- 更新日 : 2024年2月20日
家庭教師に確定申告は必要?個人契約や業務委託、学生の掛け持ちの場合は?
家庭教師をして所得を得ると、確定申告が必要になる場合とならない場合があります。家庭教師には業務委託や直接雇用の塾講師、個人契約などがありますが、契約形態によって所得税法上の所得区分や経費の扱いが変わることがあるため注意が必要です。
社会人が副業で家庭教師をする場合や親の扶養に入っている学生が家庭教師をする場合など、ケースごとに確定申告の義務が生じる条件や申告時の必要書類を理解して、正しく申告を行うようにしてください。
なお、マネーフォワード クラウド確定申告では、個人事業主やフリーランスの方が確定申告する際に知っておきたい基礎知識や、確定申告の準備、確定申告書の作成方法・提出方法などを分かりやすくまとめた「青色申告1から簡単ガイド」を無料で用意しております。
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目次
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家庭教師と確定申告
所得を得れば所得税の課税対象になるため、家庭教師をして得た所得も当然所得税の対象になります。よって、所得税の仕組みを理解していないと、申告漏れを起こすことにもなりかねません。
家庭教師と所得税や確定申告の関係について正しく理解しておくことが大切です。以下では個人契約や業務委託、直接雇用の塾講師、学生が家庭教師をする場合について、それぞれ解説していきます。
そもそも確定申告とは?家庭教師に必要?
確定申告とは所得税を計算して確定した税額を国に申告する手続きです。年間の所得額をもとに所得税を計算して、納めるべき税額があれば翌年に確定申告を行います。
会社員のように勤務先で年末調整を受けられて確定申告が必要ないこともありますが、最低でも所得額が基礎控除額48万円を超えて所得税がかかる場合は、基本的に確定申告をしなければいけません。もっとも勤労学生控除など他の所得控除を受けられる場合には、もう少し所得が高い場合でも確定申告の義務がない場合もあります。
例えば家庭教師のうち、派遣元会社と業務委託契約を結んでいる場合や、個人宅と直接契約を交わしている場合は、家庭教師として得る所得は事業所得や雑所得に該当します。所得が基礎控除額などの所得控除額を超えている場合は確定申告をしなければいけません。
確定申告の方法には青色申告と白色申告の2種類あり、事前に青色申告承認申請書を税務署に提出して承認を受けている人の申告方法が青色申告、それ以外の人が行う申告方法が白色申告です。青色申告を選択できるのは不動産所得・事業所得・山林所得がある人に限られますが、青色申告特別控除など白色申告にはない様々な特典が用意されています。
確定申告については以下の記事でも解説しているので、詳しい内容を知りたい人は確認してみてください。
個人契約の家庭教師の場合
親御さんから手渡しや振り込みで家庭教師の収入を受け取る個人契約の家庭教師の場合、その所得は所得税の計算で事業所得または雑所得に該当します。事業所得や雑所得は収入から必要経費を引いた額で、必要経費に算入できるのは収入を得るために直接要した費用です。文房具の購入代金や資料の印刷代、訪問の際の交通費などが該当します。
家庭教師の仕事を会社員などの給与所得者が副業として行う場合は、給与所得・退職所得以外の所得が年間で20万円を超えると確定申告をしなければいけません。そのため、家庭教師やその他の副業による所得が20万円を超える場合には、翌年に確定申告を行います。
また、個人経営でオンライン家庭教師をするなど、事業として家庭教師の仕事を行っている個人事業主の場合は、年間所得が基礎控除額などの所得控除額以下であれば確定申告は不要です。先述したように適用できる所得控除の種類にもよりますが、家庭教師による所得額が48万円を超える場合などにおいては、確定申告が必要になることが多くなります。
業務委託の家庭教師の場合
派遣元会社と業務委託契約を結んで家庭教師をする場合も、受け取る賃金は事業所得または雑所得に該当します。企業に直接雇用されて給料として受け取る場合は給与所得に該当しますが、業務委託の場合は直接の雇用ではないため、従業員への給料にはあたらず事業所得または雑所得です。例えば、家庭教師のトライ等の塾に登録して、業務委託を受けるケースが該当します。
確定申告が必要になる条件は、個人契約における家庭教師の考え方と基本的に同じです。例えば、会社員が副業で家庭教師をする場合には、副業所得が20万円を超えれば確定申告が必要になります。
直接雇用の塾講師の場合
塾の運営会社など企業に直接雇用される場合の賃金は、従業員に支払われる給料にあたり給与所得に該当します。給与所得は収入額から給与所得控除額を引いた額で、給与所得控除は事業所得や雑所得における費用に該当するものです。そのため直接雇用の塾講師の場合は、一定の場合を除いて、個人契約や業務委託のように文房具の購入代などを経費として計上することはできません。
給与所得者は源泉徴収や年末調整によって企業が所得税の納税を代行するため、納税者本人による確定申告は基本的に不要です。ただし、何か副業をしていて給与所得・退職所得以外の所得が20万円超あれば、本人による確定申告が必要になります。また、塾を掛け持ちしていて2箇所以上から給与を受け取っている場合も、メインの給与支払先以外の勤務先から受け取る給与収入が20万円を超えると確定申告が必要です。
学生で家庭教師をしている場合
学生がアルバイトで家庭教師をする場合、次の3点がポイントになります。
- 家庭教師による所得が給与所得に該当するか雑所得(または事業所得)に該当するか
- 勤労学生控除の要件を満たすか
- 所得が多い場合は親の扶養から外れないか
例えば、塾講師として給料をもらう場合は給与所得に該当し、勤務先で年末調整を受けられれば確定申告は原則不要です。しかし、家庭教師以外のバイトを掛け持ちして雑所得に該当する所得が20万円超ある場合は、確定申告をしなければいけません。
給与所得の場合は給与所得控除を適用でき、事業所得または雑所得の場合は必要経費を計上できるので、所得税率を掛け合わせる所得額の計算は次のようなイメージになります。
そして、学生には勤労学生控除を適用できる場合があり、適用できると所得額から27万円を控除できます。勤労学生控除を適用できるのは、その年の12月31日の現況で以下の条件を満たす学生です。
- 給与所得などの勤労による所得があること
- 合計所得金額が75万円以下で、上記1の勤労に基づく所得以外の所得が10万円以下であること
- 学校教育法に規定する小学校、中学校、高等学校、大学、高等専門学校など、特定の学校の学生、生徒であること
なお、給与所得者の場合は扶養控除等(異動)申告書に勤労学生控除に関する事項を記載して勤務先に提出し、確定申告を行う場合は確定申告書に勤労学生控除に関する事項を記載して提出します。
また、学生がアルバイトをする場合には、所得額が大きくなると親の所得税の計算に影響することがある点にも注意してください。扶養控除の適用要件は同一生計の「年間の合計所得金額が48万円以下(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)の者」であるため、この金額を超えると親が扶養控除を適用できなくなります。
扶養控除を受けられなくなると世帯としての税負担が増えるため、事前に税額シミュレーションを行って税金がどれだけ増えるのか確認しておくとよいでしょう。
家庭教師向け確定申告のやり方と手順
家庭教師をして確定申告が必要になった場合は、確定申告書を作成して必要書類を揃えて税務署に提出、納付します。
事業所得となる場合には、たとえ白色申告であっても個々の取引について記帳し、会計帳簿を作成して保管することが求められます。
詳細は下記のサイトなどを参照ください。
参考:個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について|国税庁
また、雑所得となる場合においても前々年分の収入が300万円を超える場合には、「現金預金取引等関係書類」を保存しなければなりません。
確定申告書の作成方法には手書きで作成する方法と確定申告書作成コーナーを使う方法があり、申請方法は窓口申請・郵送申請・e-Taxによる申請の3つです。
なお、確定申告のやり方については以下の記事でも解説しているため、詳しい内容を知りたい人は確認してみてください。
手書きで確定申告書を作成する場合
家庭教師をしている人が確定申告をする場合、確定申告書の用紙は税務署に行けばもらえますが、国税庁HPからでもダウンロードできます。確定申告書の提出先は納税地の税務署(一般的に住所地の税務署)です。申告書を作成して必要書類を揃えたら、税務署に行って窓口で提出するか書類を郵送して提出します。
確定申告書にはAとBの2種類がありましたが、令和4年分の確定申告から「確定申告書」に一本化されました。
確定申告書を作成する際に収入額や経費の額を記入する必要があります。直接雇用の塾講師をしている人は勤務先から源泉徴収票を渡されたらなくさないように保管して、基本的にはこれで終了です。一方、個人契約や業務委託で家庭教師をしている人のうち、事業所得にあたる場合は経費がかかる度にレシートなどを取っておき、会計帳簿を作成したのち、収支内訳書又は青色申告決算書を作成します。そして、最後に確定申告書を作成するという一連の作業が必要となります。
また、勤労学生控除などの所得控除の適用を受ける場合には一定の書類提出が必要になる場合があります。以下の国税庁HPを確認して書類を準備するようにしてください。
参考:確定申告書等の様式・手引き等(令和4年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁、「所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き」
※添付資料については、上記手引きのP41以降をご参照ください。
確定申告書作成コーナーで作成する場合(書面での提出)
国税庁が提供している確定申告書作成コーナーを使えば、パソコンなどで収支内訳書や確定申告書を作成できます。
確定申告書作成コーナーを使って確定申告書を作成する場合は、家庭教師をして得た収入や収入を得るためにかかった必要経費の額が分かる資料(作成した会計帳簿)を手元に用意してください。
帳簿から家庭教師をして得た収入や必要経費の額などの数値を入力すると適宜集計されたり必要な箇所に転記されたりするので、手書きで作成する場合に比べて計算ミスが発生しにくく手間がかからないため便利です。作成した申告書は印刷して税務署の窓口で提出するか、郵送して提出します。
e-Taxを使って申告する場合
確定申告書作成コーナーで作成した申告書は、電子申告システムであるe-Taxを使うとネット経由で提出できます。e-Taxを使えば、申告書の作成だけでなく提出までパソコン画面上で終えられるため、書類を窓口に持参または郵送する手間はかかりません。家庭教師の仕事で忙しくて税務署に行く時間が取れない人や、郵送する書類をまとめる時間をかけず少しでも手間を省きたい人には、e-Taxを使った確定申告がおすすめです。
ただし、e-Taxを利用するためにはあらかじめ利用申請の手続きが必要で、マイナンバーカード方式でもIDパスワード方式でも、事前の準備や手続きにある程度の手間がかかります。家庭教師をして確定申告が必要になりe-Taxを初めて使う人は、確定申告の期限に間に合うように早めに準備を始めたほうがよいでしょう。
マネーフォワード クラウド確定申告では、個人事業主やフリーランスの方が知っておきたい"経費"のキホンや勘定科目を分かりやすく1つにまとめた「個人事業主が知っておくべき経費大辞典」を無料で用意しております。
税理士監修で、経費の勘定科目や具体例だけでなくワンポイントアドバイスもついているお得な1冊となっていますので、ぜひ手元に置きたい保存版としてご活用ください。
確定申告をしないとどうなる?
家庭教師をして確定申告の義務が生じているにもかかわらず申告をしないと、ペナルティが科されて本来の納税額に加えて罰金も支払うことになります。確定申告をしてない人を見逃してくれるほど税務署は甘くないので、期限までに申告や納税を終えることが大切です。
確定申告をしない場合のデメリットについては以下の記事でも解説しているため、詳しい内容を知りたい人は確認してみてください。
確定申告をしてないとペナルティが科される
法定期限までに確定申告をしてないと期限の翌日から延滞税が課されます。延滞税は納付が完了する日までの日数に応じて課されるので、申告や納税が遅れるほど税負担が増える点に注意が必要です。
また、無申告の場合は無申告加算税が課され、期限までに申告・納税をしても過少に申告していた場合は過少申告加算税が課されます。無申告加算税の税率は最大20%、過少申告加算税の税率は最大15%です。
さらに、令和6年からは税務調査などにおいて帳簿の提示を求められた場合に帳簿を提示しなかったときは、過少申告加算税や無申告加算税の割合が10%加重されるなど、新たなペナルティも加わります。
ペナルティを科されて罰金を払うことになれば、家庭教師をして得た所得のうち手元に残る金額が罰金の分だけ減ることになります。不必要な罰金を科されて資産を減らすことは避けたほうがよいため、確定申告が必要な場合には期限までに手続きを終えるようにしてください。
過去分の申告漏れがある人は早めに対応する
期限を過ぎた後に申告する場合、自主的に申告した場合と税務署からの指摘を受けた後や税務調査後に申告した場合では加算税の税率が変わります。また確定申告を忘れていた場合でもできるだけ早く申告すれば延滞税がかかる日数が減るので、過去分の申告漏れに気付いたら期限後申告を1日でも早く行いましょう。
そもそも税務署はさまざまな方法で所得隠しがないかを調査するため、無申告の場合、ばれる可能性が十分にあります。現金の手渡しであれば税務署にはばれないだろうなどと考えず、申告漏れに気付いたら期限後であっても申告を行ってください。
確定申告・税金対策は確定申告ソフトでカンタンに
はじめて確定申告をする人は、帳簿や申告書の作成方法がよく分からず戸惑うことが少なくありません。帳簿や申告書の作成で余計な時間をかけたりミスをしたりしないためにも、帳簿及び確定申告書の作成では確定申告ソフトの活用がおすすめです。
マネーフォワードクラウド確定申告を使えば、面倒な作業が軽減され、銀行やクレジットカードとの連携で取得した明細からの仕訳入力により帳簿を作成してくれます。確定申告書や収支内訳書・青色申告決算書など確定申告の必要書類が自動で作成でき、e-Taxでの提出にも対応しているため非常に便利です。
家庭教師で得た所得は適切に確定申告を
家庭教師には個人契約や業務委託、直接雇用の塾講師などがありますが、いずれの場合でも家庭教師をして所得を得ると確定申告が必要になる場合があります。確定申告の義務があるにもかかわらず期限までに申告しないと延滞税などが課されるので注意が必要です。
確定申告の義務が生じる条件は職業などによって異なるので、ご自身のケースでは家庭教師として一体いくら稼ぐと申告が必要になるのか、確認しておくようにしてください。
はじめての確定申告もラクラク安心に済ませる方法
確定申告がはじめての方や、簿記の知識に不安がある方、確定申告書類の作成を効率よく行いたい方は、確定申告ソフトの使用がおすすめです。
個人事業主向け会計ソフトの「マネーフォワード クラウド確定申告」は、確定申告の必要書類が自動作成でき、Windows・Macはもちろん、専用アプリも提供しています。
①取引明細は自動で取得
銀行口座やカードを登録すると、取引明細を自動取得します。現金での支払いに関しても、家計簿のようなイメージで、日付や金額などを自分で入力することが可能です。
②仕訳の勘定科目を自動提案
自動取得した取引明細データや、受領後にアップロードした請求書・領収書などの情報をAIが判別し、仕訳を自動で入力します。学習すればするほど精度が上がり、日々の伝票入力が効率化されます。
③確定申告必要書類の自動作成機能
白色申告・青色申告の両方に対応しており、確定申告に必要な書類が自動で作成できます。また、マネーフォワード クラウド確定申告アプリで、スマホから直接の提出も可能です。印刷しての提出やe-Taxソフトでの提出にも対応しています。
マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例
データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。
ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
もっと読むよくある質問
家庭教師に確定申告は必要ですか?
確定申告の義務が生じる場合と生じない場合があるため、ケースごとに判断が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。
塾講師と個人契約で違いはありますか?
塾講師の給料は給与所得に該当し、収入額から給与所得控除額を引いた額が所得額です。個人契約の場合は事業所得や雑所得に該当し、収入額から経費を引いて所得額を求めます。詳しくはこちらをご覧ください。
家庭教師の確定申告はどのようにやればよいですか?
確定申告書と必要書類を揃えて税務署に持参する方法と書類を郵送する方法、e-Taxで申請する方法があります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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