• 作成日 : 2021年11月19日

原稿料・講演料を受け取ったときの確定申告の書き方や必要経費を解説

原稿料・講演料を受け取ったときの確定申告の書き方や必要経費を解説

副業で、講演料を受け取ったり、記事を執筆して原稿料を受け取ったりすることもあるかと思います。このように、講演や原稿の執筆が仕事のメインではないケースでも、場合によっては確定申告が必要です。

本記事では、原稿料や講演料の所得区分をはじめ、雑所得と経費の関係や、原稿料や講演料で必要経費にできるもの、原稿料や講演料に関する確定申告の書き方まで解説していきます。

原稿料・講演料の確定申告はいくらから?

原稿料や講演料を受け取っても、受け取った額がわずかなときなど、場合によっては確定申告を必要としないこともあります。また、原稿執筆や講演が本業の場合と副業の場合とでも確定申告の有無は変わってきます。詳しくみていきましょう。

■講演や原稿執筆をメインに仕事をしているケース
特定の資格を持っている人が、講演活動や原稿の執筆を生業にしているケースでは、講演や原稿執筆の仕事を継続的に行っており、それによって生計を立てていることが想定されます。その場合、講演料や原稿料は、所得税の計算上、「事業所得」と考えることができます。(メインの仕事に付随する原稿執筆や講演活動も原則、事業所得です。)

その年の所得が事業所得のみの場合、以下の計算で納付すべき所得税があるときは、所得税の確定申告が必要です。

事業所得=事業収入-必要経費
課税所得金額=事業所得-所得控除基礎控除など)
所得税額=課税所得金額×所得税率-控除額※
納付すべき所得税額=所得税額-配当控除
(※速算表を使っての計算を想定)

事業所得の確定申告では、基礎控除が引き合いに出されることがよくあります。基礎控除は、合計所得2,500万円以下であれば誰でも適用できる所得控除です。合計所得2,400万円以下は基礎控除48万円となるため、所得が事業所得48万円以下のみであれば課税所得は0円となり、確定申告は必要ないことになります。

■講演や原稿執筆を副業としているケース

会社から給与をもらっている会社員が、副業として原稿料や講演料を受け取ったときは、その所得金額が20万円を超えると確定申告が必要になります。(※ただし、原稿執筆や講演以外に副業をしていない場合)

副業と確定申告の関係は、以下の記事で詳しく説明していますので、こちらもご覧ください。

原稿料・講演料の確定申告書の書き方は?

原稿料や講演料の扱いは、本業にしている場合と、副業にしている場合で変わってくると説明しました。今回は、副業の原稿執筆や講演活動で収入を得たときの確定申告について解説していきます。

原稿料・講演料の所得区分は雑所得

所得税の申告において、所得は10に区分されます。原稿執筆や講演活動をメインに継続的に仕事をしているときは事業所得になると説明しましたが、副業の場合はどうでしょうか。

副業にかかわる所得については、基本的には雑所得に区分されます。雑所得とは、ほかの9つの所得区分のどれにも該当しない所得のことです。

雑所得については、以下の記事で詳しく解説していますので、こちらもご覧ください。

原稿料・講演料の必要経費として認められるもの

公的年金以外の雑所得は、以下の計算式により算出します。

雑所得=総収入金額-必要経費

総収入金額とは、1年間の収入の合計額のことです。例えば、1月1日から12月31日の1年間で講演を5回行った場合、総収入金額は5回分の講演の収入額(源泉徴収税が差し引かれる前の金額)になります。

必要経費とは、原稿料なら原稿作成に、講演料なら講演活動に直接要した費用のことをいいます。必要経費として認められるのは、例えば以下のような費用です。

  • 原稿執筆のために購入した書籍代
  • 原稿執筆専用に購入したパソコン代
  • 原稿印刷専用に購入したプリンター代
  • 原稿執筆にあたり担当者との打ち合わせに要した交通費
  • 原稿印刷のために購入したコピー用紙代
  • 講演のプレゼンテーション資料作成のために購入したパソコン代
  • 講演で配布する資料の印刷代
  • 講演先に移動するための交通費 など

パソコンやプリンターなど、プライベートでも使用しているものについては、原稿執筆や講演活動で使用した分のみ(使用時間などで按分計算)必要経費にできます。

確定申告書の書き方・添付書類

副業で原稿料や講演料を得た場合、どのように確定申告を行えばよいのでしょうか。確定申告書の書き方を説明します。

(例)
〇〇〇株式会社の依頼を受けて、副業で年間5回(1回あたり総額10万円を受け取った)の講演を行った。継続的に依頼を受けており、雑所得上の業務に該当するものとする。なお、講演にかかった必要経費は15万円で、講演料受け取りの都度、源泉徴収税が差し引かれている。(※以下、確定申告書の記入例は説明の便宜上、説明に必要な雑所得の箇所だけ記入しています。)

■確定申告書B 第一表
確定申告書B 第一表
確定申告書第一表には、収入金額等と所得金額等を記入する欄があります。例では、講演を5回行っており、計50万円が総収入になるため、収入金額等の「雑」の「業務」の欄に50万と記載します。業務区分の欄には何も記載する必要はありません。

図の下にある所得金額等は、必要経費を差し引いた雑所得を記入する欄です。例では必要経費15万円のため、50万円から15万円を差し引いた35万円を「雑」の「業務」の欄に記載します。

なお、「雑」には公的年金等と業務、その他の3区分があります。原稿料や講演料は、「業務」か「その他」のどちらか一方に記入します。業務に該当するのは、営利目的に継続的に収入を得ている副収入です。

■確定申告書B 第二表
確定申告書B 第二表
原稿料や講演料の支払者は源泉徴収することとなっているため、受け取り時に源泉徴収されていることが一般的です。源泉徴収を受けているときは、確定申告書の第二表「所得の内訳」の欄に、所得の種類と種目、支払者の名称と所在地、収入金額、源泉徴収税額を記入します。

源泉徴収税額は、支払金額100万円以下のときは収入金額の10.21%です。例では10万円を5回受け取っているため、10万円の源泉徴収税額10,210円の5回分である51,050円が源泉徴収税額の合計です。

■確定申告書B 第一表
確定申告書B 第一表

確定申告書第二表に記入した源泉徴収税額の合計額は、第一表の税金の計算の「源泉徴収税額」に記入します。源泉徴収税額は納付済みのため、税金の計算上、納付すべき所得税額から差し引かれます。

■添付書類
原稿料や講演料の確定申告にあたって、添付が必要な書類はありません。添付は必要ないものの、支払先から送付される支払調書(※会社によっては発行しないこともあります)に、所得の内訳に記載しなければならない事項が記載されていますので、届いたら手元に保管しておきましょう。

原稿料・講演料は消費税の課税対象となる?

原稿執筆や講演で収入を得たとき、その内容が本業に関係しないもので、一回きりなど、一時的なものであれば消費税の課税対象にはなりません。しかし、副業として継続的に行っているものであれば、消費税の課税対象になります。なお、消費税の課税対象となるものは、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等(事業として有償で行われる商品や製品などの販売、資産の貸付およびサービスの提供)です。

ただし、消費税には納税義務の免除があり、課税売上高が1,000万円以下であれば、課税対象の消費税があっても納付や申告の義務が免除されます(※免税事業者の対象範囲内でも、消費税の課税事業者を選択しているときは申告と納付が必要です。)原稿執筆や講演活動による収入が多くないときは、消費税の心配をする必要はないでしょう。

原稿料・講演料は忘れずに確定申告しましょう

原稿料や講演料で副収入を得ている場合、その金額や必要経費の額によって、確定申告が必要になることがあります。無申告のままだとペナルティが課せられますので、必要に応じて、確定申告を行うようにしましょう。

オハナビューティーサロン 西村 蛍 様

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よくある質問

原稿料や講演料の確定申告書の所得区分は?

講演活動や原稿執筆をメインに仕事をしているなら事業所得、副業で行っているなら雑所得に区分します。 詳しくはこちらをご覧ください。

原稿料や講演料で認められる必要経費は?

原稿執筆に必要なパソコン代やプリンター代、講演先への交通費などを必要経費にできます。詳しくはこちらをご覧ください。

原稿料や講演料は消費税の課税対象?

継続的に行っているものは消費税の課税対象になりますが、課税売上1,000万円以下であれば消費税の納税は免除されます。 詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:並木 一真(税理士/1級FP技能士/相続診断士/事業承継・M&Aエキスパート)

並木一真税理士事務所所長
会計事務所勤務を経て2018年8月に税理士登録。現在、地元である群馬県伊勢崎市にて開業し、法人税・相続税・節税対策・事業承継・補助金支援・社会福祉法人会計等を中心に幅広く税理士業務に取り組んでいる。

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