- 作成日 : 2024年12月25日
SNS掲載承諾書とは?ひな形をもとに書き方や注意点を解説
SNS掲載承諾書とは、写真や動画の被写体となる人、あるいは作品などの制作者から、SNSに掲載することを承諾してもらうための書面です。SNSに第三者の姿や制作物が入っている写真や動画を無断で投稿すると、後々大きなトラブルにも発展しかねません。この記事ではSNS掲載承諾書の書き方や注意点について、ひな形も交えてご説明します。
目次
SNS掲載承諾書とは
SNS掲載承諾書はSNSのアカウント運用者と承諾者(写真や動画の被写体となる人や、被写体となる作品を制作した人)とが締結する書面です。
個人には肖像権、つまり自分の容姿を無断で撮影されない、あるいは撮影された画像や動画を無断で公表されない権利が与えられています。
また、絵画、彫刻などの美術品、文章、舞踊、楽曲、建築物、プログラムなどの著作物の作成者には著作権が発生し、他人はそれを勝手に使うことはできません。
多くの人にとって、自分の姿や制作物が勝手にSNSによって全世界に公開されるのは気分がいいものではありません。
SNSで他人の姿が写り込んだ画像や動画を無断でアップロードした場合は肖像権の侵害に、同じく他人の制作物を無断で公開した場合は著作権の侵害に当たる恐れがあります。また、被写体や制作者のプライバシーが侵害される、犯罪やトラブルに巻き込まれるなどのリスクもあります。
そのため、SNS掲載承諾書で承諾を得ることが重要です。
SNS掲載承諾書を作成するケース
SNS掲載承諾書を締結するケースとしては、団体や企業、個人が自身の運営するSNSに画像や動画などのコンテンツを投稿する際が挙げられます。
例えば企業が自社のSNSにお客さまの顔写真やサービスを受けている風景の動画をアップロードするようなケースです。
ほかにも学校が運動会や修学旅行などのイベントに参加している生徒の写真をSNSにアップするケース、趣味サークルが会員の作った作品を撮影した写真や動画をSNSにアップするケースなども挙げられます。
なお、承諾者が未成年である場合は親権者の同意を得る必要があります。
SNS掲載承諾書のひな形
最近ではSNSを広報や集客ツールに活用している団体や企業も増えてきました。特に初めてSNSの運用を開始される方は、準備としてSNS掲載承諾書のフォーマットを作成しましょう。当サイトではひな形をご用意しましたので、ぜひこちらを参考に作成してみてください。
SNS掲載承諾書に記載すべき内容
ここからはSNS掲載承諾書に最低限記載すべき内容について見ていきましょう。先ほどご紹介したひな形を見ながら読み進めていくことで、より理解が深まります。
SNS掲載についての説明
まずは承諾者に対してSNSに写真や動画などをアップロードする旨を記載しましょう。
「SNS掲載について」という表題を設け、SNSを運用している旨と掲載するコンテンツの概要、SNS掲載承諾の提出を依頼する旨を説明します。
また、掲載する情報の種類(写真や動画など)や掲載する情報の内容、掲載する場所(SNSのプラットフォーム名やサイト名など)を箇条書きで簡潔にまとめます。
SNSへの掲載承諾
ここからが本丸であるSNS掲載承諾書の中身となります。以下のようなイメージで、承諾者が権利の行使をしないこと、掲載料を請求しないこと、SNS掲載に対して異議を申し立てないことなどを記載します。
私は、以下の条件に納得した上で、貴社SNSに私の作品を掲載することに同意します。
1.私は、貴社に対し、著作権、著作者人格権、肖像権その他の権利を行使しません。
2.私は、貴社に対し、私の作品の掲載料を請求しません。
3.私は、貴社が私の作品を貴社SNSに掲載するに際し、貴社の掲載方法に従い、異議を申し立てません。
署名欄
最後に承諾者が承諾した日付と住所、氏名を記載する欄を設けます。ここに署名することで、SNS掲載に承諾したと見なすことができます。
SNS掲載承諾書を作成する際の注意点
以上でSNS掲載承諾書の書き方やポイントについてご紹介しました。ここからは承諾書を作成する際の注意点について見ていきましょう。
対象や使用目的、掲載場所を明確にする
SNSに掲載する内容や掲載するコンテンツの種類(写真や動画など)、掲載場所や目的などについては可能な限り具体的に記載しましょう。例えば掲載する場所が明らかになっていないと承諾者に不安を与えることになります。
また、例えばFacebookだけにアップロードするという約束だったのに、InstagramやX(旧Twitter)、ホームページにも掲載してしまうというように、SNS掲載承諾書に定めた範囲を超えて使用するのは止めましょう。
掲載後に「事前に聞いていた話と違う」というようにクレームにつながる恐れがあります。
権利の行使について取り決めておく
承諾者には肖像権、著作権などの権利が発生します。後からこの権利を主張されるとSNSへのコンテンツの投稿ができなくなる、すでに投稿したコンテンツを削除しなければならない、訴訟やトラブルに発展するなどの恐れがあります。
承諾書には承諾者が肖像権や著作権などの権利を行使しない旨を盛り込んでおくことが大切です。
承諾書と口頭での説明を併用する
SNSへの掲載承諾は口頭であっても成立します。しかし、口約束だと後から双方に見解の相違が生じてトラブルになる恐れもあります。また承諾書だけを一方的に送りつけるのも考えものです。
口頭でSNS掲載について丁寧に説明をして理解を得たうえで、承諾書で合意を得るというように、ダブルの対応が有効です。
承諾を得ないでSNSに掲載するとどうなる?
自分を撮影した写真や動画、あるいは作ったものが勝手に公開されるのは気分がいいものではありません。
承諾を得ずに第三者の顔や姿、あるいは第三者の制作物をSNSにアップロードした場合、クレームが入る恐れがあります。謝罪をしたうえでコンテンツを削除するなどの対応を行わなければならず、信用も失ってしまいかねません。
また、肖像権や著作権などの権利侵害を主張され、損害賠償請求などの法的措置がなされる恐れもあります。
肖像権の侵害については、刑事罰はありませんが、著作権を侵害した場合は最大で10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、もしくはその両方という非常に重い刑罰に処せられる可能性もあります。
例えば、無断で顔写真を掲載することで被写体となった人物がストーカーや詐欺などの犯罪被害に遭う、トラブルに巻き込まれるなどの恐れもあります。
SNS掲載承諾書の承諾に有効期限はある?
承諾書は原則としてお互いが同意している間は有効となるため、期限を定めていない限りはずっと効力は継続します。一度承諾書を締結してもらえば、基本的には承諾者自身や制作物が写ったコンテンツは使用し続けてもいいということになるのです。
ただし、一度は承諾したものの何らかの事情によって削除してほしいというような要請を受けた場合、当事者同士が承諾しているという状態が解消されるため、削除に応じるべきです。
特にSNS掲載によって承諾者に何らかのトラブルや不利益が発生している場合は速やかに対応しましょう。そのまま放置しておくと深刻な事態を招いたり、損害賠償が請求されたりする恐れもあります。
トラブルを防ぐためにも、SNSに掲載する前に承諾書を締結しよう
近年では重要な集客・広報ツールとしてSNSを運用する企業や団体も増え、例えばお店の雰囲気やイベントの様子をSNSに投稿するといった取り組みが盛んに行われています。
一方でSNSに個人の顔写真や制作物が掲載されることで、トラブルに発展するというケースも少なくありません。
特に最近ではたびたび企業や団体のSNSが炎上するという事態が発生しており、それが被写体や制作物に飛び火して不利益を与えてしまうということもあります。
SNSでお客さまや利用者、第三者の姿や制作物が写り込んだ画像や動画などを掲載する際には、必ず口頭でしっかりと説明したうえで、SNS掲載承諾書を用いて合意を得ましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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