- 作成日 : 2025年3月3日
主張書面とは?書き方や例文を紹介(テンプレート付)
主張書面は、調停の際に裁判所や相手方へ自分の意見・言い分・希望などをまとめた書類です。意見を伝えたい場合、書面を用いることで自らの主張をより明確に伝達できる仕組みとなっています。
この記事では主張書面の作成方法や例文を、テンプレートを交えて紹介し、提出するシーンや準備書面、陳述書との違いについても触れていきます。
▼主張書面のひな形・テンプレートを無料でダウンロードいただけます。
目次
主張書面とは?
主張書面(しゅちょうしょめん)は、調停などの法的手続きにおいて自分の主張や意見を整理し、裁判所に提出することでその内容が考慮される可能性を高めるものです。
裁判官は、証拠に基づく判断に加え、心証(すなわち裁判官自身の認識や確信)も重要な判断材料とします
従って、主張書面を提出することで、裁判官の印象が変化し、最終的な判断に影響を与える場合もあり得ます。
主張書面を提出するケース
調停時に主張書面を提出することで、例えば遺産取得に関する希望、特別受益や寄与分に関する主張、さらには相手方の主張に対する反論などを、裁判所に対して明確に伝えることが可能となります。
主張書面を提出しないとどうなる?
主張書面の提出は必須ではないため、提出しなかった場合に直接的なペナルティが科されることはありません。しかし、伝えたい事項がある場合、口頭弁論のみでは不十分となる恐れがあり、また相手方に対する反論を省略すれば、結果的に相手の意見を認めたと見なされるリスクが生じます。
自らの望む結果を得るためには、口頭弁論と併せて書面での主張も十分に活用することが重要です。
主張書面のひな形・テンプレート
主張書面は裁判所に提出する書類であり、書式や記載事項に関するルールが定められています。当サイトではすぐに使えるテンプレートをご用意しました。ぜひ以下のリンクよりダウンロードして活用してください。
主張書面の書き方や例文
ここからは主張書面に盛り込むべき項目や書き方について、テンプレートをもとに解説していきます。
事件番号
まず、どの事件に関する主張であるかを明確にする必要があります。調停の場合、例えば「令和〇年(〇)第〇〇〇〇〇号 〇〇〇〇請求事件」といった事件番号が付されるので、必ず記入しましょう。
申立人と相手方の氏名
申立人(調停を起こした人)と、相手方(調停を起こされた人)の氏名を正確に記載します。
作成日
「令和〇年〇月〇日」というように、主張書面を作成した日付を記載します。
提出先と提出者
例として「〇〇地方裁判所 民事〇〇部 御中」といった調停を担当する裁判所の部署名を明記し、さらに「申立人 ○○ ○○」「相手方 ○○ ○○」という具合に、各自の氏名とともに押印欄も設けるようにしましょう。
本文と結語
裁判所に伝えたい主張、意見、希望、さらには相手方の主張に対する反論などを、分かりやすく整理して記述します。
内容が多数にわたる場合、項目ごとに分けると読みやすくなります。最後に、結論として自らの主張をまとめることが望ましいでしょう。
主張書面を書くうえでの注意点
主張書面を作成して裁判所に提出する際には以下のような点に注意しましょう。
必要な項目を記載する
主張書面には、必ず「事件番号」「作成年月日」「提出者の署名・押印」「宛先(裁判所担当部署名)」を含めるようにしましょう。
テンプレートに沿って作成すれば、記載漏れを防げます。
A4用紙を用い綴じ代を設ける
証拠書類としてファイルに綴じられるため、A4サイズの用紙を用い、左側に3cm以上の余白(綴じ代)を設けるように作成しましょう。
裁判所用と相手方用のコピーを提出する
書面作成後、裁判所に提出する分と、相手方へ交付する分(当事者の人数に応じた通数)のコピーを用意します。元本はご自身で大切に保管しましょう。
相手方に知られて困る情報は記載しない
裁判所からは主張書面のコピーが相手方にも送付されるため、現住所、勤務先、マイナンバー、銀行口座などの個人情報は記載を控えるか、黒塗りにする措置を講じましょう。
なお、裁判所には開示する必要があるが相手方に知られたくない情報がある場合は、「非開示希望申出書」を別途作成して提出することで配慮が可能となります。
主張書面と準備書面、陳述書の違い
裁判・調停の当事者が裁判所に提出する書類としては、主張書面のほかに「準備書面」や「陳述書」が存在します。
主張書面と準備書面の違い
準備書面も自らの主張や意見、希望、相手への反論などを記述する書類であり、基本的な性質は主張書面と同様です。
違いは、使用される場面にあります。裁判で主張する場合は準備書面、調停で主張する場合は主張書面と呼ばれる点に留意しましょう。
主張書面と陳述書の違い
陳述書は、争点となっている事実とそれに対する自らの認識を記した書類です。
意見を示す点では主張書面に類似していますが、事実に対してどのように感じ、考えているかという心情を表明する性質が強いことが特徴です。
要件を満たしてわかりやすい主張書面を作成しよう
要件を満たし、かつわかりやすい主張書面を作成することは、裁判官に自らの主張を効果的に伝えるための重要な手段となります。書面を読む裁判官の立場に立って、理論的かつ明瞭に記述することが望ましいです。最終的には、コピーの作成や必要項目の確認、正しい書式での作成を十分に行ったうえで、提出するようにしましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
契約の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
特定契約・接続契約モデル契約書とは?ひな形をもとに記載項目を解説
特定契約・接続契約モデル契約書は、経済産業省が公表している特定契約・接続契約のひな形です。固定価格買取制度を使って再生可能エネルギー事業者が売電する際は、電力会社と特定契約・接続契約を締結します。その際のベースとなるのがモデル契約書です。今…
詳しくみる手付放棄による不動産売買契約の解除は可能?条件や通知書の書き方を紹介
不動産売買契約の買主は、売主に対して預けている手付金を放棄することにより、契約を解除できます。ただし、売主が契約の履行に着手した場合や、契約上の手付解除期限を経過した場合には、手付解除が認められなくなるため、注意が必要です。本記事では、不動…
詳しくみる請負契約とは?委任契約の違いやメリット、収入印紙などをわかりやすく解説
請負契約は、仕事の完成を目的とする契約です。請負契約をスムーズに締結し、当事者間でトラブルの発生を防ぐためには、請負契約がどのような契約形態かをしっかり理解し、業務委託契約や他の形態である委任契約、準委任契約との違いを押さえておくことが重要…
詳しくみる譲渡禁止条項とは?具体的な書き方やレビュー時の注意点を紹介
譲渡禁止条項とは「権利や義務を他人に譲り渡すこと」について禁止する、契約上の条項のことです。契約締結後、予想外のトラブルが起こることを防ぐ手段の1つとして、譲渡禁止条項を定めることがあります。契約書にはどのように書くのか、あるいはどのように…
詳しくみる財産管理委任契約とは?委任できる内容や手続きの流れ、費用を解説
財産管理委任(任意代理)契約とは、財産の一部あるいは全部を自分が選定した代理人に管理を委任する契約のことです。この記事では財産管理委任契約の概要、委任できる内容、手続きのやり方、費用などについてご説明します。 財産管理委任契約とは 財産管理…
詳しくみる競業避止義務とは?法的に有効な内容や就業規則への記載方法などを解説
競業避止義務とは、自社の従業員が競業にあたる事業を行えないようにすることを指します。競業避止義務は、契約締結などによって課されるケースが多いです。 従業員は業務内容によって重大な情報を共有したり、特別なノウハウを身につけたりすることがありま…
詳しくみる