- 作成日 : 2021年7月2日
通帳の内容は帳簿に記帳する?確定申告で税務署へ提出が必要?簡単に解説!

事業に関する取引は、正確に収入や所得を計算するためにも、通帳記載のものを含め、記録する必要があります。白色申告と青色申告では、取引の記録である帳簿付けにどのような義務があるのでしょうか。
この記事では、帳簿付けのことから、確定申告では税務署に通帳の提出が必要か、通帳がない場合はどうすれば良いかなど、個人事業主が疑問に感じやすい通帳や帳簿付けに関するポイントを解説します。
目次
確定申告における帳簿付け
確定申告とは、納税者自身が納税すべき税金の計算を行って、税務署に申告することをいいます。事業を営む個人(個人事業主)においては、事業の収入や経費を正確に把握して年間の所得を計算するために、取引の記録である帳簿の作成と備え付けが義務付けられています。
白色申告における帳簿付け
白色申告者とは、青色申告を選択していない人のことです。ここでは、事業所得のある白色申告者に義務付けられている帳簿付けについて説明します。
<白色申告の人に備え付けと作成が義務付けられている帳簿>
- 収入金額、必要経費を記載した帳簿
白色申告では、日々の収入や経費を記載した帳簿の備え付けと作成が必要です。形式に決まりはありませんが、取引年月日、相手方や支払先の名称または事由、金額を明確に記載することとされています。
なお、白色申告の場合は、日々の現金売上や現金仕入、費用は一括記載できるなど、簡易的な記帳が認められています。(※本来は、取引ごとに正確に記帳する必要があります。)
青色申告における帳簿付け
青色申告は、より正確な申告を目的としたもので、所定の帳簿の備え付けと作成を義務付けることで、申告者に有利な特典を付与する制度です。青色申告を選択する場合は、税務署に届け出なければなりません。
<青色申告の人に備え付けと作成が義務付けられている帳簿>
以上のように、青色申告者は、白色申告と比べより多くの帳簿を作成し、保存しなければなりません。複雑にも思いますが、確定申告ソフトを利用すれば入力した取引の記録をもとに、必要な帳簿を自動で作成できます。
なお、青色申告でも簡易帳簿により申告を行う場合(青色申告控除10万円の場合)は、以下の帳簿の備え付けと作成があれば問題ありません。
<簡易帳簿を選択した人に義務付けられている帳簿>
- 現金出納帳
- 売掛金元帳、買掛金元帳
- 経費帳
- 固定資産台帳
確定申告に必要な帳簿付けは、以下の記事でも解説していますので、参考にしてください。
通帳の内容は帳簿に記帳する?
通帳には、取引の日付や金額などが記帳されます。そのため、通帳があれば帳簿は必要ないのではと思う人もいるでしょう。
しかし、結論として、通帳があっても、通帳の内容は帳簿に記録しなければなりません。通帳の内容だけでは不足する部分がありますし、取引を正確に記録するためにも帳簿への記帳が必要だからです。
通帳内のやり取りを記録するのは、「預金出納帳」といわれる帳簿です。事業で金融機関の口座を使用する場合は、預金出納帳の備え付けと作成、保存をしなければなりません。(白色申告は預金出納帳の備え付けや作成が不要ですが、取引内容を帳簿に記録する義務はあります。)
どこまで記帳する必要がある?
事業と私用の出金と入金を同一の銀行口座で行っている場合ですと、通帳内に記帳される取引に、事業とプライベートが入り混じることになります。ここで、疑問点として挙がりやすいのが、プライベートの内容も記帳する必要があるのかということです。
これについては、プライベートの内容であっても、事業として使用している通帳の場合は、その内容をすべて帳簿に記帳しなければなりません。プライベートで使用した分については、事業主貸や事業主借の勘定科目を使って処理します。
確定申告で帳簿は提出が必要?
日々の取引を記録している帳簿は、確定申告で提出する必要のある決算書(白色申告は収支内訳書、青色申告は青色申告決算書)を作成するために必要なものです。帳簿に記録された取引の純額は決算書に記載されますので、帳簿自体を確定申告で提出する必要はありません。
ただし、帳簿は、保存が義務付けられていますので、確定申告を終えてすぐ処分するのではなく、白色深刻なら5年、青色申告なら7年は手元に保管しておきましょう。
税務調査で提出しなければならない通帳は?
税務調査とは、税務署などの職員が申告の内容が正しいか確認のために調査を行うことです。このとき、客観的な証拠書類として、金融機関の通帳の提出を求められることがあります。
提出は義務ではありませんが、通帳がないなど特段の理由がない場合、提出または税務職員に見せる必要があります。ネット銀行などで通帳がない場合は、入出金明細など、通帳の代わりとなるものを提出するようにしましょう。
なお、税務調査で提出が求められるのは事業用口座の通帳です。事業用口座がない場合であっても、個人名義の口座で一部でも事業に関連する取引があれば提出の必要があります。
個人事業主も口座を事業用と個人用に分けておきましょう
個人名義の口座でも、事業に関連する取引が一部でもあれば、税務調査での提出対象になりますし、帳簿への記帳も必要です。口座が事業用とプライベートで分かれていないことで、管理も要しますので、個人事業主でも、事業用と個人用で口座を分けておくと良いでしょう。
事業用と個人用で分けることによって、帳簿に記帳しなければならない取引がわかりやすくなる上、事業用の資金と個人の財産を明確に切り分けられます。
事業用の通帳は正しく帳簿に記帳しましょう
事業用と個人用で通帳を分けていない個人事業主は、経理処理軽減などのためにも、口座を分けることから始めましょう。なお、通帳に記帳された取引は、預金出納帳など帳簿への記帳が必要です。通帳から転記する手間と考えると、紙での記帳は手間がかかりますので、取引を入力することで自動的に帳簿を作成してくれる確定申告ソフトが便利です。
よくある質問
通帳の内容は帳簿にも記帳する?
通帳の内容は、預金出納帳などの帳簿にも記帳しなければなりません。詳しくはこちらをご覧ください。
通帳の内容はどこまで記帳する?
事業で使用していている通帳であれば、取引の内容すべてを記帳します。詳しくはこちらをご覧ください。
確定申告で帳簿も提出する?
確定申告で帳簿を提出する必要はありません。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。