• 更新日 : 2024年2月20日

入院給付金を得た場合、確定申告で医療費控除を受けられる?

入院給付金を得た場合、確定申告で医療費控除を受けられる? 

確定申告医療費控除が受けられることは、よく知られています。

わが国では国民健康保険や健康保険などへの社会保険への加入を原則としますが、多くの人はそれ以外にさらに、生命保険会社などの医療保険に加入しています。

さて、入院によって生命保険会社から保険がおりた場合、医療費控除は受けられるのでしょうか?

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入院給付金とは

そもそも医療保険には、公的医療保険と民間の保険会社の販売する医療保険とがあります。ここでは、後者の民間の医療保険によってカバーされる給付金を取扱います。

生命保険会社などが販売する医療保険にはさまざまな保険商品があります。主に保証されるものとして、被保険者の入院や手術における医療費をカバーする手術給付金や入院給付金があります。給付金は死亡保険金に代表される「保険金」とは異なり、複数回支払われる可能性があります。

入院給付金は、次の順序を経て受け取ります。

  1. 入院の後、病院で精算する。医療保険について保険証書などで保険の対象かを確認する。
  2. 被保険者から保険会社等へ連絡し、保険会社から請求書類等を入手する。
  3. 請求書類、診断書(証明書)や領収書などを保険会社に提出する。
  4. 生命保険会社で給付金の支払について判断する。
  5. 保険金支払対象の場合、被保険者は入院給付金等を受け取る。

入院給付金を受け取った場合は、医療費控除を受けられる?

入院給付金は、病気やケガで入院した場合、入院に伴う一時的な出費や入院中の収入減などを補てんするためにあります。また、医療費控除はその年中に支払った医療費が一定額を超える場合に所得金額から「医療費控除」として差し引くことができる制度です。これによって所得税や住民税の負担を軽減する働きがあります。

結論として、入院給付金を受け取った場合でも、「控除額が計算できれば」医療費控除を受けることはできます。それはどのような場合かを見ていきましょう。

そもそも医療費控除とは

所得税は、基本的に所得金額に税率を乗じて求めるため、所得金額が少ないほど所得税も少なくなります。

所得金額を計算する中で、「所得控除」という計算過程があります。

所得控除とは、要件に該当する人について、一定の金額を所得から差し引くことができる制度をいいます。医療費控除はこの所得控除の1つです。

<医療費控除を受けるための要件>

対象期間:その年の1月1日から12月31日まで

要件:
①自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族の医療費を支払った場合
②支払った医療費が一定額※を超えたとき

※一定額とは、所得が200万円までの場合はその所得の5%、それ以外の場合は10万円となっています。
医療費控除

引用:医療費控除を受ける方へ:令和5年分 確定申告特集(準備編)|国税庁

したがって、医療費控除額が受けられる場合とは、上記で計算結果がプラスとなる場合です。

要するに、所得200万円以上の場合だと

(医療費総額 ー 受け取った給付金) > 10万円

となれば、医療費控除は可能です。

ただし、計算結果がマイナスになる場合には控除は適用できません。

医療費控除についての詳細は、以下の記事をご参照ください。

入院給付金は非課税?

所得税の計算においては、生命保険から受け取った入院給付金はすべて非課税です。

所得税法第9条十八では、「心身に加えられた損害又は突発的な事故により資産に加えられた損害に基因して取得するものその他の政令で定めるもの」については非課税所得とされています。

引用:所得税法 | e-Gov法令検索

したがって、入院給付金だけでなく、手術給付金、通院給付金、障害給付金など病気やケガで受け取る給付金などは非課税となり、所得税は課されません。

受け取った給付金は所得税については非課税のため、給付金に関する申告は不要です。しかし、確定申告において医療費控除を受ける場合には、受け取った入院給付金などを差し引いて計算する必要があります。

非課税になる入院給付金は確定申告をする必要がない?

入院給付金については、所得税は非課税と上記で述べました。

非課税の給付金については、損害賠償金や慰謝料などと同様に、その受取額を所得とする必要がないため、給付金や損害賠償金、慰謝料を所得として確定申告する必要はありません。

ただし、上記でも触れたように、確定申告で医療費控除を受けるときは注意が必要です。

参考:No.2011 課税される所得と非課税所得|国税庁

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入院給付金を受け取ったときの医療費控除の計算方法

医療費控除は、その年中において「実際に支払った医療費」が対象となります。
したがって、入院給付金を受け取った場合には、支払った医療費から控除して計算します。
入院給付金を受け取ったときの医療費控除の計算方法

なお、支払った医療費について、生命保険契約などによる保険金や給付金だけでなく、健康保険法の規定等に基づき受け取った入院費給付金、出産育児一時金、高額療養費などについても控除して計算します。次の項で、実際の計算例を見てみましょう。

医療費控除の計算例

ここで、実際に計算してみましょう。

<計算例>会社員Xさんのケース

医療費控除の計算例

  • 1年間に支払った医療費40万円
  • 医療保険で受け取った入院給付金15万円

まず、所得を確認します。

200万円<350万円ですので、控除額は10万円となります。

次に、計算式にあてはめて医療費控除額を求めます。

(40万円 ー 15万円)ー 10万円 = 15万円

したがって、Xさんは15万円の医療費控除を受けることができます。

入院給付金を確定申告しなかったらばれる?

医療費控除を計算する際、受け取った入院給付金を控除せずに計算すると、当然のことながら医療費控除を受ける金額は大きくなります。結果として、支払う税金も少なくて済みます。

虚偽申告はそもそも違法です。

誤って税金を少なく支払った場合には、できるだけはやく修正申告します。しかし、敢えて少なく申告し、税務調査を受けた後で修正申告をすると、差額分の税金の他、過少申告加算税が課税されます。

税務調査前に自ら修正申告をすれば過少申告加算税は発生しませんが、期間に応じた延滞税が発生します。

確定申告の結果は市区町村に連携されて住民税にも影響します。したがって、給与所得者の場合には、税務署の調査を受けるまでもなく、翌年の住民税が安くなっていることで会社から理由を聞かれることはあるかもしれません。すなわち、どこでバレるかわからないということです。

入院給付金をしっかり申告し、正しく医療費控除を受け取りましょう!

入院給付金は、入院による費用をまかなう大切な資金源です。後になって受ける医療費控除より実際には役に立つ場合が多いものです。

保険会社には漏れのないように請求するとともに、医療費控除を適用する場合には正しく計算して確定申告しましょう。

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よくある質問

入院給付金を受けた場合には、医療費控除を適用できますか?

医療費控除の計算をして、医療費控除額がある場合には適用できます。詳しくはこちらをご覧ください。

入院給付金は非課税ですか?

入院給付金は所得税では非課税所得となります。しかし、医療費控除を申告する際は、支払った医療費の額から受け取った入院給付金を差し引いて計算します。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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