- 更新日 : 2026年7月31日
賃料増額請求書とは?ひな形をもとに書き方や注意点を解説
「賃料増額請求書」とは、建物や土地の賃料について増額を求めるときに発行する文書です。増額したい旨を借主に伝える際、貸主でこれを作成することとなります。
どのようなポイントを押さえて作成する必要があるのか、ひな形で具体例を紹介しつつ、各項目の書き方をここで解説します。
<関連記事>
▶契約書の書き方をテンプレート・例を用いて解説!
<サービス資料>
▶マネーフォワード クラウド契約の詳細はこちら
▶マネーフォワード クラウドAI契約書レビューの詳細はこちら
賃料増額請求とは
賃料増額請求とは、賃貸借契約に基づいて授受が行われている賃料について、相手方に増額を求めることをいいます。
賃料の増額は借主にとって重大な問題ですので、増額の意思表示を口頭で済ませるべきではなく、通常はこのとき賃料増額請求書を発行することとなります。
なお、「請求書」とはいえ、この文書を相手方に出した時点では増額した賃料の支払いが確定していません。あくまで意思表示を行うための書類であって、ここから交渉が開始されます。
【無料】お役立ち資料
▶16項目 契約書レビューのチェックポイント(合計12ページ)
▶電子契約にも使える!契約書ひな形まとめ45選(合計10ページ)
▶契約書の作り方 書き方の教科書(合計21ページ)
▶電子契約サービス比較マニュアル(合計12ページ)
事業者が賃料増額請求書を作成するケース
賃料の増額を求めるときは常に賃料増額請求書を作成すべきです。個人でも事業者でもこの点に変わりはありませんが、特に事業者が取引金額の大きな賃貸物件を取り扱っているときは慎重を期すため「作成は必須」と捉えておくべきです。
※文書がなくても意思表示自体は有効であるが、請求を行ったことの証拠が残せない。
増額の交渉そのものはいつ行っても構いません。相手方との合意があればいつでも増額が可能です。
しかしながら、増額請求は借主に対して不利益を押し付けることを意味しますので簡単には応じてくれないでしょう。そこで「増額が法的に認められるかどうか」が請求のタイミングを測る1つの基準となります。借地借家法の次の規定に着目してください。
(借賃増減請求権)
第三十二条 建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
つまり、税金の負担や物価の上昇、近隣の相場などの事情を総合的に考慮して「賃料が不相当に低くなった」といえるなら増額も認められる余地があります。このようなケースで賃料増額請求書を作成・提出することとなります。
賃料増額請求書のひな形
賃料増額請求書のフォーマットは自由なものを使用して構いません。必要な情報が記載されていれば問題ありませんので、こちらのひな形をもとに、賃料や物件情報などを書き換えていけば効率的に作成できることでしょう。
賃料増額請求書に記載すべき内容
賃料増額請求書に記載する内容は、下表の通りです。
| 記載すべき内容 | 記載方法 |
|---|---|
| 表題 | 「賃料増額請求書」など、どのような文書であるのかを一言でわかりやすく記載する。 |
| 増額を求める旨 | 「本件建物の賃料を増額させていただきたく、ここにご請求させていただきます」など、増額をしてほしい旨を明確に記す。 |
| 増額の理由 | 「本件建物のある土地の固定資産税も増額が続き、本件建物の維持管理費用も年々負担が増すばかりで・・・」や「当初の賃貸借契約締結から〇年以上が経過し、その間の物価上昇が・・・」など、増額の根拠を記載。
根拠の記載の有無、妥当性、説明の仕方は結果に影響するためよく考えて記載する。 |
| 増額後の賃料 | 「本件建物の賃料を1カ月金✕円に改定・・・」など、増額後の賃料を明確に示す。 |
| 増額の適用される日付 | 「令和〇年〇月分より」など、増額後の賃料をいつから適用してほしいのか明記する。
過去にさかのぼって賃料増額請求を行うことはできないため、開始希望月は文書が届く日以降を指定する。 |
| 賃貸物件 | 「○○県○○市○町○丁目○番〇号の建物」など、どの物件に対する請求なのかを明確にする。
家屋番号等まで詳細に表示を行うとより良い。 |
| 契約当事者 | 誰が請求しているのか、誰に対して請求しているのかを明確にする。
氏名(事業者の場合は名称)と住所により当事者を特定する。 |
| 作成日 | 請求書を発行した日付が特定できるようにわかりやすく記載する。 |
これらの要点さえ押さえておけばすぐに完成させられるでしょう。
賃料増額請求書を作成する際の注意点
賃料増額請求書を作成するときは、増額理由をできるだけ具体的に記載してください。
単に「物価が上昇したから」とだけ記載しても借主が納得してくれない可能性が高いでしょう。そこで「本件建物の最寄り駅に当たる〇〇駅周辺の再開発に伴い、本件建物の所在する〇〇町周辺の同種物件の賃料相場は、月額〇〇万円から〇〇万円となっております」などと相場が上昇した背景まで含めるとよいです。さらにその裏付けとなる資料も添付しておくとさらに説得力が増します。
ただし、増額に関して一応それらしい理由があったとしても、増額が有効になるとは限りません。借地借家法第32条第1項(上記)の規定に沿い請求が認められるケースはそう多くないのです。
同法では、立場の弱い借主の権利を守るルールが多く設けられており、貸主が有利になる条件変更などは簡単に認められません。
そこで賃料増額請求書の作成に加え、交渉に関してトラブルになりそうなときは弁護士の力を借りるとよいでしょう。
賃料や経済情勢を一度見直して増額請求を検討しよう
昨今は物価が高騰しており、税負担も増してきています。長年賃貸借契約を更新している場合は一度賃料や経済情勢について見直してみましょう。賃料増額は簡単にできるものではありませんが、長期に渡り条件を変えていなかった場合、増額が法的に認められる可能性があります。
ただし賃料増額請求がきっかけで借主と揉めてしまうリスクもありますので、交渉は慎重に進めること、そして口頭で済まさず賃料増額請求書を作成しておくようにしましょう。
作成した書面の送付・保管は「マネーフォワード クラウド契約」で
書面はひな形をもとに作成して終わりではなく、相手方への送付と、その後の保管・検索まで含めて実務です。
マネーフォワード クラウド契約なら、よく使う書式をテンプレートとして登録してバージョンを管理でき、社内の承認を経てから電子署名・タイムスタンプ付きで送信・締結できます。
締結後は契約書と同じ台帳に自動保管され、取引先名や日付、金額で検索が可能。紙でやりとりした書面もAI-OCRで取り込めるため、関連する書類をまとめて一元管理できます。送信料・保管料は0円で、書面の通数が増えても料金は変わりません。
詳しくは、マネーフォワード クラウド契約のサービス資料をご覧ください。
契約関連のおすすめコンテンツ
契約・電子契約関連記事
▶契約とは?民法における成立要件や契約書の種類などを簡単にわかりやすく解説
▶電子契約のメリット・デメリットは?導入が進まない理由や関連する法律もわかりやすく解説
▶電子契約システムとは?導入メリットや注意点を種類別に解説
▶電子契約とは?仕組みやメリット、法的有効性について解説
▶電子契約の導入の流れは?サービスの導入から契約締結までの進め方を解説
契約書関連記事
▶契約書とは?注意すべきポイントを簡単に解説
▶契約書の書き方をテンプレート・例を用いて解説!
▶雇用契約書とは?法的な必要性や項目、作り方をひな形付きで紹介
▶業務委託契約書とは?書き方や個人事業主の注意点を解説
▶印紙が必要な契約書の種類と金額まとめ
おすすめお役立ち資料
▶電子契約にも使える!契約書ひな形まとめ45選(合計10ページ)
▶16項目 契約書レビューのチェックポイント(合計12ページ)
▶契約書の作り方 書き方の教科書(合計21ページ)
▶マネーフォワード クラウド契約サービス資料
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
契約の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
不動産売買契約書の関連記事
新着記事
-
# 企業法務
IPO準備・M&A検討で見直したい「契約の整理状態」。企業の信頼を支える3つの条件
IPO準備やM&Aの検討が進むと、財務情報だけでなく、主要な契約の内容や管理状況についても説明を求められる場面があります。しかし、紙の契約書、複数の電子契約サービス、部門ご…
詳しくみる -
# 企業法務
「あの契約書どこ?」からの脱却。ファイル名ルールに依存しない、これからの契約書管理術
「ファイル名のルールを決めたのに、人によってバラバラで守られない」 「過去の契約書を探すのに、毎回時間がかかる」 このような悩みを抱えてはいないでしょうか。 契約書の管理において最…
詳しくみる -
# 企業法務
契約管理ツールの費用対効果はどう示す?経営層に伝わる4つの評価軸と試算方法
「契約管理ツールの必要性は感じているものの、経営層へ費用対効果をうまく説明できない」 「今のExcelや共有フォルダによる管理で何が問題なのかと問われ、明確に答えられない」 バック…
詳しくみる -
# 企業法務
不透明な時代の経営判断を支える「契約情報の資産化」という考え方
「契約条件をすぐ確認したい」 「更新や解約の可否を判断したい」 「トラブル発生時に契約内容を精査したい」 こうした局面で、契約書を探す作業そのものに時間を取られてはいないでしょうか…
詳しくみる -
# 電子契約
契約書は「増え続ける資産」。5年後、10年後のコストを左右するプラットフォーム選び
「初期費用も月額基本料も安いから、まずはこのツールで始めよう」 そう決めて導入した契約管理システムが、数年後に想定外のコスト増につながる可能性があるとしたらどうでしょうか。事業が成…
詳しくみる -
# 電子契約
取引先が「紙」でも慌てない。電子と紙の混在を解決する、契約管理の『ハイブリッド運用』
電子化が進まない原因は「締結方法」と「管理方法」の混同にある 電子契約を導入しても紙の契約書が残るのは、取引先の対応が遅れているからだけではありません。多くの場合、契約の「締結方法…
詳しくみる
