- 更新日 : 2024年8月30日
ドメイン譲渡契約書とは?ひな形をもとに書き方や注意点を解説
ドメイン譲渡契約書とは、Webサイトのドメインを譲渡し、または譲り受ける際に締結する契約書です。ドメインを特定する情報、譲渡対価、譲渡の手続き、表明保証などを定めます。契約条件が明確になるように、必要な事項を漏れなく定めましょう。本記事では、ドメイン譲渡契約書の書き方・条文の具体例・レビュー時のポイントなどを解説します。
目次
ドメイン譲渡契約とは
ドメイン譲渡契約は、Webサイトのドメインを譲渡する者と、それを譲り受ける者の間で締結します。ドメインとはWebサイトの住所のようなものです。「〇〇.com」「〇〇.co.jp」「〇〇.net」などの形式がよく知られています。
知名度が高くアクセス数の多いドメインを譲り受けて利用すれば、Webサイトの立ち上げ当初から一定以上のアクセスを期待できます。このようなドメインには一定の資産的価値が認められるため、ドメイン譲渡契約に基づいて取引されることがあります。
この記事をお読みの方におすすめのガイド5選
最後に、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
電子契約にも使える!契約書ひな形まとめ30選
業務委託契約書など各種契約書や、誓約書、念書・覚書、承諾書・通知書…など使用頻度の高い30個のテンプレートをまとめた、無料で使えるひな形パックです。
導入で失敗したくない人必見!電子契約はじめ方ガイド
電子契約のキホンからサービス導入の流れまで、図解やシミュレーションを使いながらわかりやすく解説しています。
社内向けに導入効果を説明する方法や、取引先向けの案内文など、実務で参考になる情報もギュッと詰まった1冊です。
紙も!電子も!契約書の一元管理マニュアル
本ガイドでは、契約書を一元管理する方法を、①紙の契約書のみ、②電子契約のみ、③紙・電子の両方の3つのパターンに分けて解説しています。
これから契約書管理の体制を構築する方だけでなく、既存の管理体制の整備を考えている方にもおすすめの資料です。
自社の利益を守るための16項目!契約書レビューのチェックポイント
法務担当者や経営者が契約書レビューでチェックするべきポイントをまとめた資料を無料で提供しています。
弁護士監修で安心してご利用いただけます。
法務担当者向け!Chat GPTの活用アイデア・プロンプトまとめ
法務担当者がchat GPTで使えるプロンプトのアイデアをまとめた資料を無料で提供しています。
chat GPT以外の生成AIでも活用できるので、普段利用する生成AIに入力してご活用ください。
ドメイン譲渡契約を締結するケース
ドメイン譲渡契約は、ドメインを譲渡する側と譲り受ける側の思惑が合致した際に締結されます。
ドメインを譲渡する側には、譲渡対価(金銭)を獲得したいというニーズがあります。譲り受ける側には、ドメインの知名度やアクセス数などを活用して、Webサイトの立ち上げを円滑化したいというニーズがあることが多いです。
契約交渉を通じて、上記の譲渡人・譲受人のニーズが折り合えばドメイン譲渡契約が締結され、契約条項に従ってドメインの譲渡が行われます。
ドメイン譲渡契約書のひな形
ドメイン譲渡契約書のひな形は、以下のページからダウンロードできます。実際にドメイン譲渡契約書を作成する際の参考にしてください。
※ひな形の条項と本記事で紹介する条項は、異なる場合があります。
ドメイン譲渡契約書に記載すべき内容
ドメイン譲渡契約書に記載すべき主な事項は、以下の通りです。
②ドメイン譲渡の対価
③ドメイン譲渡の手続き
④譲渡人の表明保証
⑤その他
それぞれの項目を、具体例とともに詳しく見ていきましょう。
譲渡するドメイン
甲は、乙に対し、甲が保有する以下のドメイン(以下「本ドメイン」という。)を譲渡し、乙はこれを譲り受ける。
http://○○.com
ドメインを特定する情報(=URL)を記載し、譲渡するドメインを明確化します。
ドメイン譲渡の対価
本ドメイン譲渡の対価は金○○円とする。
2 乙は、前項の金額を、本契約締結日より〇日以内に、甲の指定する銀行口座に振込んで支払う。振込手数料は乙の負担とする。
ドメインの譲渡に伴い、譲受人が譲渡人に対して支払う対価について定めます。具体的には、金額・支払期日・支払方法・振込手数料の負担者を定めておきましょう。
ドメイン譲渡の手続き
甲は、前条の支払い完了後〇日以内に、本ドメインの使用に関するすべての権利を譲渡するのに必要な手続きを完了させる。
2 前項の手続きにおいて必要な場合、甲は乙に協力を求めることができる。
3 第1項の手続期間中、甲は善良な管理者の注意義務をもって本ドメインを保守・管理しなければならない。
4 本ドメインの維持に必要な費用は、第1項に基づく本ドメインの譲渡手続きが完了した月の末日までは甲が、それ以降は乙が支払うものとする。
ドメインの譲渡に当たっては、提供事業者におけるログイン情報の引継ぎやパスワードの変更などの手続きが必要になります。これらの手続きをいつまでに完了するのかを明記しましょう。
譲渡対価の支払い後、譲渡人から譲受人への引継ぎが完了するまでには、多少のタイムラグが生じます。その期間においては、譲渡人が善良な管理者の注意義務(善管注意義務)をもってドメインを管理すべき義務を定めましょう。
ドメインの維持に必要な費用については、引継ぎが完了するまでは譲渡人が、完了後は譲受人が負担するのが一般的です。費用負担の振り分け方を明確化しておきましょう。
譲渡人の表明保証
甲は、乙に対し、本ドメインが第三者に譲渡されていないことを保証する。
2 甲は乙に対し、本契約締結日現在において、以下の事項が真実かつ正確であることにつき表明しかつ保証する。
⑴ 本ドメインの譲渡において、法令上必要となる手続きを経ていること。
⑵ 本ドメインについて、第三者に対する担保権が設定されていないこと。
譲受人がドメインを譲り受けるに当たって何らの支障がないことにつき、譲渡人の表明保証を定めます。具体的には、第三者に対する譲渡や担保権の設定が行われていないことや、法令上必要な手続きを経ていることなどを表明保証として記載しましょう。
その他
上記のほか、ドメイン譲渡契約書には以下の事項などを定めます。
・損害賠償
・誠実協議
・合意管轄
など
ドメイン譲渡契約書を作成する際の注意点
ドメイン譲渡契約書を作成する際には、円滑にドメインの譲渡が完了するように意識することが大切です。
大前提として、契約条件は当事者双方にとって疑義のないように記載しなければなりません。対価・譲渡手続き・表明保証などを中心に、曖昧な文言を避けて明確な文言で条文を定めましょう。
また、自社にとって不当に不利益な条項があれば、相手方に対して修正を求めるべきです。特に譲渡人の側では、表明保証の範囲が過度に広範でないか、損害賠償責任が一般的な水準よりも加重されていないかなどに注意する必要があります。
ドメイン譲渡契約書は、契約条件を明確にしてトラブルを防ぎましょう
ドメインの譲渡・譲り受けについては、譲渡人は対価を得ることができる一方で、譲受人はWebサイトの立ち上げをスムーズに行うことができるメリットがあります。
ドメインの譲渡・譲り受けをトラブルなく円滑に完了するためには、整った内容のドメイン譲渡契約書を締結することが大切です。譲渡するドメインを特定する情報・譲渡対価・譲渡手続き・譲渡人の表明保証などを明確に記載して、譲渡人・譲受人間のトラブルを予防しましょう。
また、相手方がドメイン譲渡契約書のドラフトを作成した場合には、自社にとって不当に不利益な条項が含まれていないかどうかを確認することも大切です。
特に譲渡人の側では、表明保証や損害賠償などを中心に、自社にとって不利益な条項が含まれているケースが多いです。隅々まで契約書をチェックし、必要に応じて相手方に修正を求めましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
契約の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
契約書の署名は本人以外も有効?代筆の書き方や違法ケース、電子署名も解説
契約書には本人が署名するものですが、契約当事者が会社の場合は「本人」が法人ですので、代表権を持つ代表取締役などが署名を行うことになります。しかし適切な手筈を整えておけば必ずしも代表取締役が署名をする必要はなく、本人以外による署名も有効となり…
詳しくみるAIを使った契約書作成とは?リーガルチェックのリスクやChatGPTでの作成例も解説
AIの性能向上や利用の広がりに伴い、AIを使った契約書作成やリーガルチェックを検討する方が増えています。この記事では契約書作成にAIを活用しても問題ないかや、AIを活用した契約書の具体例および作成方法、AI活用の問題点を紹介します。 AIを…
詳しくみる中途解約条項とは?記載のポイントや注意点を文例とともに紹介
契約書に「中途解約条項」を設ければ、契約を途中で終了させる場合でもトラブルが発生するリスクの軽減につながります。 この記事では例文も交えて、中途解約条項を記載する際のポイントや盛り込むべき項目について解説します。 契約書における中途解約条項…
詳しくみるトリミング利用規約同意書とは?ひな形をもとに書き方や注意点を解説
トリミング利用規約同意書とは、ペットの飼い主がトリミングサロンを利用する際、注意事項や利用できない場合、サロン側の免責事項等の利用規約を記載して同意を求める書類です。トリミングを行ううえで、サロン側の責任を明確にするために作成します。 本記…
詳しくみる飲食店の間借りに必要な転貸借契約書とは?ひな形をもとに書き方を解説
すでに営業している飲食店を間借りして別の飲食店を出店する場合は、転貸借契約を締結する必要があります。この記事では転貸借契約書とはどのようなものなのかという概要や書き方、盛り込むべき内容について、ひな形をもとにご説明します。 ▼飲食店向け転貸…
詳しくみるインフルエンサー契約はどう締結する?契約書の項目などを解説
動画投稿プラットフォームやSNSなどの普及の普及によって、インフルエンサーマーケティングが注目されています。インフルエンサーと呼ばれる人たちに、自身のYouTubeやインスタなどのメディアで商品やサービスをPRしてもらうことで、宣伝効果を狙…
詳しくみる



