- 更新日 : 2022年5月26日
要チェック!個人事業主が納めるべき4つの税金と計算方法まとめ

個人事業主として事業をされている方にとって、特に意識しなければならないものの一つに税金があります。
日々の生活の中で馴染み深い消費税については理解していても、所得税や住民税、事業税のことになるとさっぱり、という方は少なくないはずです。
そこで今回は、知っているようで知らない個人事業主が納めるべき各種税金について、それぞれを取り上げ解説していきます。
目次
個人事業主が納める4種類の税金とは?
1.所得税
所得税は文字通り、毎年1月1日から12月31日までの1年の間に生じた「所得(儲け)」に対して課せられる国税です。
所得税に関しては、自ら1年間の所得金額を計算し、その翌年の2月16日から3月15日までの間に税務署に納税するという「申告納税制度」が採用されています。
また、その所得は所得税法上、その性質によって以下の10種類に分類されます。
このうち、個人事業主の方に直接関わってくるのが「事業所得」です。
事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業、その他の事業から生じる所得を指します。
ただし、不動産の貸付けや山林の譲渡による所得は、事業所得ではなく、不動産所得と山林所得に分類されますので、本記事では不動産業や山林事業を行っていない個人事業主の方を前提とします。
2.住民税
住民税は、地域社会で生活していく上で必要な費用を、その地域で生活する住民に広く分担してもらうという目的で課される地方税です。
所得税の確定申告を行うと、住まいの市区町村から納税額の通知書が送付されます。そして、その通知書に記載されている期限通りに金融機関等で納付を行う必要があります。
また、納付の期限は一般的に6月・8月・10月・1月の年4期となっており、前年の所得に対して課せられた住民税を4回に分けて支払うことになります。もちろん一括納付も可能です。
ちなみに、住民税は確定申告をしていれば自ら税額を計算する必要はありません。
3.個人事業税
個人事業税は、個人が事業を行っていることに対して課される地方税です。
個人事業税も住民税と同様に、所得税の確定申告を行うと行政から納税通知書が送られて来ます。そして、その納付期限通りに金融機関等で納付する必要があります。また、納付期限は8月と11月の年2回となっています。
個人事業税も住民税同様、確定申告をしていれば自ら税額の計算を行う必要はありません。
4.消費税
消費税とは、商品の購入やサービスを受けた際に、その価格の一定割合(標準税率10%、軽減税率8%)を商品の購入者やサービスの提供を受けた者が負担する税金です。
個人事業主の方は、消費税を支払うだけでなく、売上の一定割合(標準税率10%、軽減税率8%)を購入者から預かる立場にもなるので注意が必要です。
各種税額の算出方法について
ここでは各種税額の算出方法について計算式とともに解説します。
所得税(事業所得)の算出方法
ここでは、所得が事業所得のみの方を前提とします。まず、1月1日から12月31日までの1年分の「総収入金額」つまり、商品・サービスの売上や賃料収入など1年間の収入を集計します。
次に事業を営んでいて発生した「必要経費」を集計します。必要経費とは、商品の仕入代金やパートアルバイトへの人件費支払いや、交通費・通信費など、事業に関連して支出した費用をいいます。
事業所得は次の式に基づき計算します。
事業所得の計算で算出された所得金額から、さらに引くことができる経費があります。
その1年間に支払った個人の生命保険料や住宅ローン残高がある方は、会社員の方と同様にその一部を所得や税金計算から差し引くことができます。
事業所得からこれら生命保険料等の経費を控除した結果、例えば400万円と所得が計算された方は、最後に以下の速算表を使って、所得税額を算出します。
なお、消費税は翌年の3月31日までの間に税務署、または金融機関等で納税します。
住民税の算出方法
住民税は、主に均等割と所得割の2つから構成されていて、東京都の場合、均等割は5,000円となっています。
なお、所得割については、以下の式で算出します。
所得割の税率は、東京都の場合、都民税が一律で4%、区市町村民税が一律で6%の合計10%です。
上記でも述べましたが、住民税は行政によって計算され納付書も行政から送られて来ます。そのため必ずしもご自身で計算する必要はありませんが、住民税の納税額通知書が届いた際は、一度その内容をご確認いただくことをお勧めします。
個人事業税の算出方法
個人事業税は、所得税のところで述べた事業所得から青色申告特別控除や各種控除額などを差し引いて算出した金額に一定の税率を乗じて算出します。
税率は、個人が営んでいる事業の種類ごとに大きく3つ設定されています。具体的な業種を挙げていくつか税率とともにご紹介します。
- 第1種事業:5%(物品販売業や飲食業等の事業を営んでいる方が対象)
- 第2種事業:4%(水産業や畜産業を営んでいる方が対象)
- 第3種事業:5%(医業、税理士業等、いわゆる士業を営んでいる方が対象)
それでは、実際に計算してみましょう。事業所得金額500万円で飲食業を営まれている方を前提にします。
個人事業税の計算上、事業所得金額から控除できるものに事業主控除があります。事業主控除290万円があるため、年間の事業所得が290万円より少ない場合は、事業税を支払う必要がありません。
個人で事業をされている方は一律290万円が控除されます。会社員と比べ個人事業主には手当が少ないといわれていますので、ありがたい制度の一つです。
消費税の算出方法
消費税は、原則預かった消費税から支払った消費税を差し引き、その差額を税務署に納めます。税抜で2,000万円の売上があり、商品を1,000万円で仕入れていたというケースで考えてみましょう。税率は8%とします。
なお、2年前の売上が1,000万円以下の個人事業主の方は一般的に免税事業者という扱いとなり、納付の必要はありません。事業が軌道に乗り、売上が1,000万円を超えるころに消費税の納付を意識すると良いでしょう。
個人事業主が納める税金を事前に確認しましょう!
ここまで、個人事業主が納めるべき4つの税金についてご紹介してきました。本記事を参考に、それぞれの税金について、計算方法や納付期限、控除額といったポイントを正しく理解するようにしてください。

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よくある質問
個人事業主が納める4種類の税金とは?
個人事業主は、所得税、住民税、個人事業税、消費税の4種類を納める必要があります。詳しくはこちらをご覧ください。
個人事業主の税額の算出方法は?
所得税、住民税、個人事業税、消費税のそれぞれ算出方法が異なります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。