• 更新日 : 2026年10月21日

青色申告特別控除の10万円控除とは?65万円・75万円との違い

Point青色申告特別控除で10万円控除を受ける条件は?

青色申告特別控除の10万円控除は、簡易簿記で記帳する事業者が受けられます。

  • 簡易簿記でよく、貸借対照表の作成も不要
  • 令和9年分以降、書面申告の55万円控除は10万円に減額
  • 前々年収入1,000万円超の簡易簿記は令和9年分から控除が0円に(業務的規模の不動産所得者は対象外)

青色申告特別控除は、青色申告だけに認められる特別控除です。作成する帳簿や申告方法に応じて65万円・55万円・10万円の3種類に分かれ、このうち10万円控除は簡易簿記による記帳で適用を受けられます。

この記事では、10万円控除の要件や必要な帳簿・書類、65万円控除や令和9年分以後の75万円控除との違いをわかりやすく解説します。

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青色申告特別控除の10万円とは?

青色申告の10万円控除は、簡易簿記による記帳と、青色申告決算書(損益計算書)の添付を満たせば受けられます。ほかの区分で求められる複式簿記は必要なく、貸借対照表の作成も要りません。

対象になるのは、事業所得・不動産所得・山林所得のいずれかがある青色申告者です。山林所得しかない人や、事業的規模でない不動産所得のみの人は、原則として控除額が10万円になります。

なお、令和9年分以後は簡易簿記でも収入金額によっては控除を受けられなくなります。くわしくは次の章で解説します。

参照:No.2072 青色申告特別控除|国税庁

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青色申告の10万円控除は令和9年分以後どう変わる?

令和9年分以後は、青色申告特別控除の体系が見直され、電子化に対応した事業者ほど控除額が大きくなります。最大控除額が75万円に引き上げられる一方、書面申告や一定規模の簡易簿記では控除額が下がります。

条件 令和8年分まで 令和9年分以後
複式簿記+e-Tax申告+優良な電子帳簿の保存またはデジタルシームレス保存 65万円 75万円
複式簿記+e-Tax申告のみ 65万円 65万円
複式簿記+書面申告 55万円 10万円
簡易簿記(前々年分の収入1,000万円以下) 10万円 10万円
簡易簿記(前々年分の収入1,000万円超) 10万円 0円(適用除外)
※業務的規模の不動産所得者は対象外

収入1,000万円超の簡易簿記は控除の対象外になる

令和9年分以後は、前々年分の事業所得または不動産所得の収入金額が1,000万円を超える簡易簿記の事業者は、10万円控除の対象外になります。

ただし不動産所得については、1,000万円を超えていても業務的規模であれば、これまでどおり最大10万円の控除を受けられます。なお、業務的規模の場合は複式簿記に移行しても控除額は最大10万円のままです。

前々年分の収入金額が1,000万円以下であれば、従来どおり10万円控除を受けられます。

書面申告は控除上限が10万円になる

複式簿記で記帳していても、書面で申告した場合の控除上限は、令和9年分以後10万円になります。

紙で確定申告している方や、前々年分の収入が1,000万円を超える事業者は、令和9年分以後に控除額が変わります。令和8年分まではこれまでどおり最大65万円が適用されます。

参照:簡易簿記による10万円の青色申告特別控除を適用している皆様へ|国税庁

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青色申告の10万円控除と65万円・75万円の違い

10万円控除とそれ以上の控除は、記帳方法と申告方法が異なります。10万円控除は簡易簿記でよく申告方法も問われませんが、ほかの区分では複式簿記での記帳とe-Tax申告などが必要です。適用される所得の範囲も異なります。

項目 10万円控除 65万円・75万円控除
記帳方法 簡易簿記でよい 複式簿記が必要
申告書類 損益計算書(貸借対照表は不要) 貸借対照表と損益計算書
申告方法 問わない e-Tax申告(令和8年分までは優良な電子帳簿の保存でも可)
対象所得 事業所得・不動産所得・山林所得 事業所得・事業的規模の不動産所得
電子帳簿の要件 なし 75万円は優良な電子帳簿の保存またはデジタルシームレス保存が必要

参考:[手続名]国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等に係る65万円の青色申告特別控除・過少申告加算税の特例の適用を受ける旨の届出手続|国税庁

令和8年分までは、複式簿記で記帳していてもe-Tax申告または電子帳簿保存の届出がなければ控除額は55万円にとどまります。電子帳簿保存による上乗せは届出が前提となるため、届出がなければ適用されません。

なお、75万円の控除を受けるための届出書は、名称が「65万円の青色申告特別控除…」から「75万円…」に変更される予定です。すでに優良な電子帳簿の保存によって控除を受けている場合は、あらためて提出する必要はありません。

青色申告の10万円控除ではどんな帳簿が必要?

10万円控除で5簡易簿記による記帳でよく、ほかの区分で求められる複式簿記は必要ありません。ここでは、複式簿記との違いと、必要な帳簿や保存期間を整理します。

簡易簿記と複式簿記との違い

簡易簿記は、お金の出入りを1つの項目で記録する、家計簿のような方法です。これに対して複式簿記は、取引を「借方」「貸方」の2つの側面から記載します。

項目 簡易簿記 複式簿記
記録の方法 お金の出入りを1つの勘定科目で記録 取引を借方と貸方の2つの側面で記録
作成できる書類 損益計算書 損益計算書と貸借対照表
わかること お金の出入り 資産や負債を含む財政状態

簡易簿記でわかるのは主にお金の出入りで、資産の増減や借入金の状況まではつかめません。財政状態を正しく確認したい場合や、より大きな控除を受けたい場合は、複式簿記による記帳が必要になります。

必要な帳簿と保存期間

10万円控除では、主に次の4つの帳簿を簡易簿記で作成します。作成した帳簿は確定申告に添付する必要はありませんが、一定期間の保存が必要です。

帳簿の種類(10万円控除・簡易簿記で作成)
  • 現金出納帳:現金の出入りを記帳する
  • 売掛帳・買掛帳:売上や仕入れを管理する
  • 経費帳:必要経費を記帳する
  • 固定資産台帳:減価償却する固定資産を管理する

現金と預金を分けて管理している場合は、預金出納帳も用意します。

青色申告の帳簿類は、申告期限の翌日から7年間の保存が必要です。

参照:記帳や帳簿等保存・青色申告|国税庁

Point令和9年分以降の重要な注意点
  • 令和9年分以後の所得税では、簡易簿記で記帳している事業者のうち、前々年分の事業所得または不動産所得に係る収入金額が1,000万円を超える方は、10万円控除を受けられなくなり、控除額は0円となります。
    ただし、不動産所得が業務的規模(事業的規模に至らない規模)の場合は、1,000万円を超えていても、これまでどおり最大10万円の控除を受けられます。該当する方は、複式簿記への移行を早めに検討してください。
    前々年の収入が1,000万円以下の事業者については、従来どおり10万円控除を受けられます。
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青色申告の10万円控除の確定申告で必要な書類は?

10万円控除の確定申告で必要な書類は、確定申告書と青色申告決算書です。

10万円控除の確定申告で必要な書類
  1. 確定申告書(第一表・第二表)を作成する
  2. 青色申告決算書のうち損益計算書を作成する(貸借対照表は不要)
  3. 売上や減価償却費などの内訳を決算書に記載する

確定申告の期限は、原則として翌年の3月15日です。提出方法は、e-Tax・税務署への持参・郵送のいずれかを選べます。

10万円控除は申告方法を問わないため、書面で提出してもかまいません。

青色申告の簡易簿記については、次の記事でくわしく紹介しています。

青色申告特別控除10万円と令和9年分以降の改正への備え

青色申告特別控除の10万円控除は、簡易簿記でよく貸借対照表も不要なため、もっとも手軽に使える控除です。一方で、複式簿記とe-Tax申告などをそろえれば最大65万円(令和9年分以降は最大75万円)まで控除額が広がり、節税効果は大きくなります。

令和9年分以降は書面申告や一定規模の簡易簿記で控除額が下がるため、複式簿記やe-Tax申告への移行を早めに考えておくと安心です。

なお、青色申告については以下の記事でくわしく解説しています。

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よくある質問

青色申告特別控除とは?

青色申告の申請をしている人が受けられる控除のことです。詳しくはこちらをご覧ください。

青色申告特別控除でいくらの控除が受けられますか?

最大65万円で、要件の違いにより55万円、10万円の3種類があります。令和9年分以降は最大75万円・書面は減額されます。詳しくはこちらをご覧ください。

青色申告の10万円控除を受ける要件は何ですか?

届出の提出と簡易簿記による記帳、確定申告で青色申告決算書を提出しなければなりません。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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