- 更新日 : 2025年1月31日
映像制作契約書とは?ひな形をもとに書き方や注意点を解説
映像制作契約書とは、映像制作を外部に業務委託するときに作成する契約書です。契約書では業務内容を明らかにするとともに、知的財産権の帰属を明確にすることが求められます。
本記事では、映像制作契約書の書き方や具体例、作成のポイントを解説します。無料でダウンロードできるテンプレートも紹介しますので、チェックしてください。
目次
映像制作契約とは
映像制作契約とは、映像制作会社と委託者が交わす契約のことです。委託する業務内容や対価、納期などを取り決めます。映像制作契約では確認すべき項目が多く、特に著作権などの権利に関しては、十分な確認が必要です。
映像制作会社と発注側の双方が納得できる契約を締結することで、制作過程におけるトラブルを未然に防止できます。
この記事をお読みの方におすすめのガイド5選
最後に、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
電子契約にも使える!契約書ひな形まとめ30選
業務委託契約書など各種契約書や、誓約書、念書・覚書、承諾書・通知書…など使用頻度の高い30個のテンプレートをまとめた、無料で使えるひな形パックです。
導入で失敗したくない人必見!電子契約はじめ方ガイド
電子契約のキホンからサービス導入の流れまで、図解やシミュレーションを使いながらわかりやすく解説しています。
社内向けに導入効果を説明する方法や、取引先向けの案内文など、実務で参考になる情報もギュッと詰まった1冊です。
紙も!電子も!契約書の一元管理マニュアル
本ガイドでは、契約書を一元管理する方法を、①紙の契約書のみ、②電子契約のみ、③紙・電子の両方の3つのパターンに分けて解説しています。
これから契約書管理の体制を構築する方だけでなく、既存の管理体制の整備を考えている方にもおすすめの資料です。
自社の利益を守るための16項目!契約書レビューのチェックポイント
法務担当者や経営者が契約書レビューでチェックするべきポイントをまとめた資料を無料で提供しています。
弁護士監修で安心してご利用いただけます。
法務担当者向け!Chat GPTの活用アイデア・プロンプトまとめ
法務担当者がchat GPTで使えるプロンプトのアイデアをまとめた資料を無料で提供しています。
chat GPT以外の生成AIでも活用できるので、普段利用する生成AIに入力してご活用ください。
映像制作契約を結ぶケース
映像制作契約を結ぶのは、映像制作を外部に業務委託する場合です。映像制作を委託する理由はさまざまですが、主に次のような理由で依頼することが多いでしょう。
- プロモーションビデオを制作したいが、社内にノウハウがなく制作が難しい
- プロによるクオリティの高い映像を制作したい
映像制作を業務委託する際は、委託範囲などの条件をすり合わせるため、必ず映像制作契約を結びます。契約の締結により知的財産権の帰属について明確にすることができ、トラブルが発生したときの対応もスムーズです。
映像制作契約書のひな形
映像制作の契約書を作成する際は、テンプレートが役立ちます。以下のページから、弁護士が監修したワード形式の映像制作契約書テンプレートを無料でダウンロードできますので、ぜひご活用ください。
映像制作契約書に記載すべき内容
映像制作契約書に記載する項目は、主に次の8つです。
- 用語の定義
- 委託する業務内容
- 委託料
- 納期
- 再委託の可否・条件
- 知的財産権の帰属
- 秘密保持
- 損害賠償
それぞれの内容を詳しくみていきましょう。
用語の定義
まず、契約書の冒頭で、使用する用語を定義します。契約を結ぶ当事者の表記や、この契約を「本契約」とすること、契約によって制作する動画を「本映像」と表記するといった内容です。
(記載例)
委託する業務内容
次に、委託する業務内容を明記します。できる限り具体的に業務範囲を定めておきましょう。業務内容は契約の根幹となるもので、曖昧になると認識のズレが生じ、トラブルに発展する恐れがあります。
制作会社としっかり打ち合わせをして、具体的な内容を決めましょう。
(記載例)
甲は乙に対し、以下の映像作品(以下「本映像」という。)の制作(以下「本件業務」という。)を委託し、乙はこれを受託する。
- 作品タイトル:〇〇〇〇
- テーマ:〇〇のプロモーションビデオ
- 映像種別:実写映像
- 収録時間:〇〇分
委託料
制作の対価と支払い時期を記載します。映像制作の工程は多岐にわたり、追加料金が発生する場合も少なくありません。追加料金の可能性があることや、発生する条件なども記載しておくと安心です。
(記載例)
2 甲は、乙に対し、第〇条で定めた検収確認後〇日以内に、当該委託料を、乙の指定する金融機関の口座に振り込む方法で支払う。振込手数料は、甲の負担とする。
納期
納期については、明確な日時を記載します。その際に必ず併記しておきたいのが納品フォーマットです。
納期とあわせ、形式や再生時間、本数などの内容も明文化しておくことをおすすめします。
(記載例)
本映像の納期は、令和〇年〇月〇日とする。
2 乙は、前項の納期までに本件業務を完成させ、本映像の複製物を、甲の指定した場所に納入するものとする。
- 形式:MP4ファイル
- 再生時間:〇分
3 甲は、前項の納入後直ちに、乙同席の上試写を行い、検収確認を行う。
4 乙は、納期に本映像を納品することができない場合は、速やかに甲に連絡し、その対処方法について別途協議するものとする。
再委託の可否・条件
動画制作の委託は一般的に請負契約となり、原則として再委託ができます。再委託とは、請け負った業務の全部または一部について、委託者の承諾を得ることなく他社に下請けに出すことです。
委託者が再委託を望まない場合、契約書に再委託を禁じる旨を盛り込みます。ただし、多くの制作会社はフリーのカメラマンやデザイナーと提携しており、再委託をすべて禁じるのは現実的ではありません。
そのため、依頼主の事前承認を得た上で業務を再委託できるという趣旨の文言を入れるのが一般的です。
(記載例)
知的財産権の帰属
著作権や商標権など、知的財産権の帰属を記載しておくことも大切です。制作した動画の著作権は、原則として制作会社に帰属します。
しかし、対価を支払っている委託者としては、著作権も当然に自社に帰属すると考えることがあるかもしれません。トラブルを避けるためにも、著作権の帰属先や譲渡方法を契約書で明記しておきましょう。
(記載例)
秘密保持
映像制作の委託では、企業の機密情報を開示することが少なくありません。例えば、新製品のプロモーションビデオを制作する場合、まだ外部に公表していない製品の内容や発売日などが該当します。映像制作を委託していること自体も、機密情報といえるでしょう。
そのため、映像制作の委託契約では、秘密保持条項を設けることが不可欠です。
(記載例)
損害賠償
映像制作契約について契約違反が生じた場合、損害賠償請求の対象となります。
損害賠償を請求する場合は、契約書に記載された条件や上限額に従うことになるため、契約書には契約違反時に損害賠償請求ができる旨を定め、損害賠償額を予定する条項を入れるようにしましょう。
(記載例)
映像制作契約書の作成ポイント
映像制作契約書を作成する際は、誰が見てもわかりやすく、認識の食い違いが起こらないようにすることが大切です。業務内容や委託料、納期を具体的に記載し、契約書のなかで使う文言もしっかり定義して明確にしておきましょう。
ただし、映像制作は天候に左右されることもあり、やむを得ない理由で進捗が遅れるケースも少なくありません。制作開始後に企画や構成の変更が必要になることもあります。トラブルになりやすい項目には、変更条件を設けておくことが大切です。
映像制作契約書を正しく作成しよう
製品のプロモーションや企業紹介などで映像を制作する際、外部に委託する場合は映像制作契約書の作成が必要です。
契約書は、トラブルを避けるためにも業務内容を明記して委託範囲を明確にしましょう。また、映像制作では知的財産権にまつわるトラブルが発生しやすいため、著作権の帰属先や著作物の利用権や使用権について条項を設けることも大切です。著作権については、e-GOV法令検索も参考にしてください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
契約の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
派遣個別契約書は何年保管すべき?保管義務や事例を解説
派遣個別契約書は、派遣スタッフの就業条件を明確にし、法的にも作成が義務付けられている重要な書類です。しかし、契約書の「保管期間」や「廃棄方法」については明確なルールがわかりにくく、対応に迷う企業も少なくありません。 本記事では、派遣法や労働…
詳しくみる物流委託契約とは?契約書のひな形をもとに書き方を解説
メーカーや商社、小売店などが物流会社に物流業務を委託する場合、物流委託契約を締結するケースがあります。本記事では物流委託契約の意味や契約書に記載すべき項目、作成する際のポイントについて説明します。ひな形も用意しましたので、ぜひ参考にして契約…
詳しくみる連帯保証人なし・ボーナス併用の金銭消費貸借契約書とは?ひな形をもとに書き方や注意点を解説
金銭消費貸借契約とは、お金を貸し借りする契約です。契約時には、支払い方法や利息、返済期限や保証人の有無など、細かく決める必要があります。契約書の書き方がわからない方は、弁護士が契約前に書類をチェックする「レビュー」を経たテンプレートを活用す…
詳しくみる契約書のリスク管理を強化するには?レビュー・交渉・社内体制の整え方のポイントを解説
契約書のリスク管理とは、契約に内在するトラブルの芽を事前に発見・排除し、企業の損失や信用低下を防ぐための取り組みです。契約書には法的・財務的・履行上のリスクが潜んでおり、内容を正しく理解しないまま締結すると、後に重大な問題へ発展するおそれが…
詳しくみる商号及び営業譲渡契約書とは?ひな形をもとに書き方・例文を解説
商号及び営業譲渡契約書とは商号や営業権を譲渡する際に、譲渡側と譲受側が締結する契約書です。この記事では、商号及び営業譲渡契約書がどのような書類であるか、またどのようなケースで締結されるのかに触れ、記載すべき項目や書き方についてテンプレートを…
詳しくみる賃料不払いによる賃貸借契約解除通知書とは?ひな形をもとに書き方を解説
賃料不払いによる「賃貸借契約解除通知書」とは、貸主が契約解除を知らせるときに作成する文書です。賃料を払ってくれない借主と契約は続けられませんので、不払いになっているときはこれを作成することになるでしょう。 ただし解除も自由にはできません。ど…
詳しくみる



