体的に規定します。無償の場合でも「無償とする」旨を明記しておくと安心です。
物件の表示
土地の所在地や地番など物件の詳細を正確に記載します。「別紙物件目録記載の土地」とまとめて目録を添付する方法もあります。
契約の年月日
正式に合意した年月日を記載し、当事者間の契約成立時期をはっきりさせます。過去にさかのぼって承諾書を作成する場合は、法律的リスクにも注意が必要です。
土地の使用を許可する人の氏名・住所
土地所有者(または管理者)の情報を記載します。法人名義の場合は法人名と代表者名を明示し、押印も忘れずにしてもらいましょう。
土地使用承諾書を作成する際の注意点
土地使用承諾書を作成するうえで、以下のポイントに留意してください。
承諾料(使用料)と期間を明確にする
使用料や承諾期間の書き方が曖昧だと後で「そんな話は聞いていない」といったトラブルに発展する可能性があります。相場がわからない場合は、不動産会社や近隣事例を参考にしたり、インターネットで周辺地域の不動産価格を把握したりして算出しましょう。期間についても、有期なのか無期限なのか明確に記載し、終了時の手続きも定めておくことが重要です。
拒否された場合やトラブル事例を把握する
土地所有者が承諾を拒否する場合には代替策が必要になります。車庫証明や建築確認が得られず計画が止まるケースもあるため、早めに話し合いを進めましょう。
土地の所有者が懸念するトラブルとしては、使用目的外の行為をされたり、期限を超過しても立ち退かなかったりするなどのケースがあります。使用者側はしっかりと説得して安心感を与え、「特記事項」で制限や原状回復の義務を記載することが重要です。
印紙や押印の扱い、法的効力を確認する
土地使用承諾書は賃貸借契約ではないため、通常は収入印紙が不要となります。ただし、内容によっては賃貸借契約と見なされる場合もあるので要注意です。また、法的効力を確実にするため、土地所有者と使用者の押印もしくは電子署名を取得し、証拠書類として扱えるようにしましょう。疑問点がある場合は専門家に相談するのが安心です。
土地使用料の決め方や相場は?
土地使用承諾料(使用料)の設定方法は、地域や用途、期間によりさまざまです。不動産業者に問い合わせたり、近隣事例を調査したりすることで、平均的な相場をつかむことができます。
一般的には更地の賃貸借相場を一つの目安とし、使用期間の長短や土地の立地条件、使用目的(電柱設置など)によって決めます。短期の車庫証明用であれば、相場より安価に設定されるケースも多いようですが、長期にわたる場合は地価の変動や固定資産税・都市計画税の額なども考慮しましょう。
土地使用承諾書を締結する流れ
主に以下のような3つのステップで土地使用承諾書を締結します。
事前交渉と条件確認
まず、使用者と土地所有者が利用目的や期間、承諾料などの大まかな条件を話し合います。
承諾書の作成・確認
ひな形(テンプレート)をベースに、話し合った条件を反映させてドラフトを作成し、必要に応じて特記事項や補足事項を追加します。
署名・押印(もしくは電子署名)
双方が内容をレビューし、異議がなければ署名・押印を行います。
土地使用承諾書の保管年数や保管方法
土地使用承諾書には法定の保管期間はありませんが、少なくとも契約期間中は必ず保管し、終了後も数年間は保管しておくことが望ましいです。特に、建築確認や車庫証明など公的手続きが絡む場合、書類提出後も後日確認が求められることがあります。
紙ベースで保管する際は、紛失や汚損に注意し、耐火・防湿対策が施されたキャビネットや金庫を利用しましょう。電子データの場合、暗号化やバックアップなどデータ改ざんや紛失防止策を講じて記憶媒体に保存し、クラウド上で管理する場合はアクセス権限を適切に管理することがポイントです。
土地使用承諾書の電子化、電子契約は可能?
最近では電子契約サービスの普及に伴い、土地使用承諾書も電子署名やクラウド上の契約システムを利用するケースが増えています。一般的に、電子署名法の要件を満たした電子契約は紙の契約書と同等の法的効力を持ちます。
参考:電子署名及び認証業務に関する法律|e-Gov法令検索
参考:電子署名とは?仕組みや具体的なやり方までわかりやすく解説|Money Forwardクラウド契約
ただし、契約内容によっては印紙税の判断や実印・押印が必要になる場合があります。自治体や関係機関に提出する際には、紙書類での提出を求められるケースがある点も注意が必要です。事前に手続き先に確認し、電子契約を用いる場合は安全なサービスを利用しましょう。
他人の土地を利用する場合は土地使用承諾書で合意形成を
土地使用承諾書は、他人の土地を目的や期間を定めて使用する際に欠かせない書類です。承諾料(使用料)の相場や書き方、トラブル対策などを事前に把握しておくことで、後々のリスクを回避できます。
無償か有償か、いつまで利用するのか、使用目的に応じて当事者同士がしっかりと話し合い、承諾書で合意を形成しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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