• 更新日 : 2023年12月12日

原稿料・講演料を受け取ったときの確定申告の書き方や必要経費を解説

原稿料・講演料を受け取ったときの確定申告の書き方や必要経費を解説

副業で、講演料を受け取ったり、記事を執筆して原稿料を受け取ったりすることもあるかと思います。このように、講演や原稿の執筆が仕事のメインではないケースでも、場合によっては確定申告が必要です。

本記事では、原稿料や講演料の所得区分をはじめ、雑所得と経費の関係や、原稿料や講演料で必要経費にできるもの、原稿料や講演料に関する確定申告の書き方まで解説していきます。

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原稿料・講演料の確定申告はいくらから?

特定の資格や経験などを受け取っても、受け取った額がわずかなときなど、場合によっては確定申告を必要としないこともあります。また、原稿執筆や講演が本業の場合と副業の場合とでも確定申告の有無は変わってきます。詳しくみていきましょう。

■講演や原稿執筆をメインに仕事をしているケース
特定の資格や経験などを持っている人が、講演活動や原稿の執筆を生業にしているケースでは、講演や原稿執筆の仕事を継続的に行っており、それによって生計を立てていることが想定されます。その場合、講演料や原稿料は、所得税の計算上、「事業所得」と考えることができます。(メインの仕事に付随する原稿執筆や講演活動も原則、事業所得です。)

その年の所得が事業所得のみの場合、以下の計算で納付すべき所得税があるときは、所得税の確定申告が必要です。

事業所得=事業収入-必要経費
課税所得金額=事業所得-所得控除基礎控除など)
所得税額=課税所得金額×所得税率-控除額※
納付すべき所得税額=所得税額-税額控除
(※速算表を使っての計算を想定)

事業所得の確定申告では、基礎控除が引き合いに出されることがよくあります。基礎控除は、合計所得2,500万円以下であれば誰でも適用できる所得控除です。合計所得2,400万円以下は基礎控除48万円となるため、所得が事業所得48万円以下のみであれば課税所得は0円となり、確定申告は必要ないことになります。

■講演や原稿執筆を副業としているケース

会社から給与をもらっている会社員が、副業として原稿料や講演料を受け取ったときは、その所得金額が20万円を超えると確定申告が必要になります。(※ただし、原稿執筆や講演以外に副業をしていない場合)

副業と確定申告の関係は、以下の記事で詳しく説明していますので、こちらもご覧ください。

原稿料・講演料の確定申告書の書き方は?

原稿料や講演料の扱いは、本業にしている場合と、副業にしている場合で変わってくると説明しました。今回は、副業の原稿執筆や講演活動で収入を得たときの確定申告について解説していきます。

原稿料・講演料の所得区分は雑所得

所得税の申告において、所得は10に区分されます。原稿執筆や講演活動をメインに継続的に仕事をしているときは事業所得になると説明しましたが、副業の場合はどうでしょうか。

副業にかかわる所得については、基本的には雑所得に区分されます。雑所得とは、ほかの9つの所得区分のどれにも該当しない所得のことです。

事業所得となるか業務に係る雑所得となるかは、一般には、その事業活動が社会通念上、事業と言えるかどうかで判断されますが、取引を記録した帳簿書類の保存がなく、収入金額が300万円以下の場合には「業務に係る雑所得」に該当することになります。

雑所得については、以下の記事で詳しく解説していますので、こちらもご覧ください。

原稿料・講演料の必要経費として認められるもの

雑所得には、3つの種類があります。

  • 公的年金等
  • 業務に係るもの
  • 上記以外(その他雑所得)

これらのうち、業務に係る雑所得とは副業で営利目的のもののうち「継続的な」ものを指し、基本的に原稿料や講演料については、事業所得でない場合には業務に係る雑所得となります。

公的年金等以外の雑所得は、以下の計算式により算出します。

雑所得=総収入金額-必要経費

総収入金額とは、1年間の収入の合計額のことです。例えば、1月1日から12月31日の1年間で講演を5回行った場合、総収入金額は5回分の講演の収入額(源泉徴収税が差し引かれる前の金額)になります。

必要経費とは、原稿料なら原稿作成に、講演料なら講演活動に直接要した費用のことをいいます。必要経費として認められるのは、例えば以下のような費用です。

  • 原稿執筆のために購入した書籍代
  • 原稿執筆専用に購入したパソコン代
  • 原稿印刷専用に購入したプリンター代
  • 原稿執筆にあたり担当者との打ち合わせに要した交通費
  • 原稿印刷のために購入したコピー用紙代
  • 講演のプレゼンテーション資料作成のために購入したパソコン代
  • 講演で配布する資料の印刷代
  • 講演先等に移動するための旅費交通費 など

パソコンやプリンターなど、プライベートでも使用しているものについては、原稿執筆や講演活動で使用した分のみ(使用時間などで按分計算)必要経費にできます。

確定申告書の書き方・添付書類

令和4年分より業務に係る雑所得については、その年の2年前の業務に係る雑所得の収入が300万円を超えた場合、「現金預金取引等関係書類」を5年間保存しなければなりません。
現金預金取引等関係書類とは、受領した請求書領収書などの書類で、現金及び預貯金出入りについて作成されたものをいいます。

また、その年の2年前の業務に係る雑所得の収入が1,000万円を超えた場合は、確定申告書の提出時には、収支内訳書などの添付が必要となります。
したがって、雑所得には記帳義務はありませんが、金額によって事業所得と同じような書類を求められる場合がありますので注意しましょう。

参考:No.1500 雑所得|国税庁

以下では、簡単な業務に係る雑所得の申告方法について見ていきましょう。
副業で原稿料や講演料を得た場合、どのように確定申告を行えばよいのでしょうか。確定申告書の書き方を説明します。

(例)
〇〇〇株式会社の依頼を受けて、副業で年間5回(1回あたり10万円を受け取った)の講演を行った。継続的に依頼を受けており、雑所得上の業務に該当するものとする。なお、講演にかかった必要経費は15万円で、講演料受け取りの都度、源泉徴収税が差し引かれている。(※以下、確定申告書の記入例は説明の便宜上、説明に必要な雑所得の箇所だけ記入しています。)

■確定申告書 第一表


確定申告書 第一表

出典:確定申告書等の様式・手引き等(令和5年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁
所得税確定申告書」を加工して作成

確定申告書第一表には、収入金額等と所得金額等を記入する欄があります。例では、講演を5回行っており、計50万円が総収入になるため、収入金額等の「雑」の「業務」の欄に50万と記載します。

なお、現金主義の特例を受ける場合には、業務区分に「1」を記入します。2年前の業務に係る雑所得の収入が300万円以下で、確定申告書に現金主義の特例を受ける旨を記載した場合には、発生主義でなく現金主義にて申告をすることができます。

講演料の場合、源泉徴収されて入金されることがありますが、収入としては源泉徴収される前の金額で記載します。(源泉徴収額は最後に差し引きます。)

図の下にある所得金額等は、必要経費を差し引いた雑所得を記入する欄です。例では必要経費15万円のため、50万円から15万円を差し引いた35万円を「雑」の「業務」の欄に記載します。

■確定申告書 第二表


確定申告書 第二表 所得の内訳(所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額)

出典:確定申告書等の様式・手引き等(令和5年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁
所得税確定申告書」を加工して作成

原稿料や講演料の支払者は源泉徴収することとなっているため、受け取り時に源泉徴収されていることが一般的です。源泉徴収を受けているときは、確定申告書の第二表「所得の内訳」の欄に、所得の種類と種目、支払者の名称と所在地、収入金額、源泉徴収税額を記入します。

源泉徴収税額は、支払金額100万円以下のときは収入金額の10.21%です。例では10万円を5回受け取っているため、10万円の源泉徴収税額10,210円の5回分である51,050円が源泉徴収税額の合計です。

■確定申告書 第一表


確定申告書 第一表 源泉徴収税額

出典:確定申告書等の様式・手引き等(令和5年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁
所得税確定申告書」を加工して作成

確定申告書第二表に記入した源泉徴収税額の合計額は、第一表の税金の計算の「源泉徴収税額」に記入します。源泉徴収税額は納付済みのため、税金の計算上、納付すべき所得税額から差し引かれます。

■添付書類

先述のように2年前の業務に係る雑所得の収入が1,000万円を超えたときは、「収支内訳書」の添付が必要となります。そうでない場合においても、支払先から送付される支払調書(※会社によっては発行しないこともあります)に、所得の内訳に記載しなければならない事項が記載されていますので、届いたら手元に保管しておきましょう。

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原稿料・講演料は消費税の課税対象となる?

原稿執筆や講演で収入を得たとき、事業として行うものである場合には消費税の課税取引に該当します。消費税の課税対象は、①国内において、②事業者が事業として、③対価を得て行う、④資産の譲渡等(事業として有償で行われる商品や製品などの販売、資産の貸付及びサービスの提供)の4要件を満たすこととされるためです。

ただし、消費税には納税義務の免除があり、基準期間(前々年)の課税売上高が1,000万円以下などであれば、課税対象の消費税があっても納付や申告の義務が免除されます(※免税事業者の対象範囲内でも、消費税の課税事業者を選択しているときは申告と納付が必要です。)

ただし、令和5年10月からのインボイス制度の導入に伴い、売上高に関係なくインボイスの発行事業者(自ら届け出た者のみ)は課税事業者となります。

原稿執筆や講演活動による収入が多くないときは、消費税の心配をする必要はないでしょう。

原稿料・講演料は忘れずに確定申告しましょう

原稿料や講演料で副収入を得ている場合、その金額や必要経費の額によって、確定申告が必要になることがあります。無申告のままだとペナルティが課せられますので、必要に応じて、確定申告を行うようにしましょう。

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よくある質問

原稿料や講演料の確定申告書の所得区分は?

講演活動や原稿執筆をメインに仕事をしているなら事業所得、副業で行っているなら雑所得に区分します。 詳しくはこちらをご覧ください。

原稿料や講演料で認められる必要経費は?

原稿執筆に必要なパソコン代やプリンター代、講演先への交通費などを必要経費にできます。詳しくはこちらをご覧ください。

原稿料や講演料は消費税の課税対象?

継続的に行っているものは消費税の課税対象になりますが、課税売上1,000万円以下であれば消費税の納税は免除されます。 詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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