• 作成日 : 2022年1月27日

個人向け国債にかかる税金は確定申告が必要?

個人向け国債にかかる税金は確定申告が必要?

個人向け国債は、個人が購入しやすいよう工夫された国債で、国が発行し、利子がついて元本が償還される証券です。

個人向け国債を保有している個人については、どのような税金が課されるのでしょうか?また、よく聞く損益通算とは、個人向け国債の保有者にも可能なのでしょうか?

この記事では、これら個人向け国債の基本的な部分について解説します。

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個人向け国債にかかる税金は確定申告が必要?

個人向け国債は、変動10年、固定5年、固定3年の3タイプから選べる債券で、1万円から購入できます。一定の期間が過ぎれば、請求に応じて国が買い取ってくれる「中途換金制度」があり、個人にも購入しやすくなっています。

国債には利付国債(半年ごとに利子が付き、満期時には元金償還のあるもの)と、割引国債(利子の支払はなく、あらかじめ利子分が割り引いて発行され、満期時に額面金額が償還されるもの)がありますが、個人向け国債は利付国債にあたります。

国債に限りませんが、債券を保有していると、利率によって利子が得られます。また、個人向け国債は、償還期になれば額面額が償還(額面金額100円につき100円の償還)され、発行後、1年を経過すると、中途換金(一定額が差し引かれます)も可能です。さらに、個人間において、いつでも譲渡することが可能です。

したがって、税金を考える際には、利子として定期的に得る利子所得、償還や譲渡などによる譲渡所得の2点に注意する必要があります。

参考:個人向け国債商品概要 : 財務省

個人向け国債の利子に対する税金

一般に預貯金などの利子を受け取った場合は、受け取り時には、税率20.315%が差し引かれます。20.315%の税率の内訳は、所得税及び復興特別所得税15.315%と住民税5%となっています。

【平成28.1.1以降の個人向け国債の利子】

【平成28.1.1以降の個人向け国債の利子】

上の図のように、個人向け国債の利子については、源泉徴収後に申告分離課税の対象とすることができます。申告分離課税とは、給与所得などの他の所得金額と合計せずに分離して税額を計算し、確定申告・納付するものです。

平成27年12月31日以前に発行された国債の利子については源泉分離課税となっていました。しかし、平成28年1月1日以降に発行された国債の利子については「上場株式等に係る配当所得等」として申告分離課税の対象となり、確定申告することができるよう改正されました。

参考:No.1331 上場株式等の配当等に係る申告分離課税制度|国税庁

個人向け国債の譲渡益と償還益に対する税金

個人向け国債の譲渡益や償還益についても、税率20.315%の税金がかかります。これらは申告分離課税の対象となっており、損益通算が可能となっています。

平成28年1月1日より、特定公社債については「特定口座」に受け入れられるようになりました。それに伴い、利子所得も譲渡所得についても特定口座内で源泉徴収を選択することもできます。

これら利子所得と譲渡益や償還益などについてまとめると次の図のようになります。税率はいずれも20.315%です。

利益の種類
課税関係
利子
(利子所得)
受取時に選択が可能(下記特定口座以外)申告不要(源泉徴収のみ)
要確定申告(申告分離課税)
特定口座(源泉徴収口座)申告不要
譲渡益・譲渡益
(譲渡所得)
一般口座または特定口座で源泉徴収なし要確定申告(申告分離課税)
特定口座(源泉徴収口座)申告不要

参考:国債の利子等課税制度(個人) : 財務省

個人向け国債などの公社債は確定申告で損益通算できる

個人向け国債だけでなく他に上場株式を所有している場合などには、「損益通算」により節税が可能です。ここでいう節税とは、損益通算によって譲渡益と譲渡損があった場合の相殺、利子と譲渡損があった場合の相殺など、課税所得を少なくして、結果的に所得税を少なくすることです。

個人向け国債などの公社債は確定申告で損益通算できる

特定口座の利用により、同一特定口座内で利子と譲渡損の損益通算(相殺)が可能となります。さらに、上場株式等と公社債等の損益通算が可能となるほかに、譲渡損については確定申告をすることで、翌年以後3年間にわたり繰越が可能となります。

参考:No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除|国税庁

損益通算の詳細については、以下をご参照ください。

特定口座を開設すると確定申告が簡単にできる

特定口座とは、金融機関において投資商品を保有する場合に選択することのできる取引口座で、この口座を利用することにより申告手続きを簡素化することができます。金融機関が、投資商品の譲渡損益などを計算する「年間取引報告書」などを作成する口座です。

投資を始める際には、取引口座を開設しますが、その際に一般口座か特定口座のどちらかとなります。
特定口座は1つの金融機関で1口座の開設となり、「源泉徴収あり」「源泉徴収なし」の2種類があります。

【特定口座の概要】

特定口座
(源泉徴収あり)
特定口座内で所得計算し、源泉徴収する確定申告不要
譲渡損の繰越や他の特定口座と損益通算する場合には確定申告が必要
特定口座
(源泉徴収なし)
特定口座内で所得計算確定申告が必要

特定口座ではほとんどの場合手数料が発生しないため、年間取引報告書を作成する特定口座は便利だと言えます。

なお、確定申告の具体的な書き方については以下をご参照ください。

個人向け国債にかかる税金は原則確定申告不要!

個人向け国債については、利子所得及び譲渡益・償還益に課税されますが、特定口座を開設し、源泉徴収ありとしていれば確定申告は不要となります。

他の投資商品を持っている場合には、損益通算により節税できる場合がありますので、申告時期には検討しましょう。

よくある質問

個人向け国債とはなんですか?

個人向け国債は、国が発行し、利子がついて元本が償還される債券で、個人が購入しやすいように工夫されています。途中での換金も可能であり、個人間の譲渡もできます。詳しくはこちらをご覧ください。

個人向け国債にはどのような税金がかかりますか?

個人向け国債は利付国債なので、利子について課税されます。さらに、譲渡益や償還益についても課税されます。税率はいずれも20.315%です。詳しくはこちらをご覧ください。

特定口座とはなんですか?

特定口座は、金融機関に投資商品を保有する際に用意されている口座で、申告手続きを簡素化することができます。金融機関が投資商品の譲渡損益などを計算し、「年間取引報告書」を作成する口座です。 詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:岡 和恵 (税理士 / CFP)

大学卒業後、2年間の教職を経て専業主婦に。システム会社に転職。 システム開発部門と経理部門を経験する中で税理士資格とフィナンシャルプランナー資格を取得。 2019年より税理士事務所を開業し、税務や相続に関するライティング業務も開始。

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