- 作成日 : 2024年9月27日
動産売買契約書(保証人あり)とは?ひな形をもとに書き方や注意点を解説
動産売買契約書(保証人あり)とは動産を売買する際に、売主と買主、保証人の三者が締結する契約のことです。
この記事では動産売買契約の意味や契約を締結するケース、動産売買契約書(保証人あり)の書き方についてご紹介します。ひな形も用意していますので、ぜひ参考にして契約書を作成してみましょう。
目次
動産売買契約とは
動産売買契約は動産を売買する際に売り手と買い手が契約します。動産とは不動産(土地や建物)以外の財産のことを指します。現金や株式、貴金属、家具、家電、車両、機械など非常に幅広いです。
なお、売買契約は口約束でも成立します。しかし、それでは後から支払われた代金が約束と違っている、動産の引き渡しが遅れるなどのトラブルが発生した際に「言った・言わない」の争いに発展するリスクが高くなります。特に高額な動産を売買する際には契約書をしっかりと作成して取り決めを明らかにしておくことが大切です。
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動産売買契約を締結するケース
動産売買契約は動産の売買を行う意思が固まった時点で締結します。引き渡す動産の内容や引き渡し時期、対価として支払われる代金の額や支払い条件などを売主と買主が話し合い、それらを契約書に明記します。
なお、通常売買契約を締結する際に保証人を立てることはあまりありません。ただ、買主が分割支払いを行う場合、あるいは相手方から求められた場合は、保証人を立てるケースもあります。その際には動産売買契約書(保証人あり)を作成し、三者で契約を締結します。
動産売買契約書(保証人あり)のひな形
動産売買契約書を作成するには法律的な知見や慣れが必要です。特に、はじめて作成される方は見本を参考にしながら作成されることをおすすめします。当サイトではすぐに使えるひな形をご用意しましたので、ぜひこちらを参考に動産売買契約書を作成してみましょう。
動産売買契約書(保証人あり)に記載すべき内容
ここからは上記のひな形をもとに動産売買契約書(保証人あり)に盛り込むべき内容についてご紹介します。最低限以下の項目は契約書に含めるようにしましょう。
契約書の概要
誰が、どのような契約を締結するのかを明らかにする項目です。契約を締結する売主、買主、保証人の氏名・事業者名を記載しましょう。なお、売主を「甲」、買主を「乙」、保証人を「丙」と置き換えることで、以降氏名や事業者名を記載する手間を省けます。
対象となる動産
どのような動産を売主が買主に売り渡すのかを定義します。商品名や品番,数量など、動産の情報を具体的に記載しましょう。
代金の額と支払条件
買主が売主に対して支払う代金の金額と支払条件を記載します。代金に関しては「●●円」と具体的な額を明示しましょう。その他前受金、残額それぞれの金額と支払期限、振込方法、振込手数料の負担者について明らかにします。
動産の引き渡し
売主が買主に対して対象となる動産を引き渡す時期を記載します。多くの場合、代金の振込が確認できた後に引き渡しを行います。また、引き渡しと同時に所有権が買主に移転する旨も規定しておきましょう。
権利の負担や瑕疵
売主は対象となる動産に関して権利の負担や瑕疵がないことを保証することを記載しましょう。
保証人
保証人が買主とともに売主に対して連帯して債務の履行(代金の支払いなど)を保証することを約束する旨を記載します。
保証人への情報提供
買主が保証人へ行う情報提供について規定します。保証人から債務の不履行の有無や未払債務の残額などの情報の提供を求められた際に、買主はそれを提供する旨を記載します。
動産の滅失・損傷時の対応
引き渡し前に動産が何らかの理由で失われてしまった場合、あるいは損傷してしまった場合の対応方法を規定します。滅失や損傷によって発生した損害について売主が負担する旨と、引き渡しができなくなった場合に買主が動産売買契約を解除できる旨を記載します。
契約解除
両当事者が契約を解除できる条件について定めます。相手が契約違反行為をしたとき、仮差し押さえや滞納処分、強制執行、競売の申立を受けたときなどを条件として設定します。
損害賠償
一方の当事者が契約解除によって損害を被った場合に、もう一方の当事者に損害賠償を請求できる旨を記載します。また、保証人が損害賠償まで保証するか否かについても明らかにしておきましょう。
協議
契約書に規定されていない事態が発生した場合に、両当事者が話し合いをして解決を図る旨を記載します。
合意管轄
当事者間で紛争が発生して訴訟を行う際に、訴えを申し立てる裁判所を指定します。
署名押印欄
売主、買主、保証人がそれぞれ契約書に署名押印し、各人が1通ずつそれを保管することを定めます。また、契約書の末尾に契約が成立した日付と三者の署名押印欄を設けます。
動産売買契約書(保証人あり)を作成する際の注意点
以上で動産売買契約書の基本的な書き方をご紹介しました。ここからは契約書を作成する際に気をつけるべきポイントについて見ていきましょう。
代金の金額や支払条件
特に、売買を行ううえでトラブルが発生しやすいのは、代金の支払いです。具体的な代金の金額や支払期限、支払方法、振込手数料の負担者について明確にしておきましょう。また、配送料や設置費用などが別途かかるケースがあり、その場合はどちらが負担するかについても確認しておくことが大切です。
所有権の移転時期
所有権が売主から買主に移転するタイミングについてもしっかりと明らかにしておきましょう。基本的に売主に代金が支払われた後に動産を買主に引き渡し、同時に所有権も移転するというように取り決めるケースが多いです。
例えば、所有権の移転を契約締結時とした場合、買主にとっては有利となりますが、売主にとっては代金を回収できなくなってしまうリスクが高まります。
動産が滅失・損傷してしまった場合の対応
動産は形ある物であるため、事故や災害などで滅失してしまったり損傷してしまったりすることもあり得ます。その場合、どちらがリスクを負担するのかを明らかにしておきましょう。
リスクが売主にある状態で動産が滅失・損傷してしまった場合、買主の支払い義務はなくなります。一方、買主がリスクを負っている場合、動産が滅失・損傷してしまったとしても代金を支払わなければなりません。
契約書における保証人の種類
保証人を立てて動産売買契約を締結する場合、買主は「単純保証人」と「連帯保証人」のいずれかを立てることになります。
単純保証人
単純保証人とは債権者に対して「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」をもつ保証人のことを指します。催告の抗弁権とは、債権者が保証人に債務履行を求めてきた際に、まず保証人に対して催告をするよう主張できる権利のことを指します。検索の抗弁権とは、債務者の財産を優先して執行するよう求める権利のことです。
単純保証人はこうした権利を保有しているため、債権者は保証人に対してはむやみに取り立てることが難しくなります。
連帯保証人
連帯保証人とは抗弁権を有さない保証人のことを指します。基本的に負う責任は債務者と同等です。債権者としては、債務者が債務を履行しなかった場合は、債務者に引き続き履行を求めることもできれば、連帯保証人に債務履行をさせることもできます。
動産売買契約書(保証人あり)は収入印紙が不要
動産売買契約書に関しては課税文書に該当しないため、印紙税を納める必要はありません。したがって、いくら高額な動産を取引するとしても、収入印紙は不要です。
ただし、継続的取引を前提とした売買取引基本契約書を締結する場合は、以下のケースを除いて4,000円分の収入印紙を貼付する必要があります。
- 契約期間が3ヵ月以内である
- 更新の定めがない
動産を売買する際には必ず動産売買契約書を作成しよう
動産売買契約は口約束でも成立します。しかし、契約を締結した後に代金の支払いや動産の引き渡しを巡ってトラブルが発生するおそれもあるため、可能な限り動産売買契約書という書面をもって契約を締結しましょう。
売主や買主は事前に取引の内容をしっかりとすり合わせしたうえで、一方に極端に不利になるような内容が契約書に盛り込まれていないかどうかを確認後に署名押印することをおすすめします。保証人になるよう頼まれた場合は、債務の内容や債務者(買主)の財務状況を確認したうえで引き受けるかどうか判断することが大切です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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