- 作成日 : 2022年1月21日
個人事業主は確定申告で生活費を経費にできる?仕訳や記帳方法も解説!
個人事業主には、経営者としての側面と個人としての側面があります。
事業所得として確定申告をする場合には、家事関連費であれば生活費の要素が含まれた支払であっても必要経費として計上することが可能です。
この記事では、家事関連費についての考え方と、事業用の経費と生活用の費用を分ける家事按分の仕訳について説明します。
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目次
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個人事業主は確定申告で生活費を経費にできる?
まず、結論から言いますと、個人事業主の純然たる「生活費」は必要経費とすることができません。所得税では家事上の経費を「家事費」と呼んでおり、事業には関係のない個人的な費用である生活費は必要経費になりません。
しかし、個人事業主には、一つの支出が「家事」にも「業務」にもかかわりがある費用となる「家事関連費」があります。例えば、交際接待費や、居宅兼事務所における家賃、水道光熱費、通信費などがあります。
所得税法45条は、「家事上の経費及びこれに関連する経費で政令で定めるもの」は、必要経費に算入しないとしています。
引用:所得税法 第45条第1項(家事関連費等の必要経費不算入等)
この政令で定めるものとは、所得税法施行令第96条に次のように規定されています。
- 経費とは、次に掲げる経費以外の経費とする。
家事上の経費に関連する経費の主な部分が業務に必要であり、かつ、その必要部分を明らかに区分できる場合のその部分の経費 - 青色申告者に係る家事上の経費に関連する経費のうち、取引の記録等に基づいて、業務に直接必要だったことが明らかにされる部分の経費
つまりこれらをまとめて考えると、次のことが言えます。
- 青色申告者は、記録等に基づいて、業務に直接必要なことが明らかな経費は必要経費にできる。
- 白色申告者は、主たる部分が業務に必要で、かつ必要部分を明確に区分できる場合に必要経費にできる。
家事関連費を按分して生活費を経費にする方法については、以下をご参照ください。
個人事業主が生活費を記帳する方法は?
個人事業主が事業用の預金口座から必要経費とならない生活費を支払った場合には、家事費部分については「事業主貸(じぎょうぬしかし)」勘定を使用します。事業主貸とは、個人事業主が事業用資金を生活費として使うときの勘定です。
また、家事関連費を支払った場合には、その費用を按分して事業分については必要経費とします。例えば、家賃の按分については次のような考え方があります。
(例)
50㎡の部屋を月20万円で賃借している場合、業務でその内のどの程度使用しているかを見取図などで計測します。仮に業務で20㎡利用していることがわかれば、次のように計算します。
なお、計測の根拠となった見取り図や計算の根拠については保管しておきます。
個人事業主の生活費は事業主貸で仕訳する
事業主貸だけが発生する場合について、仕訳例を見ていきましょう。
生活費として200,000円の支払をした場合の仕訳は次のとおりです。
また、所得税・住民税などの税金や社会保険料などの支払いについても同様です。
すべての家事費は事業主貸となりますので、摘要欄には明細を記載し、後でわかるようにしておきます。
なお、事業主貸についての詳細は、以下をご参照ください。
費用を事業用とプライベート用に分けている場合の仕訳例
家事関連費の按分ができている場合の仕訳も見てみましょう。
たとえば、仕入のために使用する自家用車のガソリン代なども、走行距離や使用日数を記録しておけば、分けて仕訳することは難しくありません。
1ヶ月分のガソリン代が18,000円であり、30日のうち20日間業務で利用したことが分かった場合は、車両費としての必要経費は「18,000円×20日/30日」で求められるので次のような仕訳になります。
費用を事業用とプライベート用に分けていない場合の仕訳例
家事関連費の按分ができていない場合の仕訳は、どうなるでしょうか?
青色申告者でも、按分割合が不明な場合には必要経費となる額が求まらず、経費としての仕訳をすることができません。すなわち、すべて生活費としての扱いとなってしまいます。
節税のためには、必要経費の根拠をしっかり把握し、決算までに按分できるように按分割合を求めましょう。
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確定申告時の事業主貸・事業主借の会計処理方法は?
ここで、事業主貸に仕訳した金額がどのようになるかについて押さえておきましょう。
複式簿記による青色申告者の場合、事業所得や不動産所得などについて青色決算書を添付することとなっています。
結果的には、必要経費に計上したものは損益計算書に転記しますが、仕訳によって生じた事業主貸勘定は、貸借対照表に合計額が記載されるのみで、所得には影響しません。
事業主勘定には、事業主貸と事業主借(じぎょうぬしかり)があります。事業主借は、生活資金から事業費用を支払った場合のように、事業主貸勘定と対照的な動きをする勘定科目です。
これらの事業主勘定が、新たな年度へ繰り越す際に、元入金の計算をします。上記貸借対照表の例では、年間で次の動きがありました。
会社の資本金は年度が変わっても原則として変化しませんが、元入金は年度が変わると、これら3つの要素によって変わります。所得金額は青色申告特別控除額を差し引く前の金額です。
翌期首の元入金は次のとおり165万円になります。
上記の計算式からもわかるように、事業主貸が多いと元入金を食いつぶす原因となってしまいます。
青色申告なら家族への給与を必要経費にできる
青色申告書の特典は種々ありますが、その中に「青色事業専従者給与」を必要経費とすることができるという特典があります。
生計を一にする配偶者や親族が事業に従事する場合、給与を支払うことがありますが、原則として必要経費にはなりません。しかし、青色申告者の場合には一定の要件を満たせば支払った給与を必要経費とする特例を摘要することができます。
この特例適用のためには事前に届出書の提出が必要であり、専従者が増える場合や給与が増える場合などにも変更届出書の提出が必要です。
参考:No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除|国税庁
なお、青色事業専従者給与についての詳細については次の記事をご参照ください。
個人事業主は確定申告で生活費を経費にできない!
個人事業主においては、所得の計算において「生活費」は必要経費にはできません。しかしながら、「家事関連費」については、確たる根拠のもと、必要経費にできる場合がありますので、光熱費や家賃などで見直しをしてはいかがでしょうか?
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銀行口座やカードを登録すると、取引明細を自動取得します。現金での支払いに関しても、家計簿のようなイメージで、日付や金額などを自分で入力することが可能です。
②仕訳の勘定科目を自動提案
自動取得した取引明細データや、受領後にアップロードした請求書・領収書などの情報をAIが判別し、仕訳を自動で入力します。学習すればするほど精度が上がり、日々の伝票入力が効率化されます。
③確定申告必要書類の自動作成機能
白色申告・青色申告の両方に対応しており、確定申告に必要な書類が自動で作成できます。また、マネーフォワード クラウド確定申告アプリで、スマホから直接の提出も可能です。印刷しての提出やe-Taxソフトでの提出にも対応しています。
マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例
データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。
ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
もっと読むよくある質問
個人事業主の生活費は必要経費となりますか?
事業には関係のない個人的な費用である生活費は必要経費になりません。詳しくはこちらをご覧ください。
事業の作業場と共用している家賃などは必要経費になりますか?
家事関連費については、青色申告者は記録等に基づき、業務に直接必要なことが明らかな経費は必要経費にできます。白色申告者は主たる部分が業務に必要で、かつ必要部分を明確に区分できる場合に必要経費にできます。詳しくはこちらをご覧ください。
個人事業主の生活費の仕訳にどのような勘定を使いますか?
個人事業主が事業用の預金口座から必要経費とならない生活費を支払った場合には、その際、家事費部分については「事業主貸(じぎょうぬしかし)」勘定を使用します。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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