• 更新日 : 2024年11月20日

個人事業主・フリーランスの家賃は確定申告で経費にできる?按分計算の方法も解説!

個人事業主の事業所については、賃貸物件である場合と持ち家である場合とがあります。そのどちらの場合にも、自宅兼事務所となっていることもあります。

例えば家賃については、確定申告で所得計算をする場合に必要経費として計上できるのでしょうか?按分割合を求めて計算する場合などはあるのでしょうか?などは気になるところです。

初めて賃貸借契約書を交わす場合には、敷金などを支払うこともありますが、青色申告白色申告では費用計上に違いがあるかも知りたいところです。

この記事ではさらに進んで、個人事業主が事業を拡張し、従業員を社宅に住まわせる場合のルールや節税方法なども解説していきます。

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個人事業主の家賃は確定申告で経費にできる?

個人事業主の確定申告において事業のために利用する事務所等の「家賃」は、原則として必要経費として計上することができます。

次のように、確定申告の際、添付する決算書や内訳書には、青色、白色どちらとも経費欄に「地代家賃」という項目があらかじめ設けられています。このように地代や家賃は事業において生じた業務上の費用として「必要経費」に計上できます。

所得税青色申告決算書 収支内訳書 

出典:確定申告書等の様式・手引き等(令和5年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁、「所得税青色申告決算書」「収支内訳書」を加工して作成
※画像は、過去のフォーマットとなっているため(書式は大きくは変わりません)、活用される際は、上記URLの最新版をご使用ください。

自宅と事務所が別の場合

個人事業主の事業の形態によっては、自宅と事務所が別の場合と兼用の場合が考えられます。

まず、店舗や事務所などを自宅と別に借りている場合については、その賃貸契約に基づく家賃について原則として全額が必要経費となります。しかし、「誰から借りているか」によっては必要経費とならないことがあるため要注意です。

親や配偶者など親族などから土地や建物を借りて、事業に利用するケースはよくあります。この場合、生計を一にするかどうかが問題となります。日常の生活を共にすることだけでなく、1つの家計でやりくりをしている場合などは、生計同一親族となります。

生計を一にしている親族に地代家賃を支払っても、必要経費にはなりません。同時に、支払いを受けている親族は所得としてみなされません。ただし、支払いを受けている親族がその対象となる物件について外部に賃借料等を支払っている場合には、その費用は必要経費にすることとされています。

一方、生計を一にしていない親族に支払った地代家賃については必要経費として計上することができ、同時に支払いを受けているその親族が受け取った地代家賃は所得となります。

自宅兼事務所の場合

次に、店舗や事務所などを自宅と兼用で借りている場合については、その賃貸契約に基づく家賃のうち、事業の用に供している部分についてのみが必要経費となります。

個人事業主においては、1つの支出について家事上と業務上の両方に関係する「家事関連費」があります。自宅兼事務所となっている場合には、水道光熱費などとともに家賃もこの家事関連費の1つです。

家事関連費のうち、事業における必要経費とされるのは、取引の記録などに基づき、業務を行う上で直接必要であったこと、そしてその金額を明らかに区分できる場合において、その区分された金額となります。具体的には次項の「按分計算」で求めます。

個人事業主が家賃を経費にする場合の按分計算の方法は?

自宅兼事務所を利用する個人事業主が家賃を必要経費にする場合について、実際の計算方法を見ていきましょう。

賃貸の家賃の按分計算

例えば、個人事業主が1,2階のある建物を借りており、店舗兼住宅の1階を店舗、1階と同面積の2階を居住用としている場合であれば、月額家賃の1/2を按分割合として、必要経費として問題はないでしょう。

必要経費 = 月額家賃等 × 按分割合

しかし、1階と2階では専有面積が異なったり、1階部分に共有部分があったりすることが多いため、見取り図等で床面積を計算して正しい按分割合としましょう。

所得税法施行令第96条第1項では、次の経費については必要経費とすることを認めています。

家事上の経費に関連する経費の主たる部分が不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の遂行上必要であり、かつ、その必要である部分を明らかに区分することができる場合における当該部分に相当する経費

引用:所得税法施行令 | e-Gov法令検索(第96条第1項 家事関連費) ※一部筆者加筆

家事関連費については、明らかに区分することができる場合とされているため、第三者に説明可能なように面積割合などは明らかに分かるようにしておきましょう。

持ち家の家賃の按分計算

持ち家の家賃とは矛盾した表現のようですが、親族の持ち家として2つのパターンが考えられます。

    • 生計を一にする親族等が所有する土地や建物について、家賃を支払っているケース
      …先述のように必要経費として認められないため、按分計算もありません。

 

  • 生計を一にしない親族等が所有する土地や建物について、家賃を支払っているケース
    …上記の「賃貸の家賃の按分計算」と同じ考え方で計算します。
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青色申告と白色申告の按分計算のルールの違いは?

青色申告と白色申告についての家事関連費の按分ルールは、「規定上は」異なります。実務上はほぼ同様に扱われることが多いですが、どのように規定が異なるのかをここで明らかにしておきましょう。

所得税法施行令第96条第2項では、次の経費については必要経費とすることを認めています。

前号に掲げるもののほか、青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている居住者に係る家事上の経費に関連する経費のうち、取引の記録等に基づいて、不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき業務の遂行上直接必要であつたことが明らかにされる部分の金額に相当する経費

引用:所得税法施行令|e-Gov法令検索(第96条第2項 家事関連費) ※一部筆者加筆

つまり、96条の1項は白色申告向け、2項では青色申告向けとなっており、まとめると次のようになります。

所得税法施行令
対象
必要経費として認められる家事関連費
第96条1
全員(白色)
主たる部分が業務上必要で、
かつ必要部分を明確にできる場合
第96条2
青色
取引の記録に基づき、
業務上必要部分を明確にできる場合

青色申告者については、「主たる部分」がないため、業務上必要であれば主たる部分(50%以上)でなくとも明確になっていれば必要経費として認められるということです。

ここでさらに、第96条1(白色申告)についても、所得税法基本通達第45条2により必要な部分が50%以下であっても必要である部分を明らかに区分できればよいとされています。

つまり、家事関連費については、青色・白色にかかわらず必要である部分を明らかに区分できれば経費として認められます。

個人事業主の駐車場代などの費用も家賃として経費にできる?

個人事業主は、事業用の車両にかかる駐車場代についても同様に経費として計上することができます。事業の状況により、勘定科目は異なることがあり、車両費、駐車場代、賃借料などが考えられます。

また、駐車場だけでなく、レンタルスペースやレンタルオフィスなどの費用も事業に必要な部分は必要経費として計上できます。

このような長期にわたる契約については、後になって根拠資料を探すのは大変になってくるため、契約後、最初の起票時に、契約書のコピーや按分の根拠を明示しておくことが重要です。

個人事業主が家賃を経費にするときの注意点は?

最後に、個人事業主が地代や家賃を経費計上するときの注意点を確認しておきましょう。

敷金は経費にできない

不動産の賃貸契約を結ぶ際、敷金や礼金を支払うことがあります。敷金は、債務を担保するため貸主に支払うお金のことです。家賃の未払いなどに対する担保としての役割に加えて、賃貸借が終了したとき入居中に発生した建物の原状回復のため退去時に使われます。そして、退去時に残額は返金されます。関西地方などでは敷金ではなく、「保証金」と呼ばれることもありますが、内容は敷金と同様です。

したがって、敷金や保証金など後で戻ってくるものを支払った場合には、原則として必要経費として計上することはできません。一方、礼金は入居時に支払うものであり、返金されませんので経費として計上できます。

賃貸借契約書の保管が必要

賃貸借契約書を紛失してしまうと、契約条件等が不明となり、更新時やトラブル発生時、最終的には退去時まで困ります。貸主側の賃貸借契約書をコピーさせてもらうなどして対応しなくてはなりません。

賃貸契約書は重要な書類ですので、賃貸期間中はもとより、少なくとも退去するまでは必ず保管しておきましょう。経費として計上する場合には、重要な部分はコピーを取り、会計の根拠資料として保管してください。

社宅の賃貸契約は会社が行う

個人事業主の事業が拡張し、従業員に社宅を準備する場合もあり得ます。この場合、個人事業主は貸主としての立場に立ちます。

社宅が借り物である場合には、転貸借(てんたいしゃく)という関係になります。転貸借とは、賃借人が、建物の所有者との賃貸借契約関係を結んだ上、さらに賃借人の賃借権の範囲内で転借人との間で新たな賃貸借契約を締結することをいいます。

社宅の賃貸(転貸借)についての契約は、直接の貸主である個人事業主が行います。

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住宅ローン控除が適用できなくなる場合がある

個人事業主が住宅ローンを組んで住宅を取得し、その住宅を自宅兼事務所として利用する場合、住宅ローン控除が利用できない場合があるので要注意です。

住宅ローン控除には種々のものがありますが、住宅の新築等により令和4年以降に居住した場合、以下の要件があります。

住宅の床面積の2分の1以上の部分が専ら自己の居住の用に供するものであること。この場合の床面積は、登記簿に表示されている床面積により判断する。

参考:No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁

本来、住宅ローン控除は居住するための住宅に対する優遇措置なので、事業の用となる場合には1/2を超えない範囲で利用しなければなりません。

節税対策として、個人事業主の家賃を経費にしましょう!

個人事業主の家賃については、基本的には経費として計上できるものの、所有者が生計同一親族などの場合には経費にはなりません。また、借りている住宅について自宅兼事務所として利用している場合には、按分割合を明確にする必要があります。

按分割合に異動があったときなどは、その異動理由などとともに新たな按分割合の根拠を明確にしておきましょう。

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よくある質問

個人事業主は事務所家賃を経費にできる?

個人事業主の事業のために利用する事務所等の家賃については、原則的に必要経費として計上できます。詳しくはこちらをご覧ください。

家事関連費である家賃の按分割合とは?

家事関連費については、明らかに区分することができる場合とされているため、登記簿上の床面積などにより明確な方法で按分割合を求めるほうがよいでしょう。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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