• 更新日 : 2026年6月10日

青色申告特別控除で10万円控除を受ける要件とは?65万円との違いや提出方法を解説

Point青色申告特別控除で10万円控除を受ける条件は?

青色申告特別控除の10万円控除は、簡易簿記で記帳する事業者が受けられます。

  • 簡易簿記でよく、貸借対照表の作成も不要
  • 令和9年分以降、書面申告の55万円控除は10万円に減額
  • 前々年収入1,000万円超の簡易簿記は令和9年分から控除が0円に

複式簿記e-Tax申告などをそろえると、最大65万円(令和9年分以降は最大75万円)まで控除額が広がります。自分の記帳・申告方法に合った控除額を選びましょう。

青色申告特別控除は、青色申告だけに認められる所得控除で、控除額は最大65万円です。作成する帳簿や申告方法に応じて65万円・55万円・10万円の3種類に分かれ、このうち10万円控除は簡易簿記でよく、もっとも手軽に使えます。なお、令和9年分の所得税以降は最大控除額は75万円に引き上げられる一方、書面申告の場合の控除額は大幅に引き下げられます。

本記事では、10万円控除の要件や必要な帳簿・書類、令和9年分以降の改正点をわかりやすく解説します。

※本記事の内容は2025年12月公表の税制改正大綱をもとにしています。税制改正大綱は自民党が毎年12月頃に発表する改正のドラフトであり、国会での審議を経て翌年春頃に法律として制定されます。最終的に制定された法律の内容と異なる場合があります。

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青色申告特別控除で10万円控除を受ける要件とは?

青色申告は特別控除で節税効果が得られる点がメリットです。青色申告の10万円控除は、簡易簿記による記帳と、青色申告決算書損益計算書)の添付という2つの要件を満たせば受けられます。55万円控除や65万円控除のような複式簿記は求められず、貸借対照表の作成も必要ありません。

対象になるのは、事業所得・不動産所得・山林所得のいずれかがある青色申告者です。山林所得しかない人や、事業的規模でない不動産所得のみの人は、原則として控除額が10万円になります。

なお、令和9年分以降は、前々年の事業所得または不動産所得の収入金額が1,000万円を超える簡易簿記の事業者は、10万円控除の対象外(0円)になります。

ただし不動産所得については、1,000万円超でも業務的規模であれば、これまでどおり最大10万円の控除を受けられます。

参照:簡易簿記による10万円の青色申告特別控除を適用している皆様へ 令和9年分以後の所得税について、事業所得又は不動産所得に係る、10万円控除要件が変わります!|国税庁
参照:No.2072 青色申告特別控除|国税庁

令和9年分以降の変更点(最大75万円・書面は減額)

令和9年分以降は、青色申告特別控除の体系が見直され、電子化に対応した事業者ほど控除額が大きくなります。最大控除額が75万円に引き上げられる一方、書面申告や一定規模の簡易簿記では控除額が下がります。

条件 〜令和8年分 令和9年分以降
複式簿記+e-Tax申告+優良な電子帳簿または電子取引データ保存 65万円 75万円(増額)
複式簿記+e-Tax申告のみ 65万円 65万円(変更なし)
複式簿記+書面申告 55万円 10万円(減額)
簡易簿記
(前々年の収入1,000万円超)
10万円 0円(適用除外)
簡易簿記
(前々年の収入1,000万円以下)
10万円 10万円(変更なし)

特に「紙で確定申告している方」や、「前々年の収入が1,000万円を超える事業者」は大きな影響を受けます。令和9年分に向けて複式簿記やe-Tax申告への移行を早めに検討しておくと安心です。令和8年分まではこれまでどおり最大65万円が適用されます。

参照:令和8年度税制改正|財務省

65万円控除との違い(令和9年以降は75万円に)

10万円控除と65万円控除は、記帳方法と申告方法が異なります。65万円控除は複式簿記での記帳とe-Tax申告などが必要ですが、10万円控除は簡易簿記でよく、申告方法も問われません。

また、確定申告で65万円控除を受ける場合、貸借対照表と損益計算書の揃った青色申告決算書を提出しますが、10万円控除では貸借対照表の作成義務はありません。

適用される所得の範囲も異なります。65万円控除は事業規模の不動産所得と事業所得のみに適用されますが、10万円控除は事業規模でない不動産所得や山林所得も含まれます。

項目 10万円控除 65万円控除
記帳方法 簡易簿記でよい 複式簿記が必要
申告書類 損益計算書
(貸借対照表は不要)
貸借対照表と損益計算書
申告方法 問わない e-Tax申告または優良な電子帳簿保存
対象所得 事業・不動産・山林所得 事業所得・事業的規模の不動産所得

令和9年分以降は、65万円控除の要件に加えて優良な電子帳簿または電子取引データの保存もそろえると、控除額が75万円に広がります。節税効果を高めたい人は、電子帳簿保存法への対応もあわせて検討するとよいでしょう。

参考:[手続名]国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等に係る65万円の青色申告特別控除・過少申告加算税の特例の適用を受ける旨の届出手続|国税庁

e-Taxなしでは最高55万円控除に

複式簿記で記帳していても、e-Tax申告または電子帳簿保存の届出をしていなければ、控除額は最高55万円となります。65万円の控除を受けるために、10万円の上乗せを受けるには、これらのいずれかが必要です。

電子帳簿保存による上乗せには届出が前提となるため、届出のないものには適用されません。65万円控除を目指す場合は、e-Tax申告を選ぶのがわかりやすい方法です。なお、青色申告特別控除の全体像や65万円控除の条件は、次の記事でくわしく解説しています。

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簡易簿記で作成できる10万円控除で必要な帳簿とは?

10万円控除がその他の控除と違うところは、簡易簿記による記帳でよいという点です。55万円控除や65万円控除で要求される複式簿記による記帳は必要ありません。ここでは、必要な帳簿や保存期間、複式簿記との違い、確定申告で用意する書類を整理します。

複式簿記とはどう違う?

10万円控除で行う簡易簿記とは、お金の出入りを1つの勘定科目で記録する、家計簿のような方法です。これに対して複式簿記は、取引を「借方」「貸方」の2つの側面から記載します。

簡易簿記でわかるのは主にお金の出入りで、資産の増減や借入金の状況まではつかめません。財政状況を正しく把握したい場合や、より大きな控除を受けたい場合は、複式簿記による記帳が必要になります。

10万円控除で必要な帳簿と保存期間

10万円控除では、主に次の4つの帳簿を簡易簿記で作成します。作成した帳簿は確定申告に添付する必要はありませんが、一定期間の保存が必要です。

帳簿の種類(10万円控除・簡易簿記で作成)
  • 現金出納帳:現金の出入りを記帳する
  • 売掛帳・買掛帳:売上や仕入れを管理する
  • 経費帳:必要経費を記帳する
  • 固定資産台帳:減価償却する固定資産を管理する

現金と預金を分けて管理している場合は、預金出納帳も用意します。

青色申告の帳簿類は、申告期限の翌日から7年間の保存が必要です。

参照:記帳や帳簿等保存・青色申告|国税庁

【令和9年分以降の重要な注意点】

令和9年分以降、前々年(前々事業年度)の収入金額が1,000万円を超える事業者は、簡易簿記による10万円控除の適用が廃止され、控除額が0円になる予定です。該当する方は、複式簿記への移行を早めに検討してください。

前々年の収入が1,000万円以下の事業者については、従来どおり10万円控除が継続される見込みです。

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10万円控除の確定申告で必要な書類とは?

10万円控除の確定申告で必要な書類は、確定申告書と青色申告決算書です。65万円(55万円)控除では貸借対照表と損益計算書を記載して提出しますが、10万円控除では、貸借対照表の記載は特に必要ありません。

提出する書類と記載のポイントは次のとおりです。

10万円控除の確定申告で必要な書類
  1. 確定申告書(第一表・第二表)を作成する
  2. 青色申告決算書のうち損益計算書を作成する(貸借対照表は不要)
  3. 売上や減価償却費などの内訳を決算書に記載する

10万円控除の簡易簿記では入金と出金の記録しかなく、損益の状況を見る「損益計算書」は作成できるものの、財産の状態を記録した「貸借対照表」は作成できないからです。

確定申告の期限は、原則として翌年の3月15日です。提出方法は、e-Tax・税務署への持参・郵送のいずれかを選べます。

10万円控除は申告方法を問わないため、書面で提出してもかまいません。ただし令和9年分以降は、複式簿記でも書面申告の場合は控除額が10万円まで下がります。

青色申告の簡易簿記については、次の記事でくわしく紹介しています。

青色申告特別控除10万円と令和9年分以降の改正への備え

青色申告特別控除の10万円控除は、簡易簿記でよく貸借対照表も不要なため、もっとも手軽に使える控除です。一方で、複式簿記とe-Tax申告などをそろえれば最大65万円(令和9年分以降は最大75万円)まで控除額が広がり、節税効果は大きくなります。

令和9年分以降は書面申告や一定規模の簡易簿記で控除額が下がるため、複式簿記やe-Tax申告への移行を早めに考えておくと安心です。

なお、青色申告については以下の記事でくわしく解説しています。

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よくある質問

青色申告特別控除とは?

青色申告の申請をしている人が受けられる控除のことです。詳しくはこちらをご覧ください。

青色申告特別控除でいくらの控除が受けられますか?

最大65万円で、要件の違いにより55万円、10万円の3種類があります。令和9年分以降は最大75万円・書面は減額されます。詳しくはこちらをご覧ください。

青色申告の10万円控除を受ける要件は何ですか?

届出の提出と簡易簿記による記帳、確定申告で青色申告決算書を提出しなければなりません。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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