- 更新日 : 2025年4月8日
契約書のバージョン管理とは?課題や効率化の方法を解説
ビジネスにおける契約書は、相手方との交渉などによりたびたび修正や変更が加えられます。更新されたバージョンの契約書も、その都度管理しておく必要があります。
この記事では、契約書のバージョン管理が必要な理由や注意点、効率的なバージョン管理方法について解説します。
目次
契約書のバージョン管理とは
ビジネスの場において、契約の締結に際し相手方との交渉過程で契約書の内容が変更されることは珍しくありません。契約書が新しいバージョンに変更された場合、どのような変更が、誰によって加えられたのかなどの履歴を把握できるように、修正後の契約書をそれぞれ別バージョンとして管理していく必要があります。
契約書に複数のバージョンが発生する理由
通常、契約書を作成するには元となる草案(ドラフト)を作成し、相手方と交渉を重ねます。交渉の都度、契約内容は修正・変更される可能性があり、最終的に双方合意の上で契約合意に至るというのが一般的な流れです。
相手方との交渉の際にいくつかの変更が加えられることで、変更前変更後の2つのバージョンの契約書が発生します。何度も変更が加えられることで、草案の作成から最終的に契約を締結するまでの間には複数のバージョンの契約書が発生することになります。
また、契約の有効期限が切れたタイミングで、契約内容の修正や変更が加えられることもあります。その際にも新旧2つのバージョンの契約書が発生するため、適切に管理しなければなりません。
契約書のバージョン管理の重要性
契約書のバージョン管理が適切に行われないと、契約書の改ざんや業務効率の低下、契約書の所在不明などの問題が生じることがあります。
契約書のバージョン管理の目的には主に以下の3点が挙げられます。
契約書の改ざんを防止する
契約書のバージョン管理が適切に行われていない場合、契約書改ざんのリスクがあります。
契約書を誰がいつどのように変更し、最終案に至ったかなどの交渉過程が不明なため、改ざんのリスクが大きくなります。契約書の改ざんは「私文書変造罪」にあたり処罰の対象となるため、企業にとっては大きな痛手となります。
業務の効率化
契約書のバージョン管理を行う目的の1つに、業務の効率化があります。
社内の複数の部門で契約書を管理している場合、各バージョンの契約書を探すのに手間がかかり、過去の契約書の内容を確認するのが難しくなることが考えられます。
また、内容を確認したくても当時の担当者が不明だったり、退職したりといった理由で、どのような経緯で契約に至ったのか、誰がいつどのような変更をしたのかが不明になるおそれもあります。変更点を調べるのに時間がかかってしまい、業務の効率が非常に悪くなることもあります。
所在不明になるリスク対策
契約書のバージョン管理を適切に行うことにより、契約書の紛失や所在不明といった万が一のリスクを最小限に抑えることができます。
契約書の管理を適切に行えば、「誤って廃棄してしまった」「所在がわからなくなってしまった」などのリスクを軽減することができます。
また、契約書の各バージョンを適切に管理し、社内で共有することにより、必要な人が、必要な時に契約書の内容を確認できるようになります。
ただし、複数の従業員が契約書を確認できるようにする場合は情報漏洩のリスクも伴うため、契約書の共有にはセキュリティ面などで注意が必要です。
契約書のバージョン管理における課題
契約書のバージョン管理は、改ざん防止や業務の効率化といった面から非常に重要ですが、一方でいくつかの課題もあります。
属人化やヒューマンエラーが発生しやすい
契約書のバージョン管理を行う場合は、属人性やヒューマンエラーが発生する可能性があります。
契約書の作成・管理は社内のすべての社員が行う業務ではないため、特定の社員に業務が集中し、結果として業務の属人化が発生することが考えられます。
また、手作業でバージョン管理を行う場合、入力ミスやバージョンの更新漏れなどのヒューマンエラーが発生することがあります。人の手で契約書の管理を行う場合は、これらヒューマンエラーは避けられない課題といえるでしょう。
管理作業に工数が発生する
契約書のバージョン管理にあたっては、変更前と変更後の契約書の内容をすべてチェックする必要があるため、管理作業に非常に多くの工数が発生します。
これらを人の手で行うとなると時間や労力がかかり、契約書管理を行う社員にとっては作業時間や業務量の面で大きな負担となります。
また、電子契約と紙の契約書を使い分けている場合、それぞれ別の管理方法となるため、その分多くの工数が発生することになります。
契約書のバージョン管理を効率化する方法
契約書のバージョン管理には、属人化やヒューマンエラー、管理のための工数の発生などの課題があります。管理を効率化することによりこれらの課題を解決し、社内の業務を大幅に見直すことができます。
契約管理システムを導入する
契約管理システムを導入すれば、契約書のバージョン管理を効率的に行うことができます。
これまで人の手で行っていた契約書の管理をすべてシステム化することにより、契約書の検索や変更履歴の管理などが一元管理され、手作業によるヒューマンエラーや不要な工数といった課題を解決することが可能です。
さらに、契約書の更新期限を通知する機能もあるため、契約の有効期限切れといったリスクを減らすこともできます。
ファイル名のタイトルで識別できるようにする
契約書をファイル名のタイトルで識別できるようにすることで、契約書のバージョン管理を効率化できます。
契約書を管理しているファイル名を設定する際に一定のルールを決め、そのルールに沿ってバージョン管理します。
例として、「日付_案件名_バージョン番号」などといったファイル名を設定することにより、いつ作成されたどのバージョンの契約書なのかをファイル名で識別することができ、また、どこに保管したのかもわかりやすくなります。
ソフトの比較や修正履歴確認機能を利用する
契約書の作成にWordなどのソフトを使っている場合、Wordの比較機能や修正履歴の機能を使うことで、契約書のバージョン管理を行うこともできます。
Wordの場合、比較機能を使うことにより2つの文章を比較しながらどこがどのように違うのかを確認することができます。
また、修正履歴機能をオンにした状態でファイルの編集を行えば、修正履歴が残るため、どこを修正したか簡単に見分けることができます。使用したパソコンやソフトのユーザー名を登録しておけば、誰がいつ修正したのかもわかります。
Microsoft Wordの他にも、内容の差分比較や修正履歴確認機能のある文書作成ソフトはあります。使用しているソフトにこれらの機能があれば有効活用しましょう。
マネーフォワード クラウド契約ならバージョン管理だけでなく契約書の作成や締結も可能
契約書のバージョン管理を効率的に行うには、契約管理システムの導入が最も効果的です。
マネークラウドの電子契約サービスなら、バージョン管理を含めた契約業務の効率化と内部統制の強化が実現可能です。
契約書の作成から保管までを一括管理
マネークラウドの電子契約サービスは契約書の作成、承認、申請、署名、保存や管理といった一連の業務をすべて一元管理することができます。
契約書の作成では、あらかじめよく使う契約書のひな形をPDFでアップロードしておくことにより、書類のすばやい申請・送信が可能です。
契約書の承認や申請に際しては承認ルートの設計が可能です。個人またはグループとして承認者が設定できるため、自社のルールに合わせた柔軟な設計ができます。
契約書の保存や管理については、契約種別・契約書名などから過去の契約書を検索でき、契約書を探す手間が大幅に削減できます。
さらに、個人やグループごとに閲覧権限を設定することにより、従業員の入退社や部署異動時の閲覧権限のメンテナンスも大幅に効率化できます。
紙の契約書やExcelデータの契約書にも対応
マネークラウドの電子契約サービスは、過去に締結した紙の契約書やExcelデータで管理している契約書にも対応しています。
紙の契約書はスキャンしてPDF化し、マネーフォワードのクラウド契約にアップロードできます。またExcelで管理している契約管理台帳もインポートして取り込むことができるため、紙の契約書と電子契約書の一元管理が可能です。
契約書のバージョン管理を効率的に行うなら契約管理システムが効果的
契約書のバージョン管理には、ファイル名のタイトルで識別する方法や、差分比較や変更履歴機能を利用する方法があります。
これらの方法は比較的簡単に導入できコストもかからない一方で、属人化やヒューマンエラー、不要な工数などが発生する課題があります。
これらを解決してくれるのが、契約管理システムです。
中でもマネーフォワード クラウド契約なら、契約書のバージョン管理はもちろん、契約書の作成や署名、保管や管理などを一括管理でき、大幅な業務効率の改善ができます。
自社の実情に合わせて導入を検討されてみると良いでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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